最近のアクアリウムではあまりスペースを取らない小型水槽が注目されています。
「小型」なので飼育できる種類も小さい種類になりますが、彼らはその小さな体に生きるための全ての機能を持ち、色彩と不思議に溢れています。
- 1,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型カラシンの仲間!
- 2,【30cm以下の水槽で飼育できる】飼い込むほどに揚がる体色・コイ系熱帯魚
- 3,【30cm以下の水槽で飼育できる】ひっそりとした性格と落ち着いた体色が魅力・小型グラミーの仲間
- 4,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型ローチ・ボーシャの仲間
- 5,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型コリドラスの仲間
- 6,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型ナマズの仲間
- 7,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型メダカの仲間
- 8,番外編!ちょっと変わった小型種!
- 9,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型種飼育の注意点について
- 10,小型水槽のメリット、デメリットについて
- 11,小型水槽での繁殖について
- まとめ
1,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型カラシンの仲間!
①ブリタニクティス・イエロー
「イエローブリタニ」「グローコーラル・テトラ」「レディアントレイス・テトラ」とも呼ばれる小型カラシンで、大きくても2〜2.5cmほどしかありません。
透明感のある体にネオンイエローと玉虫色の輝きに眼の上の赤色がチャームポイントです。
珍カラシンとして知られており、群れで泳ぐというよりはホバリングするような泳ぎ方をします。
②カージナルダーターテトラ
黒ゴマみたいなちょっと鋭めの目付きに透明感のあるオレンジ色の体色がトレードマークです。大きさは約2.5cmです。
ネオンテトラのように泳ぎ回らず、中〜低層をホバリングするように泳ぎます。
③ディープレッドホタル・テトラ
大切に飼育すると体が真っ赤に染まり、尾柄に濃赤とブラックスポットが乗る美種です。大きさは1〜2cmほどしかありません。
小さな群れを作りますが、活発に泳ぎ回るのではなく水草や流木の近くをホバリングしながらピョコピョコと泳ぎます。
④クリスタルレインボーテトラ
「ペルーグラステトラ」「グラスブラッドフィン」に並ぶ透明系カラシンの一種で大きさは2〜3cmほどです。
最初は全身透明で腹部の白銀が美しい種類ですが、大切に育てると透明な体に虹のような輝きを放つようになり、特にオスは背ビレが慎重し尻ビレも大きくなるだけでなく、赤や白、黄色にヒレが染まってさらに美しくなります。
⑤トゥッカーノテトラ
今では大分値段も落ち着いてきた高級珍カラシンです。大きさは約2cm。
透明感のある飴色の体色に黒いライン、キラキラと輝く眼、透けて見えるエラの鮮やかな赤色が多くの人々を虜にしてきました。
水質にデリケートな種類ではありますが、性格も穏やかで群泳も見せてくれるタイプです。
⑥ドワーフブルーテトラ
「チトカラックス」という小型で珍しい種類が多いグループに含まれている種類です。
大きさは1〜2cmで、活発に泳ぐタイプではありますが水流に弱く、強い水流に巻かれてしまうと気絶する事があるため飼育レベルが高い種類でもあります。
2,【30cm以下の水槽で飼育できる】飼い込むほどに揚がる体色・コイ系熱帯魚
①ルビーラスボラ
その大きさ1〜1.5cmという驚きの小型種です。その正体は世界で「最も小さい魚」と称される「ドワーフ・フェアリーミノー」の仲間です。
まるでアカムシのように華奢で繊細な体に尾柄には膜状のヒレを持ち、透明感の強い体は食べた餌も透けて見えるほど透けています。
しかし、そこはコイ科らしく、大切に飼育する事で体色はどんどん揚がっていきます。滲み出るような濃い赤色は、透明感のある体と見事に調和してルビーの輝きを放つようになります。
②ボララスの仲間達
「ウロフタルモイデス」「ブリジッタエ」「メラー」「マキュラータ」「ミクロス・レッド」などがいる小型種のグループで、その大きさは2cmほどしかありません。
しかし、体色はかなりハッキリしており、飼い込む事でより濃厚な体色へと仕上がっていきます。
