プレコとの出会いは、アクアリウムを始めて間もない頃、水槽のガラス面にじわじわと増える茶ゴケに頭を悩ませていた時期のことです。ショップの店員さんに「プレコを1匹入れたら、ガラスがピカピカになりますよ」と勧められ、半信半疑で連れて帰ったのがブッシープレコでした。翌朝、水槽のガラス面を見て思わず声を上げました。あれほど悩んでいた茶ゴケが、まるでワイパーで拭き取ったかのようにきれいになっていたのです。
プレコは南米・アマゾン川流域を原産とするナマズの仲間で、吸盤状の口でガラスや流木に張り付く姿が独特な熱帯魚です。コケ取り能力の高さから「水槽の掃除屋」として親しまれていますが、種類によって最大サイズや飼育難易度が大きく異なります。小型のブッシープレコなら30cm水槽でも飼育できますが、セルフィンプレコやロイヤルプレコは60cm以上、場合によっては120cm以上の大型水槽が必要になることも。「プレコを買ったら想像以上に大きくなった」というのは、アクアリウム界でよく聞くトラブルのひとつです。
この記事では、プレコの基本情報から種類の解説、飼育に必要な機材・水質管理・餌の与え方、コケ取り能力の実態、混泳・繁殖・よくあるトラブルまで、私が実際にプレコを飼育してきた経験をもとに徹底的に解説します。
この記事でわかること
- プレコの生態・学名・原産地など基本情報
- ブッシープレコ・セルフィン・タイガー・ロイヤルなど主要種の特徴と違い
- 飼育に必要な水槽サイズ・フィルター・流木・底砂の選び方
- 適正水温・pH・水換え頻度の管理方法
- コケ取り能力の実態と、コケを食べなくなる理由
- プレコに最適な餌の種類と与え方
- 混泳できる魚・できない魚の見極め方
- 繁殖に挑戦するための条件と産卵床の作り方
- 「大きくなりすぎた」「コリドラスを舐める」などよくある失敗と対策
- よくある質問(FAQ)12問を完全回答
プレコとはどんな魚?基本情報
分類・原産地(南米・アマゾン川水系)
プレコはナマズ目ロリカリア科に属する熱帯魚の総称です。「プレコスティムス(Plecostomus)」という属名が「プレコ」という愛称の語源で、現在は広くロリカリア科の魚全般をプレコと呼ぶようになっています。原産地は南米・アマゾン川流域を中心に、オリノコ川流域、ブラジル・ベネズエラ・コロンビア・ペルーなどの熱帯雨林を流れる川や渓流です。
特にブラジルのシングー川(Xingu River)やタパジョス川流域には多様なプレコが生息しており、アクアリウム界でも人気の高い希少種が多く産出されています。水が岩盤を流れる急流域から、アマゾン本流のゆったりした流れの場所まで、種によって生息環境が大きく異なります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 目 | ナマズ目(Siluriformes) |
| 科 | ロリカリア科(Loricariidae) |
| 原産地 | 南米(アマゾン川・オリノコ川流域など) |
| 代表的な生息国 | ブラジル・ベネズエラ・コロンビア・ペルー・エクアドル |
| 生息環境 | 急流域〜緩流域、岩場・流木の多い河川 |
| 食性 | 主に植物食性(コケ・腐植物)、一部雑食性 |
| 種類数 | ロリカリア科全体で約1,000種以上(記載済み) |
体の特徴(吸盤口・装甲)
プレコの最大の特徴は吸盤状の口(吸盤口)です。口が腹側についており、これを使って流木・岩・ガラス面に吸い付いて移動します。この吸盤口でコケや付着藻類をこそぎ取って食べるため、コケ取り生体として重宝されています。
体の表面は骨板(こっぱん)と呼ばれる硬い鱗の変化したプレートで覆われており、まるで鎧(よろい)をまとったような見た目です。このため英語では「Armored catfish(装甲ナマズ)」とも呼ばれます。ヒレも発達しており、特に背びれは大きく広がり、種によっては帆のような形状になります(セルフィンプレコなど)。
プレコの寿命と成長速度
プレコは一般的な熱帯魚の中でも比較的長命な部類に入ります。ブッシープレコなどの小型種で10〜15年、大型種のセルフィンプレコやロイヤルプレコでは15〜20年以上生きることもあります。購入時は数センチの幼魚でも、長期的な視点で飼育環境を整える必要があります。
