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はじめに

「ウナギ」と聞くと、どうしても「蒲焼き」「肝吸い」「ひつまぶし」等が思い浮かぶ方が多いかと思いますが、今回は飯テロ記事ではなく「日本産淡水魚」としてのウナギの飼育方法や注意点等について皆様にご紹介させていただきます。
ニュースや新聞では絶滅危惧種、数が激減していると報道されていますが、養殖用のウナギの稚魚の一部がペットとして流通されており、食べるだけでは分からない魅力の虜になっている方も少なくありません。
この記事では、ウナギの基本的な生態から水槽の立ち上げ方、餌付けのコツ、脱走対策、混泳、病気の治療、さらにはちょっとした豆知識まで、私が20年間の飼育の中で得た一次体験も交えながら、できるだけ丁寧に解説していきます。これからウナギを迎えたい方も、すでに飼っていて悩んでいる方も、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事でわかること
- ニホンウナギの生態と、水槽飼育に向いている理由
- 水槽サイズ・水温・水質といった適正環境の作り方
- 最重要課題である「脱走対策」の具体的な方法とチェックリスト
- 稚魚から成魚までの餌の種類と給餌頻度
- 混泳できる相手・できない相手の見分け方
- かかりやすい病気とその治療法、予防のポイント
- 10年以上付き合うための長期飼育のコツ
ウナギってどんな魚?


ウナギはウナギ科ウナギ属というグループに含まれる魚で、世界には19種類いるとされています。
その中でもヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、ニホンウナギ、オオウナギが食用として知られており、ニホンウナギの場合は成長すると1〜1.3m程の大きさに成長します。
繁殖時は海に降ってマリアナ海溝で産卵、
仔魚〜幼魚までを海、稚魚になると川を遡上して淡水域で生活するようになります。
見た目はよくスーパーやコンビニ等の「土用丑の日」の広告に描かれている通り、やや平たい頭部に細長い体を持っており、背ビレ、尾ビレ、尻ビレが一体化して体の後半部に続いています。
体色は黒褐色や黄褐色、やや青みがかった黒で腹側は白〜乳白色をしています。遡上中の稚魚は体色が薄いため、シラスウナギという呼び名以外に「銀ウナギ」と呼ばれる事もあり、ペットショップでは稀にこのサイズが入荷する事もあります。
泳ぎは得意ではなく、長い体をヘビのようにくねらせて泳ぎます。
速度はイワナやアユとは比較にならない程ゆっくりですが、何かに驚いた時はそれなりに素早く泳いで逃げていきます。
☆ウナギにはウロコが…ある!!
「ご冗談を」と思われそうですが、実はウナギにはウロコがあります。
外見からは確認できませんが、
「真皮」つまり皮の中に埋まる形で存在しているのです。
これは、進化の過程で岩の隙間等に潜り込む際ウロコが邪魔だから皮に埋めたという説があります。
ウナギのウロコは若干細長い小判のような形をしており、ウナギの皮を食べている時にちょっと違和感がある場合は大体ウロコです。
1,生息地は?

ウナギの仲間は世界中の熱帯〜温帯域の河川や海に生息しているとされています。
ニホンウナギの場合は河川の中流〜下流、湖、河口、内湾に生息しており、岩の隙間や砂の中、流木の下等の狭い所を好んで棲み家にしており、夜になると活発に行動を開始します。
■こんな所にも!?
ウナギと聞くと水がキレイな場所にいそうなイメージが強いですが、水質自体が悪くなければ濁った川にも生息しています。地域によっては用水路や小川でウナギが釣れたという話もあります。
☆根性でお引っ越し!?
意外と生息範囲の広いウナギですが、遡上の時は必死に体をくねらせて岩肌を登り、滝を越える事もあります。
さらに、皮膚呼吸も可能な魚なので体が濡れてさえ入れば住んでいた場所を捨てて新しい住居を探しに行く事すらある根性の塊なのです。
雨の日や雨上がりにウナギが陸地で体をくねらせながら移動して発見者を驚かせる事もあります。
2,何を食べているの?
ウナギは肉食性の淡水魚で、野生下ではカワゲラ等の水生昆虫や小魚、ミミズの他にもカエル等の両生類、カニやエビといった甲殻類を捕食しています。
飼育下の場合、稚魚には冷凍イトミミズやアカムシ、ホワイトシュリンプ、ブラインシュリンプを基本に食べるようであれば沈下性の小型肉食魚用の人工飼料を与えますが、なかなか食べない場合はミナミヌマエビも良い餌になります。
ウナギは嗅覚が非常に発達した魚で、餌のニオイを水中で敏感に察知します。実際に飼っていると、餌を入れた瞬間に隠れ家から鼻先だけ出して「クンクン」とニオイを嗅ぐような仕草を見せ、その後ニョロリと出てきて捕食します。この嗅覚の鋭さが、暗い水中や濁った川で餌を探し当てる秘密でもあります。
3,混泳はできるの?
ウナギの大きさや混泳相手にもよりますが混泳する事は可能です。
あまりにも細長い稚魚の頃ならメダカやタナゴとも混泳ができ、成魚クラスの場合はウナギの口に入らない大きさのドンコやカワアナゴ、カワムツ等と混泳できます。
4,人に慣れるって本当?
ウナギは意外と記憶力が良く、しっかりお世話をしてあげると顔を覚えてくれるようになります。
特に稚魚の段階から飼育された個体は飼い主を見かけただけで隠れ家から出て寄って来たり、ライトが点いていても餌をねだる事があります。
5,寿命はどのくらい?長く付き合える魚
ウナギは日本の淡水魚の中でも屈指の長寿で、飼育下では10年以上生きることも珍しくありません。野生では川や湖でゆっくり成長し、数十年生きた巨大な個体が見つかることもあります。
飼育記録としては、家庭の水槽で20年以上飼われたウナギの話も伝わっています。ペットとして迎えるなら、ハムスターやインコのような小動物とは比べものにならないほど長い付き合いになる、という覚悟が必要です。
6,飼育の時の注意点は?