3,【30cm以下の水槽で飼育できる】ひっそりとした性格と落ち着いた体色が魅力・小型グラミーの仲間
①リコリスグラミー
以前ご紹介した事がある「ピグミーグラミー」に似ていますが「パロスフロメヌス属」に含まれているため別種です。大きさは3cmほどです。
とても臆病な性格の持ち主で、基本的に物陰に隠れています。
②パロスフロメヌス・リンケイ
大きさは4cmほどと少し大きめですが、これはリンケイの尾ビレが真ん中だけ糸状に伸びる「ピンテール」になっているため結果的に長さが出ているだけです。
ベージュと褐色のボーダー柄にプラスして体側には1〜3個のスポットが現れます。
4,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型ローチ・ボーシャの仲間
①ドワーフ・ボーシャ
優しいベージュに黒の格子模様が美しいボーシャの仲間で大きさは3〜4cmほどです。
日本にいるマドジョウやシマドジョウというよりは天然記念物になっている「アユモドキ」に近い種類です。
群泳ができますが、意外と気が強いため同じ底ものにちょっかいをかける事もあります。
②パンダシャーク・ローチ
成長すると5cmほどになりますが、入荷は1〜2cmほどの個体が多い種類です。
名前の通り黒と白のパンダ柄が可愛らしいですが、成長とともに薄れる傾向があります。
「タニノボリ」という種類に近い仲間であり、溶存酸素量の多い環境と水流を好み、高水温が苦手です。
5,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型コリドラスの仲間
①コリドラス・ピグミー
「ハステータス」「ハブロースス」と共に「ミニコリ」と呼ばれるグループに含まれている種類で、大きさは3cmほどです。
以前ご紹介した事があるハステータスと同じように群れを作り、上〜底層を縦横無尽に泳ぎ回ります。
体色は灰色の体にお腹側が白、体側には1本の細いラインが入ります。
性格は穏やかなので混泳もさせやすいのが魅力です。
②コリドラス・ハブロースス
ハステータス、ピグミーよりコリドラス感が強めで、大きさは約3cm。
ベージュにブラックスポットと体側に細かな波がある太めの黒いラインが入ります。
こちらも大人しい性格をしており、群れを作って泳ぎ回りますが、底層を泳ぐ事の方が多いです。
③アスピドラスの仲間達
大きさ4cmほどの小型種で、コリドラスの仲間にしては若干スマートで胴長、体高が低いという特徴があります。
6,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型ナマズの仲間
①ハラ・ジャーデニィ
ショップでよく「ハラハラキャット」という名前で販売されている超小型のナマズの仲間で、大きさは1〜3cmほどしかありません。
しかも頭でっかちなので体はあまり目立ちません。
胸ビレの棘条が大きくて長いため「錨」のような見た目をしており、以前ご紹介した事がある「ロックドラス」の超小型バージョンと言えます。
②クリスタルキャット
まるでシラウオのような体型と透明な体を持つ小型種であり、食べた物や卵が分かるほどの透明度を誇ります。
混泳は絶望的に無理な種類であり、他種のヒレを喰い千切ってしまいます。実はこの魚の正体は「人喰い魚」として真の意味で恐れられている「カンディル」の仲間です。
③タイガーオトシン
成長しても3cmくらいしかない超小型種で、見た目がロイヤルプレコをそのまま縮小したような姿をしているため「ピグミープレコ」と呼ばれる事があります。
褐色と白が不規則に入った体色をしていますが、稀に入荷する近い種類はネオングリーンの細かなドット模様を持つ事もあります。
7,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型メダカの仲間
①オリジアス・インドスレンダー
3cmほどの大きさでありながらスマートな体型のおかげで小さく見える不思議なメダカの仲間です。
②メコンメダカ
こちらも3cmほどのスマートな体型を持つメダカの仲間ですが、前者とは違い透明感のある蜂蜜色の体色に尾ビレに上下がオレンジ色に染まります。
③改良日本メダカ
愛好家による変わった表現の掛け合わせによって誕生した、日本が誇る観賞魚です。
熱帯魚ではないのですが、越冬をさせない、掛け合わせをしないのであれば熱帯魚のような飼育設備で飼育する事もできます。
大きさは3〜4cmほどですが、越冬した個体はより大きく見応えのある体と体色になります。
8,番外編!ちょっと変わった小型種!