成長速度は種によって大きく異なりますが、全般的に最初の1〜2年は比較的早く成長し、その後ゆっくりになる傾向があります。水温・餌の量・水槽サイズが成長速度に影響します。過密飼育や栄養不足では成長が遅れることがあります。
プレコの種類完全ガイド
ブッシープレコ(最もポピュラー・コンパクト)
アクアリウム界で最もよく飼育されているプレコがこのブッシープレコ(学名:Ancistrus sp.)です。最大サイズが約12〜15cmとコンパクトで、45〜60cm水槽でも終生飼育できます。名前の由来は成熟したオスの吻(ふん=鼻先)周辺に生えてくる短い触手(ブッシー=ブッシュ状)で、この独特な見た目が愛好家に親しまれています。
コケ取り能力が高く、丈夫で水質適応性も広いため、初心者に最もおすすめのプレコです。アルビノや黒体色など品種改良個体も豊富で、入手も容易。価格も500〜1,500円程度と手頃です。
セルフィンプレコ(大型化に注意)
セルフィンプレコ(学名:Pterygoplichthys gibbiceps)は、アクアリウムショップでよく見かける安価なプレコのひとつですが、最大60〜70cmに達する大型種です。幼魚時は5〜10cmで売られていることが多く、そのコンパクトな見た目と安価(300〜800円程度)から衝動買いしてしまう方が多いですが、成長すると非常に大きくなるため要注意です。
背びれが帆のように大きく広がるのが特徴で(セルフィン=帆びれ)、その迫力ある姿は見応えがあります。飼育するなら最終的に120〜180cm水槽が必要になることを覚悟してください。
タイガープレコ(美しいが高価)
タイガープレコ(学名:Panaqolus cf. maccus)は黄色と黒の縞模様が美しいプレコで、最大サイズは約10〜13cmとコンパクトです。ブッシープレコと並んで小型水槽向きの種類といえます。名前の通りトラの縞を思わせる模様が鮮やかで、鑑賞価値が高いのが特徴。
ただし流通量が少なく、価格は3,000〜8,000円とやや高め。また臆病な性格で隠れることが多いため、観察機会が少ない面もあります。流木を好み、流木をかじる習性があります(後述)。
オレンジフィンカイザープレコ(希少・コレクター向け)
オレンジフィンカイザープレコ(学名:Panaque cf. armbrusteri)は、黒い体にオレンジ〜黄色のヒレが映える非常に美しいプレコです。最大サイズは約30〜40cmの中型〜大型種。ブラジルのシングー川流域産で、生息地の環境破壊や採集規制により流通量が非常に少ない希少種です。
価格は10,000〜30,000円以上とコレクター向けの高級種。飼育には60〜90cm水槽が必要で、水質管理も丁寧に行う必要があります。流木食いの傾向が強く、大量の流木を入れておくことが健康維持の秘訣です。
ロイヤルプレコ(大型・貫禄)
ロイヤルプレコ(学名:Panaque nigrolineatus)は、黒い縞模様と青みがかった目が印象的な中〜大型プレコです。最大サイズは約40〜60cmに達します。体高があり、成魚になると非常に貫禄のある姿になります。流木専食に近い食性を持ち、流木を大量に食べて分解する特殊な消化機能(木材を消化する腸内細菌)を持っています。
価格は3,000〜15,000円程度。飼育には大型水槽(90cm以上、理想は120cm以上)と大量の流木が必要です。
コリドラスとの違い(タンクメイトの役割)
プレコとコリドラスはどちらも「水槽の掃除屋」として知られますが、役割が異なります。プレコは主にガラス面・流木・石のコケや付着藻類を食べるのに対し、コリドラスは底砂に落ちた食べ残しや有機物を処理する底棲魚です。両者を組み合わせることで、水槽内の様々な場所の汚れをカバーできます。詳しくは後述の混泳セクションもご覧ください。
種類別比較テーブル
| 種類 | 最大サイズ | 必要水槽サイズ | コケ取り能力 | 価格目安 | 初心者向け度 |
|---|---|---|---|---|---|
| ブッシープレコ | 12〜15cm | 45cm〜 | ★★★★★ | 500〜1,500円 | ★★★★★ |
| セルフィンプレコ | 50〜70cm | 120cm〜 | ★★★★☆ | 300〜800円 | ★☆☆☆☆ |