あまりアクアリウムとしては馴染みが薄いウナギですが、性質や要点をおさえていれば、飼育はそこまで難しい淡水魚ではありません。
ウナギ飼育のポイントとしてこれらが挙げられます。
- 脱走の達人なのでしっかりフタをする事。
- 隠れ家を作る事。
- 表皮やヒレが傷付きやすいので、底砂を敷かない「ベアタンク」での飼育か砂粒が細かい底砂を使う事。
- 水質悪化には強い方だが、決してそれに甘えない事。
「あれ?以外と注意点が少ない?」と思われがちですが、ここはしっかり守っておかないと後々酷いしっぺ返しがあるのもウナギ飼育です。
下の表は、ウナギ飼育の要点を「重要度」と「失敗した時のリスク」とともに整理したものです。初めて飼う方は、特に重要度が高い項目から順に環境を整えていくとスムーズです。
| 飼育要点 | 重要度 | 手を抜いた場合のリスク |
|---|---|---|
| フタと重し | ★★★(最重要) | 脱走・乾燥死。床で発見されるケース多数 |
| 隠れ家の設置 | ★★★ | 常にストレス状態となり拒食・病気の原因 |
| 底砂の選択 | ★★☆ | 粗い砂で尾やヒレが傷つき、そこから感染症 |
| 水温管理(高温回避) | ★★☆ | 30℃超で食欲低下・酸欠・衰弱 |
| 定期的な水換え | ★★☆ | アンモニア蓄積で白点病およびエロモナス症 |
| 餌のサイズ調整 | ★☆☆ | 大きすぎると吐き戻し、小さすぎると痩せる |
ウナギの飼育方法について


ここからは、いよいよ具体的な飼育方法に入ります。導入の水合わせから水槽サイズの選び方、脱走対策、底砂、水草、隠れ家、給餌、フィルター、掃除まで、一つひとつ順を追って解説していきます。
1,導入、水合わせ
ウナギはペットショップに毎度いるような魚ではありませんが、川魚にも力を入れているペットショップだと入荷する事もあります。
基本的に成魚ではなく稚魚が入荷しやすく、ウナギはすぐに隠れてしまうため入荷していても名前と値札だけあって気付きにくいです。
基本的にウナギは全身をなかなか見れないので健康チェックも大変です。充血してないか、体に付着物がないか等をチェックしたら、店員さんにお願いして掬ってもらいましょう。
健康な個体を選ぶための具体的なチェックポイントを下の表にまとめました。お店で個体を選ぶ際の参考にしてください。
| チェック箇所 | 良い状態 | 避けたい状態 |
|---|---|---|
| 体表 | ツヤがあり粘膜で覆われている | 白い綿状の付着物および充血 |
| ヒレ・尾 | 欠けがなく形が整っている | 溶けたような欠けおよび血のにじみ |
| 動き | 触れるとサッと逃げる活発さ | 力なく横たわる、反応が鈍い |
| 呼吸(エラ) | 規則的でゆったりしている | 激しくパクパクし苦しそう |
| 痩せ具合 | 胴体に程よい厚みがある | 頭だけ大きく胴が極端に細い |
近くのペットショップでウナギが取り扱ってなかった場合は通販で探すのも良い手段です。生体の通販に対応した川魚専門店も増えており、銀ウナギサイズの稚魚から飼育を始められます。
ウナギを購入できた次は水合わせです。
Phショックや水温の急変を防ぐために必ず行うようにしましょう。
水槽の水をバケツ等にあらかじめ取っておいてから、ウナギが梱包されている袋を水槽に20〜30分程浮かべて水温を合わせます。
その後袋を開けて、中の水を1/3〜1/4程捨てて水槽の水を入れて10〜15分様子を見ます。ウナギに異常が見られなければ、2〜3回繰り返します。
最後の水足しの時も異常がなければウナギを水槽に放ちましょう。その後あらかじめとっておいた水を水槽に戻して水合わせと導入は完了です。
また、導入直後は環境が変わったストレスから餌を食べない事もあり、水質悪化を招いてしまうので導入初日は餌を与えないようにしましょう。
【注意】水槽の立ち上げは「ウナギを入れる前」に済ませる
ウナギは水質悪化に強いとはいえ、立ち上げたばかりでバクテリアが十分に湧いていない水槽にいきなり入れるのは厳禁です。私自身、過去にこれで痛い失敗をしています(後ほど病気の章で詳しくお話しします)。理想は、フィルターを2〜4週間ほど空回ししてアンモニアを分解するバクテリアを育ててから、ウナギを迎えることです。
2,水槽、水温、水質
ポチップ
ウナギは最終的に1m、あるいは1m越えまで成長するため90〜120cm水槽が必要となります。
しかし、成長は緩やかで体も細長く柔軟性があるため、20〜40cmの間は45〜60cm水槽で飼育が可能です。
水槽サイズと成長段階の目安を表にまとめました。最終的には大型水槽が必要になる魚なので、お迎えの前に「将来120cm水槽を置けるスペースがあるか」を必ず確認しておきましょう。
| ウナギの全長 | 推奨水槽サイズ | 備考 |
|---|---|---|
| 銀ウナギ〜20cm | 30〜45cm水槽 | 稚魚期。フタの隙間に特に注意 |
| 20〜40cm | 45〜60cm水槽 | このサイズで数年は飼育可能 |
| 40〜70cm | 60〜90cm水槽 | 泳ぐスペースに余裕を持たせる |
| 70cm〜1m以上 | 90〜120cm水槽 | 終生飼育を見据えた最終サイズ |
水温は24〜28℃が目安です。
ウナギは高温に弱い面があるため水温が30℃を越えないようにしましょう。
また、水温が10℃を切るとウナギが冬眠するため、冬眠中のお世話が不安な場合は水温が下がりすぎないようにヒーターを入れて水温を保ちます。
水質は弱アルカリ性〜弱酸性まで幅広く対応しています。
極端にphが傾いていなければ飼育に問題はありません。
適正な水質パラメータを下の表にまとめました。ウナギは丈夫な魚ですが、「丈夫=放置していい」ではありません。下の数値を一つの目安として、定期的に試験紙やテスターで測ってあげると、トラブルを未然に防げます。
| 項目 | 適正範囲 | 補足・ワンポイント |
|---|---|---|
| 水温 | 24〜28℃ | 30℃超は危険。夏場はファンや冷却で対策 |
| pH | 6.5〜7.8(弱酸性〜弱アルカリ性) | 幅広く対応。急変だけは避ける |
| アンモニア | 0mg/L | 検出されたら即水換え。立ち上げ直後は要注意 |
| 亜硝酸 | 0mg/L | 検出は濾過不足のサイン |
| 硝酸塩 | 25mg/L以下を目安 | 水換えで薄める。蓄積で食欲低下 |
| 水換え頻度 | 週1回・1/3〜1/2 | 肉食で水を汚しやすいため重要 |
☆ヒーターの設置場所に一工夫!
