はじめに
突然ですが、今年(2021年)の干支は「丑」。
そして来年(2022年)の干支は「寅」です。そう、「虎(タイガー)」です。
※この記事は2021年12月に執筆しております。
アクアリウムの世界にも「虎」を名前に冠する魚達が数多くいますが、今回は虎柄の体色と名前に似合わずベジタリアンな小型種「タイガープレコ」について皆様にご紹介していきたいと思います。
タイガープレコはプレコの仲間としてかなり昔からポピュラーな種類であり、産地によって全く違う模様を見せてくれる等コレクション性も高く飼育しやすい特徴が魅力です。
1,タイガープレコってどんな魚なの?
画像出典元:チャーム様
タイガープレコは南米のアマゾン川水系に広く分布している小型のプレコの仲間です。
プレコは見た目からは想像しにくいですがナマズの仲間であり、大きな吸盤状の口を持ち、その中にあるヤスリのように細かく強い歯を使って水草等の餌を食べます。
また、体は硬くザラザラしたウロコに覆われており、岩や流木に吸い付いていてもアマゾン川の水流を受け流せるようにお腹側が平たい流線型の体型をしているのも特徴です。
観察しにくいですが、胸ビレの付け根にはエラがあり、さらにエラから少し上部には硬質なヒゲが生えています。
プレコの仲間は種類によってかなり大きさに差がありますが、タイガープレコは大きく育っても10cm程の小型種なので安心して飼育する事ができます。
☆プレコの変わった「目」の秘密♪
プレコの目はメダカやネオンテトラとは違う独特の形をしているため、ちょっと見慣れないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はプレコの目はネコのように周囲の明暗によって変化する特殊な構造をしているのです。
そのため明るい環境では細長い三日月のような形に、暗い環境では虹彩が縮小して黒目がちになります。
このΩアイを持つ種類はプレコ以外では「ファロウェラ」や一部のオトシンの仲間が持っています。
2,生息地は?
タイガープレコはアマゾン川水系の河川に広く分布しています。
「タパジョス川」や「シングー川」「ネグロ川」等も主な産地として有名です。
水流があり、酸素が豊富な環境を好む種類なので飼育する時も環境をこれに近付ける必要があります。
3,タイガープレコの性格は?
種類によって性格にも差があるプレコの仲間の中で、タイガープレコは比較的大人しい性格をしています。
基本的に他種に興味を持たないので一部の種類を除いて混泳を楽しむ事ができます。
一方で同種や近しい種類だと少し小競り合いをする事がありますが、隠れ家を作ったり流木を多用する事で小競り合いによる被害を抑える事ができるので複数飼育も可能です。
4,どんな物を食べているの?
自然下のタイガープレコは主に水草やコケ類、藻類を食べていますが、他にも泥の中の有機物や小さなイトミミズ、流木や沈んだ枯れ葉等も食べます。
飼育下では市販のプレコ用タブレットフードや草食魚用フードを与えますが、他にも湯がいたホウレンソウや輪切りにしたキュウリ等も良く食べてくれます。
5,タイガープレコの仲間達のご紹介!
総合ペットショップやアクアリウムショップでもかなり見かけやすいタイガープレコですが、「◯◯タイガープレコ」と言ったように意外とたくさんの種類がいる事が知られています。
①ブロードバンドタイガープレコ
同じ流通名で2種類が確認されているタイガープレコの仲間です。
タイガープレコより少し大きくなる種類で、オレンジがかった茶色と黒褐色のバンドがタイガープレコよりも幅が広く色彩もハッキリしているため美種として知られています。
②レオパードタイガープレコ
「豹(レオパード)」と「虎(タイガー)」の名前を冠する小型のプレコの仲間です。
大きさは10〜15cm程になります。
明るいオレンジ〜茶色と黒〜褐色の虎柄模様と頭部に入る独特のネットワークのような模様が特徴です。このネットワーク模様は個体差がかなり激しく、細かく複雑に入る個体もいればそこまで細かくない個体もいます。
③クイーンインペリアルタイガープレコ
とても美しく人気が高いタイガープレコの仲間です。
白〜乳白色と黒のバンドが特徴であり、10cm程と小さいのも魅力です。
④キングタイガーペコルティア
女王様と来て今度は王様です。
最近では「キングロイヤルペコルティア」と呼ばれています。
個体差が非常に激しい種類で、女王様と同じようにモノトーンカラーですが、こちらは複雑かつ美しいネットワーク模様が入ります。ブリード個体の中でも模様が大きく乱れたりした個体は高額で取引される程の人気種でもあります。
大きさは15cm程と少し大きめで、性格も強く、同種あるいは同属のプレコとは小競り合いをしてしまいます。
⑤ニュータイガープレコ
ポピュラーなタイガープレコとは違い、明るい茶色と黒の細いラインが複雑かつ細かく入るタイガープレコ界のニューカマーです。
個体差が非常に激しいため、この1種類だけでもコレクション性が高いのも魅力です。
その他のプレコの仲間(セルフィンプレコなど)についてはこちらでも解説しています。
6,タイガープレコの飼育の注意点は?