| タイガープレコ | 10〜13cm | 45cm〜 | ★★★☆☆ | 3,000〜8,000円 | ★★★☆☆ |
| オレンジフィンカイザー | 30〜40cm | 90cm〜 | ★★☆☆☆ | 10,000〜30,000円 | ★★☆☆☆ |
| ロイヤルプレコ | 40〜60cm | 120cm〜 | ★★☆☆☆ | 3,000〜15,000円 | ★★☆☆☆ |
初心者はブッシープレコ一択!小型・丈夫・コケ取り能力抜群の三拍子が揃った、アクアリウム入門に最適なプレコです。セルフィンプレコは安くても将来的に大型水槽が必要になるため、住宅環境をよく考えてから購入しましょう。
プレコ飼育に必要な機材
水槽サイズ(種類によって60cm〜180cm)
プレコの飼育水槽サイズは種類によって大きく異なります。前述した通り、ブッシープレコやタイガープレコなどの小型種なら45〜60cm水槽で終生飼育が可能です。一方、セルフィンプレコやロイヤルプレコなどの大型種は最終的に120〜180cm以上の水槽が必要になります。
プレコは夜行性(昼間は隠れていることが多い)で底棲魚のため、水槽の底面積が重要です。高さよりも幅と奥行きを重視して選びましょう。また、吸盤口でガラス面を移動する際に傷をつけることがあるため、アクリル水槽よりガラス水槽の方が傷に強くておすすめです。
フィルターのパワー(強力なフィルター必須)
プレコは「大食漢(たいしょくかん)=食欲旺盛で大量に食べる魚」で、それに比例して排泄量も非常に多い魚です。水槽内の水が汚れやすいため、強力なフィルターが必須です。一般的な熱帯魚の2〜3倍のろ過能力を目安に選ぶとよいでしょう。
おすすめは外部式フィルターか上部式フィルターです。外部式は静音性が高くメンテナンス性も良好、上部式は酸素供給量が多くコストパフォーマンスに優れています。水流の強さについては後述します。
底砂・流木(必須)・隠れ家
底砂は大磯砂・川砂・砂利系がおすすめです。細かすぎる砂は吸い込んでしまうことがあるため、粒径2〜5mm程度のものを選びましょう。
流木は多くのプレコにとって必須アイテムです。プレコは流木の表面に付いたバイオフィルム(微生物の集合体)を食べますが、それ以上に流木に含まれる木質繊維(セルロース)を消化する腸内細菌を持つ種(タイガー・ロイヤル・オレンジフィンカイザーなど)にとっては食物源そのものでもあります。流木は必ず2〜3本入れましょう。
また隠れ家(シェルター)も重要です。プレコは昼間に岩や流木の陰に隠れるため、丸みのある石や専用のシェルターを設置してあげましょう。隠れ家があると食欲・発色・健康状態が安定します。
照明
プレコは夜行性のため、強い照明を好みません。ただし水草と一緒に飼う場合は水草の光合成に必要な照明が必要です。水草を育てる場合は照明を使いつつ、プレコが隠れられる日陰となる流木・岩のレイアウトを工夫しましょう。CO2なしで育てられる水草との組み合わせも相性が良いですよ。
| 必要機材 | 選び方のポイント | おすすめグレード |
|---|---|---|
| 水槽(ブッシープレコ) | 底面積重視。45〜60cm幅以上 | 60cmレギュラー水槽 |
| 水槽(大型種) | 120〜180cm幅。将来的な成長を考慮 | 90cm以上を最初から用意 |
| フィルター | 外部式または上部式。水量の5〜10倍/時のろ過能力 | 外部式(エーハイム等) |
| 底砂 | 粒径2〜5mm。大磯砂・川砂 | 大磯砂(細目) |
| 流木 | 複数本。アク抜き済みが理想 | アク抜き済み流木セット |
| シェルター | プレコが入れる大きさ。筒型・洞窟型 | 専用プレコシェルター |
| ヒーター | 水温24〜28℃維持。サーモスタット付き | オートヒーター(26℃固定型) |
| 照明 | 水草を育てない場合はLEDの弱光で十分 | 水草有りの場合は水草用LED |
プレコの繁殖
繁殖の難しさ
プレコの繁殖難易度は種類によって大きく異なります。ブッシープレコは比較的繁殖が容易で、適切な環境を用意すれば水槽内での繁殖に成功する例が多く報告されています。一方でタイガープレコ・ロイヤルプレコ・オレンジフィンカイザーなどの希少種は、繁殖に成功しているケースが少なく、高難易度です。
