アクアリウムを始める時、多種多様な種類を混泳させたいと思う方も多いのではないでしょうか?
混泳は魚達の性格の他にも、上層・中層・底層など、どこをメインに泳ぐ種類なのかも把握しておく必要があります。
その中でも上層を泳ぐ種類は「クラウンキリー」や「アプロケイルス・スマラグド」などのメダカの仲間がかなり多いのですが、今回は元祖!上層部を泳ぐ小型カラシンの仲間「ハチェットフィッシュ」について皆様にご紹介させていただきます。
ハチェットフィッシュは見た目や体色も特徴的な種類でもあり、性格も温和なので群泳も混泳にも向いています。
また、ハチェットフィッシュの「ある特徴」にさえ注意し、対処できれば初心者にもオススメの小型カラシンとなります。
1,ハチェットフィッシュってどんな魚!?
画像出典:charm様
①学名について
ハチェットフィッシュの仲間には学名が2つあり、後程ご紹介させていただく「グラス・ハチェット」や「マーブル・ハチェット」などは属名が「Carnegiella」、「シルバー・ハチェット」などは「Gasteropelecus」となっています。
②生息地について
南米原産のカラシンの仲間であり、コロンビア、ペルー、エクアドル、ブラジルを流れるアマゾン川の広い範囲に生息しています。
上流〜下流、湿地などに群れを作って生息しているため、小型カラシンの仲間の中でも割りとポピュラーな種類です。
③どんな見た目をしているの?
ハチェットフィッシュは流通名が示す通り、「ハチェット(手斧)」のような見た目をしています。
しかも、他のカラシンの仲間達と比較して、体型はかなり扁平になっています。
特に胸〜腹部が扁平で張り出しており、これは以前皆様にご紹介させていただいた事がある、同じハチェットの名が付く「ダディー」こと「ダディブルジョリィ・ハチェットバルブ」にもない特徴にもなっています。
主に水面下となる上層部を泳いでおり、その際はハチェットフィッシュの大きな特徴でもある斜め上を向いた長く大きな胸ビレを羽ばたかせる様子も見られます。
水面下を主に泳ぎ、落ちてくる小さな虫を食べるためか、口はメダカの仲間のように上向きになっています。
ヒレは主に胸ビレ、背ビレ、尻ビレ、尾ビレで構成されており、種類によっては脂ビレがあります。
胸ビレはトビウオの胸ビレに似ており、他のヒレより大きく目立つのがハチェットフィッシュの仲間の特徴です。
頭部に対して目は大きく、クリクリとしています。
④どんな物を食べているの?
自然下では水面下をゆっくりと泳ぎながら、水面に落ちてきた蚊などの小さな昆虫や水面近くに上がってきたボウフラなどを主に捕食していると考えられています。
⑤どのくらいの大きさなの?
ハチェットフィッシュは種類にもよりますが、3〜10cmほどの小型カラシンの仲間です。
一般的にハチェットフィッシュと呼ばれているのが「シルバー・ハチェット」で、約6cmほどの大きさになります。
現在入荷するハチェットフィッシュの中で1番小さい種類は「グラス・ハチェット」で約3cmほど、最大種の「トラコカラックス・ハチェット」「エロンガータ・ハチェット」で約10cmほどの大きさです。
⑥どんな性格をしているの?
ハチェットフィッシュの仲間達は温和な性格をしており、同種他種問わず混泳、群泳に向いている熱帯魚です。
しかし、いくら穏やかな性格とはいえ混泳相手の性格が荒いと追い回されて飛び出してしまったり、噛まれてケガをしてしまう事があるので注意が必要です。
⑦どこでお迎えできる?大体のお値段は?
