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淡水カメ(クサガメ・ミシシッピアカミミガメ・ニホンイシガメ)の飼育完全ガイド|水槽・日光浴・餌を徹底解説

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この記事でわかること

  • クサガメ・ミシシッピアカミミガメ・ニホンイシガメの特徴とちがい
  • 水槽・日光浴・餌・水換えなど飼育の基本から応用まで
  • 冬眠の管理・繁殖・よくかかる病気への対処法
  • 長期飼育に必要な心がまえと責任ある飼い主になるための知識

川や池でカメを見かけると、自然と手を伸ばしたくなる気持ち、わかります。あの甲羅の独特な質感、水中をのびのびと泳ぐ姿、岩の上で首を伸ばして日光浴する様子——どれをとっても愛嬌があって、「飼ってみたい」という気持ちになるのは当然のことだと思います。

でも、カメの飼育には「覚悟」が必要です。種類によっては20〜30年以上、場合によっては50年を超えて生きる生き物です。気軽に始めたはいいものの、「思っていたより大きくなった」「世話が大変になってきた」「引っ越しで飼えなくなった」——そんな理由で川や池に放してしまう人が後を絶ちません。

なつ
なつ
私も子供の頃、近所の川でクサガメを捕まえて飼い始めたんです。「かわいいな」ってだけで始めて、気づいたら15年以上一緒に暮らしていました。カメを飼うってそういうことなんだと、今は深く理解しています。

この記事では、日本でよく見かける・よく飼われている3種類の淡水カメ——クサガメ・ミシシッピアカミミガメ・ニホンイシガメ——を中心に、飼育の基本から応用まで徹底解説します。カメとの長い付き合いを楽しむために、ぜひ最後まで読んでください。

目次
  1. 日本でよく見かける淡水カメ3種類の基本情報
  2. 飼育前に知っておきたい「覚悟」と準備
  3. 水槽の選び方と環境セッティング
  4. 日光浴の管理|紫外線と体温調節の重要性
  5. 餌の種類と給餌方法
  6. 水質管理と水換えの方法
  7. 冬眠の管理|冬眠させるべきか、させないべきか
  8. 繁殖の基本|産卵・孵化の管理
  9. よくある病気と対処法
  10. 3種類の比較と飼育向き・不向きのまとめ
  11. 長期飼育を成功させるための「飼い主の心がまえ」

日本でよく見かける淡水カメ3種類の基本情報

まず、飼育対象となる3種類のカメの基本情報を確認しましょう。それぞれ性格・サイズ・原産地が異なり、飼育の難易度や注意点も変わってきます。

日本の淡水域に生息するカメは複数種いますが、ペット飼育でよく見かけるのは主に3種類です。在来種であるクサガメとニホンイシガメ、そして外来種のミシシッピアカミミガメ(アカミミガメ)です。かつては縁日の出店などで「ミドリガメ」として販売されていたアカミミガメが公園の池で大量繁殖し、在来カメの生息域を圧迫している状況が続いています。こうした背景を知ったうえで、どの種類を飼育するかを選択することが大切です。

クサガメ(Mauremys reevesii)の特徴

クサガメは日本各地の池・沼・川の流れが緩やかな場所に生息する半水棲のカメです。名前の由来は、驚かせたり触ったりすると独特の臭いを出すことから。この匂いは外敵から身を守るためのもので、飼育に慣れると匂いを出さなくなる個体も多いです。なお近年の遺伝子研究により、日本に現在生息するクサガメは大陸から人為的に持ち込まれた可能性が高いとされており、純粋な在来種ではないという見方が広まっています。それでもペット飼育の歴史が長く、ゼニガメの愛称で親しまれてきた身近なカメであることに変わりはありません。

項目 詳細
学名 Mauremys reevesii
分布 日本・中国・朝鮮半島(日本には移入の可能性も)
甲長(成体) オス15〜20cm、メス20〜30cm
寿命 20〜40年(飼育下では40年超の記録あり)
性格 人懐っこく、飼育者に慣れやすい
飼育難易度 やや易しい(初心者向き)
水温適応 15〜30℃(冬眠可能)

