川の淡水魚

ゼゼラの飼育方法やかかりやすい病気とその対処方法ついて11,000文字で徹底解説!【水草は控えめに】

はじめに

「本当にこんな名前の魚がいるの?」と思う方も多いと思いますが、私も実際に出会うまでは信じられませんでした。その見た目は小顔になったカマツカのようにも見えますが、川底を泳ぐ事にしたモツゴにも見える不思議な種類の川魚です。

小顔ではないカマツカ
川底を泳いでいないモツゴ

 

今回は名前も見た目も不思議なマイナー川魚「ゼゼラ」の飼育方法や飼育の注意点について紹介していきたいと思います。ちょっとした豆知識や飼育がより楽しくなるアイテム等も盛り込んでいますので、是非飼育の参考にしていただけたら嬉しいです。

それでは最初に生態と基本的な特徴について紹介していきたいと思います!

 

ゼゼラの生態、特徴について

コイ

何の仲間なの?

ゼゼラはコイ目コイ科カマツカ亜科に分類されているコイの仲間で、その中でも低層を泳ぐカマツカという魚に近い種類です。さらに細かい分類だとゼゼラ属というところに分類されています。

生息地は?

琵琶湖や山陽地方、濃尾平野、九州北部の河川の下流に生息しています。淀川にも仲間が生息しており、「ヨドゼゼラ」という種類です。

ゼゼラの生息環境は後述する食性の事も関係しており、「キレイ過ぎず、汚すぎない」水質の緩やかな流れのある場所を好んでいます。

ちなみに日本の固有種でもある魚なのですが、コアユの流入に混ざって他の河川に移入してしまった「国内移入種」の一面もあり、関東地方の河川に生息するゼゼラは移入種であると言われています。また、一部地域では在来のゼゼラとの交雑が確認されていたりします。

何を食べているの?

ゼゼラはイトミミズ等の底生生物や藻類、砂や泥の表面にある細かく分解された有機堆積物を食べています。
あまりキレイ過ぎる水質だと魚やカニ等の生物の死骸が微生物によって分解されず、餌となる細かい有機物になりません。

ちなみに微生物によって分解された有機堆積物の事を「デトリタス」と呼び、そのデトリタスを食べる生物の食性を「ベントス食性」と呼びます。

ゼゼラは口が小さく、ついばむようにデトリタスを食べるため、飼育下では沈下性の顆粒タイプの人工飼料や冷凍イトミミズを与えると上品に少しずつ食べてくれます。

ベントス食性って何?

有機堆積物であるデトリタスを餌とする性質の事です。ゼゼラもベントス食性ですが、泥中や砂中のデトリタスを食べるドジョウやカマツカもベントス食性と言えます。

自然下ではこうした栄養も無駄なく利用し、分解して自然へ還していきます。海にはアカハチハゼ等が砂ごと口に含みデトリタスだけ濾し取って食べ砂はエラから出したり、コメツキガニ等の甲殻類も砂ごと口に運び、デトリタスを食べ終わった砂を団子状に丸めて出します。

ベントス食性の生き物は常にデトリタスを食べている事が多いため、餌の量が少なかったり回数が少ないと痩せやすいため注意が必要です。

ゼゼラの特徴は?

体長は8cm程の意外と小さな川魚です。
見た目は流線型の体型をしており、泳ぎに適した印象を与えますが、川底を主な生活圏にしています。また、ドジョウのように川底に潜る事はなく群れを作って生活しています。

ゼゼラの口先は丸みを帯びており口は小さく、コイの仲間でありながらタナゴやモロコ、カマツカのようなヒゲがありません。

タナゴ

体色は黄褐色をベースに背面はより色彩が濃く、腹側は色彩が淡くなっています。体側には不明瞭な黒斑がいくつか並んでいます。ウロコは銀色の光沢があり、重なり合っている部分はベースの体色が濃くなるので茶褐色の縁取りが施されているようです。

背ビレ、尾ビレには滲んだような細かい黒いドット模様があり、左右に張り出したような胸ビレはやや大きめで黄褐色をしています。見落としがちな腹ビレ、尻ビレは淡い黄褐色をしており、僅かに煌めきがあります。

繁殖期は?産卵は?

