水槽のガラス面や流木に、赤みがかったコケが広がってきた経験はありませんか?最初は「少し赤っぽいコケだな」と思って拭き取ったのに、数日後にはまた同じ場所に戻ってくる。スクレーパーで削り取っても、翌週にはきっちり復活している——そんな執念深いコケが「赤ゴケ(紅藻)」です。
私(管理人なつ)がアクアリウムを始めて数ヶ月後、60cm水槽のフィルター吐出口まわりに突然、鮮やかな赤〜ピンク色のコケが大量発生しました。最初は珍しくて「きれいだな」なんて思っていたのですが、あっという間にガラス面全体へ広がり、流木や底砂の上まで侵食。生体や水草への悪影響が心配になり、必死に対策を調べた記憶があります。
この記事では、赤ゴケ(紅藻類)の正体・発生原因・効果的な駆除方法・再発させない予防策まで、私自身の体験をもとに徹底的に解説します。水道水の塩素や硬度が発生に深く関わっていることをご存じでしょうか?根本原因を理解して対策すれば、赤ゴケは必ず根絶できます。

- 赤ゴケ(紅藻類)の正体と、緑コケや藍藻との見分け方
- 水道水の塩素・硬度が赤ゴケ発生を引き起こすメカニズム
- 物理除去・薬品処理・生体導入それぞれの具体的な方法
- 食酢・クエン酸・漂白剤それぞれの使い分けと注意点
- オトシンクルスやヤマトヌマエビがどこまで効くか
- カルキ抜き剤の選び方と浄水器・RO水活用術
- 二度と赤ゴケを出さないための水槽管理の習慣
- よくある疑問・失敗パターンへの回答(10問以上)
赤ゴケ(紅藻)の正体と特徴
赤ゴケとは何か(紅藻類の分類)
「赤ゴケ」という通称で呼ばれるこのコケの正体は、紅藻類(Rhodophyta)に属する藻類の仲間です。紅藻類はフィコエリスリン(phycoerythrin)という赤色の光合成補助色素を持っており、これが独特の赤〜ピンク色を生み出しています。緑色の葉緑素(クロロフィル)も持っていますが、赤色素が優勢なため、見た目には赤〜ピンク〜紫がかった赤色として認識されます。
淡水水槽で最も一般的に発生する赤ゴケは、チョウジャコケ属(Compsopogon)という藻類で、分類学的には紅藻門・コンポソポゴン目に属します。学名は Compsopogon aeruginosus(コンポソポゴン・アエルギノスス)が代表的な種です。この藻類は本来、熱帯〜亜熱帯の流水環境(川の浅瀬・水田の用水路など)に生息していますが、アクアリウムの水槽内でも条件が整えば驚くほど旺盛に増殖します。
紅藻類は陸上植物よりも原始的な系統に位置し、細胞構造がやや異なります。特徴的なのはフラジェラ(鞭毛)を持たないことで、これにより水流に乗って受動的に分散します。また、細胞壁の成分として寒天質(アガロース)を含む種が多く、これが「ヌメヌメした触感」の原因でもあります。
色と形の見分け方(緑コケ・藍藻との違い)
水槽に発生するコケは複数の種類があり、駆除方法も異なるため、まず正確に「赤ゴケである」と判断することが重要です。見分けるポイントを解説します。
赤ゴケ(紅藻類)の外見的特徴:色は鮮やかな赤〜ピンク、または紫がかった赤。新鮮な状態ではやや透明感があり、水中では光に照らされると赤く輝くように見えることもあります。形状は初期では細い糸状または薄い膜状ですが、成長すると厚みが増してモコモコとした質感になります。乾燥させると黒〜黒紫色に変色するのも特徴的です。手で触れるとヌメリがあり、スクレーパーで削ると赤〜ピンクの液が出ます。
黒髭ゴケ(ヒゲ状ゴケ)との違い:黒髭ゴケも同じ紅藻類の仲間(Audouinella属など)であることが多いですが、色が黒〜濃灰色で、名前のとおりヒゲのような繊維状の外見をしています。赤ゴケは赤〜ピンクで、どちらかというと膜状・塊状に広がる点が異なります。
藍藻(シアノバクテリア)との違い:藍藻は青緑色〜赤紫色のことがあり、赤ゴケと混同されやすいです。ただし藍藻は独特の臭気(腐敗臭・カビ臭)があり、触れると簡単にはがれて水中に広がります。また藍藻は見た目がビニールの薄膜のようで、吸い取るとドロドロとした塊になります。赤ゴケはやや粘度が低くシャリシャリした感触で、臭いはほとんどありません。
緑コケとの違い:最もシンプルな判断基準は色です。緑コケ(緑藻類)は文字通り緑色で、赤みはありません。発生場所や質感は似ている場合もありますが、色で判別できます。
発生しやすい場所
赤ゴケが特に好む場所があります。水槽内を観察する際の参考にしてください。
フィルターの吐出口付近:最も発生頻度が高い場所です。フィルターから吐出される水には若干の圧力があり、水流が速い。この「水流が速い場所」を赤ゴケは好む傾向があります。また吐出口付近は水の交換が頻繁なため、水道水由来の塩素や硬度成分が常に供給されることも一因と考えられています。
ガラス面の水面付近:水面に近い部分は、水の揺れや酸素供給量が多く、光も届きやすい。赤ゴケにとって好条件が重なる場所です。特に新設水槽では水面付近から発生することが多いです。
流木・石の表面:多孔質な表面を持つ流木や石は、赤ゴケが付着しやすい基盤となります。流木のくぼみや石の溝には汚れが溜まりやすく、リン酸・硝酸塩も集積するため、赤ゴケの温床になります。
フィルターストレーナー(吸水口)付近:吸水口にも発生します。ここは水流が強く、バイオフィルム(汚れの薄い膜)が形成されやすい場所です。
底砂の表面:底砂の上に薄い赤〜ピンクの膜として広がることもあります。特に底床の掃除が不十分で有機物が堆積している水槽で見られます。
赤ゴケが出やすい水槽の特徴
赤ゴケが頻発する水槽には、いくつかの共通した特徴があります。自分の水槽が当てはまるか確認してみましょう。
まず新設水槽(立ち上げ初期)。バクテリアのバランスがまだ安定していない立ち上げ1〜3ヶ月の水槽では、赤ゴケが発生しやすいです。水質が不安定で、カルキ抜き剤の使用も不規則になりがちなこの時期は特に注意が必要です。
次に強力なフィルターや水流ポンプを使用している水槽。水流が強い環境は赤ゴケが好む条件の一つです。特定の場所に水流が集中するレイアウトでは、その場所から赤ゴケが広がることが多いです。
