水槽を立ち上げようとしているとき、フィルター選びで迷ったことはありませんか?「外部式?外掛け式?底面式?何が違うの?」と混乱してしまうのは、アクアリウム初心者なら誰もが通る道です。
私も最初にタナゴ水槽を始めたとき、ショップでフィルターのコーナーに立ち尽くした記憶があります。種類が多すぎて、何を選べばいいのかさっぱりわからなかったんですよね。
でも大丈夫です。フィルターの仕組みを理解すれば、自分の水槽にぴったりのフィルターが自然と見えてきます。この記事では、主要なフィルター6種類の特徴・メリット・デメリットを徹底的に解説し、水槽サイズや魚種別におすすめのフィルターもご紹介します。
- 水槽フィルターが果たす3つのろ過の役割(物理・生物・化学ろ過)
- 外部式・外掛け式・底面式・スポンジ式・上部式・投げ込み式の仕組みと特徴
- 各フィルタータイプのメリット・デメリット比較
- 水槽サイズ別(30cm・45cm・60cm・90cm以上)のおすすめフィルター
- 日本淡水魚(タナゴ・オイカワ・メダカなど)に向いているフィルター
- 稚魚・エビ水槽に安全なフィルターの選び方
- フィルターのメンテナンス頻度と洗い方のコツ
- フィルター選びでよくある失敗と回避方法
- 複数フィルターを組み合わせる上級テクニック
- よくある質問(FAQ)10問以上に徹底回答
フィルターの基本:3種類のろ過を理解しよう
フィルターを選ぶ前に、まずろ過の仕組みを理解しておくことが大切です。フィルターが行うろ過には大きく分けて「物理ろ過」「生物ろ過」「化学ろ過」の3種類があります。
物理ろ過(ぶつりろか)とは
物理ろ過とは、水中に漂う目に見えるゴミ(食べ残し・フン・枯れ葉など)をフィルターの素材(ウール・スポンジなど)で物理的に取り除くろ過のことです。
物理ろ過がしっかりできていないと、水が濁ったり、ゴミが底に溜まって水質が悪化したりします。
生物ろ過(せいぶつろか)とは
生物ろ過は、フィルターに繁殖したバクテリア(硝化細菌)が、魚のフンや食べ残しから発生するアンモニア(毒性が高い)を、亜硝酸塩→硝酸塩と段階的に分解してくれるろ過です。
アンモニアは少量でも魚に致命的なダメージを与えます。生物ろ過はアクアリウムで最も重要なろ過で、バクテリアが定着するまでに通常2〜4週間かかります(これを「水槽の立ち上げ期間」といいます)。
化学ろ過(かがくろか)とは
化学ろ過は、活性炭やゼオライトなどの吸着素材を使って、水の黄ばみ・臭い・有害物質を吸着して取り除くろ過です。
ただし化学ろ過素材は吸着能力に限界があり、一定期間で交換が必要です。また薬品投与中(病気治療時)は活性炭が薬を吸着してしまうので、外す必要があります。
| ろ過の種類 | 仕組み | 使われる素材 | 重要度 |
|---|---|---|---|
| 物理ろ過 | ゴミを物理的に取り除く | ウールマット・スポンジ・フィルターパッド | ★★★ |
| 生物ろ過 | バクテリアが有害物質を分解 | ろ過リング・セラミック・スポンジ | ★★★★★ |
| 化学ろ過 | 吸着素材が有害物質を吸着 | 活性炭・ゼオライト・イオン交換樹脂 | ★★★ |
外部式フィルター(外部フィルター)
外部式フィルター(外部フィルター)は、水槽の外に設置するキャニスター型のフィルターです。水槽から水をホースで引き込み、フィルター内でろ過した後に水槽に戻す仕組みです。
エーハイム・テトラ・GEX・コトブキなどのメーカーが代表的な製品を販売しており、アクアリウムの中〜上級者に最も人気のあるフィルタータイプです。
外部式フィルターの仕組み
フィルター本体(キャニスター)は水槽台の中や横に設置します。水槽の水がストレーナー(吸水口)からホースを通ってフィルター内に入り、下から上へと(または指定の流れで)複数のろ材を通過した後、排水パイプから水槽に戻ります。
ろ材を多段階に積み重ねられるので、物理ろ過→生物ろ過→化学ろ過の順でしっかりと処理できます。
外部式フィルターのメリット
- ろ過能力が非常に高い:ろ材を大量に入れられるため、生物ろ過能力が抜群
- 静音性が高い:モーターが水槽外にあるため振動音が少ない
- 水槽内がスッキリする:ホース以外が水槽外にあるのでレイアウトを邪魔しない
- CO2が逃げにくい:水草水槽でCO2添加する場合に有利(密閉式のため)
- ろ材のカスタマイズ自由度が高い:自分でろ材を組み合わせられる
