ピグミーグラミーの特徴や飼育方法、繁殖方法等について徹底解説!
はじめに
「アクアリウムを始めたい」と考えた時、種類の他に飼育スペースの問題や性格の問題、飼育難易度等が頭をよぎる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
小さくて可愛い、そして大人しいと魅力が詰まった種類の1つとして、今回はピグミーグラミーを皆様にご紹介していきたいと思います。
ピグミーグラミーは古くから知られている小型のグラミーの仲間で、今日に至るまで小型水槽から水草水槽、混泳水槽のタンクメイトとしても幅広く親しまれている熱帯魚でもあります。
1,ピグミーグラミーの特徴は?
ピグミーグラミーは数あるグラミーの仲間の中でも「Trichopsis(トリコプシス属)」に含まれる種類です。
グラミーの仲間、ひいては「アナバスの仲間」らしく、体に「ラビリンス(迷宮)器官」という複雑な構造の特殊器官を持っているため空気呼吸も可能です。
画像引用元:チャームpaypayモール店
その見た目はやや細長い流線型の体をしており、口は小さく少し上向きについています。
小さな頭部に対して目は大きくてよく動き、瞳孔は黒ゴマのようです。餌や気になる物を見つけると両目でしっかりと標準を合わせ、気が済むまで見つめ続ける健気な様子を観察できます。
背ビレは体の後半部分についており、腹ビレは先が長く伸びて感覚器官の役割があるとされています。気になる物があると、この腹ビレで触る事もあります。
尻ビレは長く体の後半まで続き、尾ビレは細長いウチワのような形をしています。
胸ビレは透明ですが、ヒラヒラとよく動き、このヒレを上手く使ってホバリングやターンを決めてくれます。
性格は仲間内だと最初の方は小競り合いをしますが、とても温和で協調性が高い種類です。
☆期間限定?可愛い「特技」とは!?
ピグミーグラミーとその仲間達には他のグラミー達には無い「ある特技」があります。
それはなんと「鳴き声」を出す事です。
彼らは体内の特殊な器官を使って「コツコツ…」「ポリポリ…」と鳴くのです。
小競り合いの時や何かを主張したい時、静かな時に鳴くのですが意外と鳴き声が大きく、軽く机を「コンコン」と叩いた位の音量があります。
筆者も初めて聞いた時は部屋を軽くノックされたと錯覚する程でかなりビックリしました。
しかし、この可愛い特技も小競り合いがある程度平定されてくると披露してくれる頻度が激減してしまうため、ちょっと寂しくなってきます。
2,ピグミーグラミーの体色は?
導入直後や幼魚のピグミーグラミーは体色が薄く、白〜薄灰色の体色に茶褐色のドットとラインが体側にあるくらいにしか見えず、「地味だなぁ」と感じる方も多い事でしょう。
ですが、成長したり環境に落ち着いてくると茶褐色の模様は赤みが強くなり、各ヒレは朱色と青白いラインが縁取られ赤いドット模様が浮かび上がります。
3,ピグミーグラミーの大きさは?
ピグミーグラミーはその名の通りとても小さな種類です。
成魚になってもその大きさは尾ビレを合わせて4cm程しかありません。
4,どんなところに生息しているの?
ピグミーグラミーやその仲間達はタイやカンボジア、マレーシア等の東南アジアの湿地帯や湖、沼地に群れを作ったりペアを作って生息しています。
このような場所は水の流れが少なく、河川と比べて酸素量も乏しい環境です。
この厳しい環境を生き抜くために、体に備えたラビリンス器官を使って空気から酸素を体内に取り入れています。
ピグミーグラミー自体はとても丈夫な種類なので水質は中性でも飼育できますが、生息地の水質は弱酸性なので飼育の時に意識してあげると体色の揚がりや体調も良くなります。
5,どんな物を食べるの?