クサガメは甲羅に3本の筋が走っているのが特徴で、幼体のうちは背甲が黒みがかっているため「ゼニガメ」と呼ばれて販売されることがあります。成長とともに体色は変化し、オスは成体になると全身が黒くなることが多いです(黒化)。人に慣れやすく、餌を手から食べるようになる個体も多いため、初心者でも飼いやすい種類とされています。

なつ
なつ
私が飼っていたクサガメは本当に人懐っこくて、水槽の前に立つと「餌ちょうだい」って前足をばたばたさせるんです。あの仕草は何度見ても笑えました。

ミシシッピアカミミガメ(Trachemys scripta elegans)の特徴

ミシシッピアカミミガメは、耳の後ろに赤い模様があることから「アカミミガメ」とも呼ばれます。北アメリカ原産の外来種で、かつては「ミドリガメ」の名前でペットショップに多数流通していましたが、現在は特定外来生物に指定(2023年)されており、新たな購入・飼育には許可が必要です。

項目 詳細
学名 Trachemys scripta elegans
原産地 北アメリカ(ミシシッピ川流域)
甲長(成体) オス15〜20cm、メス25〜30cm
寿命 20〜30年(野生では40年超の記録も)
性格 活発で人に慣れやすいが、大きくなると噛むことも
飼育難易度 中級(成体は大型水槽が必要)
法的地位 特定外来生物(2023年指定)。既存飼育個体は届出で継続可

アカミミガメは繁殖力が非常に強く、在来の生態系に大きな影響を与えるとして問題視されています。現在、日本の池や川にいるカメの大部分がこのアカミミガメで、在来のニホンイシガメやクサガメが追い出されつつある地域も増えています。水草を大量に食べるため水辺の植生を破壊し、在来の魚や両生類の産卵場所まで失われることも報告されています。すでに飼育しているアカミミガメについては、責任を持って生涯飼育することが求められます。「大きくなりすぎた」「世話が面倒になった」という理由での放流は、生態系への重大な影響を招くと同時に法律違反にもなりますので、絶対に避けてください。

重要:アカミミガメの飼育は2023年から規制対象

2023年6月1日より、ミシシッピアカミミガメは特定外来生物に指定されました。新たに購入・飼育・野外へのリリースは原則禁止です。既に飼育している場合は「既存飼育個体」として届出を行えば継続飼育は可能ですが、繁殖・譲渡・野外放流は禁止です。飼えなくなっても絶対に川や池に放してはいけません。

ニホンイシガメ(Mauremys japonica)の特徴

ニホンイシガメは日本固有種のカメで、きれいな河川の上流〜中流域に生息します。甲羅の後縁がギザギザしており、甲羅の色は黄褐色から茶褐色。他の2種と比べると臆病な性格で、飼育には少し根気が必要ですが、慣れると非常に愛らしい存在になります。

項目 詳細
学名 Mauremys japonica
分布 日本固有種(本州・四国・九州の清流域)
甲長(成体) オス12〜16cm、メス18〜22cm
寿命 30〜40年(野生・飼育ともに長寿)
性格 臆病だが慣れると人に懐く
飼育難易度 中級(水質管理が重要)
保全状況 準絶滅危惧(NT)。採集には注意が必要

ニホンイシガメは近年、外来種・生息地の破壊・交通事故などで個体数が減少しており、環境省レッドリストで準絶滅危惧(NT)に指定されています。野生個体の採集は法的に禁止されていませんが、在来種保護の観点から、購入する場合はペットショップや専門ブリーダーからの個体を選ぶことが推奨されます。また、アカミミガメとの交雑も問題視されており、ニホンイシガメの純血性を守る意味でも、むやみに野外から採集してきた個体をアカミミガメと同一環境で飼育することは避けてください。飼育下でニホンイシガメをじっくり観察すると、甲羅の後縁のギザギザや独特の動きのゆっくりさに独特の愛嬌があります。慣れてくると飼い主の顔を認識するようになり、餌をねだってくる姿は格別です。

なつ
なつ
川でニホンイシガメを見ると、今は手を伸ばすのをグッとこらえます。在来種の採集は最小限に。昔の自分に教えてあげたいくらいです。

飼育前に知っておきたい「覚悟」と準備

カメの飼育を始める前に、まず知っておいてほしいことがあります。それは「カメは非常に長生きする」ということです。

カメは何十年も生きる生き物

クサガメで20〜40年、ニホンイシガメで30〜40年、アカミミガメで20〜30年——これが一般的な寿命の目安です。つまり、今10歳の子供がカメを飼い始めたら、成人しても、就職しても、結婚しても、そのカメはまだ生きているかもしれないのです。

