
川底をモフモフと底砂をあさりながら、スルリと砂の中に潜っていく――そんな愛らしい行動が魅力のシマドジョウ。私がシマドジョウと初めて出会ったのは、地元の小川で魚取りをしていたときのことです。網を入れると、ズルッと砂ごとすくわれてきた細長い魚体に、思わず「え、なにこれかわいい!」と声が出てしまいました。
シマドジョウ(学名:Cobitis biwae)は日本の川や用水路に広く分布する日本産淡水魚で、ドジョウの仲間ながらどこか違う独特の雰囲気を持っています。体側の不規則な黒褐色の斑点模様、スルスルと砂に潜る仕草、そして温和で平和的な性格。アクアリウム初心者から上級者まで、幅広い層に愛されている魚です。
ただ、シマドジョウを飼うにはちょっとしたコツが必要です。特に「底砂の選び方」はとても重要で、これを間違えると砂潜り行動が見られなくなり、魚にもストレスがかかってしまいます。また、よく似た「スジシマドジョウ」との違いに戸惑う方も多いです。
この記事では、シマドジョウの飼育に必要な知識をすべてまとめました。基本情報から水槽のセットアップ、餌の与え方、混泳相手の選び方、繁殖方法、そしてスジシマドジョウとの見分け方まで、実際に飼育している経験をもとに丁寧に解説します。ぜひ最後まで読んでシマドジョウ飼育を楽しんでください!
この記事でわかること
- シマドジョウの学名・分類・分布・体の特徴などの基本情報
- 飼育に必要な水槽・フィルター・底砂などの機材選び
- 適切な水温・pH・水換え頻度などの水質管理
- シマドジョウに合った餌の種類と与え方のコツ
- 混泳できる魚・できない魚の具体的なリスト
- 繁殖方法(雌雄の見分け方・産卵条件・稚魚の育て方)
- かかりやすい病気の種類と対処法
- スジシマドジョウとシマドジョウの違いと見分け方
- よくある飼育の失敗例とその対策
- 初心者でも安心なFAQ10問以上
シマドジョウの基本情報

分類・学名・分布
シマドジョウは、コイ目ドジョウ科シマドジョウ属に分類される日本固有の淡水魚です。学名は Cobitis biwae(コビティス・ビワエ)で、「biwae(ビワエ)」の名前は琵琶湖産の標本から命名されたことに由来します。
分布は本州・四国・九州の広い範囲に及びますが、北海道には生息していません。主に平野部の砂底の河川、用水路、農業水路、池沼などに生息しており、流れが穏やかで砂や泥が堆積している場所を好みます。かつては田んぼの用水路にも普通に見られましたが、農業の近代化や圃場整備の影響で生息地が減少している地域もあります。
環境省のレッドリストではシマドジョウ本体は現時点で特定の絶滅危惧区分には指定されていませんが、地域個体群の保全が重要視されています。また、近縁のスジシマドジョウ各亜種の多くは絶滅危惧種に指定されているため、混同しないよう注意が必要です。
体の特徴・大きさ
シマドジョウの体長は成魚で7〜12cmほどです。体型は細長い円筒形で、断面はほぼ円形。普通のドジョウ(Misgurnus anguillicaudatus)よりもスリムで、より「ドジョウらしい」シャープな印象があります。
最も特徴的なのは体側の模様です。黒褐色の斑点が体側に沿って不規則に並び、全体的にまだら模様に見えます。これがシマドジョウの名前の由来にもなっています(「シマ」は縞模様や模様のこと)。この斑点は個体によって多少差がありますが、スジシマドジョウの明確な縦縞とは明らかに異なります。
口は下向きで、周囲に3対6本のひげがあります(上顎に2対4本、下顎に1対2本)。このひげで底砂中の有機物を探り当てます。目は小さく、頭の側面やや上部についています。
体色は背面が黄褐色〜灰褐色で、腹部は白っぽく、体側の黒褐色の斑点模様が全体的に散らばっています。背びれ・尾びれにも小さな斑点が見られることがあります。
性格・行動パターン
シマドジョウは非常に温和な性格で、他の魚に攻撃したり縄張り争いをすることはほとんどありません。複数匹を同じ水槽で飼育しても問題なく、同じ種同士でも仲良く過ごします。
最も特徴的な行動が「砂潜り」です。驚いたとき、光の強い日中、睡眠中など、砂の中にスルリと潜り込む行動を見せます。この砂潜りには身を守る本能的な意味があり、細かい砂さえあれば水槽でも頻繁に観察できます。砂の中から頭だけ出している姿もとても可愛らしいです。