ピグミーグラミーは野生下では水面に落下した小さな昆虫やイトミミズ、アカムシ、ボウフラ等の水生生物、稚エビやミジンコ等の微小な甲殻類を捕食しています。
飼育下では選り好みせず、最初から人工飼料を食べてくれます。動物性の餌は大好きなので、沸かしたブラインシュリンプベビーや冷凍のイトミミズやアカムシ、乾燥ミジンコ等も与えると喜んで食べてくれ、体格や発色も良くなるのでオススメです。
6,購入できる場所は?気になるお値段は?
ピグミーグラミーはとてもポピュラーな種類であり、熱帯魚を扱うショップであれば高確率で販売されています。
販売されているのは殆どの場合は幼魚か未成魚で2〜3cm位の大きさです。
気になるお値段ですが、1匹あたり大体180〜300円位で販売されています。通販では数匹セットのまとめ買いができる事もあり、その場合は少し値段がお得になっているのでまとまった数を迎え入れたい方にオススメです。
7,ピグミーグラミーによく似た種類は?
ピグミーグラミーの仲間には「クローキンググラミー」と「トリコプシス・ビッタトゥス」がいます。
クローキンググラミーは大きさが6cm程あり、丁寧に飼い込むと非常に美しくなる事で知られています。
また、ビッタトゥスは入荷が殆ど無いため詳細不明の激レア種となっています。
他にも大きさ、見た目がよく似た種類として「リコリスグラミー」の仲間がいます。
こちらはピグミーグラミーと比べて背ビレが体の前半からついており、種類によってはそのまま体の後半まで続く事もあります。
また、生息地もマレー半島やスマトラ半島、ボルネオ島等であり、ブラックウォーターが主体のためか水質等の環境にかなり敏感という特徴があります。
8,ピグミーグラミーの飼育の注意点は?
小さな体だけど元気いっぱいに泳ぎ回り、丈夫で初心者にもオススメの種類でもあるピグミーグラミーですが、もちろん飼育の時に注意すべきポイントがいくつかあります。
- 餌のサイズに気を付ける事。
- 強い水流に気を付ける事。
- 隠れ家を用意する事。
- 体が小さい分体力が無いので水質、水温の急変に気を付ける事。
特に水質、水温の急変と強い水流は気を付けないと病気や徐々に衰弱していく原因になってしまうので特に注意が必要です。
ピグミーグラミーの飼育方法について
画像引用元:チャームpaypayモール店
1,導入、水合わせ
熱帯魚を扱っているショップであれば、ピグミーグラミーを探すのはそれほど難しくありません。
ピグミーグラミーを見つけたら、まずは健康チェックをしましょう。体表に粒状、粉状の付着物がないか、ウロコが逆立っていたり体表に充血がないか、ヒレが不自然にボロボロになっていないか、痩せていたり力無く水流に流されていたり底の方で横たわっていないか等をチェックします。
ピグミーグラミーを購入したら、次は水合わせをします。まずはピグミーグラミーを飼育する水槽からバケツ等を使ってある程度水を取っておきます。
水位の下がった所でピグミーグラミーが梱包された袋を水槽に15〜20分程浮かべて水温を合わせます。
水温を合わせ終わったら袋を開け、中の水をコップや計量カップ等を使って1/3〜1/4捨て、捨てた水とほぼ同量の水槽の水を入れて10〜15分程様子を見ます。異常がなければ2〜3回繰り返します。
最後の水合わせの時もピグミーグラミーに異常が見られなければ水槽に放ちます。その後あらかじめバケツ等に取っておいた水を水槽に戻して水合わせと導入は完了です。
◇導入直後は餌を控えよう!