- 水温が安定しやすい:モーターの発熱が水槽外なので水温への影響が少ない
外部式フィルターのデメリット
- 価格が高い:エントリーモデルでも3,000〜5,000円、上位機種は15,000円以上
- 設置に手間がかかる:ホースの取り回し・呼び水(サイフォン)が必要
- メンテナンスが面倒:フィルターを水槽から取り外して洗う必要がある
- 水漏れリスクがある:ホース接続部の劣化や緩みで水漏れする可能性
- 酸素供給が少ない:密閉式のため水面を動かさず、曝気(ばっき・酸素供給)効果が低い
外部式フィルターの価格帯と代表製品
| 製品名 | 対応水槽サイズ | 流量(L/h) | 価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| エーハイム2213 | 〜60cm | 440 | 約7,000〜10,000円 | 定番中の定番。静音・耐久性抜群 |
| テトラ バリューEX60 | 〜60cm | 500 | 約4,000〜6,000円 | コスパ良好・初心者向け |
| GEX メガパワー6090 | 〜90cm | 1,000 | 約6,000〜9,000円 | 大型水槽向け・コスパ良 |
| エーハイム2215 | 〜90cm | 620 | 約12,000〜18,000円 | 大流量・プロ仕様 |
| コトブキ パワーボックス55 | 〜60cm | 800 | 約5,000〜8,000円 | 大容量ろ材室・使いやすい |
おすすめの人:60cm以上の水槽・本格的なレイアウト水槽・水草水槽・長期飼育を考えている人
外掛け式フィルター(外掛けフィルター)
外掛け式フィルター(外掛けフィルター)は、水槽のフチに引っ掛けて使う最もポピュラーなタイプのフィルターです。初心者用の水槽セットに付属していることが多く、アクアリウム入門者に広く使われています。
テトラのAT(オートフィルター)シリーズや、GEXのラクラクパワーフィルターが代表的な製品です。
外掛け式フィルターの仕組み
水槽のフチに本体を引っ掛け、水槽内に設置したストレーナー(吸水パイプ)で水を吸い上げます。本体内部でろ過した水が滝のように落水して水槽に戻る仕組みです。この落水が水面を動かすため、酸素供給(曝気)の効果もあります。
外掛け式フィルターのメリット
- 設置が簡単:フチに引っ掛けるだけで使える(電源を入れれば自動で水を吸い上げる製品が多い)
- 価格が安い:1,000〜3,000円程度のエントリーモデルが多い
- メンテナンスが簡単:フィルターカートリッジを交換するだけでOK
- 酸素供給ができる:落水による曝気効果がある
- コンパクト:場所を取らない
外掛け式フィルターのデメリット
- ろ過能力が低め:ろ材の容量が小さいため生物ろ過能力は外部式より劣る
- 落水音がする:水位が低いと滝音が大きくなる(水位を高めに保てばある程度解消)
- カートリッジ交換でバクテリアが消える:カートリッジをまるごと交換するとせっかく定着したバクテリアがいなくなる(改造してスポンジ追加が有効)
- 小型水槽向け:60cm以上の水槽には能力不足になりがち
- CO2が逃げやすい:落水による曝気で水草水槽のCO2が抜けやすい
外掛け式フィルターのおすすめ改造法
外掛けフィルターの改造(バクテリア定着のコツ)
- 純正カートリッジを取り出し、スポンジ(ポリエーテルウレタン)やリングろ材を入れる
- 活性炭スポンジは捨てず、ろ材の上に重ねて物理ろ過として使う
- ろ材は「すすぎ洗い」で対応し、まるごと交換しない
- テトラのAT-50以上なら、底にリングろ材を大量に入れられる
底面式フィルター(底面フィルター)
底面式フィルター(底面フィルター)は、水槽の底に敷くプレート状のフィルターです。底砂全体がろ材として機能するため、非常に高い生物ろ過能力を発揮します。
ニッソー・GEX・コトブキなどから安価な製品が販売されており、コスパは最高クラスです。
底面式フィルターの仕組み
水槽底面にスリット(細かい穴)の開いたプレートを敷き、その上に底砂(大磯砂・砂利など)を敷きます。エアポンプで空気を送ると、底砂の下から水が吸い上げられ(上部吸水式)、底砂全体がフィルターとして機能します。
水中ポンプと組み合わせて使うタイプ(パワーリフト)もあり、流量を増やすことができます。