底部での生活が主体で、水槽の底をモフモフと動きながら餌を探します。夜行性の傾向がありますが、飼育に慣れると昼間も活発に行動するようになります。泳ぎ方は独特で、体をくねらせながらするすると移動します。水草の根元や流木の下などに隠れることも好みます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 学名 | Cobitis biwae |
| 分類 | コイ目 ドジョウ科 シマドジョウ属 |
| 分布 | 本州・四国・九州(北海道除く) |
| 体長 | 7〜12cm |
| 寿命 | 3〜5年(飼育下) |
| 適水温 | 15〜22℃(飼育可能範囲:10〜25℃) |
| 適正pH | 6.5〜7.5 |
| 硬度 | 軟水〜中硬水(GH 3〜10) |
| 性格 | 温和・非攻撃的 |
| 飼育難易度 | 初級〜中級 |
| 底砂 | 細かい砂(田砂・川砂)が必須 |
| 飼育水槽 | 45cm以上推奨 |
シマドジョウの飼育に必要なもの

水槽サイズの選び方
シマドジョウの飼育には、最低でも45cm水槽(45×24×30cm・約30L)が必要です。底面積が広いほど良く、60cm水槽(60×30×36cm・約65L)があれば複数匹を余裕を持って飼育できます。
シマドジョウは底面を主な生活圏とするため、水深よりも底面積が重要です。たとえ水深が浅めでも、底面積が広い水槽のほうが快適に過ごせます。横長の水槽が最適です。
1匹あたりの目安として、45cm水槽で2〜3匹、60cm水槽で4〜6匹が適切な飼育数です。過密飼育は水質悪化につながり、病気のリスクも高まるため避けましょう。
フィルターの選び方
シマドジョウは水質に比較的敏感なため、しっかりとしたろ過が必要です。以下のフィルタータイプが適しています。
投げ込み式フィルター(おすすめ):水作エイトコアなどの投げ込み式は、メンテナンスが簡単でろ過能力も十分です。底面に近い部分の水をろ過するため、底生のシマドジョウにとって効果的です。45〜60cm水槽なら「M」サイズで十分対応できます。
外部フィルター(長期飼育向け):生物ろ過能力が高く、水を汚しやすい環境や複数匹の長期飼育に向いています。流量が強すぎると水流が激しくなるため、シャワーパイプで分散させると良いでしょう。
外掛け式フィルター:手軽に使えますが、ろ過能力が若干低いです。小型水槽(45cm以下)でシマドジョウ単体を少数飼育する際は使用できます。
⚠️ 注意:底面フィルターについて
底面フィルターを使用すると、シマドジョウが砂に潜る際に砂がフィルターのスリットに入り込んでしまうことがあります。また、砂を掘り起こす行動でフィルターが埋まってしまうこともあるため、シマドジョウには不向きです。投げ込み式または外掛け式・外部フィルターを推奨します。
水作のSSPP-3Sはエアーポンプとして定番中の定番。静音性が高く、夜間も騒音が気にならないので寝室近くに水槽を置く方にも安心です。
底砂の選び方(最重要!)

シマドジョウ飼育で最も重要なのが底砂の選択です。シマドジョウは砂に潜る習性があるため、潜りやすい細かい砂が必須です。粒が大きすぎる砂利や大磯砂では砂潜りができず、ストレスを与えてしまいます。
底砂の選び方のポイントは以下のとおりです:
粒径:0.5〜1.5mmが理想
非常に細かい砂が潜りやすくて最適です。「田砂」や「川砂」のような細目の砂を選びましょう。
素材:角が丸いものを選ぶ
角張った砂粒は魚のひれや体を傷つける可能性があります。水中で自然に角が取れた河川砂や、専用の田砂がベストです。
厚さ:3〜5cmが目安
シマドジョウが完全に砂の中に潜れる深さが必要です。最低でも3cm、できれば5cm程度の厚さで敷きましょう。
使ってはいけない底砂
大磯砂(粒が大きく角張っている)、ソイル(崩れやすく舞い上がる)、カラーサンド(pH影響あり)、砂利全般(粒が粗い)。これらはシマドジョウには不向きです。
私が愛用しているのは「田砂」です。粒が非常に細かく、シマドジョウがスルスルと潜る姿を毎日見られます。水洗いが少し大変ですが、その価値は十分あります。
水草・レイアウト
シマドジョウは砂を掘り起こす行動をするため、根を張って砂に植える有茎草は抜けてしまいやすいです。レイアウトには以下の工夫をお勧めします。