タイガープレコは水質の悪化にも強く、飼育しやすい魚種でもあります。
しかし、飼育にはいくつか注意点もあり、気を付けないと病気になってしまったりタンクメイトがケガを負ったり、さらには飼育の必須アイテムがダメになってしまう事もあるのです。
- 水槽はガラス水槽を使う事。
- ウロコや棘条に網が引っ掛かりやすいので移動の際に気を付ける事。
- フンの量が多く水を汚しやすいため濾過力の高いフィルターを使う事。
- 混泳させるタンクメイトの種類に気を付ける事。
- 酸欠に弱いのでエアレーション等で酸素を補う事。
- 複数飼育の場合は隠れ家を必ず用意する事。
- 水草は食べられてしまうので注意する事。
タイガープレコの飼育方法について
・水槽
タイガープレコ等のプレコの仲間の飼育にはガラス水槽が無難です。
と言うのもプレコの歯はかなり丈夫なヤスリや「おろしがね」のようになっており、アクリル水槽やプラスチック水槽だと簡単に削ってしまい次第に曇って水槽内部が見えにくくなってしまいます。
特にプラスチック水槽は削った微細なプラスチック片を取り込んでしまう事があるのか、腹部が膨張して死んでしまう事があるため使うのはオススメしません。
単独飼育であれば45cm水槽でも飼育が可能ですが、繁殖狙いで複数飼育をしたり他種と混泳させる場合は60cmかそれ以上のサイズの水槽にすると繁殖も狙いやすく、水量もあるので水質悪化を遅らせる事ができます。
・水温、水質
水温は24〜27℃の範囲であれば特に問題なく飼育できます。
むしろタイガープレコ等のプレコやナマズの仲間は高水温に弱い特徴があるため水槽には必ず水温計を設置して水温を可視化できるようにすると環境を把握しやすくなります。
また、急激な水温の変化は魚にとってかなりのストレスになるためヒーターを設置して一定の温度を保つようにしましょう。
・底砂
タイガープレコの飼育には底砂が必須というわけではありません。
むしろ底砂を敷かず、塩ビパイプ等の隠れ家とフィルターを入れた「ベアタンク」と言う飼育方法で飼育されている事もあります。
底砂を使う場合はソイルや大磯砂、川砂等の観賞魚用底砂であれば使う事ができます。
サンゴ砂は水質を弱アルカリ性に傾ける作用があるためタイガープレコの飼育には向いていません。
・購入、導入
タイガープレコはかなりポピュラーな種類なので熱帯魚を扱っているショップであれば高確率で見つける事ができます。
お気に入りのタイガープレコが見つかったら健康チェックをします。
体表に付着物がないか、充血や白く爛れたような症状がないか、ヒレもキレイでお腹がへこんでいないか等チェックしていきます。問題がなければ店員さんにお願いして掬ってもらいましょう。
無事タイガープレコを購入できたら水槽に放つ前に水合わせを行います。
まずは水槽の水をあらかじめバケツ等である程度取っておきます。
次にその水槽にタイガープレコが入っている袋を15〜20分程浮かべて水温を合わせます。
水温を合わせ終わったら袋を開けて中の水を1/4〜1/3捨て、捨てた量と同量の水を水槽から汲んで袋に入れ、15分程様子を見ます。特に異常が見られなかった場合はこの作業を2〜3回繰り返します。
最後の水合わせの時も異常がなければタイガープレコを水槽に放ちます。その後、バケツに取っておいた水を再び水槽に戻して導入は終了です。
タイガープレコに限った事ではありませんが、導入初日の魚達は環境が変わってストレスを受けている状態なので食い付きも悪く、残った餌が水質悪化の原因となってしまうため餌を与えないようにしましょう。
■導入時に網を使う場合は気を付けて!