①ピーコックガジョン
4cmほどになるハゼの仲間です。性格には「カワアナゴ」の仲間であり、「タナゴモドキ」に近い種類となっています。
メタリックな青紫色の地色に不規則に細かく赤い色が入ります。ヒレも個体差がありますが黄色に黒の縁取りが入ったり赤い模様が入る事もあります。
光の角度によって色が変わる眼はまるでオパールのようです。
②グラスゴビー
全身透明なハゼの仲間で、成熟すると黄色が滲み出てきて眼にも黒いバンドが現れる事があります。
③バンブルビーゴビー
黒と黄色の縞模様が「バンブルビー(マルハナバチ)」に似ている事から名付けられました。
大きさは3cmほどですが、1〜2cmくらいの幼魚がよく入荷してきます。
汽水の方が良いと言われていますが、縞模様が不規則になっている「フレッシュウォーターバンブルビーゴビー」の場合は純淡水で飼育できます。
④ホロホロシュリンプ
0.5〜1cmほどしかない極小サイズのエビの仲間で、「ピクシーシュリンプ」「スカーレットシュリンプ」とも呼ばれています。
リゾート地としても有名なハワイ原産のエビの仲間で、汽水域に生息している事でも知られています。
最終的には水槽で飼育する事にはなりますが、「ホロホロボトル」というサンゴ砂やサンゴの骨格、マリモが入ったボトルで数匹飼育するのがメジャーとなっています。
⑤ピグミーサンフィッシュの仲間達
北アメリカ原産の小型種で、熱帯魚というより温帯魚っぽい種類です。
現地では厳重に保護されているため、入荷も少ない珍しい種類となっています。
大きさは最大でも5cmほど(バンデットピグミーサンフィッシュ)で、他は3cmほどしかありません。
まるで「キノレビアス属」の卵生メダカのような見た目と美しさを持っていますが、コロッとした体型が可愛らしいです。
9,【30cm以下の水槽で飼育できる】小型種飼育の注意点について
遊泳スペースも小さくて済み、卓上などで楽しむ事ができる小型種は常に需要があり、個人の部屋で密やかに楽しむ趣味の1つとしてもインテリア性があります。
しかし、小型種も種類によりますが気を付けていないと短命に終わってしまう事があるので注意しなければなりません。
- 口が小さいので餌は細かい物を与えるか、すり鉢などで砕いた物を与える事。
- 冷凍飼料もちゃんと飲めない事があるのでアカムシやイトミミズはハサミで細かく刻んでから与える事。
- 水流に弱い種類(ルビー・ラスボラやドワーフ・ブルーテトラなど)は導入時になるべく水流を起こさないようにし、フィルターからの水流も弱くする事。
- 水質悪化に弱い種類が多いのでこまめなメンテナンスをする事。
- 臆病な性格の種類が多いので、必ず隠れ家となる流木や水草を入れる事。(カージナルダーターテトラ、リコリス・グラミーなど)
- 体力が少なく、病気が出ると治療が難しいため病気を出さないように管理する事。
特にルビー・ラスボラやドワーフ・ブルーテトラ、ドワーフ・グラステトラなどの華奢な種類は水流に巻かれた瞬間に気絶したり、死んでしまう事があるので場合によっては水槽にフィルターを設置せず、ログポット水草を入れただけというシンプルなレイアウトにした方が長期飼育できたりします。
10,小型水槽のメリット、デメリットについて
スペースも取らずインテリア性も高い小型水槽は気軽にアクアリウムを始められるとして人気があります。
しかし、あらゆるものにはメリットだけでなくデメリットも存在するため、それを理解しないで小型水槽を信頼し過ぎると痛い目を見る事になってしまいます。
ここではそんな小型水槽のメリット、デメリットについてまとめました。
〜小型水槽のメリット〜
- 設置スペースを取らない。
- 比較的重量が無いので、相当貧弱な場所でなければ設置できる。
- 大型水槽やレギュラー水槽と違い様々な形状があり、見た目のインテリア性が高い。
- オールインワン型のインテリア水槽もあるため、魚の種類によってはそれ1つで飼育が始められる。
- 水量が小さいのでメンテナンス自体は楽。
〜小型水槽のデメリット〜
- 小さい分広さが無いので飼育する数を絞る必要がある。
- 水量が少ないので水質の悪化速度が早く、急変もしやすい。
- 広さが無いのでレイアウトが単調になりやすく、凝ったレイアウトをしてしまうと泳がせるスペースが限定される事がある。
- オールインワン型の場合、一部が壊れると丸ごと買い直す必要がある。商品によっては買い直しもできない。
- 形状が独特過ぎてフィルターを設置できない物もある。
主にこれらが挙げられます。
11,小型水槽での繁殖について
小型種の繁殖は決して大型水槽でなければ無理という事はありません。
むしろ小型水槽の方が状態を観察しやすく卵や稚魚に気付けたりする事だってあります。
①繁殖に使いやすい小型水槽
20cm水槽などの超小型のものもありますが、それほど小さい水槽は繁殖には不向きですが、クラウンキリーやメコンメダカであれば繁殖する可能性はあります。
小型種の繁殖も狙いたい場合は30〜45cmの水槽が多少水量があるのでオススメです。
②繁殖に使いやすい水草について
コイやカラシンの仲間はバラまくように産卵する種類が多いので「ウィローモス」や「リシア」などのコケの仲間や「ショート・ヘアーグラス」「オーストラリアン・ウォータークローバー」「グロッソスティグマ」などは産み落とされた卵を親魚から守ってくれます。
また、ピグミーグラミーのように泡巣を作るタイプは葉が広い「ニムファ」や「アヌビアス・ナナ・プッチ」なども良い基点となります。
⭐ちょっと変わった産卵方法をとる種類も!
