川の淡水魚

【ドンコ・ゴリ・かわおこぜ?】カジカの飼育方法・生息場所・病気・仲間について12,000文字で徹底解説!【小卵・中卵・大卵型】

Contents
  1. クリクリおめめに大きなお口!カジカの飼育方法
  2. 川底の食いしん坊「カジカ」について
  3. カジカの飼育方法について
  4. 番外編・もし「奇跡」が起こっていたら…
  5. カジカがかかりやすい病気について
  6. そっくりさんが多すぎる!カジカの仲間達について!
  7. ピンチ!彼らを追い詰める問題について
  8. 筆者とカジカの小さな思い出
  9. あるとちょっと楽しくなる?便利アイテムについて!
  10. まとめ

クリクリおめめに大きなお口!カジカの飼育方法

画像引用元:日本淡水魚フィールドアクション

皆様は「カジカ」という日本淡水魚についてご存知でしょうか?

ハゼのような見た目に川底の小石や砂を思わせる体色、ピョンピョンとした泳ぎ方が可愛らしい川魚の仲間です。最近ではペットショップで取り扱われる事も増えており、見かける機会も大分多くなってきました。

今回はそんなカジカについて飼育方法や注意点、豆知識についてアレコレ紹介していきたいと思います。
カジカは食性から口が大きく、目もクリクリとしていて意外と可愛らしい顔をしています。かなり飼育欲をそそられる魚なので、是非、今回の記事を参考にして迎え入れてみてください。

それでは早速紹介していきたいと思います。

 

川底の食いしん坊「カジカ」について

画像引用元:日本淡水魚フィールドアクション

カジカはどんな魚?

カジカはハゼにとてもよく似た魚ですが、分類上はスズキ目カジカ科の魚です。
日本の固有種としても知られておりますが、地方によってはハゼ科の魚と引っくるめてゴリ、ドンコと呼ばれていたりします。

ペットショップで購入できる種類は?

ペットショップでよく取り扱われている種類は、琵琶湖の個体群である「ウツセミカジカ」と朝鮮半島等にも生息している「カンキョウカジカ」の2種類が主な種類です。
どちらも安価なので販売されていれば入手がしやすい川魚です。

生息地は?

カジカは分類上大きく3つのグループに分かれており、それぞれ生息地が違います。

  1. 大卵型
  2. 中卵型
  3. 小卵型

の3つに分類されます。

後ほど詳しく解説します!

1つ目である卵が大きい特徴がある「大卵型」は本州のほぼ全域、九州北西部、四国の山地の主に上流域、アマゴやイワナが生息する渓流のように水がキレイなところを中心に生息しています。

2つ目は卵が若干小さい中卵型と小卵型の個体群で、こちらは河川の中流〜下流に生息しています。

さらに詳しく説明すると、中卵型は日本海に流入する河川に生息し、小卵型は太平洋に流入する河川や琵琶湖に生息しています。

何を食べているの?

自然下では小石の多い川底に潜んで、カワゲラ等の水生昆虫や小魚、ヌマエビ等の小型の節足動物、イトミミズ等の底生生物を捕食しています。

カジカの特徴は?

最大15cm程の大きさに成長する肉食性の川魚です。
体色は個体差が大きく、小石が多い川底に溶け込みやすい茶褐色や灰色をベースに黒〜褐色の帯状の模様があります。また、細かい茶褐色やクリーム色のドット模様が体全体に入り、より迷彩効果を高めています。