底面式フィルターのメリット
- 生物ろ過能力が非常に高い:底砂全体にバクテリアが定着するため、ろ過能力は最高クラス
- 価格が安い:プレート本体は500〜2,000円程度
- 水槽がスッキリする:目立つ機器が少なく、シンプルなレイアウトに
- 長期間の使用が可能:消耗品が少なく、ランニングコストが低い
- エアポンプとの組み合わせで酸素供給も:エアリフト式なら曝気効果あり
底面式フィルターのデメリット
- 水草との相性が悪い:底砂がろ材になるため根張りの強い水草が植えにくい
- メンテナンスが大変:底砂のゴミを定期的に吸い出す必要がある(プロホースが必須)
- 底砂の選択が限られる:細かすぎる砂(パウダー系ソイル)はつまりやすいため向かない
- リセット時に全部崩す必要がある:フィルター掃除のために底砂をすべて取り出すことも
- 稚魚・稚エビが吸い込まれることも:スリットに入ってしまう可能性がある
スポンジフィルター
スポンジフィルターは、水槽内にスポンジを設置してエアポンプで水を通す、シンプルなフィルターです。ATCなどのブランドから、海外製のコスパ高い製品まで幅広くあります。
稚魚・稚エビの飼育水槽や、サブフィルターとして非常に人気があります。
スポンジフィルターの仕組み
スポンジの中心に管が通っており、エアポンプから空気を送ると、スポンジを通して水が吸い込まれます。スポンジにバクテリアが定着することで生物ろ過が機能します。
スポンジフィルターのメリット
- 稚魚・稚エビに安全:スポンジの目が細かいため吸い込まれない
- 非常に安価:500〜2,000円程度で購入可能
- メンテナンスが簡単:スポンジを飼育水で軽く絞るだけ
- バクテリアが定着しやすい:スポンジ素材はバクテリアの住処として優秀
- サブフィルターとして最適:メインフィルターと組み合わせてバクテリア量を増やせる
- 酸素供給ができる:エアリフト式で曝気効果あり
スポンジフィルターのデメリット
- 物理ろ過能力が低い:大きなゴミを取り除くのは苦手
- エアポンプの音が気になる:エアポンプの振動音やブクブク音が出る
- 見た目がシンプルすぎる:レイアウト水槽には不向き
- 単体では大型水槽に不十分:メインフィルターとしては30cm以下向け
上部式フィルター(上部フィルター)
上部式フィルター(上部フィルター)は、水槽の上に置いて使うフィルターです。水槽の水をポンプで汲み上げてフィルター内を通し、トレー状の容器でろ過した後に水槽に落水させます。
GEXのデュアルクリーン・コトブキのスーパーターボが代表的な製品で、60cm規格水槽では最も普及しているフィルタータイプの一つです。
上部式フィルターの仕組み
水槽上部に専用トレーを設置し、水中ポンプで水を汲み上げてトレー内のろ材を通過させます。ろ過された水が落水して水槽に戻り、この落水が曝気の役割も果たします。
上部式フィルターのメリット
- ろ過能力が高い:ろ材の量が多く取れ、生物ろ過能力が高い
- メンテナンスが非常に簡単:上部を開けてろ材を交換・洗浄するだけ
- 酸素供給能力が高い:落水による曝気効果が大きく、酸素不足になりにくい
- コスパが良い:3,000〜6,000円程度で購入可能
- 物理ろ過が優秀:大量のウールマットで物理ろ過がしっかりできる
上部式フィルターのデメリット
- 60cm以上の水槽専用:30・45cmの小型水槽には対応する製品が少ない
- 水槽の上が使えなくなる:照明の設置場所が限られる
- CO2が逃げやすい:曝気効果が高い反面、水草水槽のCO2が抜けやすい
- 落水音がやや大きい:静音設計の製品も増えているが、外部式より音が出やすい
投げ込み式フィルター(ぶくぶく)
投げ込み式フィルター(通称「ぶくぶく」)は、水槽の中に直接沈めて使う最もシンプルなフィルターです。水作エイトやロカボーイが代表的な製品で、昔から広く使われています。
投げ込み式フィルターの仕組み
エアポンプからの空気圧で水をフィルター内に引き込み、内部のろ材(砂利・活性炭・スポンジなど)を通してろ過します。エアリフト式なので、ろ過と同時に酸素供給も行います。
投げ込み式フィルターのメリット
- 最安値クラス:数百円〜1,000円程度で購入可能
- 設置が最も簡単:水槽に入れてエアポンプにつなぐだけ
- 病気治療時のサブ水槽に最適:トリートメント水槽などに使いやすい
- 酸素供給ができる:エアリフト式で曝気効果がある