ウナギは低層を泳ぐ種類であり、狭い所が大好きです。特に稚魚の時は鉛筆より細い体と小豆サイズの頭というサイズ感であり、その体を活かして私達の想像もつかない所に潜り込んでしまいます。
この時によく巻き付いてしまうのが「ヒーター」です。電源がオフの時に巻き付いてみたり、ヒーターカバーを付けるとカバーに巻き付きます。
ヒーターは低層を泳ぐ種類にとっては火傷の原因になってしまうので悩むかも知れませんが、実はヒーターの設置場所を中層辺りに設置するだけでウナギが巻き付く頻度を下げる事ができます。
3,フタ(脱走対策)
飼育の必需品です。
ウナギは脱走の達人であり、少しでも隙間があるとニョロニョロ登って逃走する事があります。
ウナギ飼育で「最重要」と言っても過言ではないのが、この脱走対策です。タナゴやメダカ、オイカワなど多くの日本産淡水魚を飼ってきましたが、これほど脱走に執念を燃やす魚はウナギだけだと断言できます。彼らは体の柔軟性と皮膚呼吸という武器を活かし、私たちの「まさかここから?」という隙間を平然と突破してきます。
具体的な脱走対策のチェックリストを表にまとめました。お迎え前と、その後も定期的にこの表で「隙間がないか」を点検する習慣をつけると安心です。
| チェック項目 | 対策方法 | 確認 |
|---|---|---|
| 水槽のフタ | 全面を覆うガラスフタまたはアクリル板を使用 | □ |
| フタの上の重し | 本や石など、ウナギが押し上げられない重さを乗せる | □ |
| コード・チューブの隙間 | ウールマットおよびスポンジでみっちり塞ぐ | □ |
| フィルター給排水口 | スポンジプレフィルターやネットで侵入を防ぐ | □ |
| 給餌口・小窓 | 使わない時は必ず閉める。開けっ放しにしない | □ |
| 水位 | 水面から上端まで余裕を持たせ、飛び出しの足場を減らす | □ |
| 水換え・掃除中 | 作業中も油断せず、フタを大きく開けっ放しにしない | □ |
【重要】脱走は数分の油断で起こる
ウナギの脱走で一番多いのが、実は「水換えや掃除の最中」です。フタを開けて作業に集中している間に、するりと縁を乗り越えてしまうのです。作業中も水槽から目を離さない、あるいは作業用に網やフタで一時的にカバーするなど、ほんの数分の油断が命取りになることを忘れないでください。
4,底砂
ウナギは確かに滑らかな表皮と粘液に守られてはいますが、意外と尾の方は繊細です。
少しでも傷付くとそこから一気に病気になってしまう事もあるため、底砂を使う場合は粒の細かい川砂や田砂がオススメです。
また、ウナギ飼育には底砂が必須という訳でもないので、底砂を敷かない「ベアタンク」で飼育する事もできます。
底砂を「敷く」か「敷かない(ベアタンク)」かは、どちらにもメリット・デメリットがあります。下の表で比較してみました。掃除のしやすさを取るならベアタンク、自然な雰囲気や砂に潜る姿を楽しみたいなら細かい砂、という選び方が分かりやすいかと思います。
| 底床タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 田砂・細かい川砂 | 体を傷つけにくく、砂に潜る自然な姿が見られる | 掃除でフンが舞いやすく、吸い出しに少しコツが必要 |
| ベアタンク(底砂なし) | フンや食べ残しの掃除が圧倒的に楽で衛生的 | 底が滑りやすく、見た目がやや無機質 |
| 大磯砂・粗い砂利 | 安価で手に入りやすい | 角で尾やヒレを傷つけやすく、ウナギには非推奨 |
5,水草
ポチップ
ウナギは水草に対して積極的にイタズラをする種類ではありませんが、大きな個体ですと泳いだ時にマツモやマヤカのような柔らかい水草が抜けてしまう可能性があります。
しっかり根を張って抜けにくい「バリスネリア」や「アマゾンソード」等が育てやすくて安価なのでオススメです。
水草を入れると、隠れ家としての役割に加えて、硝酸塩を吸収して水質を安定させてくれる効果も期待できます。特に流木に活着させるミクロソリウムやアヌビアス・ナナは、ウナギに抜かれる心配が少なく、暗めの環境でも育つので相性が良いです。レイアウトに困ったら、まずは流木+活着系水草から始めるのがおすすめです。
6,隠れ家
ウナギ飼育には無くてはならない物です。
安心できる場所であり、ウナギは餌を食べ終わるとお気に入りの隠れ家に帰る習性があるため、帰る場所を提供してあげてください。
よく使われるのは土管や塩ビパイプですが、ハムスター用のトンネルを繋ぎ合わせた物も隠れ家として利用できます。
私達にとって「?」でもウナギは意外とすんなり入ってトンネルを楽しんでくれるので、個性を出したい方にオススメの一品です。
隠れ家を選ぶときのポイントは、「ウナギの胴回りよりほんの少し太いくらい」のサイズを選ぶことです。ウナギは体がぴったり収まる狭い空間を好むので、太すぎる土管よりも、体にフィットする塩ビパイプの方が落ち着いてくれます。成長に合わせて、少しずつ太いパイプに替えていってあげましょう。
☆アクロバティック就寝!