先ほどご説明にあげた産卵する卵の大きさに差があり、大卵型、中卵型、小卵型に分けられています。

大卵型一生を淡水で過ごし

中卵型は両側回遊性のため卵から孵った仔魚は海に降り、成長すると川に戻って来ます。

最も卵の小さい小卵型も両側回遊をする個体が殆どですが、琵琶湖の個体群は「ウツセミカジカ」と呼ばれ、海の代わりに広大な湖を利用し、浮遊生活の場所にしています。

カジカの種群について、より詳しく

カジカは遺伝的な違いや生活史の違いからそれぞれ異なる集団があります。主な大きな集団には大卵型、中卵型、小卵型があります。

  • 大卵型の特徴
    河川陸封型という海に降らず一生を淡水で生活するという生活史を持ちます。産卵期は2〜6月頃で、「大卵型」と呼ばれように卵の直径が約2.6〜3.7mmと大粒の卵になっています。
  • 中卵型の特徴
    日本海側に流入する河川に生息し、両側回遊型の生活史を持つため、卵から帰った仔魚達は海に降り、ある程度成長すると川を遡上し淡水で生活します。
    産卵期は3〜4月頃と短いです。卵の直径は約2.2〜3.2mm程の大きさで、大卵型よりやや小さめです。
  • 小卵型の特徴
    中卵型と違って太平洋側に流入する河川に生息しています。両側回遊性なので一度海に降り、ある程度成長してから川を遡上して淡水で生活をするものが殆どです。

しかし、琵琶湖周辺に生息する小卵型のカジカは両側回遊性ではなく、琵琶湖を海の変わりに生活史に取り込んだ湖沼陸封型の生活史を持っています。

産卵期は3〜5月頃で、中卵型より少し長めです。卵のサイズは最も小さく、約1.8〜3.1mm程です。

最近の分類研究としてはそれぞれを別種として分ける考え方や、大卵型がカジカ、中小卵型はウツセミカジカという見方にしようという考え方があるそうです。

実はイクメン!産卵場所にもこだわりが…

カジカはオヤニラミ等のようにオスが産卵後の卵を孵化するまで守り育てる魚です。
その繁殖地には流れが緩い平瀬やとろ場を利用しています。産卵場所にもかなりこだわりがあり、沈んでいる石や泥砂質の場所は産卵場所に利用しません。

産卵場所として利用するのは、しっかりと川底に固定された石と川底の隙間を利用します。その中でも出入口が一ヶ所しかない洞窟のようになり、ある程度水通りが良い隙間だけです。

洞窟状だけど水通しが良い場所を産卵場所として使う理由は諸説ありますが、カジカの卵はとてもデリケートで水の通りが悪いとすぐに卵に水カビが生えて孵化する前に死んでしまうから、と言われています。

ちなみに産卵する時は、お腹に卵を抱えたメスをオスが産卵場所に誘い、メスは屋根である石側にお腹を着けてぶら下げるように卵の塊を産卵するそうです。オスが放精し、受精させるとメスはすぐに産卵場所を後にし、オスが卵を保護するようになります。

イクメンや!

「カジカ」の漢字の意外な事実!?

カジカの漢字名は「鰍」と書きますが、所変われば全然違う魚を指すようです。

中国では「鰍」の漢字が示すのは何と「ドジョウ」。カジカを表す時は「杜父魚」と書くそうです。国や文化が違うだけでこんなにも違うのはとても興味深いです。
ちなみにお寿司の大人気ネタ「マグロ」の漢字である「鮪」も中国では「チョウザメ」の事を指すようです。

この姿…海にいる「アイツ」に似てる

ほぼ全国に生息しているカジカは、親しみからかたくさんの別名を持っています。「石伏、石斑魚」と書いて「いしぶし」と読んだり、体のドット模様から「霰魚(あられうお)」、「川鰍」等があります。

特に私がしっくり来るのは「川虎魚(かわおこぜ)」という別名で、石に似た模様や川底でジッとして動かない様子は確かに海にいる擬態の天才、オコゼに近いものを感じます。カジカはオコゼと違って毒棘が無いのでとても安全安心です。

「私は石!」

先ほども述べたように、カジカは川底の石に成り済まして危険を回避したり餌の小魚を油断させて捕食したりするのですが、体色をただ溶け込ませている訳ではありません。何とカジカ、その場所からジッとして動かないのです。

小さい頃は何かに驚くとピョンピョンと跳ねるように泳いで逃げるのですが、大きく成長した歴戦個体とまでなると、その程度の事では殆どその場から動かずひたすら石になりきります。