活着系水草がベスト:アヌビアス・ナナ、ミクロソリウム、ウィローモスなどは流木や石に活着させて使えます。根が砂に埋まらないため、シマドジョウが掘り起こしても問題ありません。
石・流木の配置:シマドジョウが隠れられる場所を確保しましょう。平たい石や流木の下は格好の隠れ家になります。ただし、石を積む場合は崩れないようにしっかり固定することが重要です。
浮草の利用:アマゾンフロッグピットなどの浮草は砂に植える必要がなく、適度な日陰も作れるため相性が良いです。
照明・ヒーター・その他機材
シマドジョウは日本産淡水魚のため、基本的にヒーターなしでも飼育できます。ただし、室内の冬場に水温が10℃以下になる環境では、サーモ付きのヒーターで15℃前後に保温することをお勧めします。水温が低下しすぎると食欲が落ち、免疫力も低下します。
照明は魚の観察のためにあると便利ですが、強光には注意が必要です。シマドジョウは強い光を嫌う傾向があるため、照明時間は1日8〜10時間程度に設定し、直射日光は避けましょう。
水槽に蓋は必ず用意してください。シマドジョウは驚いたときに飛び跳ねることがあり、飛び出し事故で命を落とすケースがあります。
| 機材 | 推奨品・仕様 | 必要度 |
|---|---|---|
| 水槽 | 45〜60cm横長水槽 | 必須 |
| フィルター | 投げ込み式(水作エイトコア M)または外部式 | 必須 |
| エアーポンプ | 水作 水心 SSPP-3S など | 必須 |
| 底砂 | 田砂または川砂(細目・3〜5cm厚) | 必須 |
| 水温計 | デジタルまたはアナログ | 必須 |
| 蓋 | 隙間のないもの(飛び出し防止) | 必須 |
| 照明 | LED照明(弱〜中程度) | 推奨 |
| ヒーター | サーモ付き(冬季の保温用) | 推奨 |
| 流木・石 | 隠れ家として配置 | 推奨 |
| 水草 | 活着系(アヌビアス・ミクロソリウム) | 推奨 |
水質・水温の管理

適正水温
シマドジョウの適正水温は15〜22℃です。日本の平野部河川に生息する魚のため、四季のある日本の自然水温に近い環境を好みます。飼育可能な水温の範囲は10〜25℃ですが、この範囲の両端は魚へのストレスが大きくなるため、できるだけ適正範囲内で維持しましょう。
夏場の注意:夏に水温が25℃以上になると食欲が低下し、病気にかかりやすくなります。室内で直射日光が当たる場所は避け、冷却ファンや水槽用クーラーで対策してください。特に西日が当たる場所に水槽を置いているご家庭では要注意です。
冬場の注意:屋内飼育であれば、多くの場合ヒーターなしでも越冬できます。ただし、室温が10℃以下になる環境では保温が必要です。水温が下がると代謝が落ちて活動量が低下しますが、これは冬眠に近い自然な状態です。急激な温度変化は避けましょう。
pH・硬度
シマドジョウに適したpHは6.5〜7.5の弱酸性〜中性です。日本の川の水は多くの場合この範囲に収まっており、特別なpH調整は通常必要ありません。カルキ抜きをした水道水でほぼ問題なく飼育できます。
硬度についても、一般的な水道水の硬度(GH3〜10程度)であれば問題ありません。超軟水や超硬水での飼育は好ましくないため、ミネラルウォーターを使用する場合は成分を確認してください。
phが下がりすぎる(5.5以下)と魚の体表が荒れ、病気のリスクが高まります。定期的な水換えでpHを安定させましょう。
水換え頻度
水換えの基本は1週間に1回、全水量の1/3程度が目安です。底砂を敷いている場合は、水換え時にプロホースなどで底砂のごみを吸い出すことも重要です。シマドジョウは底砂をかき回すため、残餌や糞が砂に埋まりやすく、放置すると水質悪化の原因になります。
水換えの際は水温差にも注意が必要です。夏場は特に、水道水が冷たくなりすぎないよう、水換え前に少し水温を合わせてから追加するようにしましょう。急激な水温変化(5℃以上の差)はショックを引き起こします。
カルキ抜きは必ず行ってください。市販のカルキ抜き剤(ハイポまたは液体タイプ)を使用するか、水道水を1日汲み置きして使用します。
| パラメータ | 適正値 | 注意レベル |
|---|---|---|
| 水温 | 15〜22℃ | 10℃以下・25℃以上は要注意 |
| pH | 6.5〜7.5 | 6.0以下・8.0以上は危険 |