ハチェットフィッシュは昔から知られているポピュラーな種類のため、アクアショップやアクアリウムにも力を入れている総合ペットショップでもお迎えする事ができます。
また、どうしても最寄りのペットショップで見つからない場合は通販を利用するのがオススメです。
そんなハチェットフィッシュの1匹あたりの大体のお値段ですが、種類にもよりますが約800〜1000円くらいの場合が多いです。
2,ハチェットフィッシュの仲間達について
古くから独特な見た目と美しい体色、穏やかな性格から親しまれてきたハチェットフィッシュ達。
その人気は今でも高く、ハチェットフィッシュが自宅のアクアリウムに面白味を持たせてくれる重要な存在になっている事もあります。
①グラス・ハチェット
「ピグミー・ハチェット」と呼ばれる事もあるハチェットフィッシュの最小種です。大きさは約3cmほど。
体が小さいので小型水槽で飼育する事もできますが、体色も美しく、調子の良い個体は腹膜とエラブタ、体側に走るラインが玉虫色に輝きます。
②マーブル・ハチェット
黒、銀、白の美しい大理石模様が特徴的な種類です。
この大理石模様は個体差や亜種などで濃淡などに違いがあるため眺めていて楽しい種類でもあります。
大きさは約4cmほどで、小型水槽でも飼育できます。しかし、60cm以上の水槽で群泳させると綺麗に並び、美しさに更に磨きがかかります。
③マーサ・ハチェット
「ブラックウイング・ハチェット」の呼び名があり、消灯時に胸ビレが黒く染まる事が由来となっています。大きさは約4〜5cmほど。
体色は体側に黒と玉虫色のラインが走り、薄い腹部と胸部のウロコを縁取るように墨色が入ります。
背中は若干緑がかった薄灰色をしており、シンプルな美しさが魅力です。
④シルバー・ハチェット
「リバー・ハチェット」と呼ばれる事もあるハチェットフィッシュの仲間で、昔から愛されてきた種類でもあります。大きさは約6cmほど。
体色は背中側が若干黄色みを帯びた灰色をしており、体側には1本のライン、胸から尾柄まで縁取るように墨色が入ります。
流通名の「シルバー」の通り、銀色の体色が美しく、照明の光を受けてキラキラと輝きます。
⑤レヴィス・ハチェット
「スポッテッドシルバーハチェット」「シルバー・ハチェット」「ガステロペレクス・レヴィス」という流通名があるハチェットフィッシュの仲間です。
大きさは前述したシルバーハチェットと同じくらいで、約6cmほどです。
シルバー・ハチェットの流通名を持ってはいますが、体側のラインや胸〜尾柄にかけて入る黒〜墨色の縁取りいがいにも、全身に細かな黒いスポットが入るのが特徴的な種類で、燻し銀のような美しさがあります。
⑥エロンガータ・ハチェット
ハチェットフィッシュの中では胸や腹部があまり張り出さないスマートな体型をしているのが特徴的な種類です。
流通名には「カタリナ・ハチェット」「カタリナ・バタフライテトラ」があります。
大きさは約10cmほどにまで成長するため、中型カラシンの扱いになるので泳がせる場合は60cm以上の水槽がオススメです。
主に4〜5cmほどの幼魚が入荷しますが、幼魚の体色は淡黄色と黒の縞模様の体にうっすらと玉虫色が輝き、黒い大きな胸ビレが目立ちます。
⑦トラコカラックス・ハチェット
ハチェットフィッシュの仲間の中では最大種で、大きさは約10cmほどにまで成長します。
体型もエロンガータ・ハチェットとは違い、しっかりハチェットフィッシュの体型をしています。
体色はシルバーハチェットに似ていますが、シルバー・ハチェットにある黒い模様は無く、むしろより白銀に輝く体色となっています。
また、背ビレの付け根部分が黒く染まるのも特徴的です。
3,ハチェットフィッシュの飼育で注意すべきポイントについて
変わった見た目に美しい体色で水槽内の上層部を賑やかにしてくれる魅力的な熱帯魚ではありますが、ハチェットフィッシュは性質上かなり飛び出し事故が多い種類としても知られています。
〜✈️ハチェットフィッシュの注意すべきポイント✈️〜
- とにかく飛び出しやすいのでフタは必ずし、隙間部分はアクリルやプラスチック板などでできるだけ塞ぐ事!(←超重要!)