熱帯魚の飼育、初めての飼育だったり小型種だったりすると飼育自体が嬉しかったり体が小さいのでお腹が空いていないか心配してしまう事もあるかも知れません。
しかし、ピグミーグラミーに限った事ではありませんが導入直後は餌を与えずに落ち着かせてあげましょう。
これは環境が変わって落ち着けていないという事もあり、餌を与えても食い付きが悪いです。しかも残った餌が水質悪化の原因になってしまうためアクアリウムの世界では好ましくない行為とされています。
2,水槽、水質、水温
ピグミーグラミーはとても小さくターンも柔軟に決める種類なので小型水槽で飼育する事ができます。
30cm水槽でも4〜5匹飼育でき、大型水槽や濾過力の高いフィルターを組み合わせるとかなりの匹数を飼育し郡泳を楽しめます。
そしてここからが飼育のポイントの1つ目です。水質は中性〜弱酸性で飼育できますが、本来の美しさを引き出すためには弱酸性の水質で飼育する事をオススメします。
また、水質の急変には弱いので餌の与えすぎ等による水の汚れやphの急変には気を付けましょう。
水温はヒーターを入れて24〜28℃の範囲を一定に保つようにし、水温の変化を把握しやすくするためにも水温計を使うとより安心です。
3,フタ
ピグミーグラミーは飛び出し事故は少ない種類ではありますが、ふとした拍子にビックリして水槽から飛び出してしまう事があります。
4,底砂
観賞魚用の底砂であれば基本的に飼育に使う事ができますが、水質をアルカリ性に傾ける作用があるサンゴ砂はピグミーグラミーの飼育には不向きです。
ソイル系や川砂等が水草も栽培しやすく水質も弱酸性に傾けたり大きな変化を起こさないのでオススメですが、大磯砂の場合は水質が中性に安定するまで少し時間がかかるのでphテストをしたりph調節剤を使って調整、把握する必要があります。
5,フィルター
ピグミーグラミーの飼育にはどのフィルターでも使う事ができますが、注意すべきは「水流」です。
水流調節機能付きのフィルターの場合はそれを使って水流を緩やかにし、投げ込み式フィルター、スポンジフィルター、底面式フィルターの場合はエアチューブに空気量調節弁を取り付けて調節します。
エアポンプに調節機能がある商品もあるので使いやすい方を選んでください。
Q,どうして水流を緩やかにするの?
A,生息環境の再現と体力の消耗を防ぐだめです。
ネオンテトラやラスボラ等の種類は泳ぎも得意なので水流が多少強くても問題はありませんが、ピグミーグラミーは元々水流が弱い所に生息しており、強い水流は苦手です。
しかも同サイズのネオンテトラやラスボラと比べて体力が少ないので、強い水流で飼育を続けると体力を消耗して弱ってしまう事があります。
6,隠れ家(シェルター)
ピグミーグラミーは複数飼育すると最初の内は小競り合いをするので弱い個体が逃げられるように石や水草、流木等を使って隠れ家をいくつか用意しましょう。
また、混泳の時も落ち着ける場所を与える事でストレスの抑制やイジメ回避にも繋がります。
7,水草
ピグミーグラミーは水草にイタズラをしないため相性も良いです。
あらゆる水草と相性が良いですが、東南アジア産の水草である「ロタラ」「ウォーターウィステリア」「ハイグロフィラ」等が入手や栽培もしやすく雰囲気も味わえて個人的にオススメです。
また、「アマゾンチドメグサ」や「ウォーターカーナミン」「ピグミーマッシュルーム」「タイニムファ」等の水草も葉の見た目や性質からピグミーグラミーの可愛らしさを引き立ててくれます。
■水草水槽の注意点について
他の種類の時にも紹介した事がありますが、水草は暗くなると光合成ではなく「呼吸」をします。
最初は空気呼吸をするピグミーグラミーであっても眠っている間に酸欠になる可能性があるため、水草をたくさんレイアウトした水槽で魚を飼育する場合は必ず夜間はエアレーションをして酸欠対策をするように気を付けましょう。
8,混泳について
ピグミーグラミーはとても温和で協調性が良い種類なので、相当気の荒い種類や捕食してくるような種類でない限りは混泳させる事ができます。