また換水頻度が低い水槽も赤ゴケが出やすいです。水換えをしないとリン酸・硝酸塩が蓄積し、コケ全般の栄養源が増加します。一方で水換え時にカルキ抜き不十分な水を入れると、それも赤ゴケを促進します。
水草が少ない(または育ちにくい)水槽も要注意です。水草が少ないと、コケに競合する植物がいないため、コケが先に栄養を取り放題になります。CO2不足で水草の成長が停滞している水槽では特にリスクが上がります。
| コケの種類 | 色 | 形状・質感 | 臭い | 主な発生原因 | 駆除難度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 赤ゴケ(紅藻) | 赤〜ピンク・紫がかった赤 | 膜状・塊状・ヌメリあり | ほぼなし | 塩素・高硬度・強水流・リン酸過多 | ★★★(やや難) |
| 黒髭ゴケ(紅藻) | 黒〜濃灰色 | ヒゲ状・繊維状・硬い | ほぼなし | リン酸過多・水流強・換水不足 | ★★★★(難) |
| 藍藻(シアノバクテリア) | 青緑〜赤紫 | 薄膜状・簡単にはがれる | 強い腐敗臭 | 底床汚れ・光過多・水流弱 | ★★(比較的易) |
| 緑コケ(緑藻) | 緑 | 膜状〜粉状・薄い | ほぼなし | 光過多・換水不足・栄養過多 | ★(易) |
| 糸状コケ(緑藻・珪藻) | 緑〜茶色 | 糸状・ふわふわ | ほぼなし | 栄養過多・新設水槽 | ★★(比較的易) |
赤ゴケが発生する原因
水道水中の塩素・次亜塩素酸(カルキ)
赤ゴケ発生の最も重要な原因の一つが、水道水に含まれる塩素(カルキ)です。日本の水道水には、衛生管理のため一定量の塩素(次亜塩素酸ナトリウム、または次亜塩素酸カルシウム)が添加されています。水道法では蛇口での残留塩素濃度を0.1mg/L以上に維持することが義務付けられており、実際には0.1〜1.0mg/L程度が検出されることがほとんどです。
この塩素が赤ゴケと関係する理由は複雑ですが、主なメカニズムは以下の通りです。まず、塩素は水槽内のバクテリア(生物ろ過のバクテリア群)に悪影響を与え、生物ろ過のバランスを崩します。生物ろ過が不安定になると、アンモニア・亜硝酸塩が蓄積しやすくなり、水質が不安定化します。この不安定な環境は、競合他種よりもストレス耐性が高い紅藻類にとって有利に働きます。
また、塩素は水草や多くの藻類に有害ですが、紅藻類は塩素への耐性が比較的高いことが知られています。これは紅藻類が海洋起源(海にはヨウ素・塩素系化合物が豊富)であり、酸化物質への耐性が高い可能性があることと関連していると考えられています。結果として、塩素が水草や競合藻類を弱らせる一方で、紅藻類だけが元気に増殖するという「選択圧」が働く場合があります。
さらに、塩素の量が多いと水のpHが若干上昇する傾向があります。水道水のpHは通常7.0〜8.0程度ですが、次亜塩素酸カルシウム(さらし粉)が使われている地域ではカルシウムが溶け込み、より高いpH・高硬度になる場合があります。赤ゴケは中性〜弱アルカリ性の環境を好むため、このpH上昇も間接的に発生を促進します。
高硬度の水(GH高め)
水の硬度(GH:総硬度)も赤ゴケの重要な発生因子です。硬度とは水に溶けているカルシウムイオン(Ca²⁺)とマグネシウムイオン(Mg²⁺)の量を示す指標で、GH(General Hardness)で表します。日本では総硬度を「1L中のCaCO₃相当量(mg)」で表すことが多く、100mg/L以上を「硬水」と分類します。
日本の水道水の硬度は地域差が大きく、東京都の水道水は平均50〜70mg/L程度の中硬水ですが、石灰岩地帯や一部の西日本の水道では100mg/L超の硬水が供給されることもあります。特に大阪・奈良・東京の一部エリアでは硬水傾向があります。
カルシウムとマグネシウムは藻類全般の成長に必要なミネラルですが、紅藻類は特にこれらの成分を利用する効率が高いとされています。高硬度の水では赤ゴケが増殖するのに十分なミネラルが常に供給されるため、除去しても繰り返し再発しやすい状況が生まれます。また、カルシウムはコケが底砂・ガラス面に「根を張る」際の接着媒体としても機能するため、硬度が高いほど赤ゴケが強固に付着する傾向があります。
水流が強すぎる場所
水槽内の水の動き(水流)も赤ゴケの発生に深く関わります。紅藻類は水流が適度〜強い環境を好む性質があります。これは自然界での生息環境(河川の浅瀬・流れのある場所)に適応したためと考えられています。
特にフィルターの吐出口から直接水流が当たる場所は赤ゴケが最も発生しやすい「スポット」となります。吐出口付近では水の流速が速く、新鮮な水(=水道水由来のミネラル・酸素)が常に供給されます。これはまさに赤ゴケにとっての「好条件」が詰まった場所です。
外部フィルターや水中ポンプの出力が水槽サイズに対して過剰な場合も要注意です。60cm水槽(約60L)に対して毎時500L以上の流量があるフィルターを使用すると、水槽全体が「強水流環境」となり、ガラス面全体に赤ゴケが広がりやすくなります。
リン酸・硝酸塩の蓄積
コケ全般の栄養源となるリン酸塩(PO₄³⁻)と硝酸塩(NO₃⁻)の蓄積も赤ゴケの増殖を助長します。これらは魚の排泄物・餌の食べ残し・水草の枯れ葉などの分解によって生成され、換水不足の水槽では急速に蓄積します。
特にリン酸塩はコケの直接的な栄養源であり、0.1mg/L以上でコケが発生しやすくなると言われています。一般的な水槽管理ではリン酸塩濃度を0.05mg/L以下に保つことが推奨されています。魚の餌に含まれるリン(骨成分など)が水に溶け出し、どんなに換水しても一定量は残り続けることも覚えておきましょう。
硝酸塩(NO₃⁻)はアンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩と変換される最終産物で、魚に対してはリン酸より無害ですが、コケには栄養として利用されます。特に赤ゴケは硝酸塩濃度が20mg/L以上の環境で著しく増殖しやすいことが報告されています。