| GH(総硬度) | 3〜10 | 1以下・15以上は避ける |
| アンモニア(NH3) | 0mg/L | 0.5mg/L以上は即対処 |
| 亜硝酸(NO2) | 0mg/L | 0.1mg/L以上は危険 |
| 硝酸塩(NO3) | 50mg/L以下 | 100mg/L以上は水換え |
| 水換え頻度 | 週1回・1/3換水 | 2週以上放置は危険 |
水槽の立ち上げ方
シマドジョウを導入する前に、水槽を適切に立ち上げることが重要です。「水槽の立ち上げ」とは、バクテリア(ろ過細菌)を繁殖させてアンモニアを無毒化できる環境を作ることです。
立ち上げの手順はこうです。まず水槽に底砂を敷き、水を張り、フィルターを稼働させます。この状態で1〜2週間置くと、ろ材にバクテリアが定着してきます。市販のバクテリア添加剤(PSB、スーパーバイコム等)を使うと立ち上げを早めることができます。パイロットフィッシュ(強健な魚)を使って立ち上げる方法もありますが、シマドジョウ自体をパイロットフィッシュにするのはお勧めしません。
餌の与え方

自然界での食性
自然界では底砂の中のデトリタス(有機物の粒子)、付着藻類、ミジンコなどの微小な水生生物、水生昆虫の幼虫などを食べています。口が下向きで砂をモフモフとあさりながら食べる姿は、底生生活に完全に適応した食性の現れです。
おすすめの餌
沈下性の人工飼料(最重要):シマドジョウは浮上性の餌には向かないため、必ず沈下性の餌を選んでください。「ひかりクレスト キャット」はナマズ類向けの沈下性飼料で、シマドジョウにも非常によく食べてもらえます。粒が小さく底砂の間に沈みやすいため、シマドジョウが自然な動作で拾い食いできます。
冷凍赤虫:嗜好性が非常に高く、シマドジョウが一番好む餌の一つです。キョーリンの冷凍赤虫はコスパも良く、毎日の主食に混ぜるのもおすすめです。ただし、与えすぎると水が汚れやすいので注意が必要です。
乾燥赤虫・イトミミズ:嗜好性は高いですが、浮き上がりやすいものは沈んでから食べます。冷凍タイプのほうが管理しやすいです。
野菜・植物系:野菜のくずや枯れ葉なども食べることがありますが、主食には向きません。補助的に与える程度で良いでしょう。
餌の量と頻度
餌の与え方は「1日1〜2回、2〜3分で食べ切れる量」が基本です。食べ残しは水質悪化の原因になるため、残った餌は取り除くようにしましょう。
沈下性の人工飼料を与える場合、底砂の上に直接落とすと砂の間に埋まりすぎることがあります。目の前に落とすか、流木や石の上に置いてあげると食べやすいです。
水温が下がると代謝が落ちるため、20℃以下では給餌量を減らし、15℃以下では2〜3日に1回程度に減らしてください。10℃以下では食欲がほぼなくなるため、無理に与える必要はありません。
餌付けのコツ
採集した個体やショップから購入したばかりの個体は、最初は人工飼料を食べないことがあります。その場合は冷凍赤虫から始めて、徐々に人工飼料を混ぜていくと慣れやすいです。また、1週間ほど絶食させてから人工飼料を与えると食いつきが良くなるという方法も有効です。
水槽の前面に近づくと隠れてしまう場合も、毎日同じ時間に餌を与えることで次第に慣れ、人の気配を感じると集まってくるようになります。
混泳について

混泳OKな魚種
シマドジョウは温和で攻撃性がほとんどないため、多くの日本産淡水魚・熱帯魚と混泳が可能です。ポイントは「底を生活圏にしない魚」または「シマドジョウより体が大きすぎない穏やかな魚」を選ぶことです。
相性の良い日本産淡水魚:オイカワ、カワムツ、タモロコ、モツゴ(クチボソ)、メダカ、タナゴ類(ヤリタナゴ、カゼトゲタナゴなど)。これらの魚は中層〜表層を泳ぐため、底生のシマドジョウと生活層が被らず、お互いにストレスなく共存できます。
熱帯魚との混泳:水温管理が必要になりますが、コリドラス(同じ底生魚ですが競合は少ない)、小型テトラ類、グッピー、プラティなどとの混泳も可能です。ただし、シマドジョウは低水温を好むため、熱帯魚の適温(25〜28℃)は若干高めになることを考慮してください。
エビ・貝との混泳:ミナミヌマエビ、ヤマトヌマエビ、石巻貝、カワニナなどとの混泳も可能です。エビが食べられる心配は少ないですが、稚エビは食べられることがあります。
混泳NGな魚種
