はじめに
夏に限らずある程度の気温があれば、お祭りの夜店でよく見かける「金魚すくい」。
金魚の仕入れやすさや手軽にスペースを作れる事から幼稚園や学校のイベントで行われる事もあります。
そしてプールを泳ぐ金魚の美しさや愛らしさから金魚すくいにチャレンジし、金魚を「初めてのペット」にしたという方も少なくないです。
「金魚すくいの金魚は『早死に』する」
と。
これには様々な要因がありますが、初めてのペットを早く亡くしてしまった事で、それ以降生き物が苦手になったりペットを飼う気がなくなったという方もいます。
飼う気の有無は人それぞれの選択ですが、初めてのペットを亡くした事がトラウマ化して心に暗い影を落とされるのは、筆者としては出来る限りの助けたいと思うのです。
という事で、今回皆様にご紹介するのは「金魚すくいの金魚と長く過ごすための方法」です。
1,まずは軽くおさらい♪金魚の特徴について
金魚は日本だけでなく世界的にもポピュラーな鑑賞魚の一種となっており、その多彩な色合いや体型、ヒレの長さ等が多くの人々を魅了し続けています。
そんな金魚ですが、元々は中国が原産国で、「チイ」という中国産のフナが突然変異し、体色が赤みを帯びた「ヒブナ」が生まれたそうです。このヒブナが金魚の始まりだとされています。
このヒブナ↑をより美しく、より華やかにするため品種改良が行われ、その過程で様々な品種が生まれ、今日に至るのです。
元々がフナという事もあり、広くて溶存酸素量の多い環境で飼育すると30cm前後まで成長する事がありますが、一般的に扱われる60cm水槽だと20cm前後くらいで成長が止まる事がほとんどです。
しかし、マツモやアナカリス、カボンバ、バリスネリア・ナナのように草体が柔らかいものや細いものは麺類でも食べるかのようにモリモリ食べてしまう困った一面もあります。
☆実はとても長く付き合える種類♪
フナに限らずコイの仲間は寿命が長い傾向にあり、大切に飼育すれば、金魚すくいの金魚も熱帯魚のコイの仲間よりずっと長生きしてくれます。
平均寿命は10〜15年、ギネスブックに載っている個体は43年生きたという記録もあり、非公式のものでは45年生きた個体もいるそうです。
2,何種すくえる?金魚すくいの種類について
最近の金魚すくいは単価も安く、ペットショップやホームセンターでもよく見られる「小赤(3〜4cm程の和金)」が主流となっていますが、お店によっては様々な種類の金魚を泳がせている事もあります。
①小赤(和金)
最もポピュラーな金魚であり、小赤と言いながらよく見ると体色が紅白だったり尾ビレが分かれていたり等の個性が見られます。
平均的なサイズは3〜4cmですが、中にはプレイヤーのポイを破壊する任務を請け負った「姉金(5cm以上の猛者)」がいる事もあります。
②出目金
最近では金魚すくいで見る機会が少ない出目金ですが、金魚すくいの金魚軍団の中でも異彩を放つ存在となっています。
体型は寸胴でコロンとしており、左右に飛び出た大きな目とヒラヒラと動く大きな尾ビレが特徴です。
③コメット
名前の通り、アメリカでドジャアアンと誕生した品種となっています。
体型は和金のようなスレンダーボディですが、尾ビレが「彗星」のように長く伸びるのが特徴です。
④琉金
出目金と同じようにコロンとした体型と長くたなびく尾ビレが特徴的な品種です。
出目金のように目が飛び出ていないため、心なしか小顔に見えます。全身が赤かったり、紅白の更紗模様だったりと色彩のバリエーションも豊かで小赤より泳ぎがゆっくりなので狙いやすいです。
⑤大物
体が大きい品種というワケではなく、金魚すくいを盛り上げる高額品種全般を指します。
朱文金やランチュウ、シシガシラ等がこれに当てはまります。
3,何故、金魚すくいの金魚は『死にやすい』と言われているのか?