体に触れられてからようやく暴れまわって逃げるため、自身の擬態能力には相当の自信があるようです。

よく似てるけど、違うのよ…

見た目があまりにも似ているため、ハゼとよく勘違いされるカジカ。ですが、ある部分をよく観察すると、川に生息するハゼ達とは違う魚である事が分かります。

それは腹ビレで、同じ河川に生息しているヌマチチブやヨシノボリ等のハゼの仲間は腹ビレが丸く吸盤のようになっています。しかし、カジカの腹ビレは吸盤のような形はしておらず、しっかり2つのヒレに分かれています。

「他人の空似」なんて言葉がありますが、ハゼとカジカにも同じ事が言えそうです。

 

カジカの特徴や生態についてのお次は、いよいよ飼育方法について紹介していきたいと思います。

 

カジカの飼育方法について

水槽、水質、水温について

カジカは成長すると15cm程の大きさになるため、単独飼育の場合は45cm程の広さがあれば飼育が可能です。複数飼育する場合は60cm以上の広さの水槽を用いるようにすると良いでしょう。

水質は中性を好みますが、弱アルカリ性の水質でも飼育が可能です。

カジカは高水温に弱いため、20〜23℃くらいを保つようにしましょう。

フタについて

カジカは基本的にあまり泳ぎ回るタイプの魚ではありませんが、暴れたり驚いた時の力は強く、場合によっては簡単に飛び出してしまうため必ずフタをするようにしましょう。

フィルターについて

カジカはキレイな水を好むため、60cm水槽以上の広さの場合は濾過力の高い上部式フィルターや外部式フィルターがオススメです。

45cm水槽で単独飼育の場合は外掛け式フィルターや投げ込み式フィルター、パワーフィルターを組み合わせて使うとキレイな水質を維持しやすくなります。

底砂について

川魚や観賞魚飼育用の川砂や砂利であれば問題なく使用できますが、カジカの生息地は小石の多い場所であるため、大磯砂等の砂利系の底砂が個人的にはオススメです。

混泳について

カジカは肉食性の魚なので他種との混泳は避けた方が無難です。5cm程の大きさの時はドジョウやタナゴとも混泳が可能ですが、成長したカジカは口も大きく開くため、これらのタンクメイトを次々と丸飲みにしてしまいます。

複数飼育の場合はオヤニラミ程ではないものの、縄張り争いや小競り合いをする事がありますが、隠れ家を多く作る事によって多少収まります。

餌について

カジカは慣れると人工飼料や乾燥飼料も喜んで食べてくれるようになりますが、慣れていない間は冷凍のアカムシやイトミミズ、ホワイトシュリンプ等を与えます。また、ミナミヌマエビやアカヒレ等もよく食べるのでたまに与えるようにすると、食事に変化を起こす事で餌飽きによる拒食を防ぐ事ができます。

与える量は1日2〜3回、3分程で食べきれる量を与えます。ただ、非常に食いしん坊な種類の魚なので、お腹がパンパンになるまでついつい食べさせてしまう事もあると思います。その場合は1日空けて翌日から給餌を再開するようにしましょう。

もし人工飼料を与える場合は低層を主な生活圏にしているため沈下性のペレットタイプや顆粒タイプの餌や、ナマズ用の餌が浮くタイプの餌より反応が良いです。

スポイトであげるのも良いけど

私がカジカを飼っていた頃、まだ5cm程の小さい個体2匹を45cm水槽で飼育していました。普段はスポイトでアカムシを与えていたのですが、水槽前に出した指を追うようになったのを機に、ピンセットでアカムシを挟んで与えてみました。すると2匹のカジカは、ピンセットを恐れる事なく、挟まれているアカムシをピンセットごと食い付いて食べていました。

たまにイタズラで挟む力を強くしてなかなか取れないようにしてあげると、アカムシの端っこを咥えて一生懸命引っ張って食べていました。その健気に頑張る食いしん坊ぶりは皆様にも是非一度は見て欲しいものです。