- 見た目の割に少食なので餌の与えすぎに気を付ける事。
- 性質を加味して浮上性の餌を与える事。
- 体がかなり薄く、痩せが分かりづらいため骨が浮いてきてないかなどしっかり観察する事。
- 水合わせは焦らず行い、水槽に放つ時は驚かさないようにゆっくり放つ事。
ハチェットフィッシュは自然下では天敵や外敵から逃げるために発達した胸ビレを羽ばたかせて水面から飛び出し滑空するため、飼育下ではこの飛び出しを如何に防ぐかがネックとなってきます。
4,ハチェットフィッシュの飼育方法について
①お迎えについて
先述した通り、ハチェットフィッシュは珍しい種類でなければお迎えしやすいカラシンの仲間です。
そのためアクアショップや総合ペットショップのアクアコーナーでも特徴的な姿を見る事も難しくはありません。
もし、近くにハチェットフィッシュを取り扱っているお店が無い場合は通販で探してみましょう。
ショップでハチェットフィッシュを見つけても、すぐに購入してはいけません。毎度恒例の「健康チェック」をして状態を確認してください。
ハチェットフィッシュは改善はしてきているものの輸入状態が悪い事があり、病気や痩せが酷い時もあります。
キビキビと泳いでいるか、各ヒレが不自然に裂けていたり溶けていないか、体表に傷や付着物が無いか、骨が浮くほどガリガリに痩せていないかなどを細かくチェックしていきましょう。
健康チェックをして特に問題がなかったら、ここで初めて店員さんにお願いしてハチェットフィッシュを購入しましす。
ハチェットフィッシュは群れを作るため、1匹で飼育するよりは複数匹で飼育した方が落ち着きやすく美しくなるので可能であれば、数匹セットでのお迎えをオススメいたします。
②水合わせ、導入について
無事自宅に着きましたら、そのまま水槽に放さずまずは「水合わせ」をしていきます。
水合わせはアクアリウムでは欠かせない作業の1つではありますが、ハチェットフィッシュの場合はより慎重に行う必要があります。
まずは水槽に袋ごと浮かべて水温を合わせます。目安の時間として大体30〜60分ほどあれば同じくらいの温度になります。
水温合わせが終わったら水合わせに移るのですが、袋のままにせよ衣装ケースやバケツに移す方法にせよ、ハチェットフィッシュ達を驚かせないように注意が必要です。
また、水合わせの最中も気は抜けません。
Phショックも気になるところではありますが、何かの拍子に驚いて袋やバケツけら羽ばたいてしまう可能性もあるからです。
実際に水合わせでチューブやカップを使って水合わせをしていた最中に水流や音に驚いて飛び出してしまったというケースも多いため、水合わせは慎重に行いましょう。
袋で行う場合は袋の中の水を少し捨て、中に水槽の水を同じくらいの量足して30分ほど様子を見ます。
これを繰り返し行い、袋の中の水が殆ど水槽の水になっても異常が見られなかったら水槽に放ってあげてください。
エアチューブを使った方法の場合はハチェットフィッシュ達に流入する水の量を調節し、チョロチョロと流れる程度にして約1〜2時間かけて水合わせをします。
この時酸欠防止のためにエアレーションをしておくと良いのですが、ハチェットフィッシュ達が飛び出す可能性があるため必ずフタをするようにしましょう。
水槽に導入直後は環境の変化から餌を食べなかったり群れで隅っこにかたまっていたりするので、あまり観察したり餌を与えないようにします。
③水槽について
グラス・ハチェットやマーブル・ハチェットは小型種なので小型水槽でも飼育できます。30〜45cm水槽であれば大体3〜5匹ほどの群れで泳がせる事ができ、上層部に動きが出てとても賑やかになります。
グラス・ハチェット達より大きなシルバー・ハチェット、マーサ・ハチェット、レヴィス・ハチェットには小型水槽は手狭なため、最低でも60cm水槽以上の水槽で飼育するのがオススメです。
中型テトラであるトラコカラックス・ハチェットとエロンガータ・ハチェットは5cmほどの幼魚の内は60cm水槽でも群泳飼育が可能ですが、成長すると10cmほどの大きさになるため、最終的には90〜120cm水槽が必要になります。
④フタについて
飛び出しやすいハチェットフィッシュの飼育には必要不可欠な存在です。
これが無くては悲惨な状態を目の当たりにする可能性が高くなります。
■何でこんな事に!?ハチェットフィッシュの飛び出し事故!