ゼゼラは春から夏にかけての繁殖期になると、オスは婚姻色を発色するようになります。その見た目は黒い体色に銀色の光沢を纏う、まさに「いぶし銀」の美しさです。繁殖期には琵琶湖の個体は琵琶湖に流入する河川や用水路等にも現れると言われています。

産卵はアシ等の丈夫な水草の根元で行われます。透明なゲル状の粘液に包まれた卵をオスが守ると言われています。

生後半年程で性成熟し、産卵が終わると殆どの個体が死んでしまう「年魚」で、ごく稀に生き残る個体もいます。

名前の由来は?

「ゼゼラ」と聞くと怪獣映画に出てくるゴジラやガメラみたいな雰囲気があると思いますが、実際は滋賀県にある膳所(ぜぜ)という場所で発見されたと言われています。学名の小種名にも「zezera」と表記されています。

ちなみに別種であるヨドゼゼラの小種名は「yodoensis」と表記されており、生息地である淀川を指しています。

ゼゼラの特徴や生態の紹介の後は、いよいよ飼育方法について紹介していきたいと思います!

ゼゼラは人によっては飼育難易度がかなり高い川魚と言われていますが、基本的な飼育方法だけでなく、失敗の原因になる注意点についても紹介しますので、是非一読していただければと思います。

 

ゼゼラの飼育方法について

水槽、水質、水温について

約8cm程の大きさしかない小型種なので1〜3匹程であれば45cm水槽でも飼育する事ができます。自然下では群れを作って暮らしているため、10匹程の数をまとめて60cm水槽で飼うと仲間がいる安心感と水槽の水量によって飼育がしやすくなります。

水質は中性を好んでいます。

水温は20〜24℃が適温ですが、水温の急変に弱い面があるのでヒーターを使って水温を一定に保つようにしてあげると調子を崩しにくくなります。

フタについて

ゼゼラはいわゆる「底モノ系」の川魚ですが、大人しいというよりは若干臆病なところがあるので何かの拍子に驚いてパニック状態になり飛び出してしまう可能性があります。そのため飼育する際には水槽に必ずフタをするようにしましょう。

フィルターについて

ゼゼラは特に飼育に不向きというフィルターがないので、水槽のサイズや匹数に合わせてフィルターを選びましょう。

45cm水槽の場合は投げ込み式や外掛け式フィルター、小型上部式フィルター等が使用でき、60cmあるいはそれ以上のサイズの水槽の場合は上部式フィルターや外部式フィルターがオススメです。

また、補助的に投げ込み式フィルターやパワーフィルターを使うと水質を維持しやすくなります。

底砂について

川魚や鑑賞魚飼育用の川砂や田砂、砂利等であれば問題なく使用できます。

熱帯魚飼育に定評のあるソイルは水質を弱酸性に傾ける効果があり、ゼゼラが肌荒れを起こす可能性があるためあまりオススメはしません。

どうしてもソイルを使いたい場合はメダカ用のソイルが販売されているので、そちらを使うと良いと思います。

給餌と注意点について

餌には沈下性の細かい顆粒タイプの人工飼料や冷凍イトミミズ、アカムシ等を与えるとついばむように食べてくれます。また、ゼゼラは食は細いものの常に少量ずつ食べるという変わった食生活をしているため、1日に2〜3回、5分程で食べきれる量を与えます。

ここで注意点があります。

先程も説明した通り、ゼゼラは口が小さい魚なので上手く餌を食べれない事がしばしばあります。中にはアカムシを上手く飲み込めず、ずっとモグモグしている個体や餌を上手く取れない事にふて腐れて餌を食べなくなるナイーブな個体もいます。
ゼゼラは常にデトリタスを食べる生活を送っている魚であるため、餌を食べないとあっという間に痩せ細ってしまいます。

これを防ぐために、アカムシを与える場合はハサミで細かく切ってからスポイトで口元にそっと撒くように与えると反応も良く、アカムシも食べやすくなって餌食いが良くなります。また、餌がフィルターに吸い込まれるのを防ぐため、揚水口にストレーナースポンジを装着するようにすると餌の吸い込まれを抑える事ができます。

赤虫は割いてあげよう!