タイガープレコはザラザラしたウロコと棘条があるため網で掬おうとするとウロコや棘が引っ掛かってしまい、プレコも網もダメージを受けてしまいます。
いくらプレコのウロコが丈夫でも網で掬われた時に擦れた部分から病気になる事もあるため心配な部分です。もし気になる場合は粘膜保護剤を使って生体のダメージをケアしてあげましょう。
・水草
プレコは草食性が強い魚種であり、タイガープレコにも当てはまります。
そのためアマゾンソードやマヤカ、アナカリス等はモリモリと食べ尽くされてしまうので水草との相性はかなり悪いです。
しかし全くできないと言うわけではなく、葉が硬くて丈夫な「アヌビアス」やシダ系の植物である「ミクロソリウム」「ボルビディス」は食害に遭いにくいのでプレコ飼育にも使う事ができます。
・フィルター
タイガープレコ等のプレコやロリカリアの仲間は食性の特徴から非常に長い消化器官を持っているためフンも非常に長く、量があります。
場合によっては長すぎてフィルターのストレーナーに引っ掛かったり詰まってしまう事もあります。
また、スポンジフィルター、投げ込み式フィルター、底面式フィルター、パワーフィルター、外掛け式フィルターは単品では濾過力が劣りますがフィルターを併用する事で濾過力を補う事ができます。
・隠れ家(シェルター)
タイガープレコ等のプレコの仲間は同種同属間で小競り合いをします。
複数飼育をする場合は塩ビパイプや土管、流木等を配置してたくさん隠れ家を作ってあげましょう。
・混泳について
同種同属間で小競り合いをしてしまう事は先述しましたが、他種との混泳の時も注意が必要です。
特にエンゼルフィッシュやディスカス、ボリプテルスの仲間は動きがゆっくりなのとプレコが吸い付きやすい体型という事もあって混泳させるとプレコにボロボロにされてしまいます。
吸い付かれた側もノイローゼになりますし、プレコによって付けられた傷はかなり痛々しく治りも遅いので混泳は控えるようにしましょう。
逆に小さくて動きも俊敏、小回りも利くネオンテトラやエンペラーテトラ、ラミーノーズテトラ等のカラシンの仲間やグッピー、プラティ等のメダカの仲間、ラスボラ等のコイの仲間は混泳させる事ができます。
グラミーやベタとも混泳できますが、アピストグラマ等のシクリッド系は隠れ家を取り合って小競り合いをする事があるので要観察です。
■実は酸欠にとても弱い!
プレコ達は他の魚達のように泳ぎ回るイメージが少ないので酸欠に強そうなイメージがあるかも知れませんが、それが大きなミステイクです。
確かに止水域に生息している種類もいますが、殆どが酸欠に弱い面があります。そのため複数飼育や水草をたくさんレイアウトしていると知らず知らずのうちに酸欠になってしまう事もあります。
これを防ぐ方法として、フィルターの項目でも少し触れましたが、フィルターを併用する事で溶存酸素量を増やす事ができます。
・給餌について
タイガープレコは吸盤状の口を上手く使って餌を食べます。
そんな彼らのために市販でプレコ用のタブレットフードや草食性の強い魚種向けのペレットフードがあります。
また、輪切りにされたキュウリや湯がいたホウレンソウ、クロレラの錠剤も良い餌になります。
自然下では「ベントス食性」もあり、泥の中の有機物や小さな虫を食べる事もあるので時々おやつ程度にブラインシュリンプのベビーやアカムシ、イトミミズを与えて不足しがちなタンパク質を補ってあげましょう。痩せている個体の立ち上げにも利用する事ができます。
餌は1日1〜2回与えますが、ペレットタイプであれば5分程で食べきる量、タブレットフードは少しずつ齧られるタイプの餌なので飼育している匹数によって与える枚数を変えます。タイガープレコの幼魚1匹であれば、タブレットフードを半分に割って与えます。
★意外な「アレ」も餌になる!