CO2不足(水草水槽の場合)
水草水槽では、CO2(二酸化炭素)の添加不足も赤ゴケが出やすい大きな要因です。水草はCO2を炭素源として光合成を行います。CO2が不足すると水草の成長が停滞し、消費されなかったリン酸・硝酸塩がコケの栄養として残ってしまいます。
また、CO2不足の水草は水中の炭酸水素イオン(HCO₃⁻)を利用しようとして根や葉の周囲のpHを局所的に上昇させることがあります。このpH上昇ゾーンは赤ゴケにとって快適な環境となります。CO2を添加することで水草が旺盛に光合成→コケの栄養源を奪う→コケが出にくい、というサイクルが生まれます。
新設水槽の立ち上げ初期
水槽を新しく立ち上げてから1〜3ヶ月の「立ち上げ期」は、バクテリアのコロニー(生物ろ過の主役)がまだ十分に形成されていないため、水質が不安定になりやすい時期です。この時期にはアンモニアや亜硝酸塩が一時的に高濃度になることもあり、水草が成長しにくい環境になります。コケにとっては競争相手が少ない、ある意味で「チャンス」の時期です。
立ち上げ直後の水槽は、底砂・ろ材・流木などをすべて新品でセットするため、それら表面に付着するバクテリアの数も極端に少ない状態です。バクテリアによる窒素処理が不完全なため栄養分が過剰になりやすく、コケが先にバクテリアより繁殖してしまうパターンが多く見られます。
| 発生原因 | 詳細 | チェック方法 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 塩素・カルキ | 水道水の残留塩素(次亜塩素酸) | テストキットで残留塩素を測定 | カルキ抜き剤の適切な使用 |
| 高硬度 | Ca²⁺・Mg²⁺が多い水道水 | GHテストキットで硬度測定 | 軟水化・RO水の使用 |
| 強水流 | フィルター吐出口付近の強い水流 | 目視・水流計測 | 水流拡散・出力調整 |
| リン酸過多 | 餌残り・排泄物の分解産物 | リン酸テストキットで測定 | 換水頻度アップ・リン酸除去剤 |
| 硝酸塩過多 | 窒素サイクルの最終産物 | 硝酸塩テストキットで測定 | 換水頻度アップ・生体密度見直し |
| CO2不足 | 水草水槽でのCO2添加量不足 | CO2指示薬・ドロップチェッカー | CO2添加量増加・換気量調整 |
| 立ち上げ初期 | バクテリア未確立による水質不安定 | 設置期間を確認 | バクテリア剤添加・少ない生体数でスタート |
赤ゴケの発生原因は複数が重複していることがほとんどです。「水流が強い上にカルキ抜きが不十分で、さらに換水頻度が低い」というケースでは、どれか一つを改善してもコケは完全にはなくなりません。複数の原因を同時に対策することが、根本解決の鍵です。
赤ゴケの駆除方法【物理除去】

ガラス面のコケ取りスクレーパーの使い方
まず最初に取り組むべきなのは物理的な除去です。スクレーパー(コケ取りヘラ)を使ってガラス面のコケを丁寧に削り取ります。ただし、赤ゴケの物理除去は「一時的な対処」であることを理解した上で作業してください。原因を取り除かない限り、必ず再発します。
スクレーパーの選び方として、プラスチック刃よりも金属(ステンレス)刃のタイプが赤ゴケの除去に効果的です。赤ゴケはガラス面にしっかり付着しているため、プラスチック刃では削りきれないことがあります。ただし、アクリル水槽では金属刃は傷がつくため、アクリル対応のプラスチック刃または専用コケ取りスポンジを使用してください。
作業手順:まず水槽の水を抜かずに水中でスクレーパーを使います。ガラス面に対して30〜45度の角度でスクレーパーを当て、一方向(上から下、または下から上)にゆっくりと動かします。コケが剥がれたら水換えポンプや底砂クリーナーで速やかに吸い出してください。剥がれたコケをそのまま放置すると、水中に散らばって他の場所に再付着します。
作業後は即座に水換えを30〜50%程度行うことを強くおすすめします。剥がれたコケの細胞が水中に漂い、条件さえ整えば新たな発生の起点になります。水換え時はカルキ抜きを必ず行い、適切な量の新水を追加してください。
流木・石のブラシ洗浄
流木や石に付着した赤ゴケは、スクレーパーでは除去しにくい形状の場合が多いため、硬めのブラシを使った洗浄が有効です。古い歯ブラシや水槽用のコケ取りブラシを使います。
流木や石をいったん水槽から取り出し、バケツの中で水を流しながらブラシでこすります。赤ゴケが付きやすい流木の溝や石の凹凸を重点的に磨きましょう。水槽外での作業のため、強くこすれるのがメリットです。
ただし、流木や石にバクテリアが定着している場合、熱湯や薬品での処理は避けてください。立ち上がった水槽の流木・石には有益なバクテリアが付着しており、それを死滅させると水質が不安定になります。水だけのブラシ洗浄にとどめ、完全滅菌は立ち上げ前のリセット時のみとしましょう。
洗浄後は水槽に戻す前に軽くすすぎ、バケツの水(カルキ抜きした水道水でOK)でゆすいでから再設置します。
フィルター吐出口の掃除
赤ゴケが特に集中するフィルター吐出口まわりは、定期的な掃除が欠かせません。外部フィルターのシャワーパイプ(複数の小穴から水を散水する部品)は特に赤ゴケが詰まりやすく、穴が詰まると水流が変化して水槽全体のバランスが崩れます。
月に1回程度を目安に、シャワーパイプや吐出口ノズルを取り外し、細いパイプブラシで内部・外部ともに洗浄します。吐出口の穴は細い竹串やパイプクリーナーを通すと詰まりを解消できます。
内部フィルター(水中モーター型)の場合は、フィルターケースとモーターの接続部・吐出口を取り外して洗浄します。この際、フィルターのろ材は水槽水や飼育水ですすぐようにしてください。水道水で洗うとろ材に定着したバクテリアが塩素で死滅します。
取りにくい場所の対処(注射器での漂白剤処理)