なつ
なつ
私が子供の頃に飼い始めたクサガメは15年以上生きました。大学受験も、就職も、一人暮らしも、全部このカメと過ごしました。「飽きた」なんて一度も思わなかった。でも、飼う前にその覚悟ができていたかというと、正直わかりません。

カメを飼うということは、その命を最後まで預かるということです。「大きくなりすぎた」「世話が面倒になった」「引っ越しで飼えなくなった」——そういう理由で野外に放すことは絶対にやめてください。

飼えなくなったカメを川・池・公園に放してはいけない理由

  • 外来種(アカミミガメ等)を放すと在来の生態系を破壊する
  • 在来種でも、飼育個体を放流すると病気または遺伝的撹乱の原因になる
  • 特定外来生物の野外放流は法律で禁止されており、罰則がある
  • 飼育下で育ったカメは自然界での生存が困難で、かえって苦しめることになる

飼えなくなった場合は、爬虫類専門店への引き取り依頼・知人への譲渡・行政への相談などを検討してください。

初期費用と維持費の目安

カメの飼育にかかるコストを事前に把握しておきましょう。

費用項目 幼体〜小型 成体
水槽(爬虫類ケージ) 60cm水槽:3,000〜10,000円 90cm以上:10,000〜30,000円
フィルター 外部式または上部式:3,000〜8,000円 大型外部式:8,000〜20,000円
バスキングライト 2,000〜5,000円 2,000〜8,000円
UVBライト 3,000〜8,000円 5,000〜15,000円
ヒーター(水中) 2,000〜4,000円 3,000〜6,000円
陸地(浮島・流木等) 1,000〜3,000円 2,000〜5,000円
底砂 500〜2,000円 1,000〜3,000円
カメ本体 クサガメ:1,000〜3,000円
ニホンイシガメ:3,000〜8,000円
成体は希少で高価になることも
月々の維持費 餌代:500〜1,000円
電気代:500〜1,500円
餌代:1,000〜2,000円
電気代:1,000〜3,000円

水槽の選び方と環境セッティング

カメの飼育環境を整えることが、長期飼育の成功を左右します。水槽・陸地・照明・フィルター——それぞれの選び方を詳しく解説します。

水槽サイズの選び方

カメの水槽選びで最も重要なのは、成体サイズを考慮した大きさを最初から用意することです。「子亀のうちは小さい水槽でいいか」という考えは禁物です。カメは思ったよりも早く成長し、水槽が小さすぎると運動不足・ストレス・水質悪化につながります。

目安として、甲羅の長さの3倍以上の辺長を持つ水槽が理想とされています。クサガメのメスは30cmになるため、最低でも90cmの水槽が必要です。「最初から大きめを用意する」が正解です。

水槽の素材は一般的なガラス製で問題ありませんが、カメは爪が鋭く壁面を引っかきながら移動するため、アクリル製の水槽は傷がつきやすい点に注意しましょう。また、カメは水から陸に上がる際に水槽の縁に前足をかけようとすることがあるため、ガラス蓋は必須です。重さのあるガラス蓋や専用のクリップで固定することを忘れずに。屋外での飼育(コンテナ・プランターなど)も可能ですが、脱走防止のフタおよびカラス対策のネットは欠かせません。

なつ
なつ
小さい頃に60cm水槽で飼い始めて、成長とともに90cmに買い替えた経験があります。最初から90cm用意しておけばよかったと今でも思います。

陸地(バスキングスポット)の作り方

カメは半水棲の生き物です。水の中で泳ぐだけでなく、陸に上がって体を乾かし日光浴をする習性があります。この陸地のことを「バスキングスポット」と呼びます。

陸地は市販の浮島を使うのが手軽ですが、大型になると浮島では不安定になるため、レンガや流木を組み合わせた安定したものがおすすめです。陸地の条件は以下の通りです。

  • 水面から完全に出られる高さがある(全身を乾燥させられる)
  • カメが自力で登り降りできる傾斜がある
  • バスキングライトの直下に位置する
  • 水槽外への脱走経路になっていない
なつ
なつ
うちのクサガメはよく脱走してたんです。朝起きたら廊下を歩いていたことが何度もあって、そのたびに肝を冷やしました。水槽の蓋はしっかり閉めて、重しをするくらいがちょうどいいです。