仲良く群れで泳ぐハチェットフィッシュは見る者の心を癒してくれる存在です。
しかし、飛び出し事故が他の熱帯魚と比較しても高いため、翌日に飛び出して干からびて死んでしまっていた、水槽と壁の間に挟まって死んでしまっていたなどの事故があります。
これは、ハチェットフィッシュの生態に関係があり、天敵に襲われたり驚いたりすると胸ビレを使って水面を飛び出して逃げるという性質が災いしています。
そのため環境に慣れていない導入直後やコケ掃除などがある水槽掃除中などは油断しないようにしましょう。
⑤水質、水温について
ハチェットフィッシュは弱酸性〜中性の水質で飼育できますが、体色の色揚げや落ち着きやすくするためにも現地の水質である弱酸性を保つのがオススメです。
また、水温についてですが、24〜27℃くらいで特に問題なく飼育できます。
⑥底砂について
水質をアルカリ性に傾ける作用がある物以外であれば問題なく飼育に使う事ができます。
川砂やソイルもオススメで、どちらもレイアウトに華を添えてくれます。
ハチェットフィッシュは性質上、たまに中層あたりまで泳いでくる事はありますが、底層にきて砂を巻き上げるような事は滅多にないので安心です。
⑦フィルターについて
フィルターをセットした際にフタをしたり隙間を上手く塞いで飛び出し対策ができれば、基本的にどのフィルターでも飼育に使う事ができます。
水質が悪化すると魚達に悪影響なので、匹数や水槽のサイズに合わせて選ぶようにしましょう。
⑧隠れ家(シェルター)について
ハチェットフィッシュ達は導入直後くらいしか隠れる事は殆どありませんが、時々背の高い水草や流木の影に隠れる事があります。
⑨水草について
ハチェットフィッシュ達は水草にイタズラをする事がないため、非常に相性が良いです。また、水草をレイアウトに使う事で飛び出しを抑制する事もできます。
お馴染みの「バリスネリア」や「ピピバラ」は長く育つため、水面を少し覆うくらいまで育てると飛び出しにくくなります。
また、「アマゾンフロッグピット」などの浮き草系もあると飛び出し抑制に期待できます。
飛び出し防止以外でレイアウトとしてオススメなのは定番の「アマゾンソード」「アヌビアス・ナナ」「ウィローモス」「パールグラス」などです。
背の短い水草では「ピグミーサジタリアス」「グロッソスティグマ」「ショートヘアーグラス」なども美しく爽やかな水草です。
⭐小型水槽に丁度良いミニサイズ水草もある!