肉食性・攻撃的な魚:ブラックバス、ナマズ類(大型種)、雷魚(カムルチー)などの大型肉食魚とは絶対に混泳させてはいけません。シマドジョウが捕食される危険があります。
大型の底生魚:ドンコ、ヨシノボリ(大型種)などは底生で縄張り意識が強く、シマドジョウを攻撃・追い回すことがあります。特にドンコはドジョウ類を積極的に食べるため要注意です。
金魚:金魚は大食で水を非常に汚しやすく、水質管理が難しくなります。また、金魚の口に入るサイズのシマドジョウは食べられることもあります。
フグ類(トラフグなど):淡水フグはひれを噛む習性があり、シマドジョウのひれが傷つく可能性があります。
| 魚種 | 相性 | コメント |
|---|---|---|
| オイカワ・カワムツ | ◎ 最良 | 生活層が被らず理想的 |
| タナゴ類 | ◎ 最良 | 同じ川の魚で相性抜群 |
| メダカ | ○ 良好 | 体サイズの差に注意 |
| ミナミヌマエビ | ○ 良好 | 稚エビは食べられることあり |
| コリドラス(小型) | △ 可能 | 底を争わないか観察が必要 |
| ヨシノボリ(小型) | △ 可能 | 個体差あり、要観察 |
| ドンコ | × NG | ドジョウを捕食する |
| 大型金魚 | × NG | 水質汚染・捕食リスク |
| 肉食大型魚 | × NG | 捕食される危険 |
| 淡水フグ | × NG | ひれを齧られる |
混泳のコツ
混泳を成功させるためのコツは以下のとおりです。
隠れ家を十分に用意する:石や流木などでシマドジョウが隠れられる場所を確保しましょう。隠れ場所があることで、他の魚からのプレッシャーを感じた時に逃げられます。
水槽サイズを十分に確保する:狭い水槽に多くの魚を詰め込むと、縄張り争いや餌の取り合いが起きやすくなります。混泳する場合は60cm以上の水槽を推奨します。
餌の管理を徹底する:シマドジョウは底の餌を食べますが、活発な中層魚が餌を先に食べてしまうことがあります。消灯後(夜間)に沈下性の餌を与えると、シマドジョウに確実に届けられます。
繁殖方法

雌雄の見分け方
シマドジョウの雌雄は外見で見分けることができますが、慣れが必要です。
体型の違い:メスはオスに比べて腹部が丸みを帯びており、特に産卵期には腹部が膨らんで目立ちます。オスはスリムでシャープな体型です。
胸びれの違い(最も確実な判別法):オスの胸びれの2番目の軟条(骨)の付け根に「板状器官(ラメラ・コーパス)」と呼ばれる独特の構造があります。これはオスにしかない特徴で、ルーペがあれば確認できます。
体の大きさ:一般的にメスのほうがオスより大きくなる傾向があります。同じ環境で育てた場合、大きい個体はメスの可能性が高いです。
体色:オスの方が体色が鮮やかで、特に繁殖期には模様が際立つことがあります。
繁殖条件
シマドジョウの繁殖期は自然界では春(4〜6月)で、水温が上昇するにつれて繁殖行動が活発になります。水槽での繁殖には以下の条件を整えることが重要です。
水温の調整:春の産卵期に合わせて、冬季は水温を10〜15℃程度まで下げ(冬眠モード)、春になるにつれて18〜22℃まで徐々に上昇させることで産卵を誘発できます。
餌の充実:繁殖前の2〜3ヶ月は冷凍赤虫などの栄養価の高い餌を多めに与え、親魚の体力・栄養状態を整えます。
底砂の準備:細かい砂を十分に用意することが重要です。産卵床として使われる場合があります。
水換えの工夫:春先に少し冷たい水で換水すると、季節の変わり目を感じさせ繁殖行動を促すことがあります。
産卵〜孵化の流れ
産卵が始まると、オスがメスを追いかける求愛行動が見られます。メスは水草の葉や砂の上に粘着性のある卵を産み付けます。1回の産卵で数十〜数百粒の卵を産みます。
卵の孵化には水温によって異なりますが、20℃前後で4〜7日程度で稚魚が孵化します。孵化した稚魚は非常に小さく(3〜4mm)、最初の数日は卵黄を吸収して過ごします。
親魚からの隔離:産卵後は親魚が卵や稚魚を食べることがあるため、卵が産み付けられたら水草ごとサテライトや別の小水槽に移すことをお勧めします。
稚魚の育て方
孵化後の稚魚は非常に小さく、通常の人工飼料は食べられません。最初の1〜2週間は「インフゾリア」(プランクトン)または「ゾウリムシ」を与えます。市販のフライフード(稚魚用微細飼料)も使えます。