水草について

カジカは水草にイタズラをする種類ではありませんが、力が強いためマツモのように柔らかく千切れやすい水草はあまりレイアウトに向きません。

もし植える場合は根をしっかり張ってくれるバリスネリア系の水草やアナカリス等の茎がしっかりしている水草がオススメです。

隠れ家について

カジカは隠れ家があると落ち着くため、レイアウトに石や流木を使って隠れ家を作ってあげましょう。
石を底砂でしっかりと固定して積み上げ、洞窟状の隠れ家を作ってあげると喜んで出入りしてくれるようになります。

水換え、掃除について

水槽内の匹数や汚れ具合にもよりますが、水の汚れを嫌う種類のため1週間〜10日に一度、1/3〜1/2の量の水換えをします。水槽に入れる水が水道水の場合は必ずカルキ抜きをしてから使うようにしましょう。

ガラス面についた汚れやコケはスポンジで擦り落とします。石やシェルター等が汚れている場合は一度水槽から取り出し、タワシや歯ブラシを使って汚れを落とします。

フィルターを掃除する場合は物理濾材であるウールマットは水でもみ洗いします。汚れや傷みが酷い場合は新しい物と交換します。

投げ込み式や外掛け式等の簡易フィルターの場合は生物濾過材と物理濾過材が一体化されている事が多いため、水換えの際に出た飼育水を使ってバクテリアの減少を抑えつつ、目詰まりの原因となる汚れを洗い落とします。これも汚れや傷みが酷い場合は新しい物と交換します。

生物濾過材は頻繁に洗う必要はなく、2週間〜1ヶ月に一度、飼育水で水洗いをします。各種フィルターのパイプ部分は意外と汚れが溜まりやすい部分なので専用のブラシで汚れを掻き出しキレイにします。

番外編・もし「奇跡」が起こっていたら…

カジカ飼育に起こるかも知れない「奇跡」を2種類紹介していきたいと思います。

奇跡その1、迎え入れたカジカが「ハナカジカ」だった場合

ショップではたまにウツセミカジカでもなくカンキョウカジカでもなく、単に「カジカ」で販売している場合もあります。カジカは胸ビレの鰭条の数や僅かな模様の違いで種類判別をしますが、超低確率でハナカジカがいる事があります。

ハナカジカもエゾハナカジカも飼育方法自体は殆ど変わらないのですが、ある一点だけかなり気を使う必要があります。
それは水温で、高水温が苦手なカジカの中でも特にこの2種類は水温にシビアな面があり、飼育する時は水温の上限は20℃を心掛け、15〜18℃を維持するよう注意する必要があります。

夏場は水温が上昇しやすいため、凍らせたペットボトルを水槽に浮かべたり、気化熱を冷やして水温を下げるファンを使用します。より確実に低水温を維持したい場合は少々高価ですが、水槽用のクーラーを使うと確実です。

奇跡その2、産卵しそう

一般家庭では殆ど聞かないカジカの繁殖についてですが、複数匹を大事に飼育していれば可能性はあると思います。理由としては、飼育下での繁殖が不可能なら、各地で放流している稚魚はどこから来たの?って話になってしまうからです。

卵を抱えたメスのカジカのお腹はびっくりする程パンパンで、初見だと餌の食べ過ぎを疑ってしまう程です。このメスのカジカが洞窟状の縄張りの中にいるオスの元へ行くようになれば繁殖ができるかも知れません。カジカは6cm程の大きさでも繁殖が可能であると言われているため、日頃から観察をしていればその兆候に早く気付けると思います。

もし、お腹がパンパンだった個体のお腹がある日を境に急にぺちゃんこになっていたら産卵したと思っても良いです。
産卵したであろうオスの縄張りを見つけたら、卵を守るオス以外を隔離して、洞窟状の縄張りの閉ざされた側をほんの僅かに隙間を空けて近くで湧水の代わりにエアレーションをして水を動かしてあげましょう。