私達人間は変な体勢で寝てしまうと首を寝違えたり体を痛めてしまいがちですが、ウナギはそのまま好きな体勢でスヤスヤと寝てしまいます。
塩ビパイプ等を複雑に繋げて隠れ家にしてあげるとそれがよく観察でき、Z型の部分や8の字の部分をそのままの形で入って爆睡してしまいます。
7,給餌について
ウナギは成長段階に合わせて与える餌の種類を変える必要があります。
- 稚魚の場合は冷凍のアカムシやホワイトシュリンプ、小型肉食魚用の沈下タイプの人工飼料、ミナミヌマエビやアカヒレの稚魚等を与えます。
- 成魚サイズの個体には、口に入るサイズのオイカワの稚魚やスジエビの他にも冷凍ワカサギ、肉食魚用の沈下タイプの人工飼料といったように稚魚とはメニューを変えていきましょう。
成長段階ごとの餌の種類と給餌頻度を、下の表に整理しました。ウナギは育つにつれて口も体も大きくなるので、それに合わせて餌のサイズと種類をステップアップさせていくのがポイントです。
| 成長段階 | 主な餌 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 稚魚(〜20cm) | 冷凍アカムシ、冷凍ホワイトシュリンプ、ブラインシュリンプ、ミナミヌマエビ | 1日1回、食べ切る量 |
| 幼魚(20〜40cm) | 小型肉食魚用の沈下人工飼料、冷凍アカムシ、スジエビ | 1日1回または2日に1回 |
| 成魚(40cm〜) | 大型魚用の沈下人工飼料、冷凍ワカサギ、スジエビ、オイカワの稚魚 | 2〜3日に1回 |
| 共通の注意 | 口に入るサイズに調整。食べ残しは速やかに除去 | 消灯15分後が理想 |
ポチップ
給餌の頻度は1日1回で、夜行性の彼らのためにライトがあれば消灯約15分後に餌を与えます。
ライトを使っていない場合は暗くなって活発に泳ぎ始めた頃に与えると食い付きが良くなります。
生き餌から人工飼料への餌付けのコツ
お迎えしたばかりのウナギは、生き餌(赤虫やミナミヌマエビ)しか食べないことがよくあります。最終的には管理が楽な人工飼料に切り替えたいところですが、いきなりは食べてくれません。「生き餌に少しずつ人工飼料を混ぜていく」のが定番のコツです。
☆実は光に慣れちゃう
暗い世界が好きなウナギですが、ライトのある生活に慣れると点灯中でも餌を食べてくれるようになります。
中には土管から顔を出して目の前を歩くスジエビを捕食するという「ぐうたら捕食」を見せてくれる個体もいます。
8,フィルターについて
ウナギ飼育には殆どのフィルターを使う事ができますが、外掛け式フィルター、上部式フィルター、スポンジフィルター、底面式フィルターを使う場合は少々注意が必要です。
これらのフィルターは出水口にウナギが入り込む事があり、水槽にいないと思ったらフィルターの出水パイプや出水口を登ってフィルターの内部にいた、なんて事もあります。
肉食で水を汚しやすいウナギには、生物濾過と物理濾過をしっかり確保できる外部式フィルターや上部式フィルターが特におすすめです。大型水槽になるほど濾過能力が必要になるので、水槽サイズに対して「やや大きめ」のフィルターを選ぶと、水質が安定して病気のリスクも下げられます。出水口や吸水口にはスポンジやネットを噛ませて、ウナギの侵入を防いでおきましょう。
9,掃除、水換え
ウナギは水の汚れにも強い種類ではありますが、如何せん肉食性なので水を汚しやすいのと水槽の中という限られたスペースなので週に1回、1/3〜1/2の量の水換えを行います。
まずは飼育器具の電源を落とします。
水槽の壁面についたヌメリやコケ等の汚れはメラミンスポンジやスクレイパーで落とし、隠れ家の土管等は1度水槽から取り出してから汚れを落とします。
水草が伸びている場合はトリミングを行い、枯葉や余分な子株、伸びすぎた部分をカットしましょう。
あらかた水槽の汚れを落としたらクリーナーポンプで汚れごと水を吸い出すのですが、川砂や田砂は細かくて軽いため底砂まで排出しないように高さを保ちながら水を排出します。
水槽内の掃除が終わったら、カルキ抜きを行い水温を合わせた新しい水を水槽に入れ、飼育器具の電源を戻せば掃除と水換えは終了です。
ベアタンクの場合は底面の汚れもしっかり落としてからクリーナーポンプで汚れやフンを水ごと一気に排出し、洗い終わった隠れ家を戻します。
その後水温を合わせ、カルキ抜きも行った新しい水を水槽に入れ、飼育器具の電源を戻します。
フィルター内部の掃除は頻繁にやる必要はありませんが、オールインワンタイプの濾材やウールマットの場合は目詰まりの解消のために週に1回は洗うようにし、汚れや傷みが酷い場合は新しい物と交換します。
生物濾材の場合は1ヶ月に1回を目安に掃除しますが飼育水で軽くすすぐようにして洗い、バクテリアの減少を抑制しましょう。
【ワンポイント】水換え中こそ脱走に最大級の注意を
繰り返しになりますが、掃除や水換えでフタを開けている時間は、ウナギにとって絶好の脱走チャンスです。私は水換えの際、ウナギが入っている隠れ家ごと別容器に一時避難させるか、ウナギが落ち着いている時間帯を選んで手早く作業するようにしています。「あとで戻せばいいや」と油断していると、本当に一瞬でいなくなります。
ウナギがかかりやすい病気について