ネオンテトラやペンシルフィッシュ、小型のラスボラやグラミー、コリドラス等幅広く対応してくれます。
エンゼルフィッシュやアピスト、スマトラやブルーテトラのように気が強かったり捕食の可能性がある種類との混泳は避けるようにしましょう。
また、ピグミーグラミーの食性からレッドビーシュリンプやミナミヌマエビとの混泳もできなくはありませんが、稚エビは格好の餌となってしまうため、稚エビの生存率を少しでも上げたいという方は「ウィローモス」や「リシア」等を多用して稚エビ用の隠れ家を作るようにしましょう。
9,給餌について
ピグミーグラミーは餌は選り好みせず人工飼料や冷凍飼料、乾燥飼料もよく食べてくれますが、口がとても小さいので細かくする必要があります。
人工飼料は食べやすそうですが、飼育している個体が食べるのに苦戦しているようであれば指ですりつぶして小さく砕いてから与えます。
冷凍飼料もイトミミズやアカムシのサイズが大きいようであれば解凍後にハサミで細かく切ってから与えると、食べやすくなった事で食べ残しも少なくなります。
与える量ですが、我が家では1日2回、お腹がふっくらするまで与えていました。特に人工飼料の場合は水を吸って膨らむ事を想定してゆっくり時間をかけて与えます。
10,水換え、掃除について
水槽の汚れ具合や飼育している匹数にもよりますが、1週間〜10日に1度、1/3〜1/2の量を水換えします。
最初に飼育器具の電源を全て切ります。
ガラス面のヌメリやコケ等の汚れはメラミンスポンジやスクレイパーで落とし、石等のレイアウト用品の汚れが酷い場合は1度水槽から取り出し、ブラシやタワシを使って汚れを落とします。
伸びすぎた水草や枯れ葉はトリミングをして長さを揃えたり要らない葉を落とします。トリミングで出た不要な水草はネット等を使って掬い取り、燃えるごみに捨てます。
トリミングやガラス面の汚れが取れたらクリーナーポンプを使って底から汚れを水ごと回収します。この時もピグミーグラミーを吸わないように注意しましょう。
フィルターの掃除は頻繁にする必要はありませんが、揚水パイプやストレーナー部分に汚れが溜まっている場合があるので取り外し、専用のブラシで汚れを落とします。
フィルター内部の掃除は2〜3週間か1ヶ月に1度掃除しますが、ウールマットや一体型の濾過材の場合は目詰まりを解消するために洗います。
汚れや傷みが酷い場合は新しい物と交換して濾過力を上げます。
生物濾過材を洗う場合は飼育水ですが軽くゆすいで汚れを落とす事で濾過バクテリアが減りすぎるのを抑制します。
掃除が終わったら飼育器具やレイアウトを戻し、あらかじめカルキ抜きや水温合わせを済ませた新しい水を水槽に入れ、最後に飼育器具の電源を入れれば掃除と水換えは完了です。
ピグミーグラミーがかかりやすい病気と治療方法について
体の小ささの割には丈夫で環境に慣れると病気にかかりにくいと言われているピグミーグラミーですが、飼育管理がずさんになると体調を崩して病気になってしまいます。
また、小型種の中でも丈夫とはいえ体力は少ないので一度病気にかかってしまうと治療に苦戦する事も少なくありません。
1,白点病
アクアリウムの世界で「病気と言ったらコレ」と言える位有名かつ見られる病気です。
体表やヒレ、エラに小さな白い粒状の物が付着物し、症状が進行すると数を増やしながら全身を覆っていきます。そしてエラを塞がれ呼吸困難にして病魚の命を奪うのです。
この白点の正体は「白点虫」という原虫の一種で、寄生されると不快なのか底砂や流木等に体を擦り付けてしまい、その行為の結果できてしまった傷が二次感染の原因になる事もあるため厄介極まりません。
原因は水質の悪化や水温の急変、病気の魚を水槽に導入してしまった等が挙げられます。
治療方法は魚病薬を用いた薬浴を行います。使う魚病薬はメチレンブルー、マラカイトグリーン、アグテン、グリーンF系の魚病薬のいずれかを使います。
病魚を治療用水槽に移したら上記のいずれかの魚病薬を規定量投薬して治療を行いますが、薬品によって水換えの頻度が変わります。