名前だけ出してますが「プロカトーパス」という5〜6cmほどの大きさに成長するメダカの仲間は、バラまき型でも水草に卵を産み付けるタイプでもありません。
しかもアピストグラマやグラミーのように巣を作る訳でもありません。
彼らは「クラックスポウナー」という産卵方法をとっており、岩や流木にできた細い溝の中に産卵する事で知られています。
③小型水槽で比較的繁殖させやすい種類について
小さな水槽で生命の誕生を迎えられる事は面白みがあると思いますが、全ての小型種が小型水槽で繁殖できる訳ではありません。
小型水槽で繁殖させる場合はペア、または同種との小さな群れである事が条件となります。
トゥッカーノテトラは水質にデリケートな種類ではありますが、良い環境を維持し、水草もある程度入っていれば繁殖を狙いやすいです。
コイ科の場合も同じで、体調も良くウィローモスなどが程よく繁っていれば繁殖行動を取る事があります。
特にボララス・ウロフタルモイデスとミクロラスボラ・エリスロミクロン、ミクロラスボラ・ハナビは比較的繁殖行動を観察しやすいです。
ボーシャやローチ、ナマズの仲間は知名度のわりには繁殖について不明瞭な点が多いため、小型水槽での繁殖は難しいと思われます。
稀にボルケーノオトシンやグリーンファロウェラのようにある程度の大きさがある種類の繁殖例がありますが、餌や環境作りにかなり気を遣った事が分かります。
ミニコリ系は比較的繁殖させやすいですが、卵が小さいだけでなく数が少ないため見逃しやすいです。
メダカの仲間は最も繁殖させやすく、健康な親魚がいれば知らない内に産卵している事もあります。
クラウンキリーの場合は少し暗がりを作ってあげると産卵しやすいです。
ちょっとクセがありますが、ハゼの仲間も小型水槽で繁殖が狙え、45cm水槽があればグラスゴビーやピーコックガジョンも産卵します。
その場合は、土管などを入れてあげると中に入って繁殖場所として使ってくれるようになります。
最後に意外ですが、ホロホロシュリンプもボトルや超小型水槽で繁殖します。
④小型種の稚魚のお世話について
休眠卵でない限りは孵化までの日数も早いため、繁殖行動を確認できた時点で餌を用意した方が良いまであります。
また、水換えはしばらくは難しいので、どれだけ濾過や水草の浄化能力が付いてきてくれるかも需要な要素です。
小型種の稚魚は当たり前のように極小サイズなので、場合によってはルーペで確認する必要があります。
餌はPSBやインフゾリアがメインになり、底をついたら繁殖は絶望的です。
まとめ
今回は各小型種と小型水槽のメリット、デメリットなどについて皆様にご紹介させていただきました。
小型種と小型水槽の組み合わせはよくある事で、簡単にアクアリウムを始められる事から初心者からマニアまで人気があります。
そういった背景もあり、まだ本ブログで紹介していない種類と小型水槽の特徴などを執筆させていただきました。
小さい故の悩みは多いですが、それを受け入れて対処する事ができれば小さな水槽にも無限の可能性と世界が生まれ、そこに生きる小さな命がそれを彩ってくれるのです。