日々進化をしていくアクアリウムの世界では、小型水槽やアクアボトルでも育てられる水草がたくさんあります。
レイアウトでよくオススメする水草でもある「アヌビアス・ナナ」も品種改良によって小型化され、「アヌビアス・ナナ・プッチ」という品種もあります。
また、「ホウオウゴケ(ウォーターフェザー)」や「ロタラ」「ウォータークローバー」なども特徴的で美しい水草です。
⑩混泳について
ハチェットフィッシュ達は上層部分を泳ぐだけでなく、どの種類も穏やかな性格をしているため、相当気が強い種類でない限りは混泳させる事ができます。
ネオンテトラやロレットテトラ、エンペラーテトラなども美しい体色を引き立てあい、組み合わせも良いです。
また、ミクロラスボラの仲間やグラミーの仲間、コリドラスなどの小型ナマズとも相性が良いです。
ただし、颯爽とビュンビュン泳ぎ回るダニオ系は勢いがあり過ぎて小型ハチェットフィッシュの場合は驚かせてしまう可能性があるので注意しましょう。
⑪給餌について
水面下での生活に特化している彼らの口は上向きになっており、浮いた餌によく反応します。また、人工飼料にも慣れやすいため、給餌自体はそれほど難しいものではありません。
そんな彼らには浮上性の人工飼料・乾燥飼料がオススメです。
フレークタイプや浮上性の小粒タイプの人工飼料は反応が良く、中にはゆっくり沈んでいくフレークフードを中層あたりまで追いかけていく個体もいます。
また、ミジンコやイトミミズ、アカムシなどの乾燥飼料は不足しがちなビタミンなどの栄養を添加しているだけでなく、長く浮上するため栄養価も高くオススメの餌です。
しかし、ハチェットフィッシュ達は胸部や腹部が張り出しているためたくさん食べそうなイメージがあるかも知れませんが、意外とたくさん食べる事はできません。
そのため給餌の間隔の目安として、1日2回、3分ほどで食べきれる量を与えます。
3分という時間はあくまでも目安で、餌を与えた時に横から見たハチェットフィッシュの中心あたりがふっくらとしてきたらちゃんと食べれている証拠です。
Q,冷凍飼料じゃダメなの?
A,食いつきは良いですが、混泳水槽でないと水を汚す原因になります。
自然の食べ物を新鮮な内に急速冷凍した冷凍飼料は栄養価も高く、どんな魚も食いつきが良く、ハチェットフィッシュ達も例外ではありません。
しかし、ハチェットフィッシュの群泳のみの飼育の場合は与え方に工夫をしなければ、すぐに底に沈んでしまい、上手く食べる事ができないのです。
底に沈んでしまった冷凍飼料は腐りやすく、水質悪化の原因になってしまいます。
そんな冷凍飼料を与えたい場合は、餌の拡散を防ぐ「フードキーパー」が効果的です。
⑫水換え、掃除について
飼育している匹数や水槽のサイズ、汚れ具合などにもよりますが、大体の目安として1週間〜10日に1度水換えと水槽の掃除をします。水槽の水は1/4〜1/2ほどの量を換えます。
この作業は必ず水槽のフタを外して行わなければならないため、ハチェットフィッシュの飛び出し事故の可能性が跳ね上がるため細心の注意が必要です。
まずは飼育器具の電源をOFFにしてからフタを外します。この時暗くなった事でハチェットフィッシュ達がパニックになる事があるため、慌てたように泳ぎ回るようであれば、すぐに掃除に取りかからずに一旦様子を見ましょう。
ハチェットフィッシュ達が落ち着いてきたら、水槽の内壁の掃除に取りかかります。
コケや滑りなどの汚れをスクレイパーやメラミンスポンジ、コケクロスなどで落としていきましょう。
水槽の角に生えたコケや溜まった汚れは先が尖った綿棒を使うと取れやすく、オススメです。
内壁の掃除が終わり、もしレイアウトに使っている流木や石が茶ゴケなどで汚れてしまっている場合は、歯ブラシなどで汚れを擦り落とします。