水槽の角の部分・シリコンの接合部・底砂の奥など、スクレーパーやブラシが届かない場所に固着した赤ゴケには、注射器を使ったスポット処理が効果的です。ただしこの方法は上級者向けで、生体への影響リスクがあります。生体を一時的に別容器へ移してから実施することを強くおすすめします。
処理方法:注射器(針つきタイプ)に2〜3%の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を吸い取り、コケが付着した箇所に直接少量(0.1〜0.5mL程度)を注入します。数分後、コケが白くなったことを確認してから大量の換水(水槽の2/3以上)を行い、漂白剤を希釈します。その後、カルキ抜き剤(ハイポ)を通常の倍量を添加し、残留塩素を確実に中和します。
この方法はリスクが高いため、生体・水草がある水槽での使用は推奨しません。器具のみの場合(水槽リセット時など)に使用するのが安全です。
赤ゴケの駆除方法【薬品処理】
食酢(お酢)によるスポット処理
最も手軽で安全性が高い薬品処理が、食酢(お酢)を使ったスポット処理です。食酢の主成分である酢酸(CH₃COOH)は酸性(pH約3〜4)であり、アルカリ〜中性を好む赤ゴケの細胞を直接損傷します。
食酢はスーパーで購入できる一般的な穀物酢(酸度4〜5%)で十分です。リンゴ酢や米酢でも同様の効果があります。ただしフレーバー系(ドレッシング用など)は使用しないでください。香料・添加物が水質を汚染するおそれがあります。
処理方法(水中・生体あり):スポイトや注射器で食酢を吸い取り、コケが付いた部分に少量ずつ直接かけます。コケが白く変色したら(30〜60秒程度)、スクレーパーやブラシで物理的に除去します。一度に処理する量は水槽の5〜10%の面積にとどめ、使用後は水換えを20〜30%行います。水槽水のpHが急激に下がらないよう、少量ずつ処理してください。
処理方法(取り出した器具):流木・石・フィルターパーツは水槽から出し、原液または2倍希釈の食酢に5〜10分間浸けます。その後、水道水で十分にすすいでから水槽に戻します。
食酢処理の注意点として、pH変化に敏感な魚(ドジョウ・軟水性魚種など)がいる場合は使用量を控えめにしてください。エビは酸性に特に弱いため、エビがいる水槽での水中処理は避けた方が安全です。
クエン酸水溶液の使い方
クエン酸(citric acid)は食酢と同様に酸性ですが、より安全で無臭なため扱いやすい素材です。ドラッグストアや薬局で粉末のクエン酸が購入できます(食品添加物グレードが安心)。
使用濃度は1〜2%水溶液(水100mLにクエン酸1〜2g)が適切です。スポイトで直接コケに塗布し、1〜2分後に物理除去する使い方が基本です。器具の浸け置き処理にも対応しており、5%溶液に30分〜1時間浸けると効果的です。
クエン酸は食酢と比べて水槽水に混入した際のpH変化が少ない利点があります。ただし過剰使用は水のpHを下げすぎる可能性があるため、処理後は水換えを必ず行ってください。また、クエン酸はカルシウム・マグネシウムをキレート(捕捉)する作用があるため、処理後の換水を怠ると水中のミネラルバランスが乱れることがあります。
漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)処理(取り出した器具のみ)
塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)は最も強力なコケ除去剤ですが、同時に生体・バクテリアへの毒性も最強クラスです。必ず生体・水草がいない状態(器具のみ)で使用してください。
市販のキッチンハイターやカビキラーを5〜10倍希釈(原液濃度6%として0.6〜1.2%程度)した溶液を作り、器具を10〜30分浸けます。赤ゴケが完全に白くなったことを確認してから、大量の水道水でよくすすぎ、中和剤(チオ硫酸ナトリウム、またはカルキ抜き剤のハイポ)を使って残留塩素を完全に中和します。
中和が不十分な状態で器具を水槽に戻すと、生体に致命的なダメージを与えます。処理後は器具を半日ほど水道水に浸けて塩素を抜いてから使用するのがより安全です。
木酢液の効果と限界
木酢液は黒髭ゴケや緑コケの除去によく使われる方法ですが、赤ゴケ(紅藻類)への効果は限定的です。木酢液の有効成分は酢酸・フェノール類・クレゾール類などですが、紅藻類はこれらの成分への耐性が比較的高いことが実体験・ネット上の報告からも示されています。
木酢液を使う場合は原液または2倍希釈液を綿棒・スポイトでコケに直接塗布し、水から出した状態で5〜10分置いてから洗い流す方法が最も効果的です。水中での処理は濃度が薄まりすぎて効果が弱まります。木酢液処理後に物理除去を組み合わせると、効果が高まります。
ただし、木酢液だけで赤ゴケを完全除去しようとするのは難しく、繰り返し処理が必要です。食酢やクエン酸の方が即効性・コストパフォーマンスの面で優れているため、特に木酢液にこだわる必要はないと私は思っています。
| 薬品・方法 | 効果(赤ゴケへ) | 使い方 | 生体への影響 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 食酢(酢酸) | 中程度(★★★) | スポイトで直接塗布または浸け置き | 少量なら比較的安全(エビは注意) | 処理後30%換水推奨 |
| クエン酸水溶液 | 中程度(★★★) | 1〜2%水溶液を塗布または浸け置き | 少量なら比較的安全 | キレート作用でミネラル減少に注意 |
| 漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム) | 高い(★★★★★) | 取り出した器具のみ浸け置き | 生体には絶対使用禁止 | 使用後は必ず中和処理。残留塩素に注意 |
| 木酢液 | 低〜中(★★) | 原液塗布(水外処理が効果的) | 少量なら比較的安全 | 繰り返し処理が必要。完全除去は難しい |
赤ゴケを食べる生体(オトシンクルス・ヤマトヌマエビ等)

効果的な生体リスト