一番大事なのは給餌の時は必ずちゃんと食べているか観察する事です。食べづらそうにしてないか、吐き出していないか等もしっかり観察するようにしましょう。

隠れ家について

ゼゼラはそこまで隠れる魚ではありませんが、驚くと流木の陰や水草の陰に隠れたりします。そのため落ち着ける場所として流木や石を設置してみたり、土管をレイアウトに用いて隠れ家を作ってあげましょう。

水草について

ゼゼラは食性の都合上、底砂をついばむようにして餌を食べますが水草を引き抜くようなイタズラはしません。そのため水槽にはお気に入りの水草を植える事ができます。水草自体も隠れ家になるためゼゼラとの相性も割りと良いです。

ですがここにも注意点があります。

ゼゼラは低層を主な生活圏としているため、ショートヘアーグラスのような背の低い前景草とは相性が悪く、体の下敷きにされてしまったり、ついばんだ底砂をかけられて水草が埋まってしまう事が多々あります。そのため、全面に水草を植えず、ゼゼラの遊泳スペースを確保した上で水草を植えるようにしましょう。

また、水草をたくさん植えると夜間の植物は呼吸をするため、水槽内の二酸化炭素濃度が上がってしまいます。ゼゼラは酸欠に弱いため、必ず夜間は水槽にエアレーションをして酸欠防止対策をしましょう。

混泳の注意点について

ゼゼラは非常に大人しい魚で、基本的には同居している魚(タンクメイト)をいじめる事はありません。むしろゼゼラの方がいじめられやすく、ドジョウやカマツカのような同じ低層を生活圏にしている魚と混泳するとすぐにいじめられてしまいます。

しかし、決して混泳ができない訳ではなく、生活圏の被らないメダカや大人しい性格のタナゴとは混泳ができます。しかし混泳をすると給餌の時に餌がゼゼラまで行き届かない事が多いため、最初にタンクメイトのお腹を満たしてからゼゼラに給餌をするようにするとゼゼラも餌を奪われずに済みます。

水換え、掃除について

水槽の大きさや飼育している匹数、水槽内の汚れ具合にもよりますが、大体1〜2週間に1度、1/3〜1/2の量の水換えを行います。水道水を足し水に使う時は必ずカルキ抜きをしてから使うようにしましょう。

ガラス面についたコケや汚れはスポンジで擦り落とします。レイアウトに石や土管等を使っていた場合は1度水槽から取り出し、タワシや歯ブラシ等を使って擦り落とします。

フィルターの内部の掃除は種類によりますが、上部式フィルターや外部式フィルターの場合は水換えの時に物理濾材であるウールマットを水でしっかりもみ洗いし、目詰まりの原因となる汚れやゴミを洗い落とします。再びフィルターに設置する時はしっかりと絞り、水気を切ってから設置します。ウールマットの汚れや繊維の傷みが酷い場合は新しい物と交換します。

フィルター内部の生物濾過材を洗う場合は2週間〜1ヶ月に1度、水換えの時に出た飼育水で洗いバクテリアの大幅な減少を防ぎます。竹炭や備長炭等の吸着系濾材を使っている場合も水換えの時に出た飼育水で洗います。これは炭系の濾材は目に見えない汚れを吸着するだけでなく、細かい孔の中でバクテリアが繁殖するため、バクテリアの減少を抑えつつ汚れを落とすためです。

投げ込み式フィルターや外掛け式フィルター、パワーフィルターの場合は炭系濾材とウールマットが一体型になっている事が多いので、こちらは水洗いをして汚れを落とします。繊維の傷みや汚れが酷い場合は新しい物と交換します。