投げ込み式フィルターのデメリット
- ろ過能力が低め:大型水槽や魚の多い水槽には不十分
- 水槽の見た目がよくない:水槽内に機器が丸見えになる
- エアポンプの音が気になる:ブクブク音がする
水槽サイズ・魚種別おすすめフィルター選び方ガイド
フィルターの種類がわかったところで、実際にどれを選べばいいのかを解説します。水槽サイズ・飼育したい魚種・目的によって最適なフィルターは変わります。
水槽サイズ別おすすめフィルター
| 水槽サイズ | 第1おすすめ | 第2おすすめ | 理由 |
|---|---|---|---|
| 20cm以下(超小型) | スポンジフィルター | 投げ込み式 | 水量が少ないため大型フィルターは水流が強すぎる |
| 30cm(12L程度) | 外掛け式(AT-20〜30) | スポンジフィルター | 設置の簡単さとコンパクトさが重要 |
| 45cm(30〜35L程度) | 外掛け式(AT-50〜75) | 外部式(小型機種) | 外掛けで十分な場合が多い。本格派は外部式へ |
| 60cm(50〜60L程度) | 外部式(エーハイム2213等) | 上部式 | 60cmは外部式か上部式が主流。水草は外部式を選択 |
| 90cm(160L程度) | 外部式(大型機種) | 上部式(大型) | 大型水槽ではろ過能力の高い外部式が安心 |
| 120cm以上 | 外部式×2台 または オーバーフロー | 上部式+外部式の併用 | 単体では能力不足。複数フィルターの組み合わせが基本 |
日本淡水魚向けフィルター選び
日本産淡水魚(タナゴ・オイカワ・カワムツ・フナ・メダカなど)を飼育する場合は、魚種の特性に合わせたフィルター選びが重要です。
タナゴ類(イタサナゴ・ヤリタナゴなど)
タナゴは比較的水流を嫌います。強い水流をつくる高出力フィルターは向かず、穏やかな水流になるよう調整できる外部式や、外掛け式が向いています。私のタナゴ水槽(60cm)ではエーハイム2213の排水をシャワーパイプで分散させて使っています。
オイカワ・カワムツ・ウグイ
川の流れの速い場所に生息する魚なので、ある程度の水流と高い溶存酸素量を好みます。上部式フィルターや外部式フィルターで十分な曝気を行うことが大切です。エアレーションを補助として追加するのも効果的です。
メダカ
メダカは水流に弱い魚です。強い水流があると体力を消耗して弱ってしまいます。外掛け式フィルターでも、スポンジなどで排水口をガードして水流を弱めましょう。スポンジフィルターも相性が良いです。
ドジョウ・カジカ類
底砂をよく掘り返すドジョウには、底面フィルターは詰まりやすくなるため不向きです。外部式か外掛け式が向いています。
特殊ケース別おすすめフィルター
稚魚・稚エビを育てたい場合
稚魚・稚エビはフィルターの吸水口に吸い込まれる危険があります。以下の対策を取りましょう:
① スポンジフィルターを使う(吸い込みリスクがほぼゼロ)
② 外部式・外掛け式の場合は吸水口にスポンジカバーを装着する
③ 投げ込み式フィルターを使う
水草水槽でCO2添加をしたい場合
CO2を水草に吸収させるために、曝気(酸素供給)を最小限にする必要があります:
① 外部式フィルターを選ぶ(密閉式でCO2が逃げにくい)
② 排水口をスポンジなどで覆い、水面を大きく揺らさない工夫をする
③ 上部式フィルター・エアレーションはCO2が抜けるため避ける
フィルターのメンテナンス方法と頻度
フィルターはメンテナンスを怠ると、目詰まりを起こしてろ過能力が低下し、最悪の場合は水質悪化につながります。でも、やりすぎもNGです。フィルターの洗いすぎはバクテリアを殺してしまいます。
外部式フィルターのメンテナンス
外部式フィルターは密閉式なので、内部の汚れが外から見えません。以下のサインが出たらメンテナンスのタイミングです:
- 流量(水の出る量)が明らかに減った
- 水面の揺れが少なくなった
- 水が濁り始めた
メンテナンス頻度:3〜6ヶ月に1回程度(飼育密度によって異なる)
洗い方のポイント:ろ材は飼育水(バケツに取った水槽の水)で軽くすすぐ程度にする。水道水で洗うとバクテリアが塩素で死滅してしまう。
外掛け式フィルターのメンテナンス
メンテナンス頻度:2〜4週間に1回程度(純正カートリッジを改造している場合は月1回)