薬品処理と並行して、コケを食べてくれる生体(クリーナー生体)を導入することで駆除が加速します。ただし、赤ゴケに対して効果的な生体と、あまり効果がない生体があります。正しく選ぶことが重要です。
オトシンクルス・オトシンネグロ:ナマズ目ロリカリア科の小型熱帯魚で、ガラス面・流木面のコケを舐めとるように食べます。口がすっぽんのように吸い付く構造(口吸盤)になっており、赤ゴケの薄い膜状のものは積極的に食べてくれます。ただし成熟して固くなった赤ゴケは食べにくいため、早期導入が効果的です。水温22〜28℃、pH6.5〜7.5の環境で飼育できます。
ヤマトヌマエビ:水槽のコケ取り生体の定番中の定番。糸状コケや薄い膜状コケは積極的に食べますが、固着した赤ゴケへの効果は限定的です。ガラス面よりも流木・石・底砂に付いたコケに強い印象があります。複数匹(5〜10匹以上)を投入するとより効果的です。
ミナミヌマエビ:ヤマトヌマエビより小型のため、細かい場所のコケ取りに適しています。赤ゴケへの効果はヤマトより低いですが、コケの初期段階では対処できます。水温20〜28℃で飼育可能。日本の淡水魚と一緒に飼う場合でも使いやすい生体です。
サイアーミーズフライングフォックス:黒髭ゴケを食べる生体として有名ですが、赤ゴケにも一定の効果があります。やや大型(成魚10〜15cm)なため、小型水槽には不向きです。また成長すると性格が荒くなり、他魚を追い回すことがあります。
石巻貝:コケ取り貝の代表種で、ガラス面のコケを舐め取ります。赤ゴケの薄い膜状のものは食べますが、固着した厚いコケには対応が難しいです。弱アルカリ〜中性の水質を好みます。
フネアマ貝:石巻貝より強力なコケ取り能力を持つ貝で、ガラス面の掃除力は群を抜いています。赤ゴケ対策としても有効で、1匹でかなりの面積を処理できます。繁殖しないため(淡水では繁殖できない)、増えすぎる心配もありません。
食べてくれる条件と限界
生体によるコケ除去には、いくつかの重要な条件があります。これを理解しないと「生体を入れたけど効果がない」という結果になりがちです。
まずコケの発生初期段階での導入が最も重要です。赤ゴケが薄く・柔らかい状態のうちなら、オトシンクルスや石巻貝で十分に対応できます。しかしコケが厚く固着して「コケの塊」になってしまうと、生体では食べ切れません。
次に生体の数が十分であること。60cm水槽(約60L)であれば、オトシンクルス3〜5匹+ヤマトヌマエビ5〜10匹が目安です。少数では食べる量よりコケの増殖速度の方が早くなってしまいます。
また生体に餓死させないこと。クリーナー生体は「餓死しそうになっているからコケを食べる」のではなく、「自然な行動としてコケを食べる」生き物です。他の餌(専用フード・沈下性タブレット等)をきちんと与えながらコケ取りも期待する、という管理が正解です。特にオトシンクルスは餓死しやすいため、コケが少なくなったらプレコ用タブレットや茹でた野菜を与えましょう。
生体による駆除の注意点
クリーナー生体を導入する際には、混泳している魚種との相性も確認してください。日本の淡水魚(カワムツ・タナゴなど)は小型のエビを食べてしまうことがあるため、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビが混泳できない場合があります。そのような環境では、石巻貝やオトシンクルスなど魚に食べられにくい生体が選択肢となります。
また、クリーナー生体だけでは赤ゴケを完全に根絶させることはほぼ不可能です。あくまで「補助的な対策」として位置付け、水質改善・換水頻度の見直しといった根本対策と組み合わせてください。
| 生体名 | 赤ゴケへの効果 | 得意な場所 | 飼育難度 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| オトシンクルス | ★★★(薄いコケ向け) | ガラス面・流木面 | 中(餓死注意) | コケが少なくなったら補助飼料を |
| ヤマトヌマエビ | ★★(薄いコケ向け) | 流木・石・底砂 | 易 | 大型魚に食べられる可能性あり |
| ミナミヌマエビ | ★(初期段階のみ) | 全体的に | 易(日本産) | ヤマトより効果が低い |
| サイアーミーズフライングフォックス | ★★★ | 全体的に | 中(成魚は性格注意) | 成長すると荒くなりやすい |
| 石巻貝 | ★★(ガラス面向け) | ガラス面 | 易 | 卵をガラス面に産む(除去が必要) |
| フネアマ貝 | ★★★(ガラス面向け) | ガラス面 | 易 | 淡水では繁殖しない |

オトシンクルスに関連して、彼らが快適に過ごせる環境づくりも大切です。赤ゴケ対策のついでに、オトシンクルスが好む隠れ家(流木・石)や底砂のレイアウトも整えてあげましょう。
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コケを物理的に除去し、クリーナー生体を導入しても、水道水由来の問題(塩素・高硬度)を解決しない限り赤ゴケは必ず再発します。ここが赤ゴケ対策の最も重要なポイントです。この章では、水道水の水質を改善して赤ゴケの根本原因を断つ方法を詳しく解説します。
カルキ抜き剤の選び方(重炭酸系 vs チオ硫酸塩系)
カルキ抜き剤(脱塩素剤)には大きく分けて2つのタイプがあります。選択を間違えると、塩素は中和できても赤ゴケの発生を助長する成分が残ることがあります。
チオ硫酸塩系(ハイポ):最もポピュラーなカルキ抜きで、チオ硫酸ナトリウム(Na₂S₂O₃)が主成分です。塩素との化学反応によって塩素を速やかに中和します。1L当たり約0.1〜0.2gで効果が出ます。安価でどこでも購入できる(ホームセンター・熱帯魚店・ドラッグストア)のが最大のメリットです。ただしチオ硫酸塩自体が大量に添加されると生体に若干の悪影響がある場合もあるため、規定量を守って使用してください。