照明の種類と役割

カメの飼育に必要な照明は2種類あります。それぞれの役割を理解して、適切なものを選びましょう。

バスキングライト(可視光・熱)

バスキングライトは陸地を温めて、カメが体温を上げられるスポットを作るためのランプです。陸地の表面温度が28〜32℃になるように高さを調整します。専用品でなくても電球型のクリプトン球で代用できますが、爬虫類専用品は角度調整がしやすいため便利です。

UVBライト(紫外線B波)

UVBライトは紫外線B波を照射するランプで、カメの体内でビタミンD3を合成するために不可欠です。ビタミンD3が不足するとカルシウム代謝に支障をきたし、甲羅や骨が軟化する「クル病(代謝性骨疾患)」を引き起こします。室内飼育では必ずUVBライトを設置してください。

UVBライトを使う際の注意点

  • UVBはガラスで遮断されるため、ガラス越しに当てても効果がない
  • メッシュ状の蓋の上から照射するか、直接照射できる構造にする
  • UVBランプは使用時間とともに出力が低下するため、6〜12ヶ月で交換推奨
  • ライトの点灯時間は1日10〜12時間程度が目安

フィルターの選び方

カメは魚と比べてはるかに多くの排泄物を出すため、フィルターは強力なものを選ぶ必要があります。特に大型個体を飼育する場合は、水槽のサイズよりも大きめのろ過能力を持つフィルターを選ぶのが基本です。

  • 上部フィルター:メンテナンスが簡単で、カメ飼育では最もポピュラー
  • 外部フィルター:ろ過能力が高く、大型水槽向け。ただし水位が低いと空気を吸いやすい
  • 底面フィルター:単独での使用は不向き。他のフィルターとの併用で効果を発揮

カメ飼育では底砂を敷かないことも多いため、底砂ありを前提とした底面フィルターよりも、上部または外部フィルターの方が使いやすいです。

フィルターを選ぶ際は「対応水槽サイズ」の表示だけを鵜呑みにせず、カメ飼育では魚飼育の2〜3倍のろ過能力を目安にするのが賢明です。たとえば60cm水槽でカメを飼うなら、90〜120cm対応の上部フィルターを使うくらいのつもりで選びましょう。また、フィルターのろ材は定期的な交換・洗浄が必要で、怠るとせっかくのフィルターが機能しなくなります。月1回を目安にろ材の状態を確認し、汚れがひどい場合は飼育水(カルキ抜き済み)で軽くすすぎ洗いしてください。塩素入りの水道水でそのまま洗ってしまうとバクテリアが死滅するため注意が必要です。

日光浴の管理|紫外線と体温調節の重要性

カメにとって日光浴は「贅沢」ではなく「必需品」です。日光浴ができないカメは、甲羅の変形・免疫力の低下・成長不良などさまざまな問題を抱えます。

日光浴の主な効果

カメが日光浴をする理由は主に3つあります。

  1. 体温調節:変温動物であるカメは、外部の熱源で体温を上げる必要がある。体温が上がることで消化・代謝・免疫機能が活発になる
  2. ビタミンD3の合成:太陽光(特にUVB)を浴びることで皮膚でビタミンD3を合成し、カルシウムの吸収を助ける
  3. 殺菌・乾燥:甲羅や皮膚を乾燥させることで、カビおよび細菌の繁殖を防ぐ
なつ
なつ
日光浴してるときのカメって本当に気持ちよさそうで、手足をピーンと伸ばしてほぼ動かなくなるんですよね。あの満足そうな顔が忘れられません。

屋外日光浴の方法と注意点

天気のよい日に屋外で日光浴させると、UVBランプの代わりになり、カメの健康維持に非常に効果的です。ただし、いくつかの注意点があります。

  • 直射日光と日陰を両方用意する:逃げ場がないと熱中症になる危険がある
  • 水入れを用意する:乾燥しすぎないよう、いつでも水に入れるようにする
  • 目を離さない:カラス・ネコなどの天敵に襲われる危険がある
  • 脱走に注意:カメは意外と高い壁も越えられるため、囲いは十分な高さを確保
  • コンクリートの熱に注意:夏の直射日光下のコンクリートは60℃を超えることがある