また、卵の健全な成長のためにキレイな水を維持するよう水質に気を付け、オスを驚かさないように観察しながら飼育をしていきましょう。

カジカがかかりやすい病気について

カジカは日本産淡水魚の中でもかなり丈夫で飼いやすい種類ですが、それでも病気にかかってしまいます。ここでは特にかかりやすい病気を治療方法と一緒に紹介していきます。

・白点病

水質の悪化や水温が急変した時等にかかる事があります。カジカの細かいドット模様と勘違いしやすいですが、かかると石や砂利等に体を擦り付ける行動を取るようになるので注意深く観察すればすぐに見つける事ができます。

治療方法は、カジカは弱アルカリ性に耐性があるので白点が少ない場合は塩水浴で治療する事ができます。水10Lに対し、塩を50g溶かして作った塩水で塩水浴を行い数日すると白点が消失している事があります。

白点の数が多く、病気が進行している場合は魚病薬による薬浴を行います。
治療にはメチレンブルーやグリーンF、マラカイトグリーン等の魚病薬を使います。カジカは薬品に弱いため、規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬し、薬浴をします。
薬浴は白点がなくなるまで続け、薬浴の水も5〜7日に一度換え、再び薬浴をするようにします。

・水カビ病

生物濾過が上手く機能せず食べ残しにすぐカビが生えるような環境だと発生しやすい病気です。高水温が苦手な日本産淡水魚の飼育環境では、なかなか生物濾過の要であるバクテリアが増えにくいためかなり起きやすいです。

治療についてですが、ヒレの先や体にちょっと付いている程度であればピンセットで除去してから魚病薬による薬浴を行います。
病気が進行し、水カビがかなり生えている状態の場合はハサミで患部を傷付けないように切り取って除去してから薬浴をします。水カビの除去が不安な場合はそのまま薬浴をしてもかまいません。

薬浴にはグリーンFやアグテン、マラカイトグリーン等の魚病薬を使います。使う際は規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬します。

パッと見だと分かりづらいですが、水カビの菌糸は魚体のかなり深くまで根を張っている事が多く、患部も白濁して脆くなってしまいます。そのため薬浴は白濁した患部がしっかり回復するまで行います。治療が遅れる程回復が難しくなり、死亡率も高くなる病気なので普段から水カビが発生しないように水槽を管理し、病気の早期発見を心掛けるようにしましょう。

・エロモナス症

水質の悪化や古い餌を食べた事で起きる病気です。感染力も高いため、場合によっては水槽を一度リセットし、消毒処置をする必要があります。

症状の出方も様々で、ウロコが逆立ったり、体のいたるところに充血が見られたり、ウロコが剥がれ落ちて体に穴が空いたりといった症状があります。

発見したらすぐに隔離して魚病薬による治療を行います。治療にはパラザンDや観パラD、グリーンFゴールドを使います。投薬の際は様子を見ながら規定量の1/5〜1/2の量を少しずつ投薬します。

これを症状がなくなるまで続けますが、エロモナス症はかなりしぶとい病気であり、治るまでかなり時間がかかります。なので普段から出さないように注意して飼育をする事がとても大事です。

・カラムナリス症

尾腐れ病や口腐れ病等、症状が出た部位によって呼び方が変わる病気です。水質の悪化や水温の急変が原因で発生します。また、勢い余って口先を石や流木にぶつけてしまい、その傷口から感染、発症する事もあります。最初は充血していた患部が爛れたようにボロボロになってしまう恐ろしい病気です。

治療には、まず隔離してから魚病薬による薬浴を行います。魚病薬にはパラザンDや観パラD、グリーンFゴールド等の魚病薬を使います。白点病のように病魚の飼育水を塩水にする事も効果があります。投薬の際は規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬します。これを5〜7日に一度水換えをし、治るまで薬浴を続けます。