ブッシープレコの繁殖を試みる場合も、成熟したオスとメスのペアを見極め、適切な産卵床を用意し、水質・水温を管理する必要があります。無計画に多数を入れれば勝手に増えるというわけにはいきません。
産卵条件・筒型産卵床
ブッシープレコの繁殖を誘発するためには以下の条件が重要です。
- 成熟したペア:オスは吻部にブッシー(触手)が生えていれば成熟しています。体長8cm以上が目安。メスはオスより丸みを帯びた体型
- 水温:24〜26℃前後を安定して維持
- 産卵床(筒型シェルター):プレコは洞窟・穴の中に産卵する習性があります。塩ビパイプ(内径5〜7cm程度)を30〜40cmに切ったものが定番の産卵床です。市販の専用プレコシェルターも使えます
- 水換えによる刺激:産卵前に少し低めの水温の新水で水換えをすると産卵を誘発できることがあります
- 十分な栄養:産卵前2〜4週間、植物性タブレットに加えて冷凍赤虫を多めに与えてコンディションを上げる
産卵はオスが産卵床(筒の中)に入り、メスを誘い込む形で行われます。産卵後はオスが筒の入口でうちわのようにヒレを動かしながら、卵を守り続けます(ナーサリーケア)。この間はオスを刺激しないよう注意が必要です。
稚魚の育て方
孵化(ふか)した稚魚は最初はヨークサック(卵黄嚢)の栄養で育ちます。ヨークサックがなくなる3〜5日後から自力で餌を食べ始めます。稚魚の餌は微細なプレコタブレット(すりつぶしたもの)やブラインシュリンプ(ふ化直後)が適しています。
稚魚は体が小さく吸い込まれるリスクがあるため、フィルターの吸水口にスポンジを取り付けましょう。水換えも稚魚を傷つけないよう細いホースでゆっくり行います。孵化から2〜3ヶ月で1〜2cmまで成長したら、親と同じ環境に移行できます。
よくある失敗・トラブル
大きくなりすぎた
プレコ飼育で最も多いトラブルが「想像以上に大きくなった」というケースです。前述の通り、安価なセルフィンプレコやタコプレコ(ヒポプレコス)は最大50〜70cmに達します。幼魚(5〜10cm)で購入しても、適切な飼育環境・栄養があれば確実に大きくなっていきます。
成長してしまった場合の対策として、まず水槽を大きくすることが理想です。次善策として専門ショップに引き取ってもらう(引き取り可能なショップに相談)か、アクアリウム仲間に譲るといった方法があります。河川・池への放流は絶対に行ってはいけません。外来種として生態系を破壊する原因になります。
購入前に必ず最大サイズを確認しましょう!プレコのラベルや説明書きに「成魚時の最大サイズ」が記載されています。ショップ店員に聞くのが一番確実です。安価なプレコほど大型化するケースが多いため、特に注意してください。
他の魚のぬめりを舐める(コリドラス被害)
プレコが他の魚の体表の粘液(ぬめり)を舐める行動は「プレコの吸い付き被害」として知られるトラブルです。被害を受けやすいのは体表の粘液が多い魚(コリドラス・金魚・ディスカスなど)です。舐められた箇所は炎症や潰瘍(かいよう)になり、細菌感染から死亡することもあります。
この行動が起きやすい状況は、プレコが空腹の時・水槽内にコケが不足している時です。プレコに十分な植物性の餌を与え、ズッキーニなどの生野菜を補給することで軽減できる場合があります。それでも改善しない場合は水槽を分けることを検討してください。
なお、プレコによる吸い付き被害は個体差が大きく、全くやらない個体も多くいます。同じ水槽で問題なく長年共存しているケースも珍しくありません。まずは状態を観察し、被害が継続するようなら対策を講じましょう。
ガラス面から落ちる・弱る
普段ガラスに張り付いているプレコが底に沈んでじっとしている、あるいは力なく流されている場合は体調不良のサインです。主な原因は以下の通りです。
- 水質悪化(アンモニア・亜硝酸の上昇):最も多い原因。即座に水換えを行う。詳しくは病気ガイドも参照
- 水温低下:24℃を下回ると活動量が低下。ヒーターの故障・冬場の室温低下に注意
- 酸素不足:特に夏場、水温上昇で溶存酸素量が低下するため、エアレーションを強化
- 栄養不足:コケだけでは栄養が足りない場合がある。タブレットを十分与えているか確認
- 病気(白点病・穴あき病等):体表に白点・潰瘍が見られる場合は病気の可能性。病気対処ガイドを参照して適切な薬浴を行う
プレコのよくある質問(FAQ)