室内でのバスキング管理

天気が悪い日や冬季は、室内のバスキングライトとUVBライトでカバーします。バスキングスポットの温度は28〜32℃を目安に、UVBライトとバスキングライトの点灯時間は1日10〜12時間を守りましょう。タイマーを使って自動化すると管理が楽になります。

ライトの管理でよくある失敗が「UVBランプの出力切れに気づかない」ことです。UVBランプは見た目には光っていても、紫外線の出力は6〜12ヶ月で大幅に低下します。見た目だけで判断せず、購入日をメモして定期的に交換する習慣をつけましょう。また、バスキングライトと水槽の距離が近すぎると水温が上昇しすぎることがあります。夏場は特に水温計を設置して、30℃を超えないよう確認することが大切です。冬場は水中ヒーターとバスキングライトを組み合わせて、水温および陸地温度をそれぞれ適切に保ちましょう。

日光浴のサインと観察ポイント

カメが十分に日光浴できているかどうかは、日常の観察で判断できます。健康なカメは次のような行動を見せます。

  • バスキングスポットに自分から上がり、しばらく動かない
  • 四肢をのばしてリラックスした姿勢をとる
  • 甲羅に水滴がなく乾燥している状態を一定時間保つ

逆に、バスキングスポットをまったく使わない場合は、温度が高すぎる・陸地が不安定・照明が眩しすぎるなどの問題が考えられます。環境を見直してみましょう。

餌の種類と給餌方法

カメは雑食性で、動物性・植物性の両方を食べます。適切な栄養バランスを保つために、人工飼料をベースにしながら、生き餌や野菜で補うのが理想的なアプローチです。

主食:カメ用配合飼料

市販のカメ用人工飼料は、必要な栄養素がバランスよく含まれており、主食として最適です。老舗ブランドの「テトラレプトミン」「GEXカメプロス」などが定番で、粒の大きさも幼体用・成体用とサイズ分けされています。

人工飼料に慣れたカメは、それだけでも十分に健康を維持できます。反対に人工飼料を食べない個体には、少量の生き餌を混ぜたり、ピンセットで直接与えたりして徐々に慣らしていく方法が有効です。

補助食材・おやつの活用

人工飼料だけでなく、次のような食材を週に1〜2回与えると食欲刺激・栄養補完になります。

食材の種類 おすすめ食材 注意点
動物性タンパク質 コオロギ・ミルワーム・赤虫(冷凍)・小魚 与えすぎると肥満の原因に
野菜・葉物 小松菜・チンゲン菜・にんじん・カボチャ ほうれん草は毎日与えない(シュウ酸が多い)
水草・藻類 マツモ・アナカリス・金魚藻など 水槽に入れておくと自分でかじる
果物 苺・バナナ(少量) 糖分が多いので週1程度に留める
魚介類 エビ・貝(少量) 生で与える場合は新鮮なものを使う

給餌の頻度と量

カメの給餌頻度と量は、年齢・季節・水温によって異なります。

  • 幼体(1〜3年目):毎日1〜2回。頭部と同じくらいの量を目安に
  • 成体(4年目以降):2〜3日に1回。食べ残しが出ない量を与える
  • 冬(水温15℃以下):食欲が落ちるため量を減らす。10℃以下では与えない
なつ
なつ
餌の食べ残しをそのままにしておくと、水がすごく汚れます。1〜2分で食べきれる量を基準に、残ったらすぐ取り除くのが水質維持のコツです。

カルシウム補給の重要性

甲羅の健康を維持するためにはカルシウムが欠かせません。人工飼料だけでは不足する場合もあるため、次の方法でカルシウムを補給しましょう。

  • エビや小魚は骨ごと与える(骨にカルシウムが豊富)
  • 爬虫類用カルシウムパウダーを餌にまぶして与える
  • カットルボーン(イカの甲)を水槽に入れる(かじることでカルシウム補給)