草食性が強い食性を持つプレコですが、草食性が強すぎてレイアウトに使われる「ある物」も積極的に齧ります。
その正体は何と「流木」。
あの硬い流木を自慢の吸盤マウスでゴリゴリカジカジして食べる事があります。ベアタンクで流木を入れていると流木の欠片が底面に散らばっているのを確認する事もできます。
特に「ロイヤルプレコ」の仲間は流木好きで知られており、他のプレコの追随を許しません。
☆真夜中の怪談!?筆者が体験した謎の音
かつて我が家で数種類のプレコを飼育していた頃のお話です。
明日の仕事に備えて就寝しようと電気を消してウトウトしていると、何やら「ジャッ、ジャッ、ジャッ…」という聞き慣れない音が聞こえてきたのです。驚いて部屋の明かりを点けると音は消えました。
よく分からないまま再び床に着くと、またあの音が…。どうしても発生源が知りたい私は意を決して懐中電灯片手に部屋を彷徨くとそこにいたのはフニャフニャになったマジックリーフを齧るプレコの集団がいました。
・水槽掃除、水換え
水槽のサイズや汚れ具合、飼育している匹数にもよりますが1週間〜10日に1度、1/3〜1/2の量水換えをします。
まずは飼育設備の電源を全て落としてから作業に取りかかります。
ベアタンクの場合は隠れ家も汚れていれば1度取り出してからガラス水槽の汚れやコケをメラミンスポンジやスクレイパーで落とします。
底面、側面の汚れを落としたらクリーナーポンプで水ごと汚れを排出します。隠れ家はスポンジ等で汚れを落とします。
フィルターのストレーナーにフンが絡み付いていたり、揚水パイプの中が汚れている事もあるのでコチラは取り外した後専用のブラシ等を使って汚れを落とします。
ベアタンクではない場合も隠れ家が土管等を設置して作っているのであれば1度水槽から取り出してスポンジやブラシで汚れを落とします。
水槽内の汚れはスクレイパーやメラミンスポンジを使って落とし、フィルターのストレーナーと揚水パイプを外して専用のブラシ等で汚れを落として目詰まりを改善します。
水槽内部の汚れを落としたらクリーナーポンプで水ごと汚れを排出するのですが、その際底砂を巻き上げたり吸い込まないように注意しましょう。場合によってはクリーナーポンプが詰まってしまう原因になってしまいます。
水の排出と隠れ家や水槽内部の掃除が終わったら新しい水を水槽に入れます。水道水にカルキ抜きを入れ、水温を合わせた水を少しずつ水槽に入れます。
この時あまりバシャバシャと入れず、受け皿を設置して静かに水を入れるとプレコ達やタンクメイトもあまりパニックにならずに済みます。
新しい水を足し終わったら飼育設備の電源を戻して水槽掃除終了です。
フィルター内部の掃除は1ヶ月に1度くらいですが、プレコはフィルターの目詰まりを起こさせやすい種類なので水換えの時には必ずストレーナーと揚水パイプ、ウールマットを洗うようにしましょう。
ウールマットは汚れや繊維の傷みが酷い場合は新しい物と交換します。フィルターを併用している場合は必ずサブの方も掃除するようにしてください。意外と汚れを溜め込んで濾過材がドロドロに汚れている事があります。
タイガープレコがかかりやすい病気と治療方法について
タイガープレコは水質、水温の急変や病気の魚を持ち込まない限りは病気になりにくい面があり、初心者の方にもオススメの魚種です。
しかし、飼育管理がよろしくないと流石に病気になってしまいますし、ナマズの仲間と言う事もあって治療にかなり苦戦を強いられてしまう事になるので気を抜かないようにしましょう。
①白点病
アクアリウムの世界ならどこでも出てくる憎たらしい病気です。
実はタイガープレコに限らずナマズの仲間は比較的かかりやすいと言われている病気で、初期症状は数個の白い粒々が体表に現れ、症状の進行と共に数を増やし、最終的には白点にエラ等を塞がれ呼吸困難になって死んでしまいます。
また、白点を落とそうとして石や流木に体を擦り付けてしまい、できた傷口から二次感染する事もある厄介な面があります。
発生の原因は病気の魚を持ち込んでしまった事や水温、水質の急変、悪化等が考えられます。
治療にはマラカイトグリーン、メチレンブルー、アグテン、グリーンF系の魚病薬を使った薬浴をしますが、タイガープレコは薬品にかなり敏感なので規定量の1/2〜1/5を投薬します。
この時も少しずつ、ゆっくりと投薬して異変がないかしっかり観察します。
薬浴から3〜5日後水換えをして様子を見て、白点が残っているようなら再び薬浴をします。これを白点がなくなるまで続けます。
②エロモナス症
タイガープレコの場合はウロコが逆立つという事はありませんが、体表や口、腹側に充血や爛れが見られます。
エロモナス症は感染力や致死率が高く、治療も難しい病気として有名なので、とにかく予防に努めます。
原因は水質の悪化や古い餌を食べてしまった、病気の魚を持ち込んでしまった事等が考えられます。