ウナギは生命力が強く、水槽から飛び出したとしても皮膚呼吸とガッツで他の種類の魚達と比べてもそこまで深刻なダメージを負わなかったり、水の汚れにもある程度耐性があるので病気にもなりにくい面が魅力的でもあります。
しかし、ウナギの強さに油断していると予期せぬ病気にかかって死んでしまう事があるのです。
下の表に、ウナギがかかりやすい主な病気の症状・原因・主な治療法をまとめました。早期発見・早期治療が何より大切なので、毎日の観察で「いつもと違う」サインに気づけるようにしておきましょう。
| 病名 | 主な症状 | 主な治療法 |
|---|---|---|
| 水カビ病 | 体表やヒレに綿状の付着物 | 薬浴(グリーンF系)または塩水浴 |
| 白点病 | 体表に小さな白い粒が点々と付く | 塩水浴または薬浴(メチレンブルー等) |
| ウーディニウム症 | 乳白色〜薄黄色の粉状の付着物 | 塩水浴・薬浴・複合治療 |
| カラムナリス症 | ヒレや口の白濁、爛れ、壊死 | 薬浴(観パラD、グリーンFゴールド) |
| 白雲病 | 体表に雲状のモヤモヤした膜 | 薬浴(マラカイトグリーン等) |
| エロモナス症 | 体表の充血が広がりボロボロに | 薬浴(観パラD、パラザンD、エルバージュ) |
1,水カビ病
水カビ病は「綿かぶり病」とも呼ばれる病気で、水槽内で発生した水カビに長時間触れたりヒレ先や傷口にカビが付着、発生する事で起きる病気です。
水槽内の生物濾過が上手く機能していなかったり、食べ残しを放置して水カビを発生させてしまった事が原因です。
また、日淡の場合はヒーター無しの「無加温」で飼育も可能という特徴があり、低い水温で飼育すると濾過バクテリアの働きが鈍くなって水カビが発生しやすくなったりもします。
特にウナギやオヤニラミのような肉食性の強い種類だとフンや食べ残しに水カビがかなり生えやすいので注意が必要です。
ウナギは基本的に1ヶ所に留まっており、粘膜に保護されていないヒレ先や傷付きやすい尾に水カビが触れて病気になってしまうケースが多く、白点病より苦しめられる病気です。
治療方法ですが、ヒレ先にちょっと付いているくらいであればピンセットで取り除いてから薬浴を行いますが、慣れていない方にはウナギの捕獲自体が大変なので、そのまま治療用の水槽に移して薬浴します。
薬浴にはメチレンブルーやマラカイトグリーン、グリーンFの薬品やアグテンを使います。
これを規定量投薬して薬浴をするのですが、ウナギは稀に薬に対してかなり敏感に反応する事があるため様子を見ながら少しずつ投薬するのが無難です。
薬浴を開始してから3〜5日に1度水換えをし、体から生えている水カビが消え、患部が再生するまで薬浴を続けます。
また、ウナギは塩分にも強く水カビは塩分に弱い事を利用して「塩水浴」による治療も可能です。
その場合は水10Lに対し塩50gを溶かして作った塩水で飼育する事で治す事もできます。
水カビ病からウナギが元気になって本来の水槽に戻す前に、飼育環境の見直しをして再発防止に努める事も大切です。
2,白点病
ポチップ
どんな魚にも出てくる病気と言っても過言ではない有名かつ厄介な病気です。
水温の急変や水質悪化が原因で発生する病気で、初期症状では体表に小さな白い粒が数個付く程度ですが、悪化すると粒の数が増えてエラを塞いでしまったりして魚が衰弱、最終的には死に至ってしまいます。
ウナギは隠れ家にいる事が多く、気付いたらかかっていたというパターンも多く、特に粘膜が薄い稚魚の時がかかりやすい面があります。
治療には塩水浴か薬浴を行います。
塩水浴の場合は水10Lに対し50gの塩を溶かして作った塩水で行いますが、白点病はしつこい病気でもあるため比較的ダメージが少ない初期症状の治療に向いています。
薬浴の場合はメチレンブルーやマラカイトグリーン、グリーンF系の薬品、アグテンを使い、こちらも様子を見ながら投薬します。
白点病の原因虫は、水温を少し高め(28℃前後)に保つとライフサイクルが早まり、薬が効きやすくなる性質があります。ただしウナギは高温に弱いので、上げすぎは禁物です。私が白点病で苦戦した時は、水温を27〜28℃にキープしつつ塩水浴を併用して、なんとか乗り切りました。早期に気づいて初期段階で対処できたのが、回復できた一番の要因だったと思います。
3,ウーディニウム症
「コショウ病」「ベルベット病」とも呼ばれる病気で、乳白色〜薄黄色の細かい粉のような物が体表に現れます。
かかった魚はヒレをたたんで力なく横たわったり、体をプルプルと小刻みに震わせたりします。
原因は水質の悪化や急変、病気の魚を持ち込んでしまった、フィルターや水槽掃除をサボった事等が挙げられます。
特にウナギの場合は活餌を与えている場合、その与えていた魚が病気の事もあるため与える前によくチェックしましょう。
治療には塩水浴、薬浴、それらの複合治療があります。
塩水浴の場合は白点病や水カビ病と同じように、水10Lに対し塩50gを溶かして作った塩水を使います。
複合の場合はこの塩水にマラカイトグリーンを投薬した物を治療に使います。
薬浴の場合はグリーンF系の薬品やマラカイトグリーン、メチレンブルーを投薬します。5〜7日に1度水換えを行い、体表の細かい付着物が消えるまで投薬治療を続けます。
4,カラムナリス症
発生した部位によって「尾腐れ病」「口腐れ病」「エラ腐れ病」と呼ばれる事もあります。