スポンジフィルターの場合はスポンジ部分をしっかりともみ洗いして目詰まりの原因となる汚れやゴミを取り除きます。

底面式フィルターの場合は底砂が濾材の役割を果たしているため、水を抜く際にしっかりと底砂から汚れを取るようにします。また、半年に1回程底砂を取り出して洗うようにすると病気の発生を抑える事ができます。

フィルターのパイプやストレーナーの部分は汚れやヌメリが溜まりやすいため、専用のブラシでしっかりと汚れを落としましょう。

水草を植えている場合

水草は成長が早い種類もありますが、成長が遅く、葉が硬い種類等もあります。葉が硬い種類は茶ゴケ等のコケが付きやすく、バリスネリア等の水草は調子が良いとグングン成長して根元から子株を生やしてどんどん殖えていきます。また、途中で枯れてしまう葉が出てくる事もあります。

こうした水草を手入れする事を「トリミング」と言います。
枯れた葉や成長し過ぎた葉、殖えすぎた子株をハサミで切って整えたりします。

アヌビアスのような硬い葉に茶ゴケが付いた場合は水に濡らした柔らかい布で優しく擦り落とします。ヒゲゴケは駆除が中々難しいため、ちょっと付いてる場合はヒゲゴケの根元からハサミで切ってコケが目立たないようにするか、ヤマトヌマエビ等のコケ処理部隊を導入して処理してもらいます。ヒゲゴケがたくさん付いてしまった場合は見栄えや草体のためにもコケまみれの葉を切り捨てます。

水草を植える時にも根っこ部分を少しトリミングする事で植えやすくしたり、根っこが環境の変化に負けて溶けたりしないようにします。

奇跡は起きるのか!?ゼゼラの繁殖について

飼育下でのゼゼラの繁殖について私は1度も聞いた事がありませんが、複数飼育をしていれば有り得ない事ではないと思います。
というのもゼゼラは雌雄判別が難しく、繁殖期になってオスが婚姻色を発色したり、メスが卵を持ってから気付く事が多いからです。それに少数の群れだと、ちゃんと雌雄がいるのかすら怪しいところがあります。

しかし、ちゃんと雌雄が揃って状態良く飼育できれば興味深いゼゼラの繁殖に挑戦できる可能性はあります。また、オスの渋くてカッコいい婚姻色を見られるチャンスでもあるので、飼っている人だけの特別な瞬間を是非楽しんでいただきたいと思います。

 

ゼゼラがかかりやすい病気と治療方法について

白点病

水質の悪化や急変、新しい魚を導入した時に水槽に持ち込んでしまった事が主な原因となっている病気で、体に白い小さな点がポツポツと出てくるのが特徴です。
この白点の正体は「白点虫」という原虫の仲間で、病気にかかった個体は不快感があるのか体を底砂やレイアウトしている流木や石等に体を擦り付ける行動を取るようになります。この行動によって体に擦り傷ができるとその傷口から別の病気にかかる事があるため、白点病を発見したらすぐに治療を開始しましょう。

治療には魚病薬を使った薬浴を行います。魚病薬はメチレンブルーやマラカイトグリーン、グリーンF系等の魚病薬を使います。ゼゼラは魚病薬にそれほど敏感な種類ではありませんが、様子を見ながらゆっくりと投薬をしていきます。

白点病は病気が進行しているとかなり厄介な一面があり、殖えすぎた白点虫によって呼吸困難になる事があります。白点病に限った事ではありませんが、病気を見つけたらすぐに治療を開始しましょう。

水カビ病

綿かぶり病とも呼ばれる事がある病気で、生物濾過が上手く機能せず、水槽内で食べ残し等からすぐに水カビが発生してしまうような状態だと発生しやすい病気です。発生した水カビの一部が水中を浮遊し、魚の体表の傷口等に付着して成長してしまう病気です。

治療には病魚をまず隔離し、生えている水カビを除去してから魚病薬による薬浴を行います。

生えている水カビがほんの僅かな量であれば、ピンセット等で取り除いてから薬浴を行いますが、生えている水カビの範囲が広く、量が多い場合は水カビを患部を傷付けないように根元からハサミで切って取り除いてから薬浴をすると、魚病薬の浸透が早まって治りが少し早くなります。もし水カビの除去に自信が無い場合はそのまま薬浴をしても問題ありません。