洗い方のポイント:スポンジは飼育水で軽く絞る。カートリッジをまるごと交換するのはバクテリアが死ぬため、できるだけ避ける。
底面式フィルターのメンテナンス
メンテナンス頻度:底砂の掃除は2週間に1回(プロホース等で底砂の汚れを吸い出す)。フィルター本体は6ヶ月〜1年に1回程度リセット。
洗い方のポイント:底砂を全部掘り起こさず、プロホースで部分的にゴミを吸い出す。
スポンジフィルターのメンテナンス
メンテナンス頻度:1〜2週間に1回(スポンジの目詰まりが始まったとき)
洗い方のポイント:スポンジを飼育水で数回揉み洗いする。水道水は絶対に使わない。
上部式フィルターのメンテナンス
メンテナンス頻度:ウールマット(物理ろ過素材)は2〜4週間に1回交換または洗浄。ろ材(リング状など)は3〜6ヶ月に1回程度すすぎ洗い。
洗い方のポイント:上部を開けてろ材を取り出し、飼育水で洗うだけ。メンテナンス性は全フィルター中トップクラス。
フィルターの上手な組み合わせ方(中〜上級者向け)
慣れてきたら、複数のフィルターを組み合わせることで、ろ過能力をさらに高められます。
外部式+スポンジフィルターの組み合わせ
最も人気のある組み合わせです。外部式フィルターがメインのろ過を担当し、スポンジフィルターが補助として生物ろ過を追加します。また、外部式の吸水口にスポンジをつけることで大きなゴミが入りにくくなり、外部フィルターの目詰まりを防げます。
底面式+外部式の連結
底面フィルターを外部フィルターと連結する「底面外部連結」は、最強クラスのろ過能力を誇ります。底砂全体がろ材として機能しつつ、外部フィルターの大量のろ材でも生物ろ過が行われます。水草水槽には向きませんが、魚の密度が高い水槽や大型魚の水槽には有効です。
上部式+外部式の組み合わせ
60〜90cm水槽で魚の数が多い場合、上部フィルター(酸素供給・物理ろ過担当)と外部フィルター(生物ろ過担当)を組み合わせると非常に安定した水質を維持できます。
フィルター選びでよくある失敗と対策
失敗1:水槽サイズに対して能力不足のフィルターを選ぶ
「60cm水槽に30cm用の外掛けフィルターを付けてしまった」というケースは非常に多いです。フィルターには「対応水槽サイズ」が記載されていますが、魚の数が多い場合は一回り大きいサイズを選ぶのがコツです。
対策:実際に飼育する魚の数を考慮して、水槽サイズよりも一回り大きいフィルターを選ぶか、複数のフィルターを組み合わせる。
失敗2:フィルターを水道水で洗ってしまう
「汚いから水道水でしっかり洗った」→翌日魚が次々と弱り始めた、というのはアクアリウムあるあるの失敗です。水道水の塩素がバクテリアを殺してしまい、ろ過が機能しなくなります。
対策:フィルターのろ材は必ず飼育水(水換え時に取り出した水槽の水)で洗う。水道水は使わない。
失敗3:フィルターを一度に全部洗う
複数のろ材が入っているフィルターを一度にすべて洗うと、バクテリアがいなくなって水槽が「再立ち上げ」状態になります。
対策:ろ材を2〜3グループに分け、洗う際は一部だけ洗い、残りのグループはそのままにしておく。
失敗4:稚魚・エビの吸い込みに気づかない
稚魚やエビを追加した直後、フィルターの吸水口に吸い込まれても気づかないことがあります。
対策:稚魚・エビを入れる前に必ず吸水口にスポンジカバーを装着する、またはスポンジフィルターに変更する。
失敗5:フィルターを止めてしまう(夜間節電など)
「節電のために夜だけフィルターを止める」という方がいますが、これは危険です。フィルターを止めると水流が止まり、ろ材内の酸素が欠乏してバクテリアが死滅します。また酸素不足で魚が窒息するリスクもあります。
対策:フィルターは24時間365日稼働させる。
フィルター関連おすすめ商品
この記事に関連するおすすめ商品
外部式フィルター(定番・エーハイム系)
約7,000〜18,000円〜
静音性・耐久性・ろ過能力が三拍子揃った定番フィルター。60cm水槽の本格飼育に最適
外掛け式フィルター(初心者向け)
約1,500〜4,000円〜
設置簡単・コスパ抜群。30〜45cm水槽の入門フィルターとして最適
スポンジフィルター(稚魚・エビ用)
約500〜2,000円〜
稚魚・稚エビに安全な定番フィルター。サブフィルターとしても活躍
※ 価格は変動します。最新価格はリンク先でご確認ください
よくある質問(FAQ)
Q, フィルターを新しく買ったのに水が濁っています。なぜですか?