症状は発生した部位に白〜黄色の付着物が現れ、充血も見られるようになります。次第に症状が進行すると、患部が爛れたようになってしまい壊死してしまいます。
ウナギの場合はヒレが溶けて無くなってしまったり、体表等の患部が壊死して死んでしまう事も多い病気です。
原因は水質の悪化や水温の急変等が挙げられます。
治療には薬浴と塩水浴があり、薬浴の場合は観パラD、パラザンD、グリーンF、グリーンFゴールドを使います。塩水浴の場合は先述した病気の治療用に使う塩水の作り方を参照していただければと思います。
薬浴を開始して5〜7日に1度水換えを行い、再び投薬して体の付着物が消えて患部が再生するまで治療を続けます。
症状が進行して失ってしまった部位には再生しなかったり元のように再生しない事もあるため、発生させないように日頃から飼育環境を維持したり健康チェックをするようにしましょう。
5,白雲病
「何か聞きなれない病気」と感じるかも知れませんが、アクアリウムの世界でもなかなかコアな病気だと思います。
症状は体表にまるで「雲」のようにモヤモヤとした膜が出てくるのですが、この正体は魚から分泌される「粘液」で症状が悪化するとこれらの膜がエラを塞いで死に至ってしまう恐ろしい病気です。
ウナギやウツボ等の飼育の際に見られる事もあり、初期症状はヒレに白っぽい点々が現れ、進行すると全身に雲のような膜が現れます。魚の方も底の方でジッとしている事が多くなります。
原因は水温の急変やストレス、水槽に移す時等のphショック等が挙げられます。また、ウナギに「鞭毛虫」「繊毛虫」が寄生して体液を吸う事で発病するとも言われており、上記の理由で弱ったウナギに寄生虫が寄生した事による病気と考えられます。
治療には薬浴を行い、マラカイトグリーンやメチレンブルー、グリーンF系の魚病薬を使います。
6,エロモナス症
感染力、致死率、治療難易度の高さからとにかく悪名高い病気です。
ウナギの養殖場では「赤鰭病」という病名でも知られています。
初期症状では体表の数ヶ所に充血が見られますが、進行に伴って充血の範囲が広がり体表もボロボロになって痛々しい姿となって死に至ります。
原因は水質の悪化や病気の魚を持ち込んでしまったり、腐った餌を食べてしまった事等が挙げられます。
治療には観パラDやパラザンD、エルバージュ、グリーンFゴールドによる薬浴を行います。
治療を開始したら3〜5に1度水換えをして再び投薬し、患部の荒れや充血が治るまで続けます。エロモナス症は非常にしつこく、治療にかなりの時間とストレスを与えてしまう病気なので発生しないように水質悪化や与える餌にも気を付けるようにしましょう。
☆昔ながらの治療方法!その名も「鷹の爪療法」!
塩水浴は前提として「病魚が塩分に耐性がある事」、薬浴は「薬に弱い種類だと使いづらい」という面がありますが、この「鷹の爪治療法」は初期症状であれば白点病や水カビ病、白雲病に効果があるとされています。
つまり、初期症状に限られはしますが薬品や塩分に弱い種類に使う事ができる治療方法なのです。アクアリウムの世界ではかなり昔から知られる民間療法という一面もあります。
使う量は水10Lに対して鷹の爪を1本使いますが、この時種は取り除いて輪切りにしておきます。
この治療は鷹の爪に含まれる「カプサイシン」を利用した物で、カプサイシンは種に多く含まれる事からカプサイシン過多になるのを防ぐために種を取り除くと考えられます。
刻んだ鷹の爪は濾過材を入れる用のメッシュパックやコーヒーフィルター等に入れ、水槽や濾過槽に浮かべたり沈めたりして使います。
■無加温飼育の場合は「冬眠」に注意!
ウナギは日本の淡水魚なので寒さにはある程度耐性があります。しかし、基本的に冬のウナギは水温が低くなると「冬眠」して寒さを凌ぐため水温が低すぎると冬と勘違いしてしまう事があるのです。
この間は餌も受け付けずジッとしているため「拒食症」と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、ウナギの体に異常がなく、ただジッとしている場合は水温計を確認する事を推奨いたします。
もし10℃以下であれば、ウナギが冬眠していてもおかしくはありません。冬眠でビックリしたくない方は必ずヒーターで保温し、冬眠をさせたい方は冬眠前にしっかりと餌を食べさせてあげましょう。
7,病気を防ぐ日々の予防策
ここまで様々な病気を紹介してきましたが、ウナギ飼育で本当に大切なのは「治療」よりも「予防」です。私の失敗談からも分かるように、ウナギの病気のほとんどは水質悪化・水温の急変・持ち込みが引き金になります。逆に言えば、この3つを防げば病気のリスクは大きく下げられるということです。
日々できる予防策を整理すると、次のようになります。
- 立ち上げを焦らない:バクテリアが育ってからウナギを入れる
- 水換えのリズムを崩さない:週1回・1/3〜1/2を習慣に
- 食べ残しは必ず除去:肉食なので水を汚しやすい
- 水温の急変を避ける:足し水・換え水は水温を合わせる
- 活餌・新入りはトリートメント:病原体の持ち込みを防ぐ
- 毎日観察する:「いつもと違う」に早く気づくことが最大の治療
もっとウナギが好きになる!?ウナギの豆知識について!


世界中に分布しているウナギには様々な伝説や逸話があったりもします。
1,ウナギの怖い話!?