アグテンの場合は3日に1度、マラカイトグリーン、メチレンブルー、グリーンF系は1週間に1度、グリーンFクリアーの場合は2週間に1度、半分の量水換えをして新たに投薬します。
2,カラムナリス症(尾腐れ病、口腐れ病、エラ腐れ病)
症状が出た箇所によって呼び名が変わる病気であり、感染力、死亡率どちらも非常に高い危険な病気です。
初期症状は体表に充血や白〜黄色っぽい付着物が見られます。尾腐れ病だと次第に尾ビレの柔軟性が無くなり、溶け始めると同時に尾ビレがボロボロに避けていき、末期になると衰弱しきって水面を力無く漂い死んでしまいます。
口腐れ、エラ腐れ病は頭部というかなり重要な器官に症状が出るため尾腐れ病よりも死亡率が高く治療も困難です。
原因は水温の急変や水質の悪化によって体力が落ちている時にカラムナリスという細菌に感染してしまった事が挙げられます。
また、体表の傷口から感染する事もあるため白点病やウーディニウム症の二次感染症としても知られています。
治療にはグリーンFゴールド、グリーンF、観パラD、パラザンDのいずれかの薬品を用いた薬浴を行います。
病魚を治療用水槽に移し、魚病薬を規定量投薬します。投薬後は5〜7日に1度半分水換えをしたら再び投薬し、体表の付着物の消失と患部の再生が確認できたら治療は完了です。
ピグミーグラミーは体力が無いのでカラムナリス症のように感染力、死亡率の高い病気にかかると治療が難しくなるので日頃からしっかりと飼育管理と健康チェックを行い病気の早期発見と早期治療を心掛けるようにしましょう。
3,エロモナス症
ポップアイや松かさ病等の名前でも知られる病気で、カラムナリス症と同じく感染力、死亡率が高い病気です。
初期症状では体表に充血が見られ、次第に範囲が広がっていき様々な症状を引き起こします。
原因は古い餌を食べてしまったり、病気の魚を水槽に導入してしまった、水質の悪化等によって体力や免疫力が低下している時に常在菌である「エロモナス・ハイドロフィラ」という細菌に感染してしまった事が挙げられます。
この感染した部位と症状によってポップアイ(目が飛び出す)、松かさ病(ウロコが逆立つ)等と呼び分けたりします。
治療にはエルバージュや観パラD、パラザンD、グリーンFゴールドのいずれかを用いた薬浴を行います。
病魚は治療用水槽に隔離し、規定量の魚病薬を投薬して治療をします。治療中は3〜5日に1度半分の量の水換えをし、再び投薬します。
エロモナス症はかなり治療が難しく、場合によっては治療に数ヵ月かかる事もある厄介な病気です。
4,ウーディニウム症
ベルベット症、コショウ病とも呼ばれる病気で、その名が示す通り体表に白〜淡黄色の粉状の付着物が見られます。
また、ウーディニウム症にかかった病魚は体を小刻みに震わせたり、ヒレをたたんで力無く泳いだり底砂の近くでジッとしていたりします。
原因は病気の魚を水槽に導入してしまったり、水質が悪化してしまった事等が挙げられます。
特に水換えや掃除をサボっていると発生しやすいと言われており、逆に定期的に水換えや掃除をしている水槽ではそうそう発生しない事でも知られています。
治療にはメチレンブルーやマラカイトグリーン、グリーンF系の魚病薬を用いた薬浴を行います。
病魚を治療用水槽に移したら規定量の魚病薬を投薬します。治療中は5〜7日に1度半分の量を水換えして再び投薬をします。
これを続け、体表の付着物が無くなり泳ぎ方も正常になれば治療は完了です。
白点病は付着物が大きいので分かりやすいですが、体が小さなピグミーグラミーがウーディニウム症にかかると付着物を確認しづらいため注意が必要です。
ピグミーグラミーの繁殖方法について
ピグミーグラミーを狙って繁殖させている方はかなり少ないと思いますが、状態良く飼い込まれたペアがいると自然と繁殖行動に移る事があります。
特に水草メインの水槽や隠れ家をたくさん用意してピグミーグラミーを複数飼育していると自然とペアができていたりします。
1,繁殖をさせるには?