水槽内のレイアウトを変えたい場合は水槽から取り出してからタワシなどで洗いましょう。
上部式フィルターや外掛け式フィルターなどの場合は揚水パイプを外し、中に溜まった汚れを専用のブラシを使って擦り落とします。
水槽内の水草が育ちすぎている場合はトリミングをします。
飛び出し抑制のためであっても、葉にコケが生えてしまったり枯れてしまっている葉、殖えすぎた子株などは見栄えも悪く、新しい葉が育つのを妨害してしまうため定期的にトリミングする必要があります。
トリミングの際も、水草やフィルターの影に隠れているハチェットフィッシュ達を驚かせないように注意しながら作業を進めていきましょう。
トリミングが終わって出た枯れ葉などの不要な葉は素手やネットで取り除きますが、この際も、不要な葉と一緒にハチェット達を掬ってしまったり驚かせて飛び出させないように注意が必要です。
回収した不要な葉は、必ず燃えるゴミに処分しましょう。
水槽内の大体の掃除が終わったら、今度はクリーナーポンプを使って水槽内に溜まった汚れを水ごと排出します。
この時、細かい川砂を底砂に使っている場合はクリーナーポンプの吸い込み口との距離が近すぎると砂を吸い込んでしまい、詰まってしまったり底砂が減ってしまう事があるので注意してください。
水抜きが終わったら、新しい水を水槽に足していきます。新しい水はカルキ抜きをして、水温も水槽内の飼育水と同じくらいにします。
水足しをする時は、あまり水流を出さないように水槽の壁に沿って足したり、水面にビニール袋などを浮かせ、その上から水を足したり、水槽の底砂に皿を設置して底に水を足して勢いを抑制する方法などがあるので是非ご自分にとってやりやすい方法で水を足していってください。
また、この時も水流でハチェットフィッシュ達が驚いて外へフライアウェイしてしまう可能性があるので油断は禁物です。
新しい水も足し終わり、フィルターの揚水パイプなどの取り付けも終わったらフタをして、電源をONにすれば水槽掃除と水換えは完了です。
フィルターを掃除する場合は、濾過材が一体型か物理と生物で分かれているかでも変わってきます。
パワーフィルター、投げ込み式フィルター、外掛け式フィルターの場合は濾過材が一体型なため、目詰まりを防止するために水換えの時に飼育水で軽く濯いで汚れを落とします。
あまりにも濾過材の汚れや傷みが酷い場合は新しい物と交換しましょう。
スポンジフィルターの場合はスポンジ部分自体が物理と生物濾過を兼ねているため水換えの時にパイプの内部を掃除するようにし、スポンジ部分は2週間〜1ヶ月を目安に飼育水でもみ洗いをして汚れを落とします。
この時もスポンジ部分の汚れや傷みが酷い場合は新しい物と交換しましょう。
上部式フィルター、外部式フィルターの場合は基本的には水換えの時に揚水パイプとホース、ストレーナーの掃除が主ですが、詰まり防止のために内部のウールマットも飼育水で洗います。
こちらも傷みが酷い場合は新しい物と交換して、濾過力を落とさないようにしましょう。
内部の生物濾過材は商品によって耐久性が違いますが、1ヶ月に1度は飼育水で洗い、汚れを落としましょう。中の濾過材の耐久性が過ぎた物は新しい物と交換します。
5,ハチェットフィッシュがかかりやすい病気と治療方法について
飛び出し事故が多過ぎて病気になかなか目が向きにくいハチェットフィッシュの仲間達は、気付いたら病気になっていて、1匹また1匹と死んでしまう事も少なくありません。
①痩せすぎ
ハチェットフィッシュの病気として1、2位を争うくらいの病気です。
彼らは扁平な体型をしているため、なかなか痩せているのに気付きにくい種類であり、気付いた時には骨が浮いて見える状態だったというケースも少なくありません。
また、彼らは見た目に似合わず少食なため、この特徴も痩せすぎに拍車をかけています。
⭐ピンセットも活用しよう!