・吸虫やウオジラミによる寄生虫症

ウオジラミやイカリムシは体表を注意深く観察すると発見できますが、吸虫はエラの中に寄生するためエラブタの動きや体の動きをよく観察するようにしましょう。
特に吸虫の場合は殖えすぎるとエラブタが閉まらなくなり、呼吸困難に陥ってしまうため注意が必要です。

治療方法ですが、イカリムシ、ウオジラミはピンセットを使って魚体から除去します。この時イカリムシの場合は体内に食い込んでいる頭部が途中で千切れないように慎重に引き抜きます。頭部が体内に残ってしまうと、そこから再び再生してしまうためです。
除去が終わったら寄生虫の卵や幼虫を殺虫するため薬浴をします。吸虫の場合はエラの中にピンセットを入れる訳にはいかないので、そのまま薬浴をします。

魚病薬にはトロピカルNやリフィッシュを使います。規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬するだけでなく、吸虫によって呼吸困難になっている可能性があるため強めのエアレーションを行います。これを寄生虫が死滅するまで行います。死んだ寄生虫は底に落ちているため、薬浴を繰り返して寄生虫の死骸が出てこなくなれば治療は完了です。

カジカの飼育方法やかかりやすい病気と治療方法のお次は様々なカジカの仲間について紹介していきたいと思います。

そっくりさんが多すぎる!カジカの仲間達について!

・ハナカジカ

北海道や青森県、岩手県等の東北地方、新潟県に生息するカジカの仲間です。食いしん坊なので簡単に釣りの仕掛けにかかり、渓流釣りではヤマメやニジマス釣りの外道とされています。
北海道にはよく似た「エゾハナカジカ」も生息していますが、ハナカジカがより上流に生息する事で住み分けをしているようです。
岩手県や山形県では各県で希少種としてレッドデータに登録し、保護している地域もあります。
また、北海道が舞台の「ゴールデンカムイ」というアニメでは主人公達がカジカの鍋物を食べているシーンがありますが、海で獲れたという話がないのでおそらくこの種類だと思われます。

・カンキョウカジカ

日本では、北海道や富山県以北の日本海流入河川や岩手県以北の太平洋側に流入する河川に生息しており、国外では朝鮮半島等にも生息しているグローバルなカジカの仲間です。ペットショップで見かける機会が多い種類でもあります。ちなみに私が飼っていたカジカも同じ種類です。

・ウツセミカジカ

種類名というよりは琵琶湖周辺に生息し、湖沼陸封性のある「個体群」としての呼び名という感じのカジカの仲間。
たまにペットショップで売られている事がありますが、太平洋側の流入河川に生息する小卵型のカジカも同じように区別されずに呼ばれる事があるので真偽の程は不明です。

・アユカケ

カジカの仲間というよりは近縁種です。別名では「カマキリ」と呼ばれています。
降河回遊性という生活史を持っており、その大きさは25cmを越える事もある中型種です。青森県や高知県、島根県等の太平洋、日本海に流入する河川に生息しています。
様々な逸話を持っている魚であり、特に有名なのは「石に化ける」と「アユを自身のトゲで引っかける」という話です。前者の方は実際にテレビクルーが撮影しており、体をピッタリと石にくっ付け、呼吸すらせずに石になりきっている様子が記録されています。後者の話については、確かにエラブタに鋭いトゲをアユカケは持っていますが、実際にそれを使ってアユを捕食する姿は観察された事がないようです。どちらかと言うと石に化け、やって来たアユを急襲するタイプだと思われます。
生息数が少ないため、多くの自治体に絶滅危惧種として保護されており、特に福井県の九頭竜川ではアユカケの生息地として国の天然記念物になっている程です。

・ヤマノカミ

「山ノ神」といういかにも神々しい名前のカジカの仲間です。他のカジカと比べると頭部が扁平でエラブタの下部が鮮やかな朱色に染まるのが特徴です。前述のアユカケと同じ降河回遊性の魚でもあります。
日本では有明海の奥部とそこに流入する河川にしか生息していません。海に生息する「シマヒメヤマノカミ」と混同してしまいそうですが、シマヒメヤマノカミがミノカサゴのようなカサゴの仲間であるのに対してヤマノカミは一種類だけで「ヤマノカミ属」を構成しています。