A, 新しい水槽・フィルターをセットした直後は、生物ろ過を担うバクテリアがまだほとんどいない状態です。バクテリアが十分に定着するまでには通常2〜4週間かかります。この期間は水が白濁することがあります(「バクテリアブルーム」と呼ばれる現象)。魚のストレスにならないよう、過密飼育を避け、餌は少なめに与えてください。バクテリア剤(PSB・バクテリア添加剤)を使うと立ち上げを早められます。
Q, フィルターを止めずに掃除することはできますか?
A, 外掛けフィルターは電源を切ってろ材を取り出して洗い、すぐ戻せばOKです。外部フィルターも短時間(30分以内)であれば止めて洗っても問題ありません。長時間フィルターを止める場合は、ろ材が空気にさらされないようバケツの飼育水に浸しておくと、バクテリアのダメージを最小限にできます。
Q, 外掛けフィルターのカートリッジはどのくらいの頻度で交換すればいいですか?
A, 純正カートリッジの場合、メーカーは「2〜4週間で交換」と推奨していますが、これをそのまま実行するとバクテリアがリセットされてしまいます。理想は純正カートリッジの代わりにスポンジ・リングろ材を入れて、「交換しない」運用にすることです。汚れてきたら飼育水で洗えば長期間使い続けられます。
Q, エアポンプが必要なフィルターはどれですか?
A, スポンジフィルター・投げ込み式フィルター・底面式フィルター(エアリフト式)はエアポンプが必要です。外部式・外掛け式・上部式は電動モーターを内蔵しているのでエアポンプは不要です。ただし、溶存酸素量を増やすためのエアレーション(曝気)はどんな水槽にも追加できます。
Q, メダカに向いているフィルターはどれですか?
A, メダカは水流に弱いので、強い水流を生むフィルターは不向きです。おすすめは①スポンジフィルター(水流がほぼない)②外掛けフィルター(排水口にスポンジをつけて水流を弱める)③投げ込み式(水流が穏やか)です。特に稚魚には必ずスポンジフィルターを使ってください。
Q, 底面フィルターとソイルは相性が悪いですか?
A, 粒が細かいパウダーソイルは底面フィルターのスリットに入り込んで目詰まりしやすいため、相性は良くありません。粒が大きい「ノーマルサイズ」のソイルであれば使えますが、ソイルは崩れやすいため定期的なリセットが必要になります。底面フィルターと組み合わせるなら大磯砂・川砂利・溶岩砂などがおすすめです。
Q, タナゴ水槽に一番向いているフィルターはどれですか?
A, タナゴは強い水流を嫌うため、流量を調節できる外部式フィルター(シャワーパイプで分散)がベストです。45〜60cm水槽であれば外掛けフィルター(テトラAT-50以上)を改造してろ材を入れる方法も有効です。水流はできるだけ穏やかに設定し、水草をたっぷり植えて流れを弱めると良いでしょう。
Q, フィルターを増設(2台目を追加)するメリットは何ですか?
A, 主に3つのメリットがあります。①ろ過能力の向上(魚の数が多い場合に有効)②フィルター掃除時のバクテリアバックアップ(1台を洗っている間も残りの1台でろ過継続)③突然のフィルター故障時の安全網(1台が壊れても即座に水質が崩壊しない)。特に3つ目のメリットは大切な魚を守るために重要です。
Q, 外部フィルターから「ジー」という音がします。故障ですか?