Q. プレコは何匹くらい入れたらコケがなくなりますか?
A. 60cm水槽なら1〜2匹で十分です。数を増やしても縄張り争いになるだけで、コケ取り効果が倍増するわけではありません。まず1匹入れて様子を見ましょう。
Q. プレコと金魚は一緒に飼えますか?
A. おすすめしません。プレコが金魚のぬめりを舐めてしまい、金魚が傷ついたり衰弱する可能性が高いです。コケ取りを目的とするなら、金魚水槽には石巻貝などの貝類の方が安全です。
Q. プレコはコリドラスと混泳できますか?
A. 個体差はありますが、プレコがコリドラスのぬめりを舐めるトラブルが報告されています。混泳させる場合はコリドラスの体表に傷・潰瘍がないか定期的に確認し、問題があればすぐに分けてください。ブッシープレコとコリドラスの組み合わせは比較的問題が少ないと言われています。
Q. プレコはどれくらいの頻度で餌を与えればよいですか?
A. 1日1〜2回、30分以内に食べきる量が目安です。消灯直前に与えると食いつきが良いです。コケ取り効果を維持したい場合は、やや少なめに与えてコケへの食欲を保つのがポイントです。
Q. 流木は必ず必要ですか?
A. ほとんどのプレコにとって流木は必須です。特にタイガープレコ・ロイヤルプレコ・オレンジフィンカイザーなどの木食い系プレコは、流木が食物の一部でもあります。ブッシープレコも流木があることで落ち着いた行動を示します。水槽内に流木を入れることを強くおすすめします。
Q. プレコが昼間に姿を見せてくれません。隠れてばかりです。
A. プレコは基本的に夜行性なので、昼間は流木や岩の陰に隠れているのが正常な行動です。消灯後にライトを当てると活発に動いている姿を観察できます。隠れ家が十分にあることがプレコの安心感につながります。無理に出てこさせようとするのは逆効果です。
Q. セルフィンプレコを小さい水槽で飼い続けるとどうなりますか?
A. 水槽が小さいと成長が抑制されたり、ストレスで体調を崩したりします。最終的には水槽の大きさに比例して成長が制限されますが、それは魚に多大なストレスをかけている状態です。最大60〜70cmに達することを前提に、将来的に大型水槽を用意できない場合はセルフィンプレコの購入は控えてください。
Q. プレコのpHはどれくらいが適していますか?
A. 一般的なプレコは弱酸性〜中性(pH6.0〜7.5)が適しています。ブッシープレコはpH6.5〜7.5と幅広く対応できます。野生産の希少種(タイガー・ロイヤル等)はやや低めの弱酸性(pH6.0〜6.8)が理想的です。一般的な水道水(pH7.0前後)でも飼育可能なことが多いですが、定期的に測定しましょう。
Q. プレコが黒ひげゴケを食べてくれません。どうすれば?
A. 残念ながら、プレコを含めほとんどのコケ取り生体は黒ひげゴケを食べません。黒ひげゴケの対処法は、①木酢液を直接塗布してから水槽に戻す、②フライングフォックスなど黒ひげを食べる魚を追加する、③リン酸塩(黒ひげの栄養源)を減らす水換え強化と給餌量の見直し、が有効です。
Q. プレコは低水温に弱いですか?
A. 南米原産の熱帯魚なので低水温には弱いです。24℃を下回ると活動量が低下し、23℃以下では体調不良になりやすく、20℃以下では生命の危機となります。必ずヒーターを使用し、特に冬場は水温管理を徹底してください。室温が下がる夜間にヒーターが故障しやすいため、予備ヒーターを用意しておくと安心です。
Q. プレコは単独飼育の方がいいですか?
A. 必ずしも単独飼育が必要なわけではありませんが、同種(特にオス複数)は縄張り争いをするため注意が必要です。異種の温和な中層魚(テトラ類等)との混泳は問題ありません。単独でも群泳させても、水槽の広さと隠れ家の数が十分であることが最も重要です。