カルシウムとビタミンD3は「セット」で働きます。どちらか一方が不足しても、カルシウムの吸収効率が下がります。良質な人工飼料にはビタミンD3があらかじめ配合されていますが、紫外線(UVB)を浴びることで体内合成されるビタミンD3のほうが吸収効率が高いとされています。つまり、UVBライトを設置したうえでカルシウム豊富な食材を与える、という両輪が揃ってはじめてクル病の予防が完成します。特に成長期の幼体は甲羅の形成が活発なため、この時期のカルシウム管理が後の甲羅の美しさを大きく左右します。

水質管理と水換えの方法

カメの飼育で最も手間がかかるのが水質管理です。カメは魚と比べて排泄量が多く、水がすぐに汚れます。適切な水換え頻度と方法を把握しておきましょう。

適切な水深と水量

カメの適切な水深は、甲羅が完全に水に沈むが、足が底に届く深さが基本です。幼体のうちは溺れないよう浅め(甲長の1.5〜2倍程度)にし、成長とともに深くします。ただし陸地を設けて、いつでも陸に上がれる環境を維持することが前提です。

水換えの頻度と方法

フィルターを設置していても、カメ飼育では定期的な水換えが欠かせません。目安は以下の通りです。

  • フィルターあり:週1〜2回、全水量の1/3〜1/2を交換
  • フィルターなし:毎日または2日に1回、全換水
  • においが気になるとき:即時換水(アンモニア・亜硝酸の急上昇サイン)

水換え時は、新しい水の温度を飼育水と合わせることが大切です。急激な温度変化はカメにとってストレスになります。また、水道水のカルキ(塩素)はカルキ抜きで除去するか、1日汲み置きしてから使いましょう。

水温の管理

カメの飼育に適した水温は、種類によって多少異なりますが、一般的には22〜28℃が活発に活動できる範囲です。

水温 カメの状態 対応
30℃以上 活動はするが食欲が落ちることも。長時間は危険 冷却ファン・エアコンで管理
25〜28℃ 最も活発で食欲旺盛。消化が活発 理想的な状態
22〜25℃ 活動は少し落ちるが正常範囲 ヒーターで維持
15〜20℃ 動きが鈍くなり食欲が落ちる ヒーターで25℃に上げる
10〜15℃ ほぼ動かない。消化が極端に遅くなる 冬眠に入らせるか、ヒーターで管理
10℃以下 冬眠状態。代謝が極限まで低下 冬眠管理か加温継続かを選択

冬眠の管理|冬眠させるべきか、させないべきか

日本の淡水カメ(クサガメ・ニホンイシガメ)は、野生では冬眠します。飼育下でも冬眠させることができますが、特に初心者や体力が低い個体には、冬眠させずにヒーターで加温して越冬させる方法が安全です。

冬眠のメリットとデメリット

比較項目 冬眠させる 加温越冬(冬眠させない)
電気代 安い(加温不要) 高い(ヒーター・ライト常時稼働)
リスク 不十分な準備で死亡事故が起きやすい 低い(管理しやすい)
健康への影響 自然なサイクルに沿っており長寿効果も 年間を通じて活発に活動できる
初心者向き 難しい(十分な準備が必要) 向いている
幼体への適用 危険(推奨しない) 推奨
なつ
なつ
初めて冬眠させたときは不安で何度も様子を確認しました。「本当に生きてるのか…」って毎日心配で。ちゃんと春に目覚めた時の安堵感はひとしおでした。でも初心者さんには加温越冬をすすめます。

冬眠させる場合の手順

冬眠を成功させるためには、以下の条件および手順が必要です。

  1. 体重・健康状態の確認:痩せている・病気の個体は冬眠させない。秋に十分に餌を与えて体力をつける
  2. 絶食期間:水温が15℃を下回り始めたら餌を与えるのをやめ、消化管を空にする(2〜3週間が目安)
  3. 冬眠容器の準備:水深15〜20cmの容器に落ち葉および砂を敷き、カメが潜れるようにする。水は多めに入れる
  4. 場所の選定:屋外の風が当たらない場所、または室内の5〜10℃を保てる場所(冷暗所)
  5. 定期確認:月に1〜2回程度、水が凍っていないか・カメが溺れていないかを確認(触って起こさない)
  6. 冬眠明けの対応:春に水温が上がってきたら自然に目覚める。最初は餌を少量から再開