繁殖を成功させるためには状態良く飼い込んだ成魚が必要不可欠です。
どんな種類であっても体調が悪かったり弱っている状態のペアでは上手く産卵まで持っていく事はできません。
2,オスとメスの違いは?
ピグミーグラミーの雌雄判別は難しいため、
複数匹を飼育する事で自然とペアができるのを待つのが無難です。
また、オスとメスの違いがそこまで顕著ではないのも特徴と言えます。
オスの特徴
- 体つきがスレンダー。
- ヒレの赤みが強く、模様もハッキリ出ている。
- 小競り合いが多い。
- 繁殖のスイッチが入ると水草の葉の裏や流木の裏に泡巣を作る。
メスの特徴
- オスと比べてヒレの赤みが薄く、透明な面積が広い。
- 体がオスより厚みがあり、お腹がふっくらしている。
- 小競り合いの頻度が少ない。
- 繁殖のスイッチが入るとオスの泡巣にエスコートされるようになる。
3,繁殖行動について
ピグミーグラミーのオスは、体に備えた特殊な器官を使って細かく丈夫で割れにくい泡を作り、水草の葉の裏や流木の裏側に「泡巣」と呼ばれる子育て用の巣を作ります。
以前ご紹介したチョコレートグラミーは口の中で子育てをする「マウスブルーダー」でしたが、ピグミーグラミーはこの繁殖形態から「バブルネストブルーダー」と呼ばれています。
チョコレートグラミーの飼い方・繁殖・病気について徹底紹介!
泡巣を作り終わるとオスはメスを泡巣に誘うようになり、ヒレをいっぱいに広げたり鳴き声を出して求愛行動を取ります。
オスの求愛を受け入れるとメスは泡巣の下でオスと絡み合うような行動を取って産卵を始めます。
4,稚魚のお世話について〜餌編〜
ピグミーグラミーはオスが卵と稚魚のお世話をするため飼い主側がやるのは「稚魚の餌を用意する事」と「水質をキレイに保つ事」です。
ピグミーグラミーの卵は産卵後、約1週間程で孵化します。生まれたばかりの稚魚はヨークサックが吸収されるまで頭を下にし泡にぶら下がるようにして過ごします。
この間に何かの弾みで稚魚が泡巣から落ちてしまうと、オス親が稚魚を拾って泡に付け直します。
ヨークサックが吸収し終わる頃には泡も消失しており、稚魚は拙いながらも泳げるようになっています。
この頃になると餌を食べるようになるのですが、稚魚は非常に小さいためブラインシュリンプのベビーですら食べる事ができません。
そのため餌として「稚魚用のパウダーフード」「PSB」「微生物」が必要となります。
稚魚用のパウダーフードとPSBは観賞魚を扱っているショップであれば高確率で販売されていますが、ゾウリムシ等の「微生物」はなかなか取り扱われていません。
自分で微生物を発生させる方法もありますが、通販を利用すると簡単に手に入るのでオススメです。
5,稚魚のお世話について〜水換え編〜
水槽内という限られた空間の中、水質を維持するのはフィルターだけでは補い切れません。
そこで水換えをする事で水質を良好に保つ訳ですが、ピグミーグラミーの稚魚は非常に小さく非力なので吸い込んだりショックを与えないように慎重に進める必要があります。
水換えは全体の水量の約1/5できれば良く、エアチューブ使って時間をかけて行った方が無難です。
やり方はエアチューブの片方の端に石等をくくりつけて水槽に沈め、もう片方の端を軽く吸って「呼び水」をします。
呼び水をしたらその端をバケツに向けて排水しますが、強く吸いすぎて飼育水を飲まないように注意しましょう。
水が抜けたらカルキ抜きをした新しい水を用意し、こちらも時間をかけてゆっくりと静かに水槽に足していきます。