薬浴にはメチレンブルーやアグテン、グリーンF系の魚病薬を使います。病魚の様子を見ながらゆっくりと投薬し、薬浴をします。

水カビの菌糸は魚体の奥深くにまで達するため、薬浴は水カビが消え、菌糸が入って白濁した患部が再生するまで治療を行います。
また、水槽内も水カビが発生しないように環境を見直し、改善する必要があります。

エロモナス症

水質の悪化や古い餌を食べてしまったり、病気の魚を水槽に導入してしまった事等が原因で起こる病気です。感染力が強く死亡率が高い病気でもあり、発症すると体表のいたるところに充血が見られ、ウロコが逆立ったり体に穴が空いたようになってしまうといった症状が見られます。

治療には病薬を隔離してから魚病薬による薬浴を行います。薬浴にはエルバージュやパラザンD、観パラD、グリーンFゴールドを使い、病魚の様子を見ながらゆっくりと投薬し薬浴を行います。

エロモナス症は治療や完治にかなり時間がかかり、進行すればするほど非常に厄介な病気です。発生させないように日頃から魚達の様子や健康状態を観察し、水槽内の環境を状態良く保つようにしましょう。

吸虫病

ダクチロギルスあるいはギロダクチロギルス症と呼ばれ、吸虫という寄生虫がエラに寄生する事で起きる病気です。
エラに寄生するタイプのため、気付かずに水槽に導入してしまいやすい厄介な寄生虫です。

寄生された魚は呼吸困難になるため体の動きが緩慢になったりエラブタの動きが遅くなります。また、エラの中にいる吸虫を落とそうとエラブタや体を石や底砂等に擦り付けるようになります。さらに症状が悪化するとエラの中の吸虫が増えてしまい、エラブタが閉じられなくなり、呼吸困難でやがて死に至ります。

治療には寄生虫駆除薬による薬浴と呼吸困難な病魚のために少しでも呼吸しやすいように強めのエアレーションを行います。

リフィッシュやトロピカルNで薬浴を行うのですが、リフィッシュは強力な薬なので規定量の1/4〜1/2に抑えて使うようにします。薬浴をしてしばらくするとエラの中から寄生虫が落ちてきます。
この寄生虫の死骸が出てこなくなるまで薬浴を続けます。

イカリムシ病&ウオジラミ(チョウ)症

こちらも吸虫病と同じく寄生虫が原因で起こる病気です。低層を泳ぐゼゼラは特にウオジラミ症にかかりやすいです。

イカリムシは魚体にイカリのような頭部を食い込ませており、細長い体が飛び出しています。ウオジラミは0.5〜1cm程の円盤のようなやや半透明な体を持っています。どちらも寄生した魚の体液を吸うため、寄生された魚の体表は血が滲んだようになり、中には貧血なのかフラフラになってしまう個体もいます。

治療にはまず、ピンセット等を使って寄生虫を駆除してから取りきれなかった仔虫等を駆除するために寄生虫駆除薬を使った薬浴を行います。

イカリムシは頭部を体内に残してしまうとそこから再生するため、虫体をちぎらないように慎重に引き抜きます。ウオジラミの場合はピンセットでつまんで駆除します。

駆除薬はリフィッシュやトロピカルNを使いますが、リフィッシュを使う場合は規定量の1/4〜1/2の量に抑えるようにします。これを寄生された魚の様子を見ながら投薬し、薬浴をします。

また、寄生虫の発生した水槽はどこかに寄生虫が隠れていたり、別の魚に寄生する可能性があるため、1度水槽をリセットし、魚達を薬浴したら、使っていた器材や底砂を熱湯消毒したり天日で干すと寄生虫が死滅します。

ゼゼラの飼育方法や注意点、かかりやすい病気と治療方法の後は、ゼゼラの飼育を水槽とは違った視点から楽しむ飼育スタイルについて紹介していきたいと思います!