日本にはウナギにまつわる昔話があります。
昔、川や池に毒を流して魚を捕ろうと村人達が話し合っていた所に黒衣の老いたお坊さんが現れたそうです。
とお坊さんに諭された村人達はそのお坊さんにお団子を振る舞いました。
しかし翌日、諭されたにも関わらず村人達は毒流しを決行してしまいます。
すると池からは主と思われる巨大なウナギが浮かび上がって来ました。
村人達は嬉々としてそのウナギを捌いたのですが、何とウナギの腹の中から出てきたのは先日村人達を諭しに来た、あのお坊さんに振る舞ったお団子が詰まっていた…というお話があります。
2,あの物語にも登場!
国語の授業等で1度は読んだ事があるかも知れない「ごんぎつね」にも実はウナギが登場しています。
ごんぎつねはイタズラ好きなキツネで、ある日川で魚捕りをしている人を見つけます。
ごんは早速悪さを働き、せっかく捕った魚をどんどん逃がしてしまいます。
その時最後に逃がそうとしたのが立派なウナギでした。
しかし、ウナギを上手く掴む事ができないどころか逆に首に巻き付かれる始末。しかも魚獲りをしていた人に見つかってしまい急いで山に逃げ帰ります。
その数日後、ごんは葬列を見かけますが、そこにいたのは川で魚を捕っていた人でした。
亡くなったのは母親で、体力をつけるさせるためにウナギを捕ろうとしたのでした(一説では「ウナギが食べたい」と言って亡くなった)。
両親がいないごんは自分の行いを深く後悔し、つたないながらも償い続けるという物語です。
3,プロでも見分けが難しい!?天然ウナギと養殖ウナギ
とあるグルメなマンガでは「青物は特に良い」みたいな事を言っていますが、それを真に受けて「天然と養殖の見分け付くよ〜」なんて言うと恥ずかしい目に合うかも知れません。
一般的に天然ウナギは「腹側が黄色みがかって胴体が太い」とされていますが、実際には生息場所や餌によって体格も体色もかなり変わるため養殖ウナギと見比べただけでは見分けるのは至難の技です。
4,カラフルウナギ!

先ほど「生息場所や餌によって体格や体色が変わる」と説明いたしましたが、時折カラフルなウナギが釣れてニュースになる事があります。
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愛知県の「南知多ビーチランド」では何と「バナナウナギ」なるものが展示されているのです。
現在では色が抜けて「熟れすぎたバナナ」と呼ばれていますが、かつては白、黒、オレンジというド派手な錦鯉カラーだったのだとか。
これはウナギが食べていた餌が関係していると言われており、エビやカニ等の甲殻類を好んで食べた結果、その色素によってこのようなカラフルな体色になったようです。
5,絶滅危惧種としてのウナギと、私たちにできること
明るい豆知識が続きましたが、忘れてはいけないのが、ニホンウナギは環境省のレッドリストで絶滅危惧種(IB類)に指定されているという事実です。シラスウナギ(稚魚)の漁獲量は数十年前と比べて激減しており、その生態にはまだ多くの謎が残されています。
ペットとして流通しているウナギの多くは、養殖向けに採捕されたシラスウナギの一部です。だからこそ、一度迎え入れたウナギは絶対に川や池に放流せず、最後まで責任を持って飼い切ることが何より大切です。安易な放流は、地域の遺伝的な多様性を乱したり、病気を広げたりする原因にもなります。
ウナギ飼育のよくある質問(FAQ)

最後に、ウナギ飼育について特に多く寄せられる質問を、Q&A形式でまとめました。お迎え前後の疑問解消にお役立てください。
Q. ウナギの飼育は初心者でも大丈夫ですか?
A. 結論から言うと、ポイントさえ押さえれば初心者の方でも十分に飼育可能です。ウナギは水質悪化や水温変化にも比較的強く、丈夫な魚です。ただし「脱走対策(フタと重し)」「隠れ家の設置」「立ち上げを焦らない」という3点だけは、初心者・上級者を問わず必ず守ってください。この3点を怠ると、せっかくの丈夫さも活かせなくなってしまいます。
Q. 一番気をつけるべきことは何ですか?
A. 間違いなく「脱走対策」です。ウナギは皮膚呼吸ができ、体も柔軟なので、わずか数センチ、時には1〜2センチの隙間からでも脱走します。水槽全面を覆うフタをして、その上に重しを乗せ、コードやチューブを通す隙間はウールマットなどで完全に塞いでください。水換えや掃除の最中も油断は禁物です。
Q. ウナギはどのくらい大きくなりますか?水槽サイズは?
A. ニホンウナギは最終的に1m前後、大きいものでは1.3mほどまで成長します。そのため終生飼育には90〜120cm水槽が必要です。ただし成長は緩やかで、全長20〜40cmの間は45〜60cm水槽でも飼育できます。お迎えの前に、将来的に大型水槽を置けるスペースがあるかを必ず確認しておきましょう。
Q. ウナギの寿命はどのくらいですか?
A. 飼育下では10年以上生きることが珍しくなく、20年以上飼われた例もあります。日本産淡水魚の中でも屈指の長寿です。それだけ長い付き合いになるので、飼う前に「10年後も世話を続けられるか」をよく考えてから迎えてください。
Q. 餌は何を、どのくらいの頻度で与えればいいですか?
A. 稚魚には冷凍アカムシやホワイトシュリンプ、ミナミヌマエビなどを1日1回、成魚には大型魚用の沈下人工飼料や冷凍ワカサギ、スジエビなどを2〜3日に1回が目安です。夜行性なので、照明を消して15分ほどしてから与えると食いつきが良くなります。食べ残しは水を汚すので、必ず取り除いてください。
Q. ウナギは人工飼料を食べますか?生き餌しか食べません。
A. お迎え直後は生き餌(赤虫やエビ)しか食べないことが多いですが、根気よく餌付ければ人工飼料に移行できます。コツは、生き餌に人工飼料を少しずつ混ぜていき、徐々に人工飼料の割合を増やすことです。2〜3週間かけてゆっくり切り替えるイメージで、その子のペースに合わせてあげましょう。