時間に余裕がある場合は、冷凍飼料を与える時にピンセットを使って与えるのも効果的です。
ピンセットでアカムシやイトミミズ、ホワイトシュリンプなどを挟んで水面で揺らすと、上層を泳ぐハチェットフィッシュ達は集まってきて我先にと食べてくれます。
②白点病
アクアリウムの世界では非常に有名な病気の1つです。
「白点虫」という原虫が体表に寄生して起こる病気で、最初は数個ほどの白点ですが、放置していると一気に数を増やし、エラなどを塞いで魚を死に至らしてしまいます。
また、白点を取ろうと病魚自体も石や流木に体を擦り付けてしまい、二次感染症の原因となる怪我を負ってしまう事もあるため甘く見てはいけません。
白点病発生の原因として、病気の魚を導入してしまった事や水質の悪化、水温の急変などが挙げられます。
治療方法として薬浴を行い、使う薬品はメチレンブルー、マラカイトグリーン、アグテン、グリーンF系を使います。
まずは病魚を治療用水槽に隔離し、様子を見ながら規定量投薬します。
水換えは使った薬品によって間隔に違いがあり、アグテンの場合は3日に1度、メチレンブルー、マラカイトグリーン、グリーンFの場合は1週間に1度半分の量の水換えをして新たに投薬します。
③ウーディニウム症
「コショウ病」「ベルベット病」などとも呼ばれる病気で、こちらは「ウーディニウム」という鞭毛虫が寄生した事が原因で発症します。
白い粒々である白点病とは違い、体表やヒレに白コショウの粉末のようなものが付着するのが特徴です。
これにかかった魚は体を小刻みにプルプルと震わせたり、ヒレをたたんで力無く泳いだりします。
発生のきっかけは病気の魚を導入してしまった事や水質の悪化などが主に挙げられます。
ウーディニウム症は感染力も高い危険な病気ですが、定期的に水槽やフィルター掃除をしていると発生しづらい病気のため、発生したら病魚の治療だけでなく、今までの飼育方法や飼育環境について省みるようにしましょう。
治療方法に薬浴を行いますが、使う薬品はマラカイトグリーン、メチレンブルー、グリーンF系の薬品です。
病魚を治療用水槽に隔離したら、様子を見ながら規定量投薬して治療を開始します。
1週間に1度半分の量の水換えをして、新たに投薬をします。これを体表やヒレの粉状の付着物が取れ、プルプルと震えなくなるまで続けます。
④エロモナス症
アクアリウムの世界で非常に恐れられる病気です。
治療難易度、感染力、致死率が高いため、この病気を出さないように日頃から飼育環境に気を付けると言っても過言ではありません。
原因菌は常在菌である「エロモナス・ハイドロフィラ」で、この菌がウロコの下に入り込む事で発症します。
初期症状は体の至るところに充血が見られ、症状が進行するのに伴い全身のウロコが逆立ちます。
発生のきっかけは病気の魚を導入してしまった事や古い餌を食べてしまった事、水質の悪化などが挙げられます。
治療には薬浴を行い、使う薬品はエルバージュ、グリーンFゴールド、観パラD、パラザンDなどです。
病魚を治療用水槽に隔離したら、様子を見ながら規定量投薬して治療を開始します。
まとめ
今回は元祖羽ばたく系熱帯魚・ハチェットフィッシュについて皆様にご紹介させていただきました。
ハチェットフィッシュは体色の美しさも素晴らしいですが、その奇抜な見た目や争いを好まない平和な性格がとても魅力的で、ご自宅の水槽にお迎えすれば一気に賑やかになる事間違いなしです。
確かに飛び出しやすいという性質はありますが、対策方法も決して難しいものではありませんし、飼育自体も餌の頻度や種類に少し気を遣うだけで、他のカラシンや熱帯魚達のように簡単に飼育する事ができます。
また、カラシンの仲間らしく懐こい一面もあるので、慣れれば飼い主の指にも寄ってきてくれるその姿はまるで水中の小鳥のようです。