 

別の魅力が開花する!?ゼゼラのトロ舟飼育について

川魚の体型や泳ぎ方を楽しむには水槽による「横見」が良いのですが、トロ舟や水盆のような「上見」も野生の魚を川の上から覗いたような楽しみや横見ではなかなか見る事の無い背中側の美しさを楽しむ事ができます。
トロ舟は基本的にランチュウ等の丸型金魚や観賞用のカラフルなメダカの飼育に使われる事が多いですが、ゼゼラも銀色の光沢が美しいウロコを持っているので上見飼育も楽しめると思います。

飼育方法は水槽の時と変わりませんが、トロ舟飼育には、フィルターは外部式フィルターやパワーフィルターが適しています。また、底砂も田砂や砂利を敷くとゼゼラのより自然な雰囲気を楽しむ事ができます。

高さがあるトロ舟であれば水草も楽しむ事ができ、こちらも真上から水草を見られるのはなかなか興味深い光景です。ホシクサの仲間やアンブリア等を植えると横見では見られない別の姿が見られます。

また、トロ舟飼育にはスイレンの仲間やホテイアオイ等の浮草が人気であり、水質の浄化だけでなく上手く育つと美しい花を咲かせてくれます。これも水槽ではなかなか見られない光景です。

横見ではないので病気が発見しにくいというデメリットがありますが、透明な水槽とは違って横から常に丸見えではないため、ゼゼラも落ち着きやすいのがメリットです。

群れを作って底砂をついばむ姿や背中側のウロコの輝きや金色にも見える体色を楽しめるのはトロ舟飼育ならではの醍醐味です。水槽で横から見るのではなく、自然で見つけた時のように上から覗くスタイルに憧れる方は是非試してみてください。

ゼゼラのトロ舟飼育の紹介のお次は、飼育にあると便利なアイテムの紹介をしていきたいと思います!

 

ゼゼラの飼育にオススメのアイテムについて

・クリーナースポイト

見た目は巨大なこまごめピペットのようなアイテムで、その名の通り小型水槽の掃除や水換えに使われるアイテムです。

ゼゼラの給餌の時に冷凍アカムシやイトミミズを与えると一般的なサイズだと途中で詰まりやすく、力を込めると勢い良く出過ぎて餌が水中を舞ってしまったり水流でゼゼラをビックリさせてしまいます。その防止策として、このクリーナースポイトがオススメです。また、食べ残しも取り除き安いので1本は持っておきたいアイテムです。

・レンガ、ブロック状アイテム

ホームセンター等に売っているレンガやブロックも良い隠れ家になります。使う前に水でよく洗ってから使います。

レンガは3つ重ねただけでトンネル状の隠れ家になりますし、ブロックは置いただけで隠れ家になります。
重量があるためガラス面に直接置いたりは出来ませんが、レイアウトに悩んだ時は便利なアイテムです。サイズも様々なのでお好きなサイズを選べます。

・粘膜保護剤

魚の体表の粘膜は意外とデリケートで、種類によっては網で少し擦っただけでそこから病気になったり、免疫力が弱ってしまうと粘膜の働きも弱くなってしまい病気にかかりやすくなります。そんなデリケートな粘膜を保護してくれるアイテムとなっています。

ショップでも使われている事が多く、新入荷した魚達の粘膜保護やストレス軽減のために使われています。ゼゼラ以外の種類にもオススメのアイテムです。

オススメアイテムのお次は、ゼゼラが抱える問題について紹介していきたいと思います!