金魚の特徴や品種が分かったところで何故死にやすいと言われているのか、その理由をご紹介させていただきます。
①すくった側が金魚の飼育方法が分からない
お祭り等のイベントで金魚すくいをした場合、飼育準備が整っていない事が多いです。
お祭り帰りにホームセンター等で飼育セットを購入できればまだ良いですが、そのまま持ち帰ってから適当な入れ物に金魚を移し、水道水をそのまま入れてしまう方も少なくありません。
水道水には殺菌のために「塩素」が入っているのですが、季節や地域によってこの量が微妙に違うとされています。
この塩素は魚達にとって非常に有害で、エラを破壊して呼吸困難にしてしまうのです。
②追い回されて疲れている
金魚すくいの金魚達は多くのプレイヤーのポイから逃げ回るためかなり体力を消耗しています。
③酸欠になっている事も!
元気な金魚を見せるためにエアレーションをしているお店がほとんどですが、水量と魚の数に対してエアレーションが少ない事もあります。
④環境の変化が短い間にたくさんある
金魚すくいの金魚達は専門店であればしっかりケアされた状態でスタンバイしていますが、夜店やイベントではケアまではされていない事が多いです。
場合によっては、
その日の内にショップで購入→夜店にGO→金魚すくいプールに移動(水合わせ無し)→ポイで追われる→ちっちゃい袋でお持ち帰り→新しい環境に到着という弾丸トラベラーもビックリのスケジュール
だったりします。
⑤水質が悪い
金魚すくい用のプールはエアレーションはしていても「濾過」をしていない事がほとんどです。
金魚は意外と水を汚しやすく、フィルターにもよりますが60cm水槽でネオンテトラが300匹飼育できるとされるのに対し、金魚は5〜8cmの個体を3〜6匹くらいしか飼育できないとされる程です。
加えてプールは広くても水深が浅く、水量が少ない中魚の匹数は多いため水質が悪くなりやすくなっています。
4,金魚すくいの金魚の飼育方法について
基本的にペットショップやホームセンターで販売されている金魚と飼育方法は変わりませんが、今回ご紹介させていただいているのは「金魚すくいの金魚」です。
①ケアの方法について
常日頃、生き物を早死にさせてしまう事は許可しない!と飼育に明け暮れる筆者ですが、金魚すくいの金魚達のケアとして大切な事は「飼育器具を揃える事」が一番大切だと思っています。
ご自宅にプラスチックケースや水槽があれば便利ですが、せめてフィルターとカルキ抜きは最速で用意したいところです。
飼育器具を用意したら、カルキ抜きをした水道水を水槽に満たし、水合わせをしてから金魚を移します。
金魚すくいの金魚は餌を与えられていない事が多いので、新しい環境に移動してしばらくしてから泳ぎ回るようであれば、少しだけ餌を与えて栄養を取らせます。
また、食塩や粗塩でも良いですが市販で「鑑賞魚用塩タブレット」がありますので、そちらの方が手軽に塩分やミネラルを供給する事ができるのでオススメです。
Q,どうして塩分が必要なの?
A,塩分やミネラルによって体内の浸透圧を調整するためです。
魚の世界で塩分や浸透圧はとても大切な要素です。
よく寄生虫の治療やナメクジ退治で塩を使う事がありますが、塩分によって体内の水分が奪われる作用を利用しています。(ナメクジ退治の場合は砂糖でも可能)
海水魚の場合は常に海水を体内に取り込むため、体内の塩分濃度が高まり過ぎないように余分な塩分を排出しています。
しかし、淡水魚の場合は淡水中に含まれる塩分が少ないため、なるべく体内の塩分を減らさないように余分な水分を排出して浸透圧を調整しているのです。
しかし、体調を崩している時や弱っている時は浸透圧の調整が上手くできていない事があり、飼育水に塩を少し投入する事で摂取できる塩分濃度を増やして体内の水分やミネラルの循環をしやすくし、体調や体力の回復に繋がります。
②飼育器具について
・水槽
すくった金魚の匹数によりますが、2〜3匹であればしばらくは45cm水槽で飼育する事ができます。
☆すくった金魚、上から見るか横から見るか
コレは人の好みの所が大きいので参考程度ですが、金魚はそれぞれ上見、横見に適した品種がいます。
例えば体型が一般的なフナ型でスピード感溢れる泳ぎ方をする和金やコメットは横見に適した品種とされています。
また、琉金や出目金、ランチュウ等のコロンとした体型で尾ビレが分かれて広がっているような品種は上見向きの品種とされ、ランチュウや土佐金等はトロ舟や水盆で飼育を楽しまれている事もあります。
☆「どんぶり」でも飼育可能!?