重炭酸系(コンディショナー配合型):塩素中和だけでなく、重金属(銅・鉛など)の無毒化、粘膜保護成分の添加などが含まれた「多機能カルキ抜き」です。テトラ・コントラコロラインなどが代表的な製品です。赤ゴケ対策という観点では、重金属も除去できるコンディショナー配合型が特に有効です。水道管から溶け出す銅イオン(Cu²⁺)は藻類の成長を刺激する場合があり、これを除去することでコケの発生を抑える効果が期待できます。
私のおすすめは、普段の換水には「チオ硫酸塩系の安価なハイポ」を使い、定期換水(週1回の大掃除換水)には「コンディショナー配合型」を使う使い分けです。コストを抑えながら必要なタイミングで高品質なカルキ抜きを使う方法です。
浄水器・RO水の活用
水道水の水質問題を根本から解決する最強の手段がRO(逆浸透膜)浄水器の使用です。RO浄水器は逆浸透膜(Reverse Osmosis Membrane)というフィルターを使って、水から塩素・重金属・硝酸塩・リン酸塩・カルシウム・マグネシウムなどほぼすべての不純物を除去します。処理後の「RO水」は純水に近い状態で、硬度がほぼゼロ(GH 0〜1程度)、pH7.0前後の中性を示します。
赤ゴケの発生原因である「塩素」と「高硬度」を同時に除去できるため、RO水の使用は赤ゴケの再発防止に非常に効果的です。アクアリウム用RO浄水器は1万〜3万円程度で購入でき、初期投資はかかりますが長期的にコケ問題が解消されることを考えると、コスパは良いと言えます。
ただしRO水は硬度がゼロのため、そのまま使うと魚・水草にとって必要なミネラルが不足します。RO水を使う場合は、RO水7割+水道水3割の割合でブレンドするか、専用の「ミネラル添加剤(ミネラルRO添加剤)」を使って必要なミネラルを補給してください。
RO浄水器の設置が難しい場合は、市販の天然水(軟水)で換水する方法も有効です。特に軟水が多い国内の天然水(硬度20〜50mg/L程度)を換水に使うことで、高硬度水道水の影響を和らげることができます。コスト的には継続的な購入が必要になるため、水量が多い場合は不向きですが、小型水槽であれば十分実用的な選択です。
pH調整・軟水化の方法
RO浄水器を使わずに水道水を軟水化する方法もあります。最も手軽なのは市販の軟水化剤(ピート・軟水化レジン)の使用です。
ピート(泥炭)は水に入れるとタンニンを溶出させ、水をわずかに酸性・軟水化する効果があります。ネット袋に入れてフィルター内や水槽に設置するだけで使えます。水が茶色く着色されることがありますが、魚には無害です(むしろ南米・東南アジア産の熱帯魚には好まれます)。
軟水化レジン(イオン交換樹脂)は水中のカルシウム・マグネシウムイオンをナトリウムイオンと交換することで軟水化します。フィルターの中に入れて使用するタイプが使いやすいです。定期的に食塩水で再生(regeneration)できるため、繰り返し使用できます。
また、底砂にソイル(水草用底床)を使用することも軟水化・弱酸性化に有効です。ソイルはイオン交換作用でpHを弱酸性に保ち、硬度も下げる効果があります。赤ゴケが好む中性〜弱アルカリ性の環境を弱酸性に傾けることで、発生しにくい水質を作ることができます。
換水頻度と量の最適化
換水頻度と量は、赤ゴケ対策において非常に重要な管理項目です。一般的な目安は「週1回、水槽の1/3(33%)程度」ですが、赤ゴケが発生中の水槽ではより積極的な換水が必要です。
赤ゴケが発生している水槽では、週2回、各20〜30%の換水を1〜2ヶ月続けることを推奨します。頻繁な換水によってリン酸塩・硝酸塩・硬度を持続的に希釈し、コケの栄養源を断ちます。ただし毎回のカルキ抜きを確実に行うことが前提です。
換水量が多すぎると(60%以上一度に換水するなど)、水温・pH・硬度が急変して生体にストレスがかかります。一度に換えすぎず、こまめに換える「少量多頻度換水」が安全です。
水質改善におすすめの商品
アクアリウム用カルキ抜き剤(コンディショナー配合型)
塩素・重金属を同時に無毒化。粘膜保護成分配合で魚へのダメージも軽減
アクアリウム用RO浄水器
塩素・硬度・重金属を同時除去。赤ゴケの根本原因を断つ最強の水質改善ツール
再発させないための予防策

カルキ抜きの確実な実施
赤ゴケを再発させないための最も基本的な予防策は、換水時のカルキ抜きを毎回確実に行うことです。「少し入れれば大丈夫だろう」という油断が赤ゴケ再発の引き金になります。
カルキ抜き剤の使用量は、製品の説明書に記載された量を守ってください。一般的なチオ硫酸塩系カルキ抜きは「10Lに対してキャップ1杯(約5mL)」程度です。換水量を正確に計測し、それに見合った量のカルキ抜き剤を使いましょう。
計量が面倒な場合は「液体タイプのカルキ抜き剤」が便利です。数滴〜数ml添加するだけで手軽に使えます。粒状のハイポ(チオ硫酸ナトリウム)は安価で経済的ですが、溶解に時間がかかるため、事前に水で溶かしてから使う習慣をつけましょう。
また、水道水を直接加えるのではなく、あらかじめバケツに汲み置いてカルキ抜きを混ぜた水を作ってから水槽に入れる方法が確実性が高くおすすめです。カルキ抜き剤を入れた後、軽くかき混ぜて1〜2分待ってから水槽に投入すると安心です。
水流の強さを適正化
赤ゴケが好む「強水流環境」を作らないよう、フィルターの出力と水槽サイズのバランスを適正化することが重要な予防策です。
一般的な水槽への推奨流量の目安は「水槽容量の5〜8倍/時間」です。60cm水槽(60L)であれば300〜480L/h程度が適切です。これを大幅に超えた強力なフィルターを使っている場合は、フィルターの出力を下げるか、流量を絞れる調節バルブの取り付けを検討してください。
また、フィルターの吐出口の向きを変えることも有効です。吐出口を水面に向けて水面を揺らすような設置にすると、水流がガラス面に直接当たりにくくなり、赤ゴケが付きにくい環境になります。シャワーパイプ型の吐出口の場合は、水面上に設置して水面を揺らすエアレーション効果を持たせる方法もあります。