■子育て系の注意点!可愛いからと覗き過ぎると…
魚達の中にはピグミーグラミーのように卵や稚魚を甲斐甲斐しくお世話する種類がいます。
その様子は実に微笑ましく、稚魚が遠くに行きすぎないように見張っていたり、稚魚に危険だと判断すると立ち向かって行ったり稚魚を避難させたりと子煩悩な様子を水槽で見られるのはとても楽しいものです。
しかし、毎日のようにジロジロ見ていると、子育て中の親魚が「常に狙われている」「このままでは子供達を育て切れず自分も危ない!」と判断してしまい、せっかく生まれてきた稚魚達を食べてしまう事があるのです。
6,餌の切り替えについて
ピグミーグラミーは元々口が小さく、稚魚ともなれば尚更それは顕著になります。
そのため生後約1ヶ月半までは稚魚用パウダーフードとPSB、微生物を絶やさず与え続ける必要があります。
しっかり栄養をとって約2cm程の大きさになったら沸かしたてのブラインシュリンプベビーを与え、食べられるようであればパウダーフード、ブラインシュリンプベビー、PSBを与えるようにします。
2cmを超えて来たら餌の内容をブラインシュリンプベビー、人工飼料を細かくすりつぶした物といったように、少しずつ稚魚用の餌から幼魚用に切り替えていきます。
冷凍アカムシやイトミミズ、乾燥ミジンコ等は稚魚達の全長が3cm位まで育ってから細かくして少しずつ与えるようにしましょう。
Q,餌が大きすぎるとどうしてダメなの?
A,上手く食いちぎれずに食べられなかったり、場合によっては喉に詰まらせて死んでしまうからです。
「野生の世界では多少無理をしてでも飲み込んでしまうのでは?」と思われる方も多いかと思いますが、野生だからこそ基本的には無理をせず、自分の手に負えるサイズを選んで食べています。
柔らかい餌であれば少しずつ齧って食べていきますが、中には空腹で焦ってしまったのか、どうやっても飲み込めないサイズに挑んでしまう個体がいます。
そういった個体は餌を上手く飲み込む事ができず、そのまま喉に詰まらせて死んでしまう事もあるのです。
また、口に入らないサイズだと食べる事ができず、そのまま飢えて死んでしまう事もあります。
7,飼育や繁殖に役立つアイテムについて
ピグミーグラミーは繁殖は難しいですが飼育は簡単という初心者にも熟練者にも楽しい種類です。
①浮草
「ホテイアオイ」や「アマゾンフロッグピット」が代表格ですが、小型水槽で飼育される事が多いので個人的には後者の方が扱い易いと思っています。
②造花
100円ショップで売っている造花も物によってはレイアウトアイテムとして使う事ができます。
使う前に丸1日水を張ったバケツに浸けておく必要がありますが、レイアウトに使うとどことなく絵画的でファンシーな水槽に仕上がります。
③ボトリウム
近年人気の手法「ボトリウム」。
水量やスペースの関係で飼育できる種類は限られてしまいますが、丈夫で空気から酸素を取り込めるピグミーグラミーは正に打ってつけの熱帯魚です。
まとめ
今回は「可愛い・飼いやすい・安い・大人しい」の四拍子が揃った熱帯魚「ピグミーグラミー」についてご紹介させていただきました。
ショップで見かけやすいポピュラー種ではありますが、大切に飼育する事で美しさと可愛らしさを両立した姿に変わってくれます。
また、人によく慣れる種類でもあり、ガラス面に指を近付けるとガン見しながら指先を追いかけたり、飼い主を見つけるとスイ〜っと寄ってきてホバリングするなどの仕草を見せてくれる愛嬌のある種類です。