体長が5mm程度になったら、ブラインシュリンプのノープリウス幼生を与えられるようになります。1cmを超えたら、細かく砕いた人工飼料も食べ始めます。
稚魚期は水質変化に非常に敏感なため、小まめな水換え(1日1回・少量)が必要です。底砂は稚魚が潜り込んで取り出せなくなる可能性があるため、稚魚水槽には底砂を入れないか、砂を薄く敷く程度にしておきましょう。
生後2〜3ヶ月で体長2〜3cmになり、この頃から大人と同じ環境に移すことができます。
かかりやすい病気と対処法
白点病(Ichthyophthirius症)
最もよく見られる病気の一つです。体表に白い点々(直径0.5〜1mm程度)が現れます。原因は「イクチオフチリウス」という繊毛虫の寄生です。水温変化や免疫力低下時に発症しやすいです。
対処法:水温を25〜27℃に上げることで、繊毛虫の生活環が早まり治療が早くなります。市販の白点病治療薬(メチレンブルー、アグテン等)を規定量使用してください。薬浴中は遮光し、水換えは毎日1/3程度行います。隔離水槽での治療が理想的です。
尾ぐされ病(カラムナリス症)
ひれの末端が白く濁り、次第に溶けていくように見える病気です。原因菌はフレキシバクター・カラムナリス菌で、水質悪化・傷・ストレスが原因となります。進行すると体表にも広がります。
対処法:感染した個体を隔離し、市販の細菌性疾患用治療薬(エルバージュエース、グリーンFゴールド等)で薬浴します。水換えを行い、水質を改善することも重要です。
水カビ病
体表や傷口に白い綿状のものが付着します。真菌(水カビ)が原因で、傷口から感染することがほとんどです。底砂が粗くてひれを傷つけた場合や、喧嘩で傷ついた場合に発症しやすいです。
対処法:水カビが生えている部分をピンセットで優しく除去した後、メチレンブルーまたは市販の水カビ病治療薬で薬浴します。底砂を細かい砂に変えることで予防もできます。
松かさ病(立鱗病)
鱗が逆立ち、全体的に体が膨らんで見える病気です。エロモナス菌による感染が多く、重症化すると治療が困難になります。水質悪化が引き金になることが多いです。
対処法:初期であれば塩水浴(濃度0.5%)または抗菌薬(観パラD等)の薬浴が有効なことがあります。ただし、治療は非常に難しく、予防(水質維持)が最も重要です。
| 病名 | 症状 | 原因 | 治療薬 |
|---|---|---|---|
| 白点病 | 体表に白い点 | 繊毛虫(イクチオフチリウス) | アグテン・メチレンブルー |
| 尾ぐされ病 | ひれが溶ける | カラムナリス菌 | エルバージュエース・グリーンFゴールド |
| 水カビ病 | 白い綿状物 | 水カビ(真菌) | メチレンブルー・水カビ治療薬 |
| 松かさ病 | 鱗が逆立つ | エロモナス菌 | 観パラD(治療困難) |
| 腹水病 | 腹部膨満 | 細菌・内臓疾患 | 治療困難・予防が最重要 |
シマドジョウとスジシマドジョウの違い

外見の違い
シマドジョウとスジシマドジョウは同じシマドジョウ属に属する近縁種で、外見がよく似ています。最大の違いは体側の模様パターンです。
シマドジョウの体側模様:黒褐色の斑点が体側に不規則に散らばっています。「点々模様」「まだら模様」と表現するのが適切で、縦縞としては認識しにくいことが多いです。斑点の形や大きさも個体によって多少異なります。
スジシマドジョウの体側模様:体側に沿って明確な縦縞(筋状の模様)が入っています。「スジ(筋)」の名前の通り、比較的はっきりとした縦縞模様が特徴で、縞と縞の間のコントラストも明確です。
ただし、若い個体や生息環境によっては模様がやや不明確になることもあり、判別が難しいケースもあります。採集地の情報と合わせて判断するのが確実です。
分布域の違い
シマドジョウは本州・四国・九州に広く分布し、比較的平野部の緩やかな川に多く見られます。
スジシマドジョウは複数の亜種に分かれており、地域によって分布する亜種が異なります。スジシマドジョウ類の多くが絶滅危惧種に指定されており、分布域が限定的な亜種も多いです。
同じ地域に両種が共存しているケースもありますが、微妙に生息環境を分けていることが多いです(シマドジョウはやや緩やかな流れ、スジシマドジョウは砂礫底の瀬など)。
飼育上の違い