水流が強い場所がわかっている場合は、水流拡散ディフューザーをフィルター吐出口に取り付けると、水流を分散させることができます。これにより特定の場所への水流集中が防げます。
定期的なガラス面掃除の習慣化
「コケが大量発生してから焦って掃除する」ではなく、コケが見えない段階から予防的に掃除する習慣をつけることが再発防止の鍵です。
具体的には、週1回の換水時に必ずコケ取りマグネットやスクレーパーでガラス面を一周するルーティンを設けましょう。この段階ではまだコケが目に見えない薄い状態のため、数秒磨くだけで済みます。この習慣があるかないかで、1ヶ月後の水槽の状態が大きく変わります。
磁石式のガラス面コケ取り(コケ取りマグネット)は、水に手を入れずに外からガラス面を掃除できる便利なアイテムです。外側の磁石を動かすことで内側の磁石(スポンジ付き)が連動して動き、ガラス面を磨きます。毎日1〜2分使う習慣をつければ、コケが大問題になる前に予防できます。
リン酸除去剤の活用
水換え頻度を上げてもリン酸が下がりにくい場合や、魚の数が多くてリン酸が蓄積しやすい環境では、リン酸除去剤をフィルターに入れるのが効果的です。
市販のリン酸除去剤(フォスフェイトリムーバー)は、活性アルミナや特殊なイオン交換樹脂でできており、水中のリン酸塩を吸着・除去します。フィルターのろ材スペースに入れておくだけで、水換え不要で持続的にリン酸を除去できます。一定量吸着したら交換が必要ですが(通常1〜3ヶ月程度)、コケ対策の補助として非常に有効です。
また、活性炭フィルターを定期的に使用することも、水中の有機物・色素・微量のリン酸除去に一定の効果があります。活性炭は吸着性能が高いものの、飽和したら効果がなくなるため月に1回程度の交換が必要です。
関連記事で深く学ぶ
赤ゴケと並んでアクアリウムで問題になるコケ・水質トラブルについて、以下の関連記事もあわせてご参照ください。
- 黒髭ゴケの駆除完全ガイド|同じ紅藻類の仲間で最強のしぶとさを持つ黒髭ゴケへの対処法
- 藍藻(シアノバクテリア)の駆除完全ガイド|赤ゴケと混同されやすい藍藻の正体と駆除法
- 水槽の立ち上げと窒素サイクル|新設水槽での赤ゴケ発生を防ぐためのバクテリア管理
- 水槽の底砂(底床)選び方完全ガイド|軟水化に役立つソイル選びの参考に
よくある質問(FAQ)
Q, 赤ゴケと黒髭ゴケは同じ種類ですか?どちらの方が対処が難しいですか?
A, 赤ゴケも黒髭ゴケも、どちらも紅藻類(Rhodophyta)の仲間です。ただし属・種が異なり、赤ゴケは主にCompsopogon属、黒髭ゴケはAudouinella属やCalogossa属などが代表的です。対処の難しさとしては一般的に黒髭ゴケの方が強固で、食酢・木酢液で処理しても完全除去が難しいケースが多いです。赤ゴケはやや柔らかめで、食酢スポット処理+物理除去で対処しやすい面があります。ただし根本原因(水質・水流)を改善しないと、どちらも繰り返し発生します。
Q, 赤ゴケが水草に付いています。水草ごと処理してもいいですか?
A, 水草についた赤ゴケの処理は慎重に行う必要があります。薬品処理(食酢・クエン酸)を水草に直接かけると、水草にもダメージが及ぶことがあります。水草に付いた赤ゴケへの対処法として最もおすすめなのは、水草が付着した流木・石ごと取り出し(水草が活着している場合)、水草を外した状態で流木・石を食酢に浸ける方法です。水草のみの場合は、0.5%程度の食酢水溶液に1〜2分浸けてから水道水で軽くすすぐ程度にとどめてください。コケが付いた葉を直接トリミング(カット)して除去するのも安全な方法です。
Q, 赤ゴケは魚に害がありますか?放置してもいいですか?
A, 赤ゴケ(紅藻類)自体が直接的に魚に毒性を持つことはほとんどありません。ただし放置すると以下の問題が生じます。(1)ガラス面を覆うと光が遮られ水草が枯れる、(2)フィルター吐出口に詰まると水流が変化して水質悪化につながる、(3)底砂に広がると底砂内の通気性が低下してガス(硫化水素等)が発生するリスクがある、(4)見た目が悪くなる。コケそのものより、コケが招く二次的な問題の方が深刻なため、発見したら早めに対処することを推奨します。
Q, 赤ゴケを食べる魚・エビを入れれば水質管理しなくても大丈夫ですか?
A, いいえ、クリーナー生体だけで赤ゴケを根絶・再発防止するのは難しいです。クリーナー生体は「発生したコケを食べて目立たなくする」効果はありますが、コケの発生原因(水道水の塩素・高硬度・リン酸過多など)を解決するわけではありません。クリーナー生体が食べる速度よりもコケの増殖速度が上回ると、結局コケは増え続けます。生体導入はあくまで補助手段として、水質改善・換水・物理除去と組み合わせることが大切です。
Q, 水槽をリセット(全水換え・底砂交換)すれば赤ゴケはなくなりますか?
A, リセットによって一時的に赤ゴケをゼロにすることはできますが、水質・管理方法を変えなければ再発します。リセット直後の新設水槽は特に赤ゴケが発生しやすい時期でもあるため、リセット後こそ水質管理・カルキ抜き・水流調整をしっかり行うことが重要です。リセットを行う場合は、底砂・ろ材・流木・石などを次亜塩素酸ナトリウム溶液で一度処理してから使用することで、付着していたコケの胞子・細胞を除去できます(ただし中和処理を必ず行うこと)。
Q, 赤ゴケが発生している水槽に新しい魚を入れても大丈夫ですか?
A, 赤ゴケがある程度発生している水槽に新しい生体を追加することは、慎重に判断してください。コケが大量発生している状態は「水槽の水質バランスが崩れているサイン」であることが多く、新しい生体に対してもストレスがかかる環境になっている可能性があります。まず現状の生体の状態(食欲・泳ぎ方・体色)を確認し、異常がなければ追加は可能ですが、赤ゴケの原因対策を同時に進めるようにしてください。クリーナー生体(オトシンクルス・石巻貝など)を追加するのであれば、状況改善につながるため積極的に検討してください。
Q, 食酢処理した後、どのくらいで水槽に戻してよいですか?