A, 外部フィルターの異音の主な原因は①エア噛み(フィルター内に空気が入っている)②インペラー(羽根車)の汚れ・破損③水量不足です。エア噛みの場合はフィルター本体を軽く傾けて空気を抜いてみてください。インペラーの汚れはメンテナンス時に清掃します。それでも解消しない場合はメーカーのサポートに相談しましょう。
Q, フィルターを回していれば水換えはしなくていいですか?
A, フィルターは生物ろ過によってアンモニア→亜硝酸→硝酸塩と変換しますが、最終産物の「硝酸塩」はフィルターでは分解できません。硝酸塩が蓄積すると水質が酸性に傾き、魚が弱ります。硝酸塩を水槽から排出するには定期的な水換えが必要です。目安は週1〜2回、水槽水量の20〜30%を交換することです。
Q, 購入したフィルターが想定より音が大きいです。静かにする方法はありますか?
A, 対策としては①フィルターの設置面に防振マット(厚めのスポンジやゴムシート)を敷く②吸水口・排水口の接続がしっかりしているか確認する③外部フィルターの場合はエア噛みを解消する④モーターヘッドを軽く清掃する などが有効です。外掛けフィルターの落水音は水位を高く保つと軽減できます。
Q, 病気治療中(薬浴中)はフィルターを動かしてもいいですか?
A, 薬浴中は活性炭が薬を吸着してしまうため、活性炭を含むろ材は必ず取り出してください。スポンジや生物ろ過ろ材はそのままでOKです。ただし薬品によってはバクテリアを殺してしまうものがあります(グリーンFゴールド等)。その場合はフィルターを止め、エアレーションだけで対応するか、病気の個体をトリートメント水槽(投げ込み式使用)に隔離して治療しましょう。
フィルターと一緒に揃えたいアクアリウム用品
フィルターを選んだら、一緒に揃えておきたいアイテムもあります。これらを準備することで、より安定した水槽環境を作ることができます。
ろ材の種類と選び方
フィルター内に入れるろ材にも種類があります。目的に応じて適切なろ材を選ぶことで、フィルターの性能を最大限に引き出せます。
| ろ材の種類 | 素材例 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 物理ろ過ろ材 | ウールマット・フィルターパッド・ポリエステルマット | 大きなゴミを取り除く | 安価・消耗品・交換頻度高め |
| 生物ろ過ろ材(リング状) | バイオリング・エーハイムサブストラット・パワーハウス | バクテリアの住処 | 多孔質構造でバクテリアが定着しやすい・長期使用可 |
| 生物ろ過ろ材(ボール状) | バイオボール・セラミックボール | バクテリアの住処 | 通水性が高く目詰まりしにくい |
| スポンジろ材 | ポリエーテルウレタンスポンジ | 物理・生物ろ過兼用 | 安価・切って使える・バクテリア定着も良好 |
| 化学ろ過ろ材 | 活性炭・ゼオライト・イオン交換樹脂 | 水の黄ばみ・臭いの吸着 | 吸着能力に限界あり・定期交換が必要 |
ろ材を入れる順番(外部フィルターの場合)
外部フィルターのろ材は「粗いものを先に、細かいものを後に」配置するのが基本です。具体的には以下の順番で配置します:
- 粗めのスポンジ(物理ろ過):大きなゴミを先に取り除く
- リング状ろ材やセラミックろ材(生物ろ過):バクテリアを定着させる
- 細かいスポンジ・ウールマット(仕上げの物理ろ過):細かいゴミを除去
- 活性炭(必要な場合のみ・化学ろ過):最後に黄ばみ・臭いを吸着
この順番を守ることで、各ろ材が最も効果を発揮でき、目詰まりも起きにくくなります。
水流調節とシャワーパイプ
外部フィルターを使用する場合、排水をシャワーパイプで分散させることで水流を弱められます。タナゴやメダカなど、強い水流が苦手な魚を飼育する際に特に有効な方法です。
シャワーパイプは壁面に向けて設置すると水流が壁に当たって分散し、水槽全体に穏やかな循環が生まれます。また、排水を水面に向けると曝気(酸素供給)効果が高まります。目的に応じて角度を調節してみてください。
吸水口スポンジカバーの重要性
外部フィルターや外掛けフィルターの吸水口(ストレーナー)には、専用のスポンジカバーを装着することを強くおすすめします。