加温越冬の管理

ヒーターで水温を22〜25℃に保てば、冬でも通常通り飼育できます。この場合、電気代はかかりますが、リスクは大幅に下がります。ライトも通常通り点灯させ、餌も通常の頻度で与えます。特に幼体・病気明け・購入直後の個体は必ず加温越冬を選択しましょう。

加温越冬時に多い失敗が「ヒーターの故障に気づかない」ことです。冬場はヒーターへの依存度が高まるため、水温計を常設して毎日確認する習慣をつけましょう。ヒーターは消耗品であり、2〜3年に一度の交換が推奨されます。突然の故障に備えて予備のヒーターを1本ストックしておくと安心です。また、冬場は水の蒸発が早く水位が下がりがちです。ヒーターが空気中に露出すると過熱・故障の原因になるため、定期的に水の補充を行ってください。

繁殖の基本|産卵・孵化の管理

カメの繁殖は、準備と知識があれば飼育下でも可能です。ただし、繁殖させた個体をすべて責任を持って飼育できるか(または確実に里親を見つけられるか)を先に考えてから挑戦してください。

繁殖可能になる年齢と条件

クサガメは一般的にオスで5〜6年、メスで7〜8年で性成熟します。ニホンイシガメはやや早く、オスで3〜4年、メスで5〜6年が目安です。繁殖行動は春〜夏(4〜7月)に見られ、特に水温が25℃前後の時期に活発になります。

産卵の兆候と準備

メスが産卵前になると、落ち着きなく歩き回ったり、陸地を掘り返したりする行動が見られます。産卵場所として、土および砂を入れた深さ15〜20cmの産卵床を用意します。産卵床が不十分な場合、体内に卵を抱え込んでしまう「卵詰まり(卵塞)」が起きる危険があるため、必ず準備してください。

卵の孵化管理

産卵された卵は、上下をひっくり返さないよう注意してそっと回収し、孵卵器(インキュベーター)または保温容器で管理します。温度は28〜30℃、湿度60〜80%が目安です。孵化までの期間はクサガメで60〜80日、ニホンイシガメで65〜90日程度かかります。

孵化した幼体の飼育注意点

  • 孵化直後は卵黄が腹部に残っているため、2〜3日は餌を与えない
  • 幼体は体が弱いため、水温・水質の変化に特に敏感
  • 幼体専用の浅い水槽(水深5cm以下)を用意し、溺れないようにする
  • 成体と一緒にすると食べられる可能性があるため、必ず別管理

よくある病気と対処法

カメがかかりやすい病気を事前に把握しておくことで、早期発見・早期対処が可能になります。

クル病(代謝性骨疾患)

カルシウム不足またはビタミンD3不足により、甲羅および骨が軟化する病気です。甲羅がやわらかくなる・変形する・ぐにゃりと曲がるといった症状が出ます。原因のほとんどはUVBランプの不足・カルシウムの不足です。

予防法は、UVBランプを適切に設置し定期的に交換する、カルシウム豊富な餌(エビ・小魚の骨ごと・カルシウムサプリメント)を与えることです。発症した場合は爬虫類専門の獣医師に相談してください。

肺炎・鼻炎(上部呼吸器感染症)

急激な温度変化・低温・不衛生な環境で発症しやすい細菌性の呼吸器感染症です。鼻水・口から泡を吹く・水面に浮き続けるなどの症状が出ます。飼育環境の温度を適切に保つことが最大の予防策です。症状が出たら速やかに獣医師に相談してください。

甲羅の腐敗(ロットシェル)

甲羅が部分的に腐ってくる病気で、不衛生な水・陸地で乾燥できない環境が原因です。甲羅が黒ずんでやわらかくなり、悪臭を放ちます。早期であれば飼育環境の改善とイソジン消毒で回復するケースもありますが、進行すると危険です。

脱皮不全

甲羅および皮膚が正常に脱皮できず、一部が残ってしまう状態です。特に指の間・首の付け根に残りやすく、そのまま放置すると炎症を起こします。水質を清潔に保ち、日光浴できる環境を整えることで予防できます。