A, 水槽外で食酢処理した器具(流木・石・フィルターパーツ等)は、水道水で十分にすすいだ後、15〜30分程度水道水(カルキ抜き済み)に浸けてから水槽に戻すのが安全です。食酢(酢酸)は揮発性が高く、水ですすぐことで残留量は急速に減少します。水槽内でスポット処理した場合は、処理後30分〜1時間後に20〜30%の換水を行えば十分です。念のため水槽水のpHを測定し、通常のpHに戻っていることを確認してから生体の状態を観察してください。
Q, 「赤ゴケ対策」として売られている添加剤は効果がありますか?
A, 市場には「コケ抑制剤」「アルジサイド」など、コケを化学的に抑制する添加剤があります。これらの多くは銅化合物・次亜塩素酸系・過酸化水素系などを主成分としており、コケに直接ダメージを与えます。即効性はある程度期待できますが、(1)水草・エビ・一部の魚にもダメージを与えるリスクがある、(2)生物ろ過のバクテリアに悪影響を与える場合がある、(3)添加をやめれば再発する(根本解決にならない)、というデメリットがあります。添加剤は「どうしても急いで対処したい短期的な措置」として使い、並行して根本原因の改善を進めてください。
Q, 光を当てる時間を減らせば赤ゴケは減りますか?
A, 照明時間の短縮は緑コケや一部の藻類には有効ですが、赤ゴケ(紅藻類)に対する効果は限定的です。紅藻類はフィコエリスリン(赤色色素)を使うことで、弱い光や短波長の光(青〜緑光)でも光合成ができる特性があります。そのため照明を暗くしても赤ゴケは意外と減りにくいです。むしろ照明を極端に暗くすると水草が弱って競合能力が落ち、かえってコケが優勢になるケースもあります。赤ゴケ対策としては照明制御より水質・水流対策を優先してください。
Q, 赤ゴケが出るのは新しい水槽だけですか?長年使っている水槽にも出ますか?
A, 赤ゴケは新設水槽でよく見られますが、長年使っている水槽でも条件が変わると発生します。例えば(1)使用する水道水の水質が変わった(水道局の水源・処理方法の変更)、(2)フィルターや設備を変えて水流パターンが変化した、(3)生体の数が増えてリン酸・硝酸塩の負荷が増した、(4)換水を怠った期間があった、などのタイミングで突然発生することがあります。安定した水槽でも油断せず、定期的な掃除・換水・水質チェックを続けることが大切です。
Q, 水道水の代わりに井戸水を使えば赤ゴケが出にくくなりますか?
A, 井戸水は塩素を含まないため、カルキ問題は解消されます。しかし井戸水は地域によって硬度や水質が大きく異なります。石灰岩地帯の井戸水は非常に硬度が高く(100mg/L以上)、赤ゴケの発生を促進する場合があります。また硝酸塩濃度が高い井戸水も存在します。井戸水を使用する場合は、必ず水質検査(pH・硬度・硝酸塩・鉄分等)を行ってから使用可否を判断してください。水道水の方が品質が安定していることも多いため、井戸水への切り替えが必ずしも解決策になるとは限りません。
Q, 赤ゴケが発生したので水槽の魚を全部出して底砂をかき混ぜて掃除しました。これで解決しますか?
A, 底砂をかき混ぜると底砂内に堆積していた有機物・栄養塩(リン酸・硝酸塩)が一気に水中に放出されるため、逆効果になる可能性があります。底砂掃除は「底砂クリーナー(プロホース等)で底砂の汚れを吸い出しながら換水する」方法が正解です。かき混ぜることなく、底砂の間に詰まった汚れをゆっくりと吸い取ることで、水槽の水質改善につながります。また魚を全部出す必要はなく、底砂クリーナーを使いながら通常の換水をする方が生体へのストレスが少なくてすみます。
まとめ
赤ゴケ(紅藻類)は、水槽管理に取り組む方なら一度は経験するポピュラーなトラブルです。しかしその原因と対策を正確に理解することで、必ず根絶・再発防止ができます。この記事の内容を振り返ってみましょう。
赤ゴケの正体と特徴:赤ゴケは紅藻類(Rhodophyta)の仲間で、チョウジャコケ属(Compsopogon)が代表的な種です。赤〜ピンクの独特の色は赤色の光合成色素(フィコエリスリン)によるもので、藍藻や緑コケとは異なる生き物です。発生しやすい場所はフィルター吐出口・ガラス面・流木・石の表面です。
発生原因:主な原因は(1)水道水の塩素(カルキ)、(2)高硬度の水(GH高め)、(3)強水流、(4)リン酸・硝酸塩の蓄積、(5)CO2不足(水草水槽)、(6)新設水槽の不安定期、の6つです。これらが重複するほど発生しやすくなります。
駆除方法:物理除去(スクレーパー・ブラシ)と薬品処理(食酢・クエン酸)を組み合わせるのが効果的です。食酢のスポット処理は手軽で安全性が高いため、まずここから始めることをおすすめします。クリーナー生体(オトシンクルス・石巻貝・フネアマ貝など)も補助として有効です。
根本解決・予防:最も重要なのは水道水の水質改善です。カルキ抜き剤の確実な使用、場合によってはRO浄水器の活用、軟水化剤・ソイルによる硬度低減などを実施してください。加えて、毎週の換水時にガラス面を磨く習慣、水流の適正化、リン酸除去剤の活用を継続することで再発を防げます。
赤ゴケ対策の優先順位まとめ
- カルキ抜きを確実に行う(毎回の換水で必須)
- 発生したコケを食酢スポット処理+物理除去で取り除く
- 水流の強さをフィルター出力調整で適正化する
- 週1〜2回の換水で水質を安定させる
- クリーナー生体(オトシンクルス・石巻貝)を導入する
- 硬水地域の場合はRO浄水器または軟水化剤の使用を検討する
- リン酸除去剤をフィルターに設置する
- 毎週のガラス面掃除を習慣化する
赤ゴケに悩んでいる方へ、私からひとこと伝えさせてください。「どんなに管理を頑張っていてもコケは出る」ことがあります。これはアクアリウムをしている以上ほぼ避けられないことで、自分だけが下手だとか、水槽が失敗しているとか思わないでください。大切なのは、コケが出たときに正確な原因を見つけて、適切な対策をとれる「アクアリスト力」を磨くことです。コケとの戦いを経験するたびに、水槽管理の知識とスキルが確実に上がっていきます。