飼育の基本は両種ともほぼ同じです。底砂は細かい砂が必要で、水温・水質の管理も似通っています。ただし、スジシマドジョウは多くの亜種が絶滅危惧種に指定されているため、採集には注意が必要です(地域によっては採集禁止または採集数制限あり)。
販売されているものはシマドジョウのほうが比較的流通が多く、入手しやすい状況です。購入時に「シマドジョウ」として販売されていても、実際にはスジシマドジョウが混在していることもあるため、模様をよく確認してから購入するといいでしょう。
| 項目 | シマドジョウ | スジシマドジョウ |
|---|---|---|
| 学名 | Cobitis biwae | Cobitis striata(各亜種) |
| 体側の模様 | 不規則な斑点(まだら) | 明確な縦縞(筋状) |
| 分布 | 本州・四国・九州(広域) | 地域限定(亜種による) |
| 保護状況 | 現時点では特定指定なし | 多くの亜種が絶滅危惧種 |
| 入手難易度 | 比較的入手しやすい | 亜種によっては入手困難 |
| 最大体長 | 12cm程度 | 亜種によって異なる(8〜15cm) |
| 飼育難易度 | 初級〜中級 | 初級〜中級(同等) |
飼育のよくある失敗と対策
初心者がやりがちなミス
失敗1: 底砂に大磯砂や砂利を使う
シマドジョウ飼育で最も多い失敗です。大磯砂や砂利は粒が大きく角張っているため、砂潜り行動ができません。砂に潜れないシマドジョウはストレスを感じ、食欲低下や病気につながります。必ず細かい田砂または川砂を使用してください。
失敗2: 水槽に蓋をしない
シマドジョウは驚いたときや夜間に飛び跳ねることがあり、蓋なしの水槽では飛び出し事故が起きます。飛び出しは発見が遅れると命に関わります。必ず全面を覆う蓋を設置してください。
失敗3: 水槽の立ち上げ不十分
バクテリアが定着していない新しい水槽(立ち上げ直後)にシマドジョウを入れると、アンモニア中毒で死亡することがあります。水槽は1〜2週間稼働させてからシマドジョウを導入してください。
失敗4: 夏場の水温管理の失敗
室内でも夏場は水温が30℃を超えることがあります。シマドジョウにとって30℃は危険な水温です。冷却ファンや水槽用クーラーを用意し、水温計を毎日確認する習慣を持ちましょう。
失敗5: 相性の悪い魚との混泳
ドンコやヨシノボリ(大型種)、金魚などとの混泳で、シマドジョウが攻撃されたり食べられたりする事故が起きることがあります。混泳前に相性を確認し、攻撃が見られたらすぐに隔離してください。
長期飼育のコツ
定期的な底砂掃除:シマドジョウが砂を掘り起こすため、底砂に汚れが蓄積しやすいです。1〜2週間に1回、プロホースで底砂を軽く吸い出す掃除を習慣にしましょう。
水温の安定:季節の変わり目の急激な水温変化は免疫力を低下させます。外出が多い春・秋はヒーターで下限水温を設定しておくと安心です。
過密を避ける:「少ない魚数・大きな水槽」が長期飼育の基本です。水質が安定し、病気のリスクも減ります。
採集個体のトリートメント:自然採集したシマドジョウには寄生虫がいることがあります。導入前に2週間程度、別の水槽でトリートメント(塩水浴0.3〜0.5%)を行うと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q, シマドジョウはどこで入手できますか?
A, ネットショップやアクアショップで購入できますが、流通量はそれほど多くありません。「日本産淡水魚」を扱う専門店や、チャームなどのオンラインショップで探してみてください。また、地域によっては川や用水路での採集も可能です(採集は地域のルールに従ってください)。
Q, シマドジョウは砂に潜ったまま出てこないけど大丈夫?
A, シマドジョウは日中砂に潜って休んでいることが多いため、長時間出てこないのは正常な行動です。夕方〜夜間に活発になることが多いので、消灯後に観察してみてください。ただし、数日間まったく姿が見えない場合は水質チェックをしてください。
Q, 砂に潜った後でてこないのですが、生きているか心配です
A, 砂に潜った状態でも時々頭を出してぴょこぴょこ動かしているはずです。餌を与えてみて反応があれば問題ありません。完全に砂の下に埋まっていて全く動かない場合は、砂を軽くかき混ぜてみると出てきます。
Q, シマドジョウを複数匹飼えますか?