Q. ヒーターは必要ですか?無加温でも飼えますか?
A. ニホンウナギは日本の魚なので、無加温(ヒーターなし)でも飼育自体は可能です。ただし水温が10℃を切ると冬眠状態になり、餌を食べなくなります。冬眠中の管理に不安がある場合や、年間を通して安定して飼いたい場合は、ヒーターで24〜28℃をキープするのがおすすめです。なお、ヒーターは中層に設置するとウナギが巻き付きにくく、火傷予防になります。
Q. 他の魚と混泳できますか?
A. 可能ですが、相手選びが重要です。ウナギは肉食なので、口に入るサイズの魚は食べられてしまいます。混泳させるなら、ウナギの口に絶対に入らない大きさのドンコ、カワアナゴ、カワムツなどが候補になります。「これくらいなら大丈夫」という油断は禁物で、私もメダカを全滅させた苦い経験があります。
Q. 底砂は敷いた方がいいですか?
A. どちらでも飼育できます。田砂や細かい川砂を敷くと、砂に潜る自然な姿が見られる一方、掃除には少しコツが要ります。掃除のしやすさと衛生面を優先するなら、底砂を敷かない「ベアタンク」がおすすめです。大磯砂などの粗い砂利は、ウナギの繊細な尾やヒレを傷つけるおそれがあるため避けてください。
Q. ウナギが急に餌を食べなくなりました。病気でしょうか?
A. まずは水温計を確認してください。無加温飼育で水温が10℃以下になっていると、冬眠状態に入って餌を食べなくなります。これは病気ではないので、体に異常がなければ心配いりません。一方で、水温が適正なのに食欲がなく、体表に白い点や綿状の付着物、充血などが見られる場合は病気の可能性があります。早めに水質を確認し、必要なら塩水浴や薬浴を検討しましょう。
Q. ウナギがかかりやすい病気と対処法を簡単に教えてください。
A. 代表的なのは白点病、水カビ病、カラムナリス症、エロモナス症などです。多くは水質悪化や水温の急変が原因で、治療は塩水浴(水10Lに塩50g)や、グリーンF系・メチレンブルー・観パラDなどの薬浴が基本です。ウナギは薬に敏感なことがあるので、少しずつ様子を見ながら投薬しましょう。何より大切なのは予防で、こまめな水換えと食べ残しの除去を徹底してください。
Q. 飼っていたウナギを川に逃がしてもいいですか?
A. 絶対にやめてください。ニホンウナギは絶滅危惧種ですが、飼育個体を野外に放流すると、地域の遺伝的多様性の撹乱や病気の拡散につながるおそれがあります。一度迎えた生き物は、最後まで責任を持って飼い切るのが飼育者の務めです。どうしても飼えなくなった場合は、引き取り手を探すなど、放流以外の方法を検討してください。
Q. ウナギは人に慣れますか?
A. はい、意外と人に慣れます。記憶力が良く、世話をしてくれる飼い主の顔を覚え、水槽の前に立つと隠れ家から出てきて餌をねだることもあります。特に稚魚から育てた個体は懐きやすく、長く付き合ううちに犬や猫のような愛着がわく魚です。
ウナギと長く付き合うための脱走対策と飼育のコツ

ウナギは適切に飼えば10年以上、長ければ数十年生きる長寿の魚です。最後に、ウナギ飼育で最も重要な脱走対策と、長く健康に飼うためのコツを、私(なつ)の経験を交えてまとめます。
脱走対策を徹底する|ウナギ飼育最大の注意点
ウナギ飼育で最も多い失敗が「脱走」です。ウナギは体が細く力も強いため、フタのわずかな隙間やコード・ホースの通し口から驚くほど簡単に抜け出します。対策は、隙間のない重いフタを使い、その上に重しを載せること。エアチューブやヒーターのコードを通す穴も、スポンジやウールでしっかり塞ぎます。水位を縁から10cm以上下げておくのも有効です。脱走したウナギは乾燥して死んでしまうことが多いため、油断は禁物です。
長期飼育のための環境維持
ウナギは丈夫ですが、長期飼育には安定した水質が欠かせません。週1回20〜30%の水換え、強めのろ過、夜行性に配慮した隠れ家(塩ビパイプ・土管)を用意します。餌は冷凍赤虫・魚の切り身・専用人工飼料を、慣れれば人工飼料中心に。成長に応じて水槽をサイズアップし、終生飼育を前提に迎えることが、長い付き合いの基本です。
まとめ

今回はあどけない表情が可愛い日淡・ウナギについて皆様にご紹介させていただきました。
ウナギと聞くとやっぱり食用というイメージが強いかも知れませんが、ウナギは日淡の中でも比較的飼育しやすく、寿命も長いため長く付き合える魚です。
また、水質悪化にも比較的強いという特徴に甘んじる事なくしっかり飼育管理すれば病気にもなりにくい面があったり、意外と人懐こくて慣れれば手から餌を食べてくれたりライトが点いていても飼い主が近寄ればすり寄って来る事もある程愛嬌に溢れているのです。
改めて、ウナギ飼育で大切なポイントを振り返っておきましょう。
- 脱走対策が最重要:全面フタ+重し+隙間封鎖を徹底する
- 隠れ家は必須:体にフィットする塩ビパイプなどを用意する
- 底砂は細かい砂かベアタンク:繊細な尾やヒレを守る
- 水温は24〜28℃:高温と急変を避ける
- 水質管理を怠らない:丈夫でも週1の水換えは習慣に
- 長寿で人に慣れる:10年以上の付き合いを覚悟する
- 放流は厳禁:迎えたら最後まで責任を持つ
今までの固定概念をとぼけた笑顔と仕草で崩し、新しい発見と珍体験を自身の体のように長く長く楽しませてくれる事でしょう。