Q. プレコの繁殖に最も向いている種類は何ですか?
A. 入門種としてはブッシープレコが最もおすすめです。比較的繁殖が容易で、45〜60cm水槽でも成功例が多い種類です。塩ビパイプや専用シェルターを産卵床として入れ、オスとメスの成熟ペアを用意するだけで、自然と繁殖してくれることがあります。
水換えの頻度と安全な方法
プレコ水槽の水換えは週1回・全水量の1/3が基本です。大型プレコや多頭飼育では週2回必要なこともあります。水換え時に一度に50%以上を換えると水質が急変してプレコにショックを与えるため、少量ずつこまめに換えることが大切です。また、新しい水はカルキ抜きをして水温を合わせてから入れてください。水温差が2℃以上あると体調不良の原因になります。
プレコの病気と健康管理
白点病の症状と治療法
白点病はプレコでも発生する最も一般的な病気です。体表・ヒレに白い粒状の斑点が現れたら白点病のサインです。水温が低下した時や新しい魚を導入した後に発症しやすい傾向があります。治療法は水温を30℃前後に上げることと市販の白点病治療薬(メチレンブルー系・マラカイトグリーン系)の使用が基本ですが、プレコはナマズ系のため薬への耐性が低く、規定量の半量〜2/3から始めることを推奨します。
エロモナス感染症(松かさ病・穴あき病・腹水)
水質悪化やストレスがあるとエロモナス菌による感染症が発生しやすくなります。ウロコが逆立つ「松かさ病」、体表に穴が開く「穴あき病」、腹部が膨らむ「腹水病」などが代表的です。これらはいずれも重症化すると完治が難しいため、早期発見・早期対処が重要です。患部への薬浴(グリーンFゴールド顆粒)と隔離治療が基本となります。根本的な解決には水質改善が不可欠です。
プレコが弱る原因チェックリスト
プレコの体調不良サインと対処法
- 吸盤が弱くガラスからすぐ落ちる → 水質悪化のサイン。アンモニア・亜硝酸をチェック
- 底に沈んで動かない → 水温低下またはアンモニア急上昇の可能性。水換えおよび水温確認を
- 急激にやせる・腹部が凹む → 消化器系の問題か寄生虫の可能性。専門家に相談
- ヒレが裂ける・欠ける → 縄張り争いや流木での損傷。隠れ家を増やして環境改善を
- 体表に白い点・赤い充血 → 白点病・細菌感染の疑い。早めに薬浴を検討
まとめ|プレコは「最後まで責任を持てる」種類を選ぼう
プレコは400種以上の多様性を持つ、アクアリウムの中でも特に奥が深いジャンルの魚です。コケ取り能力の高さから入門用として人気がありますが、「成魚になってから困った」というトラブルも絶えません。この記事で一番お伝えしたいことは、「買う前に成魚サイズと必要な水槽サイズを必ず確認すること」です。
プレコ飼育の重要ポイントまとめ
- 種類選びが最重要:初心者はブッシープレコ一択。コモンプレコ・セイルフィンプレコは最大50〜70cmになる大型種
- 流木は必須:隠れ家・食物・ストレス軽減の三役を担う。複数本を水槽に入れる
- ろ過は大きめに:排泄量が多いプレコには水槽サイズより一段階上のろ過システムを
- 週1回の水換えおよび底砂清掃を習慣化:糞が多いため定期メンテナンスが健康管理の基本
- 水槽立ち上げを焦らない:バクテリアが定着した安定した水槽でプレコを迎える
- コケ取りには限界がある:茶ゴケ・緑藻は得意だが黒ひげゴケ・藍藻は食べない
- 最後まで責任を持つ:大きくなっても川に放流することは絶対NG
プレコは長寿の魚で、適切な環境では10〜20年以上生きることもあります。飼育歴20年の私が特に好きなのはタナゴですが、プレコも一度飼い込むと本当に個性が出て、愛着が湧いてきます。夜にこっそり水槽を覗くと、昼間とは別の生き生きとした姿を見せてくれますよ。ぜひ長く丁寧にプレコと付き合ってみてください。
最後に私のポリシーをもう一度。「魚を飼うなら最後まで責任を持つ」「飼えなくなったから川に放す」は絶対ダメ。プレコは南米原産の外来魚で、日本の生態系に深刻な影響を与えます。飼育する覚悟を持てた人だけが、プレコという魚の本当の面白さを知ることができる。そう信じています。水槽の前でじっとプレコを見つめる時間、ぜひ皆さんにも味わってほしいです。
プレコはアクアリウムの「縁の下の力持ち」であり、飼い込むほどに個性と魅力を発揮する魚です。初心者の方はまずブッシープレコから始めて、プレコの魅力を体感してみてください。きっと「もっと知りたい」という気持ちが芽生えてくるはずです。
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