A, はい、複数匹での飼育は問題ありません。同種間の争いはほとんどなく、むしろ複数匹いると活発に動き回るようになります。45cm水槽で2〜3匹、60cm水槽で4〜6匹を目安にしてください。
Q, 水温が上がりすぎた時はどうすればいいですか?
A, まず氷をジップロックなどに入れて水槽に浮かべる応急処置が有効ですが、急激な温度変化も危険なので少しずつ冷やしてください。長期的には水槽用冷却ファン(エアコンが効く部屋では特に効果的)または水槽用クーラーの設置をお勧めします。
Q, シマドジョウは人工飼料を食べますか?
A, 慣れれば沈下性の人工飼料をよく食べます。最初は冷凍赤虫を使って食欲を引き出し、徐々に人工飼料に切り替えていく方法が効果的です。「ひかりクレスト キャット」は特に好む個体が多いです。
Q, シマドジョウとドジョウ(マドジョウ)は一緒に飼えますか?
A, 混泳は可能ですが、マドジョウ(普通のドジョウ)はシマドジョウより大きく活発なため、餌を先に食べてしまうことがあります。餌のやり方(消灯後に与えるなど)を工夫し、シマドジョウに餌が届くよう配慮してください。
Q, 体表に白い点が見えますが白点病ですか?
A, 1mm未満の白い点々が体全体に広がっている場合は白点病の可能性が高いです。市販の白点病治療薬で早めに対処しましょう。なお、シマドジョウ自体の体の斑点模様(黒褐色)は病気ではありませんので区別してください。
Q, シマドジョウはヒーターなしで越冬できますか?
A, 室内飼育であれば多くの場合ヒーターなしでも越冬できます。ただし、部屋が5℃以下になるような環境では保温が必要です。10℃以下になると食欲がほぼなくなり冬眠状態になりますが、それ自体は問題ありません。急激な温度変化だけ避けてください。
Q, 採集したシマドジョウが餌を食べません。どうすれば?
A, 採集直後は環境の変化でストレスを受けているため、2〜3日は餌を与えずそっとしておきましょう。その後、好物の冷凍赤虫を少量与えてみてください。環境に慣れてくると自然に食欲が戻ります。
Q, シマドジョウが底砂を吸い込んでは吐き出す行動をしています。これは正常?
A, はい、シマドジョウの正常な食事行動です。砂の中のデトリタス(有機物)を探して砂を口に入れ、必要なものだけ食べて砂を吐き出しています。この「モフモフ行動」がシマドジョウの最大の魅力の一つです!
Q, シマドジョウは何年くらい生きますか?
A, 適切な管理のもとであれば飼育下で3〜5年は生きます。水質管理・適切な餌やり・病気の早期発見が長寿の秘訣です。
まとめ
シマドジョウの飼育について、基本情報から繁殖まで詳しく解説してきました。最後に要点を整理します。
シマドジョウ飼育の5大ポイント
1. 底砂は田砂または川砂を必ず使う(砂潜り行動のために必須。大磯砂・砂利はNG)
2. 蓋を必ずつける(飛び出し事故防止。全面を覆う蓋が理想)
3. 水温は15〜22℃に維持する(夏の高温・冬の急激な低温に注意)
4. 沈下性の餌を与える(ひかりクレスト キャット・冷凍赤虫が特に◎)
5. 週1回の水換えと底砂掃除を習慣にする(底砂にごみが溜まりやすいため)
シマドジョウは日本の川に暮らす、とても魅力的な魚です。砂に潜る独特の行動、モフモフと底を這いながら餌を探す仕草、そして穏やかな性格。一度飼い始めると、その愛らしさにすっかりはまってしまいます。
特に「砂潜り」の瞬間は何度見ても飽きません。スルッと砂の中に消えていくその動きは、まるで手品のようで、見ている人を笑顔にしてくれます。細かい砂を敷いた水槽に入れてあげることで、この本能的な行動を存分に楽しめます。
日本の淡水魚は近年、その魅力が見直されています。熱帯魚ほど派手ではありませんが、四季のある日本の環境に自然に馴染み、管理のしやすさも魅力の一つです。シマドジョウを飼育することで、日本の川の生態系や環境についても自然と関心が深まっていくかもしれません。
ぜひシマドジョウと一緒に、日本の淡水魚アクアリウムを楽しんでください!
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