なつ
なつ
カメは声を出せない生き物です。だからこそ、日頃からよく観察して、「いつもと違う」ことに気づいてあげることが飼い主の役目だと思っています。

3種類の比較と飼育向き・不向きのまとめ

これまでの内容を踏まえて、3種類のカメの飼育適性を総合的に比較します。

比較項目 クサガメ アカミミガメ ニホンイシガメ
入手しやすさ ◎(ペットショップで購入可) △(特定外来生物で新規購入不可) ○(専門店・ブリーダーで入手可)
初心者向き ◎(人懐っこく扱いやすい) ○(慣れやすいが成体は大きい) △(臆病で慣れるまで時間がかかる)
成体サイズ メス30cm程度 メス30cm程度 メス22cm程度
必要水槽 90cm以上(成体) 90cm以上(成体) 60〜90cm(成体)
法的注意 なし 特定外来生物(要届出) なし(在来種保護の観点から採集は最小限に)
寿命 20〜40年 20〜30年 30〜40年
冬眠 可能(加温越冬も可) 可能(加温越冬も可) 可能(加温越冬も可)
なつ
なつ
最近、川や池でアカミミガメばかり見かけるようになりました。在来のカメが減っているのを感じます。在来種を守るためにも、責任ある飼育がとても大切だと実感しています。

長期飼育を成功させるための「飼い主の心がまえ」

カメの飼育は何十年にもわたる長期プロジェクトです。途中で環境が変わっても、最後まで責任を持って飼育するために、心がまえと準備をしておきましょう。

「飽きた」「引っ越し」では放流してはいけない

毎年、春になると川や池で「飼えなくなったカメ」が捨てられます。その多くはアカミミガメですが、クサガメやニホンイシガメが捨てられるケースもあります。飼育下で人の手から餌をもらって育ったカメは、野生での生存能力が低く、放流すれば餓死・病気・捕食といった過酷な運命が待っています。

さらに、外来種の放流は法律で禁止されています。飼えなくなった時のために、引き取り先の情報を事前に調べておくことが、責任ある飼い主の準備です。

在来種の採集は最小限に

川や田んぼでクサガメやニホンイシガメを見つけても、採集はできるかぎり控えましょう。野生個体を採集することで、現地の個体群が減少し、将来的にその種が地域から消えてしまう可能性があります。

なつ
なつ
私の飼育ポリシーはひとつ。「飼うなら最後まで責任を持つ」。カメに限らず、生き物を飼うときに一番大事なことだと思っています。30年後も、そのカメと一緒にいる未来が想像できるなら、ぜひ飼ってみてください。

獣医師との関係を作っておく

カメの病気に対応できる獣医師は多くありません。近所に爬虫類を診られる動物病院があるかを事前に調べておき、定期健診にも通える体制を整えておきましょう。特に長年飼育していると、老化による問題(甲羅の変形・食欲不振・腫瘍)が出てくることがあります。

「爬虫類対応」を掲げていても、カメの専門知識が豊富かどうかは病院によって差があります。はじめて受診する前に電話で「カメの診察経験はありますか」「カメのレントゲン撮影はできますか」などを確認しておくと安心です。特に卵詰まりや骨折など、レントゲンが必要な症状は珍しくないため、画像診断ができる設備を持つ病院を選んでおくことが重要です。また、動物病院の受診費用は犬猫と比べて高額になることも多く、緊急時に備えてペット保険(爬虫類対応のもの)やある程度の貯蓄を準備しておくと、いざというときに適切な治療を迷わず受けさせることができます。

飼育記録をつける習慣

カメのような長寿の生き物を飼育するにあたって、飼育記録をつけることを強くおすすめします。体重・甲長の記録を月1回つけておくと、成長の停滞や急激な体重減少に早めに気づけます。餌の内容・量・食いつきの変化も記録しておくと、病気のサインを見逃しにくくなります。スマートフォンのメモアプリや写真で記録するだけでも十分です。年に一度、同じ角度で甲羅の写真を撮っておくと、甲羅の変形や色の変化にも気づきやすくなります。記録は自分のためだけでなく、万が一飼育を引き継ぐ場合にも非常に役立つ情報になります。

カメは「小さい頃はかわいかったけど……」では済まない、長くて深い付き合いが待っています。その分、一緒に過ごす時間の重みも格別です。この記事が、カメとの長く幸せな生活の第一歩になれば嬉しいです。

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