別名も神々しく、「川の神」や「神勧請」という呼び名もあり、これらは本種の独特の見た目や生息地域での山神信仰から来ているとされています。

ちなみに「ぬし釣り」というゲームでは序盤のストーリーを進めるために釣らなければなりませんが、生息地に小魚が多過ぎて肝心のヤマノカミが釣れず、釣り上げるコツが分からないプレイヤーをイラ立たせるというとんでもない魚として知られています。

カジカの仲間達の紹介の後は、彼らを取り巻く問題について紹介していきたいと思います。

 

ピンチ!彼らを追い詰める問題について

カジカは生息地の分布的には広い範囲に生息しているため数が多い魚だと思われがちですが、それは大きなミステイクです。
実は彼らは自然下でどんどん数を減らしているのです。

その原因は様々ありますが、ダムや堰の建設によって海にも降れず、川にも登れなくなってしまっている事や河川の埋め立てや護岸工事、道路建設によって生息地だけでなく湧水の量も減ってしまい産卵場所まで奪われている事も個体数が大きく減った要因となっています。

そんなカジカ達の数を何とか回復させようと、河川に稚魚の放流をする活動もしているようですが定着率は低く、失敗に終わっている事すらあります。長野県のとある河川で行われた放流試験のデータによると、稚魚を放流してから9ヶ月後の生存率は僅か30%程であったと言われています。

そんなか弱い彼らを守るため、意外と知られていない事が多いですが、遊漁規制や漁業調整規則等により採取禁止期間や生まれた卵の採取の禁止期間を設定しています。
渓流釣りの方にとってはヤマメやニジマス釣りの外道のイメージが強いかも知れませんが、そこはキャッチ&リリースで速やかに川に返してあげて欲しいところです。

カジカ達の保全問題の紹介の後は、筆者のカジカに関する思い出を2つ程紹介したいと思います。

※次の便利アイテムまで飛ばしても良いよ!

 

筆者とカジカの小さな思い出

・何だこれ…?

これは私が幼く、まだカジカという魚を知らなかった頃の思い出です。
私の故郷では禁漁期間が終わるとたまに漁師さんが、秋の味覚として数匹のカジカを我が家に持って来てくれました。

その大きな口と太短い体の見た目から、私はオコゼか何かだと思っていました。それを母が捌いて調理し、味噌汁や焼き物になってテーブルに並びます。味は淡白だけど美味しい魚である事を覚えています。そんな中、幼い私がカジカの名前を知るキッカケになる出来事が起こります。

それは酒や醤油に漬けたカジカの卵を食べた事です。地元ではカジカの卵は希少な食材であり、珍味でもあります。それを初めて食べた時、頭の中は「何だこれ!?」っと衝撃が走りました。
卵の味とかそういう次元の話ではなく、ハタハタの卵を遥かに凌駕するバリンバリンでガリガリとした、とても魚卵とは思えない歯応えを、私は今でも覚えています。

その衝撃に驚いた私は初めて祖父に、あのオコゼのような姿の魚がカジカであり、口にした物がカジカの卵である事を教えてもらったのです。

今では口にする事もありませんが、できる事ならカジカを増やすための手伝いをしたいところです。

まるで犬のような魚

初めてカジカを知ってから数年後、私はペットとしてカンキョウカジカを2匹家に迎え入れました。まだ5cm程の小さな個体でしたが、私が迎え入れた個体は白っぽい体色に黒褐色の模様が入るメリハリのある体色のカジカでした。