治療には観パラD、パラザンD、エルバージュ、グリーンFゴールドを使った薬浴をしますが強い薬という事もあり、規定量の1/3〜1/5を投薬します。
薬浴を開始してから3〜5日後水換えをしますが充血や爛れが治っていなければ再び薬浴をします。これを症状がなくなるまで行いますが、エロモナス症自体がしぶとい病気でもあり、タイガープレコは薬に弱い面があるので症状が見つかったらすぐに治療を開始し、飼育環境を改善するようにしましょう。
③ウーディニウム症
「コショウ病」「ベルベット病」とも呼ばれる病気です。
体表に乳白色〜薄黄色の粉状の付着物が見られ、かかった魚はヒレをたたんでフラフラしたり、体を小刻みにプルプル震わせる等の症状が見られます。
原因は病気の魚を持ち込んでしまった事や水質の悪化が考えられます。
この病気は水槽掃除や水換えをしっかりして良い環境を保っているだけで予防にかなり効果があります。
治療にはマラカイトグリーン、メチレンブルー、グリーンF系の魚病薬を使った薬浴をしますが、こちらも規定量の1/2〜1/5の量を投薬します。
薬浴開始から5〜7日後水換えをして症状が残っていれば再び薬浴を行います。
体表の粉状の付着物がなくなりヒレにも元気が戻ってきたら治療は終了です。
④痩せ、拒食
複数飼育しているとたまに起きる症状です。
小競り合いに負けた弱い個体がなりやすく、餌を食べられない状況が続いてしまうとそのまま衰弱して死んでしまいます。
この症状の恐ろしい所はタイガープレコ等のプレコやロリカリア、コリドラスのように外骨格がしっかりしている魚種程気付きにくいという点です。
見た目は普通なのに、ある瞬間に腹側をみたらベコベコにへこんでいた、といった話もあります。
治療のために、まずは痩せた個体を療養用水槽に移動させます。ライトは点けず、暗い状態で飼育、給餌をしていきます。
餌は普段与えている物の他にブラインシュリンプのベビーを与えたり湯がいたホウレンソウを与えたりと栄養のある物を与えるようにしましょう。
最初は怯えて食べないかも知れませんが、次第に餌に近付いていき少しずつ食べ始めます。毎日観察して、お腹のベコベコが治ったら一安心です。
タイガープレコの繁殖方法について解説!
タイガープレコは「ペコルティア」とも呼ばれており、このペコルティアの仲間達は高い人気を誇るがためにブリードも盛んに行われています。愛好家の中にはご自宅で繁殖を楽しんでいる方もいらっしゃいます。
1,雌雄判別方法は?
熟練の愛好家の方ですとすぐに見分けがつくそうですが、ここでは成魚の分かりやすい特徴をご紹介します。
オスの特徴
- メスより大型化する。
- 頭部がメスより大きくなる。
- ヒゲも長くて立派。
メスの特徴
- 成長してもオスより小さい。
- 頭部も小さい。
- ヒゲが短い。
2,どうやってペアを揃える?
タイガープレコやペコルティア達の繁殖は複数匹で飼育した時に聞かれる事が多いです。
そのため確実にペアを揃えるためには複数匹の個体を迎え入れ、飼育する必要があります。
と言うのも店頭で販売されている個体の多くが幼魚や未成熟な個体だからです。
3,タイガープレコの繁殖
タイガープレコに限らずプレコの仲間やロリカリアの仲間は産卵するとオスが卵を保護する事で知られています。
タイガープレコの場合は土管やトンネル状の隠れ家に入って産卵、繁殖をします。
4,卵と稚魚のお世話について
タイガープレコは卵が孵化するまで守る習性があり、孵化までは殆ど手がかかりません。
しかし、孵化した稚魚がお腹のヨークサックを吸収し終わってからが大変です。
稚魚達は小さいだけでなくかなりの栄養を欲しており、プレコ用タブレットフードを細かく砕いた物だけでは足りず、ポツポツと死んでしまうのです。
せっかく生まれた稚魚達の生存率を高めるためにPSBを添加したり、水質を酸性に傾ける作用がある「マジックリーフ」を入れる事で常に餌があるような状態にする他、ブラインシュリンプのベビーを与えて栄養をつけさせるのも効果的です。
また、水質が悪化すると稚魚は病気になって死んでしまうため水換えをしますが、まだ吸い付く力が弱い稚魚を吸い込まないように注意しながら水を抜きます。
水を足す時も受け皿を用意し、水流に巻かれて稚魚がダメージを負わないように慎重に行います。
生後1ヶ月もすると体つきもしっかりしてくるため生まれたばかり程の心配はなくなってきます。
まとめ
今回は来年の干支(2022年)にちなんでタイガープレコについて皆様にご紹介させていただきました。
プレコは好き嫌いが分かれる熱帯魚ではありますが、その体色や模様の違いはとても美しく個性的で同じ種類であってもその違いに驚かされます。
また各ヒレをピンと張ってチョコチョコとガラス面やレイアウトの岩や流木を元気よく移動する様子等はとてもコミカルで可愛らしいです。