魚版カービィのように丸っこい体とフヨフヨ感が可愛らしい「ピンポンパール」という比較的小型の品種をどんぶりで飼育する「どんぶり金魚」という飼育方法が流行った事があります。
小型の投げ込み式フィルターを入れれば幼魚の内はどんぶりでも飼育できない事はありません。
しかし、どんぶりは水量が少なかったりそこまで広い容器ではないため、長期飼育に使う容器としては厳しいです。
・水温、水質
金魚は15〜27℃くらいであれば飼育する事ができます。
しかし、水温が急変すると体調を崩しやすいのでヒーターを設置する事をオススメします。
また、気温に大きな変化がなく、ほぼ一定で水温も急変しない場所で飼育する場合は「無加温」でも飼育できます。
注意点として、金魚は10℃近くまで水温が下がると代謝が下がり、不活発化します。
底の方でジッとして動かなくなったり餌もあまり受け付けなくなるので気を付けてください。
・フィルター
基本的にどんなフィルターでも使う事ができますが、成長した金魚は幼魚期より水を汚しやすいため、成長したら水槽も広くして使うフィルターも濾過力が高い外部式フィルターや上部式フィルターにすると水質の悪化を抑制しやすくなります。
・底砂
鑑賞魚用の底砂であれば基本的に問題なく使う事ができます。
ただし、Phを極端に下げるソイルや極端に上げるサンゴ砂はあまり飼育にオススメできません。
・水草
特徴の方でも少し触れましたが、マツモやバリスネリア・ナナのような細長い、あるいは柔らかい水草はよく食べられるので注意が必要です。
しかし、良い餌にもなり、値段も安くため餌を兼ねて植えるのも良いと思います。
金魚の食害に遭いにくい水草としてアマゾンソードやミクロソリウムの仲間、アヌビアス系の葉が固くて丈夫な水草が挙げられます。
☆「食害は許可しないー!」という方は文明の利器もオススメ!
よく金魚鉢や水盆の中で少量の水草と金魚という如何にも涼しげで夏らしいレイアウトが見られますが、長期維持となると意外と大変なもので、気付いたら水草を食べられていたなんて事はよくあります。
水草の食害に遭いたくないけど水草が揺らめくレイアウトを作りたい方は、先程ご紹介した水草を使う方法の他に「アクアリウム用のオーナメント」を使う方法もあります。
このオーナメントはまさに文明の利器で、流木そっくりの物や水草によく似せた物もあります。
本物の水草ではありませんが、扱いやすくトリミングもいらない、食害に遭わないというメリットがあるためオススメです。
・給餌について
金魚は餌を選り好みする事がないため初心者の方でも給餌に困る事が少ないです。
最近は様々な人工飼料が販売されており、メーカーによって特徴も違うため是非お好みの物をチョイスして与えてください。
給餌の頻度ですが、1日に1〜2回、5分程で食べきれる量を与えます。
金魚は大食漢なので与えれば与えるだけ食べ、結果として食べきれなかった餌が水質を悪化させて病気の原因になるため給餌はゆっくり少しずつ与え、食べ残しはネットやクリーナースポイトで取り除いてあげましょう。
☆色揚げタイプの餌もオススメ!
金魚に限った事ではありませんが、人工飼料の中には「色揚げ用」の製品があります。
このタイプには原材料の中に特定の色を強く出す効果のある食材が多く含まれており、赤系であればアスタキサンチンやマリーゴールド等が強化配合されていたりします。
・水換え、掃除について
匹数や水槽のサイズ、汚れ具合にもよりますが、基本的に1週間〜10日に一度、1/3〜1/2くらいの量水換えを行います。
ここでは金魚すくい直後の金魚がまだ小さい時の水換えをご紹介させていただきます。
まずは飼育器具の電源を落とし、容器の汚れを落とします。壁面のコケやヌメリ等の汚れはスクレイパーやメラミンスポンジで掃除します。
水草が伸びすぎていたり、葉にコケが生えてしまった場合はトリミングもしますが、トリミングをする時にヒレの長い品種だと、水草の影に隠れたヒレに気付かずカットしてしまう可能性があるので金魚が隠れていないか確認しながら進めましょう。
トリミングで出た不要な水草はネットで回収し、まとめて燃えるゴミとして処分します。
この時も金魚に気を付けながら回収します。オーナメントの場合は水槽から取り出してタワシや布巾で汚れを落とします。