 

特徴が消える!?「遺伝子汚染」について

聞き慣れない単語だと思いますが、これ、なかなか深刻な問題であったりします。

ゼゼラは元々琵琶湖やその流入河川に生息していた魚ですが、アユを放流した際にその中に混じってしまい、多くの地域に移入してしまいました。
「日本国内だから大丈夫」と思う方もいるかと思いますが、生物的にはとても困った事が起きてしまいます。それが「遺伝子汚染」です。

魚や生き物には個体群という同じ種類でも生息地の違いで特徴が若干異なるものがあり、遺伝子も若干異なるようです。例えば、とある地方のゼゼラは金色っぽくて模様もハッキリしているのが特徴の個体群だとします。一方で全く違う特徴を持った個体群のゼゼラがその地域に入って来たらどうなるでしょうか?答えは簡単です。「交雑」してしまいます。これが続いてしまうと元々生息していたゼゼラの血が途絶えてしまい、特徴もあやふやになり、個体群自体がなくなってしまいます。
実際、九州北西部のゼゼラは移入してきたゼゼラとの交雑が確認されています。

何故交雑個体が問題なのか、ゼゼラではなく猫で例えると、ロシアンブルーやチンチラ等の品種がいると思いますが、同じ品種で繁殖させれば同じ品種の子猫が生まれます。遺伝子的にも固定されているのだから当たり前の話です。しかし、「同じ猫だから」とチンチラとロシアンブルーを掛け合わせて生まれた明らかに雑種の子猫を「純血の品種です」と胸を張って言えますか?という事です。同じ猫ではありますが、遺伝子が混ざり「どちらでもない」猫でありながら「どちらでもある」という品種としては成り立たない個体になってしまいます。品種改良ならまだ分かりますが、これが移入によって自然界で起きている問題です。

ゼゼラに限らずメダカも実は種類があり、「同じメダカだから」と安直な考えで品種改良したメダカを放流したり、何らかの理由で逃がしてしまった結果、一部地域では交雑種がいたりします。外来種であれば、タイリクバラタナゴがニホンバラタナゴと交雑してしまい、純血種が激減していると言われています。

ゼゼラの場合は国内移入ですが、多様性の1つを絶やしてしまう可能性もあるので、決して「同じ種類だから」という考えで近所の川に捨てにいくようなマネはしてはいけません。

番外編:もっと怖い!遺伝子汚染から生まれた○○

交雑による遺伝子汚染はあらゆる動物に起こっていますが、私が個人的に大変そうだと思ったのが「フグ」です。

高級食材としても知られているフグですが、「マフグ」と「トラフグ」で食べれる部位に違いがあります。この2種類は繁殖期が違うので交雑する事は殆どなかったのですが、近年の地球温暖化による海水温上昇によって繁殖期が重なってしまい、マフグとトラフグの「ハイブリッドフグ」が誕生してしまいました。

遺伝子はその個体を構築する設計図のような物なので、食べれる部位がそれぞれ違う2種の遺伝子を持ったハイブリッドフグはどこに毒があるか分からないため非常に厄介な存在です。特徴もマフグ寄りだったりトラフグ寄りだったりとあやふやなため、フグ料理人も「迂闊に手が出せない」という危険な存在です。

もしゼゼラもフグのような魚だったら大問題になっていたのかも知れません。

 

まとめ

今回はゼゼラの飼育方法や注意点等について盛り込んでみました。ゼゼラは人によっては飼いやすい、飼いにくいと結構意見が分かれる川魚ですが、餌の与え方を工夫したり病気に気を付けてあげれば、それほど気難しい種類ではないと思います。

トロ舟飼育もご紹介しましたが、普段は見ない視点から魚を見つめたり飼育するのは水槽で飼育するのとは違ってちょっと特殊ではありますが、その分自然下の彼らの暮らしを覗いたような別の楽しみがあります。こちらは是非、ちょっと変わった視点を楽しみたい方に挑戦していただきたいと思います。

ゼゼラはマイナーな魚ではありますが、名前のインパクトもあるのでもう少し有名になれそうな期待をついついしてしまいます。上品に小さな口で餌をついばんだり、仲間達と群れで暮らしたりとちょっと平安時代の貴族みたいな雰囲気があります。年魚ではありますが、普段の煌めく黄褐色の体色や婚姻色のいぶし銀の美しさは必見です。

マイナーだけど一般種に負けない魅力を備えたゼゼラを気になってしまった方は是非、ご自宅に迎え入れてみてはいかがでしょうか?

マイナーゆえの特別な楽しみが貴方を待っているはずです!