最初は隠れ家に籠ってビクビクしていたカジカでしたが、次第に飼育環境に慣れていきパクパクモグモグとたくさん餌を食べるようになりました。そんなある日、水槽前に椅子を持って来て座り、水槽を眺めていると2匹のカジカがピョンピョンと跳ねるように泳いでこちらに近付いて来たのです。
肉食性が強いせいか、視力が思ってるより発達しているらしく、人を認識できているようでした。胸ビレで上体を起こすように立ち上がる姿はまるで飼い犬のように可愛らしく、どこか凛々しさを感じる物でした。

父が水槽を覗くとどこかへ隠れてしまうのですが、私が来るとピョンピョンと泳ぎ寄って来ます。指を水槽前にチラつかせるとクリクリした黒目がちの眼でしっかりと指を見つめ、ピョンピョンとその後を追いかけて来ました。さらにはちょっとした出来心で水面近くで指をチラつかせてみました。するとカジカ2匹とも底層を離れて上層を泳ぎ、器用にホバリングしながら指に触れようと口先だけ水面から出していました。

その時、私はカジカは人によく慣れる魚なのだと確信しました。それからカジカ達は私が高校生になるまで生き続けてくれました。老齢で白内障になっても気配で分かるのか、私が来ると積み重ねた石の上にちょこんと乗っていました。

今思えば、人懐っこいだけでなくかなり寿命が長い川魚でもあると思います。

ちょっとした思い出話の後は、カジカの飼育にあると便利なアイテムを紹介したいと思います。

 

あるとちょっと楽しくなる?便利アイテムについて!

・プレコ用の産卵筒

「カジカなのにプレコ?」と思う方も多いと思いますが、このプレコ用の産卵筒は奥行きがある洞窟状のアイテムになっています。
カジカが隠れ家として最も好む形状でありながら素材も丈夫なため、手軽に隠れ家として設置する事ができます。ちなみにセラミック製のタイプが最近の主流になっています。

・ハゼ用土管

こちらは海水魚のハゼを飼育する時に使われているアイテムです。サイズが小さめなので、5cm程のサイズのカジカに使う事ができます。
見た目は素焼きの試験管型アイテムですが、程よい狭さが彼らのかくれんぼ心をくすぐる一品です。

・爬虫類用シェルター

ここに来てまさかの爬虫類用飼育アイテムですが、意外と魚類の飼育にも使えます。タッパータイプのシェルターではなく、素焼きのタイプや岩でできたようなデザインの洞窟状のシェルターが重量もあるのでオススメです。
また、スカルや歴史を感じられるデザインが多いため、自然の風景ではなく一味変わったレイアウトをしたい方にもオススメです。

・錐(きり)

まさかの工具です。何に使うかというと、前人未到のカジカの繁殖を目指したい方もいると思いますので、前述したシェルターの袋小路部分の通水性を良くする加工を施すためのアイテムです。

ドリルよりはかなり時間がかかりますが、シェルターを割りづらいため重宝するアイテムです。

 

まとめ

最近ショップで見かける機会が増えてきたカジカですが、水質の悪化や高水温に気を付ければ、餌食いも良く丈夫で飼育のしやすい川魚です。

カジカは種群によってそれぞれ違いがあったり、地域によっては保護されている程自然下では数が減って大切にされている魚です。そんな背景がありながら、人に慣れやすい性格であるため、最初は「変わった魚だな」と思って接していても、気付けば飼い主の指を追いかけたり、外出しようとする飼い主の姿をガラス面限界まで寄ってきて見つめていたりする可愛い一面もあります。

もちろん帰って来るとピョンピョンと跳ねるように近付いて来たり、中にはビュンと泳いで慌てて会いに来る個体までいます。その姿はまるで飼い主に忠誠を誓う飼い犬のようです。犬のような鳴き声は無くても、彼らはそのクリクリとした眼で飼い主の事をよく見て、全身を使い仕草をもって飼い主に思いを伝えようとしてくれます。

皆様ももし、カジカの飼育に興味を持ちましたら是非ご自宅に迎え入れて見てはいかがでしょうか?食いしん坊でかくれんぼ好き、でもちょっぴり寂しがり屋な川のワンちゃんとの素敵な日々を是非楽しんでみてください。