壁面の掃除やトリミングも終わったら、クリーナーポンプを使って底に溜まった汚れを水ごと排出します。
金魚の中でも和金系はかなり遊泳力が強いため、驚かせて飛び出させないように注意が必要です。
フィルターは投げ込み式、パワーフィルター、外掛け式のいずれも同じように、物理濾過を担うウールマット部分や揚水口が目詰まりしていないか確認します。
汚れが詰まっている場合は飼育水ですすいで汚れを落とします。これらのフィルターは濾過材が一体型になっている事が多いため、濾過材のウール部分の繊維の傷みが酷かったり濾過力が明らかに下がっていると感じた場合は新しい物と交換します。
掃除が終わったら水を作ります。水槽の水温に合わせた水道水にカルキ抜きを入れて塩素を除去し、金魚を驚かせないようにゆっくりと水槽に足していきます。
この時水槽にビニール袋を浮かべてその上にゆっくりと水をそそぐようにすると水面が波立たず、まだ小さな金魚達をあまり驚かせずに水足しする事ができます。
5,金魚がかかりやすい病気と治療方法について
金魚は金魚すくいの金魚であったとしても、一度環境に馴染めばとても丈夫な種類です。
中には「病気って何?」くらいの感じで一度も病気になる事なく天寿を全うする事もあるくらいです。
①白点病
やはり出ました白点病。メジャー過ぎて驚きもしません。
「白点虫」という原虫が体表に寄生する事で発生する病気で、体表や各ヒレに白い点のようなものが数個現れます。
これを放置していると徐々に数が増えていき、全身を覆う白点は呼吸を阻害したり寄生された魚は栄養失調やストレスで死んでしまいます。
また、寄生された部位は痒いのか、病魚は砂利やオーナメント等に体を擦り付ける行動を取る事もあります。
この行動によって体表やヒレが傷付くと細菌感染症等のリスクが高まるため油断ならない病気です。
白点病の原因は主に水温や水質の急変や悪化が挙げられます。
治療方法ですが、金魚は薬品や塩分にある程度適応できるため、魚病薬による薬浴か塩水を使った塩水浴で治療します。
薬浴の場合は病魚を治療用水槽に移動させてから規定量を投薬します。使う魚病薬はアグテン、グリーンF系、マラカイトグリーン、メチレンブルー等です。
治療中も水換えは行いますが、それぞれ薬の効力に違いがあるため使った薬で水換えの間隔が変わります。
アグテンは3日に一度、メチレンブルー、マラカイトグリーン、グリーンF系の場合は1週間に一度、グリーンF系の中でも「グリーンFクリアー」の場合は2週間に一度、それぞれ半分の量の水換えを行ってから新たに投薬します。
塩水浴の場合は白点病の初期症状に効果があり、10Lに対して塩50gを溶かした塩水で治療します。こちらも大体1週間に一度水換えをします。
Q,金魚のほっぺた(エラブタ)にうっすら白っぽい小さな点があるんだけど白点病なの?
A,エラブタ以外の体表やヒレにも白い点があれば白点病の可能性が高いですが、エラブタオンリーの場合は違うかも。
海水だろうと淡水だろうと関係無く現れる白点病。ポピュラー過ぎて「白い点々=白点病」というイメージが定着している方も少なくはないと思います。
というのも、コイの仲間は口元やエラブタに「追い星」というものが現れる種類がいるからです。
金魚もその中の一種であり、ある程度の大きさになるとオスのエラブタに白っぽい点々ないしプツプツが現れます。これは金魚の成熟の目安になります。
白点病との違いは体表やエラに現れない事で、ヒレや体表にも点々が現れたら白点病にかかっていると判断して良いと思います。
②カラムナリス症
「口腐れ病」「エラ腐れ病」「尾腐れ病」等症状が出た部位によって呼び方がある病気であり、感染力、致死率も高い厄介な病気です。
金魚の場合、稚魚や幼魚の頃はエラ腐れ病が出やすく、ヒレが長い品種等は水位が低かったり十分な広さがないとヒレを底や壁に擦ってしまい、そこから尾腐れ病になる事もあります。
原因菌はカラムナリス菌という細菌で、初期症状は魚体の一部に白〜黄色っぽい物が付着したように見え、充血も確認できます。
尾腐れ病の場合は感染した尾ビレが次第に溶け始めて柔軟性が無くなり、裂けてボロボロになってしまいます。
口腐れやエラ腐れは患部が爛れたようになっていき、ボロボロに崩れてしまうのです。
また、病魚は病気のダメージによって衰弱し、弱々しく水面を漂うようになり、やがて死んでしまいます。
ボロボロに崩れてしまった部位は例え治療が終わっても再生は難しいため、発生させないように注意しなければなりません。
カラムナリス症発生のキッカケとして、水温水質の急変、悪化の他に外傷も挙げられます。
治療には薬浴を行います。病魚を治療用水槽に移動させてから規定量投薬します。使う魚病薬は観パラD、パラザンD、グリーンFゴールド、グリーンFのいずれか1つを使います。
水換えは5〜7日に一度、半分の量を換えて再び投薬します。
患部の様子を確認し、付着物が取れ、患部が再生したら治療は終了です。
カラムナリス症は発生すると面倒な病気ですが、細菌は1%以上の塩分濃度のある場所では発育できないという特徴を逆手に取って塩水を利用する方法も予防策として使えます。
③エロモナス病
感染力、致死率の高さと治療の難しさから悪名高い病気です。金魚はエロモナス病の中でも「松かさ病」と「穴あき病」にかかりやすい傾向があります。
初期症状として、体表の至るところに充血が見られます。松かさ病の場合は分泌液が徐々にウロコの下に溜まっていき、ウロコが逆立ったようになります。
穴あき病の場合はエロモナス菌の中でも「エロモナス・サルモニシダ」という種類が原因菌で、初期症状はウロコが次第に白くなってボロボロと剥がれ落ちるという特徴があります。
この後ウロコに守られていた皮下組織が爛れたようになり、筋肉組織が剥き出して穴が空いたようになるという恐ろしい病気です。
発生のキッカケは水の腐敗による水質の悪化や古い餌を食べてしまった事が挙げられます。
というのも、エロモナス菌は常在菌なので水質の悪化や古い餌を食べて免疫力が落ちた時にバランスが崩れてしまい、一気に発生するパターンが多いです。
治療には薬浴を行い、病魚を治療用水槽に移動させてから魚病薬を規定量投薬します。
治療に使うのはエルバージュ、グリーンFゴールド、観パラD、パラザンD等の薬の内どれか1つで良いです。
この時病魚の浸透圧調整を助けるために10Lに対して30〜50gの塩で作った塩水を使うのも体力回復に繋がります。
④転覆病
名前の通り逆さまになってしまう病気です。
腹部が大きく膨れ上がり、お腹を上にして浮いたようになってしまいます。筆者の経験上、和金系より琉金のような丸っこい体型の金魚でよく見るイメージがありますが、和金系でもなる時はなります。
水温の急変や低水温によって体調を崩し、消化不良を起こした事で体内にガスが溜まってしまった事が原因とされています。
金魚はドジョウとは違い体内に溜まって空気やガスを排出するのは苦手なため、そのままガスが溜まってしまうのです。
治療方法は塩水浴とヒーターによる保温を行います。
塩水は10Lに対して30〜50gの塩を溶かした物を使い、ヒーターは25〜26℃くらいをキープするようにします。
塩水は金魚の浸透圧調整に役立ち、ヒーターで温める事で代謝を上げさせます。
順調に代謝が上がってガスやフンが出れば、大体1週間〜10日程で良くなったりします。
しかし、注意点があり転覆病治療期間中は絶対に餌を与えてはいけません。病魚は「消化不良」からこの状態になってしまっています。助長は避けましょう。
また、薬浴という方法もあります。こちらは転覆病用の薬があるため規定量投薬して治療する形になります。
まとめ
今回は、金魚すくいの金魚と長く暮らすための飼育方法について皆様にご紹介させていただきました。
『早死にする』なんて不名誉な言葉がある金魚すくいの金魚ですが、相当弱っている個体でもない限りはケアをちゃんとする事で体調も持ち直す事ができますし、一度飼育環境に慣れるとショップで販売している金魚と変わらないタフさや美しさを見せてくれます。
また、確かに急に迎え入れる事になった初めてのペットとして新たな家族になりやすい面がありますが、金魚は好奇心が旺盛で人にも慣れる可愛らしい一面があります。
餌くれダンスを見せてくれたり、餌の時間じゃなくても指を見せたり水槽の前を通ると追いかけたり、さらには手から餌を食べてくれたりと愛嬌を振り撒いてくれるのです。
そして寿命も長いため、大切に飼育すれば飼い主の一番側にいる親友のような存在になってくれる事でしょう。