スポンジカバーを装着することで得られるメリットは以下の通りです:
- 稚魚・稚エビが吸い込まれるのを防ぐ
- 大きなゴミがフィルター内に入るのを防ぎ、メンテナンス頻度を減らせる
- スポンジにバクテリアが定着して生物ろ過能力が増す(一石二鳥)
プロホース(底砂クリーナー)の重要性
底面フィルターを使っている方はもちろん、外部式・上部式フィルターを使っている方にも底砂クリーナー(プロホース)は必須アイテムです。
フィルターがいくら高性能でも、底砂に沈んだ食べ残しやフンはフィルターで吸えない場合があります。水換えのついでにプロホースで底砂の中のゴミを吸い出すことで、水質が格段に安定します。
使い方は簡単で、プロホースの先端を底砂に少し差し込んでゆっくり動かすと、砂はスリットで弾かれてゴミだけがホースで吸い出されます。
水槽の立ち上げ期間中のフィルター管理
「水槽を立ち上げた直後から魚を入れたい!」という気持ちはわかりますが、焦りは禁物です。フィルターにバクテリアが定着する「立ち上げ期間」を正しく管理することが、長期的な飼育成功の鍵です。
立ち上げ期間の流れ(ニトリフィケーションサイクル)
水槽を立ち上げてから安定するまでの流れを「ニトリフィケーションサイクル(硝化サイクル)」と呼びます。以下のステップで進みます:
- 0〜1週間目:魚・えさが分解されてアンモニアが発生。バクテリアはまだほとんどいない。この時期に魚を大量に入れるとアンモニア中毒で死亡するリスクが高い
- 1〜2週間目:アンモニアを亜硝酸塩に変換するバクテリア(ニトロソモナス属)が繁殖し始める。亜硝酸塩が増加し始める
- 2〜4週間目:亜硝酸塩を硝酸塩に変換するバクテリア(ニトロバクター属)が定着し始める。亜硝酸塩が減少し、硝酸塩が増加する
- 4週間目以降:アンモニア・亜硝酸塩がほぼ検出されなくなり、水槽が安定状態に。この段階で本格的な飼育が可能になる
立ち上げを早めるテクニック
以下の方法で立ち上げ期間を短縮できます:
- 既存水槽のろ材・底砂を少量もらう:バクテリアが移植されて立ち上がりが早くなる
- 市販のバクテリア剤を使う:PSB・バイオバクテリアなどを添加する
- 使用済みスポンジフィルターを新水槽に入れる:バクテリアバンクを移植する
- アンモニア源を少量入れる:餌を少量入れてアンモニアを発生させ、バクテリアの餌にする(魚なしで立ち上げる場合)
水質測定キットでフィルターの状態を確認する
フィルターが正しく機能しているかを確認するには、水質測定キットが便利です。アンモニア・亜硝酸塩・硝酸塩・pH の測定ができる液体テストキットや試験紙タイプのものが1,000〜3,000円程度で購入できます。
特に立ち上げ直後や、フィルター清掃後は水質が不安定になりやすいので、1週間程度は定期的に測定することをおすすめします。
まとめ:あなたの水槽に合ったフィルターを選ぼう
フィルターの種類と選び方について、詳しく解説してきました。最後に重要ポイントをまとめます。
フィルター選びの基本まとめ
- 外部式フィルター:ろ過能力・静音性最高。60cm以上の本格水槽に最適。水草水槽にも◎
- 外掛け式フィルター:設置簡単・安価。30〜45cm水槽の入門に最適。改造でろ過能力UP
- 底面式フィルター:生物ろ過能力が非常に高い。安価でコスパ抜群。水草には不向き
- スポンジフィルター:稚魚・稚エビに安全。サブフィルターとして最適。バクテリアバンクに
- 上部式フィルター:酸素供給能力が高く川魚向き。メンテナンスが最も簡単
- 投げ込み式フィルター:最安値・最シンプル。トリートメント水槽やサブ水槽に
「どれが一番いいフィルターか」という正解はありません。水槽のサイズ・飼育したい魚・予算・レイアウトへのこだわりによって、最適なフィルターは変わります。
迷っている初心者の方には、まず外掛けフィルター(テトラAT-50やGEXラクラクパワーフィルターL)から始めることをおすすめします。設置が簡単で、改造してろ過能力を上げることもできるため、長く使えます。
慣れてきたら外部式フィルターにステップアップすることで、さらに安定した水質管理ができるようになります。
関連する記事もぜひ参考にしてください:


