はじめに
写真引用元:チャーム様
熱帯魚は「海水」と「淡水」に大きく分けられていますが、中にはその中間である海水と淡水がぶつかり混ざりあった特殊な水域「汽水」に生息している種類もいます。
この特殊な環境に生息している種類は変わった見た目をしている種類も多く、その生態も海水魚よりでありながら淡水魚の餌で飼育できたりと面白みがあり、密かに人気を集めています。
1,ピンクイールの特徴について
写真引用元:チャーム様
①どんな見た目をしているの?
ピンクイールの和名は「ハリガネウミヘビ」であり、ウナギに近い仲間です。
その体はウナギよりずっと細長く、ショップで見かけやすい15〜25cmほどの大きさの個体であっても鉛筆よりずっとスマートな体型をしています。
また、ピンクイールにウロコは無く、体表は粘膜が守っています。
ウナギやウツボとは違い、長い体に対して頭部は小さく、少し皮膚に埋まったつぶらな黒い目をしているのも特徴的です。
各ヒレも小さく、特に胸ビレは小さすぎてほとんど目立ちません。むしろ鮮やかな赤色をしたエラ穴のほうがよく目立ちます。
尻ビレ、背ビレは長く続きますが尾ビレと同じように大きくないためほとんど目立ちません。
ピンクイールは名前が示す通り、体色はお腹側が黄〜クリーム色、頭部から背中側にかけてピンク色をしています。
⭐別名は人気のイタリアン!
主にピンクイールやハリガネウミヘビという名前で流通する事が多い本種ですが、それとは違う別の呼び名も持っています。
その名も「スパゲッティ・イール」です。
確かにお腹のクリーム色に背中のピンクや赤褐色の体色はボロネーゼソースやタラコクリームソースを絡めたスパゲッティのようです。
②どのくらいの大きさなの?
ショップでは15〜25cm前後の大きさの個体が見かけやすいですが、大きく育てば38〜45cmほどの大きさになります。
③生息地はどんな所?
ピンクイールは東アジアや東南アジアに広く分布しており、主な国としてインドやフィリピン、ネパールなどの河川の下流や河口域、沿岸地帯でよく見られます。
④どんな物を食べているの?
野生化のピンクイールはイトミミズやアカムシ、小型のエビなどの甲殻類を捕食していると考えられています。
しかし、飼育する時は冷凍タイプのアカムシやイトミミズにも慣れやすく、他にもホワイトシュリンプやブラインシュリンプもよく食べてくれるため、餌に困るという事はほとんどないでしょう。
⑤気になる性格は?混泳はできるの?
ピンクイールはウナギやウツボ系の中では比較的穏やかな性格をしているため、口に入る大きさの種類でなければ混泳させる事もできます。
汽水系の淡水カレイやゴールドスポットハーフビークなどもタンクメイトになりますが、淡水カサゴと混泳させる場合は体表がトゲでつつかれていないか確認する必要があります。
⑥大体のお値段(価格)は?
ピンクイールは常にショップで取り扱われている種類ではありませんが、汽水魚の中では比較的入荷しやすいためタイミングさえ合えばその姿を見る事ができます。
その場合は砂やオブジェクトに隠れている事も多いのでじっくり観察してみてください。
大体のお値段ですが、1匹あたり1200〜2000円くらいである事が多い印象です。
2,ピンクイールの飼育で注意すべきポイントについて
とぼけた表情で砂やオブジェクトに隠れている事が多いピンクイールですが、知らぬまに飛び出してしまったり、体調を崩してしまう事があります。
🍝ピンクイールの飼育のポイント🍝
- 体がかなり細いため水槽には必ずフタをし、隙間もなるべく塞ぐようにする事。
- 目が悪いので餌を与える時は近くに餌を落としてあげる事。
- 薬品には弱いため、治療のために薬浴をする場合は規定量の1/5〜1/2で行う事。(最初は1/5で様子を見て、異常が無ければ微量に増やす)
- 淡水でも飼育できなくはないが、必ず人工海水の素を用意する事。
- フィルターの隙間に潜り込む事があるため使うフィルターの種類に気を付ける事。
特に飛び出し事故やフィルター神隠しは起こりやすく、姿が見えない時は床やフィルター内を探すと見つかる事があります。
3,ピンクイールの飼育方法について
①水合わせ、導入について
ピンクイールをご自宅にお迎えしたら、まずは水合わせをします。
水槽の水をバケツなどであらかじめとっておき、袋ごと水槽に浮かべて水温を合わせるために40分〜1時間ほど待ちます。
水温を合わせ終わったら水合わせの作業に移るのですが、方法が大きく分けて2つあるのでお好きな方を選んで行ってください。
1つは袋を開けて中の水を捨て、同量の水を加えて20〜40分ほど様子見をして異常が無ければ袋内の水がほとんど水槽の水になるまで繰り返す方法です。
もう1つは袋から1度バケツに移し、水合わせグッズを使ってバケツに水を呼び、調節弁などを用いて流入する水の量を調節しながら行う方法です。
水合わせが終わったらピンクイールを水槽に解き放ってあげましょう。
導入初日はどうしても環境の変化からくるストレスから餌食いが悪いので、水質悪化させないためにも給餌は翌日か翌々日から始めます。
②水槽について
ピンクイールは泳ぎ回るよりオブジェクトや底砂に隠れる方を好むため、そこまで広い水槽でなくても飼育が可能です。
60cmのスリムタイプの水槽や45cmのセット水槽であれば、1〜2匹は終生飼育も狙えます。
また、前者より水量が多い60cmのレギュラー水槽であれば3〜5匹ほど飼育できます。
⭐意外と汎用性の高いミカンネット!
スーパーなどでミカンや某ゆで卵を包んでいる柔軟性に富んだネットが意外とアクアリウムの世界では使えたりします。
先ほどご紹介したようにフタの隙間を埋める事ができる他、大きめの濾過材を詰めたり、後ほどご紹介するフィルターの時にも役立ったりします。
③水質・水温について
河川の下流や河口に生息しているため、中性〜弱アルカリ性の水質を好んでいます。
15〜20cm前後の個体であれば中性の水質かサンゴ砂を敷いた程度の弱アルカリ性の水質で飼育できますが、25〜30cmを越えてきたあたりから徐々に汽水に変えていき、30cm後半〜40cmくらいには3/4汽水か海水飼育に切り換えると長生きしやすくなります。
⭐敢えてヒーターカバーは「着けない」!
「底層で生活する魚なのにヒーターカバーを使わないだと!?」と言われそうな気がしますが、筆者流ピンクイールの飼育方法では敢えてヒーターカバーをしません!
何故ならピンクイールの飼育でヒーターカバーを使ってしまうと狭い所大好きなピンクイールが隙間に潜り混んでしまい、取り返しのつかない結果に繋がりかねないからです。
彼らは非常に細長いため、ドジョウやエビが入ろうとしないような狭い場所に潜り込む事ができます。
ヒーターカバーもその1つで、30cmを超えた個体でもない限りは無理矢理でもその隙間に入ってしまうのです。
この時ヒーターが保温状態であればまだ良いですが、水温を上げるため発熱状態になるとカバー内に入り込んだピンクイールはすぐに逃げ出す事ができず火傷してしまう事があります。
1度火傷を負ってしまうと治療は難しく、そのまま弱って死んでしまう事も少なくありません。
④底砂について
底砂は水質を弱酸性に傾ける作用が無ければ問題はありません。
しかし、ピンクイールは底砂に潜る事が多いので潜りやすいように川砂や田砂、パウダータイプか細めのサンゴ砂がオススメです。
⑤フィルターについて
ピンクイールの狭い場所に潜り込もうとする性質と細かい底砂を使うという飼育スタイルから底面式フィルターはあまりオススメできません。
また、外掛け式フィルター、スポンジフィルターの場合は出水口、投げ込み式フィルターの場合は吸水口からピンクイールが潜ってしまう事があるため、登ってこれないようにちょっと高めの場所に設置する必要があります。
投げ込み式フィルターの場合はミカンネットで包んで潜られないようする他、底砂の上に直接設置すると底の部分が目詰まりしてしまう場合があるので、平らな石などをサイドに置き、その上に設置して目詰まりを抑制するなどの工夫が必要です。
⑥隠れ家について
底砂をある程度の厚さ敷いていると大人しく潜っている事が多いですが、ピンクイール自体は狭い場所も大好きなので土管や植木鉢などのオブジェを入れても使ってくれます。
⭐レイアウトに特にこだわりが無ければ「アレ」も使える!?
いくつかの隠れ家を用意できれば底砂を敷かずとも飼育自体は可能です。
いわゆる「ベアタンク」というものですが、隠れ家にも特にこだわりが無ければ細い塩ビ管やホースもピンクイールの隠れ家として使う事ができます。
⑦水草について
ピンクイールは汽水魚なので、淡水で生活している間だけ水草を植える事ができます。
その場合は中性〜弱アルカリ性でも育てやすい「バリスネリア」の仲間や「アナカリス」などがオススメです。
⭐汽水〜海水で飼育するなら海藻もオススメ!
汽水〜海水では流石に淡水の水草は相性が悪いです。しかし、海藻であればその問題も解決する事ができます。
強めのライトが使えれば「タカノハヅタ」や「ウミヒルモ」「ヘライワヅタ」も育てる事ができ、手に入れる事ができれば「ウミブドウ」もレイアウトに使う事も夢ではありません。
⑧混泳・群泳について
本種は比較的大人しい性格をしているため、群泳も混泳もある程度の範囲ならこなす事もできます。
ピンクイールは泳ぎ回る事はあまりありませんが、時々底砂からニョロっと這い出てくる事があり、その際に同種の隠れ家に入って特に小競り合いをする事も無く、隠れ家の出入口から「ほげぇ〜」と顔を出している事も少なくありません。
また、汽水系の淡水カレイや淡水ヒラメ、サヨリの仲間との混泳させる事ができ、要観察ですが淡水カサゴとも混泳できたりします。
そんなピンクイールでも混泳に不向きな種類がおり、肉食性が強い彼らは口に入ってしまうサイズのタンクメイトだと捕食してしまう事があるため、頭より細い種類との混泳はできません。
⑨給餌について
ピンクイールは冷凍飼料にも人工飼料にも慣れやすい面があるため餌で困らされるような事はほとんどありません。
冷凍飼料であればイトミミズやアカムシ、ブラインシュリンプ(ベビーではない)、ホワイトシュリンプなどを解凍して与えればよく食べてくれます。
また、人工飼料では熱帯魚用のフレークフードやペレットフードも食べますが、匂いが強めな小型ナマズ用人工飼料「ミニキャット」も慣れれば食べるようになり、水に浸してから与えれば乾燥オキアミも良い餌になります。
給餌の注意点としてピンクイールは嗅覚は良いものの視力が悪いため、餌を探すのに時間がかかってしまう事があります。
あまり時間がかかってしまうと冷凍飼料の場合は餌の鮮度も下がり、水質悪化の原因になってしまうため、スポイトやピンセットでピンクイールの近くや口元に餌を持っていってあげましょう。
彼らも反応しやすくなり、食べ残しも少なくなります。
給餌の目安ですが、1日1〜2回、成魚になったら2日に1回、5分ほどで食べきれる量を与えます。
⭐生餌も使える!
基本的には何でも食べてくれるピンクイールですが、他にも餌として与えられる物があります。
まずはスズキの稚魚やボラの稚魚です。
これらの稚魚はショップで常に取り扱われている魚ではありませんが大きさも1〜2cmほどしかなく、25cm以上の大きさに育っていれば餌として与える事もできます。
次にアサリです。
スーパーなどで販売されているアサリを剥き、その身を細かく刻んであげれば食べやすく栄養豊富な餌になります。
⑩掃除、水換えについて
水槽の汚れ具合や飼育している匹数などにもよりますが、目安として大体1週間〜10日に1度、1/4〜1/3の量で水換えを行います。
まずは飼育器具の電源を全て落とし、フタを外して水槽の内面の汚れを落としていきます。コケクロスやメラミンスポンジ、スクレイパーを使えば簡単に汚れを落とす事ができます。
次に、汚れていればレイアウトに使っているオブジェも掃除します。歯ブラシでサッと磨き洗いできますが、汚れが酷い場合は水槽から取り出してから歯ブラシやタワシでしっかり擦り、汚れを落としましょう。
フィルターは基本的に2週間か1ヶ月に1度掃除するくらいで良いのですが、ストレーナースポンジや揚水パイプに汚れが溜まっている事があるのでこの部分は水槽掃除の時にチェックして洗うようにすると目詰まりが解消されて濾過力も回復します。
水草や海藻が繁茂している場合はトリミングを行いますが、この時ピンクイールが驚いて砂から出てきてしまい、水草や海藻に紛れてしまう事があるため切らないように注意が必要です。
トリミングによって出た不要な葉はネットや素手で集め、燃えるゴミとして処分します。
あらかた水槽内の掃除が終わったら、クリーナーポンプで水ごと汚れを除去します。
この時クリーナーポンプが底砂に近すぎると底砂も吸い出してしまったり、隠れていたピンクイールが挟まってしまう事もあるので注意が必要です。
水も抜き終わったら、あらかじめ用意しておいたカルキ抜きと水温合わせを済ませた新しい水を水槽に足していきます。
水を足し終わったら飼育器具をセットし、取りきれなかった不要な葉などをネットで掬ってから電源を入れ、フタをして水槽掃除と水換えは終了です。
フィルター内部の掃除をする場合は、一体型濾過材の場合は水換え時に目詰まりを解消するくらいに留めますが、濾過材の傷みが酷い場合は新しい物と交換します。
上部式フィルター、外部式フィルターも基本的にはウールマットの目詰まり解消をしますが、こちらも傷みが酷い場合は新しい物と交換します。
生物濾過材は2週間〜1ヶ月に1度洗いますが、その場合は飼育水で軽くすすぐようにして洗います。
また、生物濾過材は製品によってはかなり長持ちするため、製品のパッケージに書かれてある交換目安を覚えておくと安心です。
Q,水槽内で水温計を割っちゃった!どうしよう!
A,水槽を即リセットしてください。
アクアリウムでたまにあるのが水槽内で水温計などのガラス製品を割ってしまったというケースです。
ガラスは私達の想像以上に細かく鋭利に砕け、水槽内に散ってしまうため非常に危険です。
魚達を守るためにも水槽内でガラス製品を割ってしまった場合はすぐにリセットし、使っていた底砂は破棄してください。
できれば水槽も破棄した方が良いですが、水槽もタダでは無いのでリセット後にベタつきのある粘土などを満遍なく水槽内に押し付けてガラスの破片を取り除き、しっかり洗ってから再利用します。
魚達には申し訳ありませんが、急拵えの環境でしばらく過ごしていただく事になります。
Q,飼育水を汽水に変えるタイミングは?
A,大きさを観察する方法もありますが、一番は淡水飼育中に以前より活性が下がってきたら徐々に汽水に変えていくのが無難だと思います。
ピンクイールは小さい内は淡水で飼育する事ができますが、成長に伴い徐々に飼育水を汽水に変える必要があります。
このタイミングはなかなか掴みにくいもので、大きさが25cmくらいになったあたりから徐々に汽水に変えていく方法の他、淡水でしばらく飼育していた個体の活性が下がってきたら汽水に変えるという方法があります。
個体によっては割りと早い段階で汽水を欲する事もあるため、後者の方が確実性があると思います。
汽水を作るには人工海水の素を使うのが効率が良いです。人工海水の商品の中には10Lごとに必要な量をパックにしているものがあり、非常に重宝します。
水換えの時に新しい水に海水の素を足して汽水を作り、少しずつ水槽にいれてあげましょう。
飼育水を汽水にしてピンクイールの調子が上がったら、それ以降は飼育に使う水は汽水にし、同じように少しずつ塩分濃度を足していくようにしましょう。
4,ピンクイールがかかりやすい病気と治療方法について
基本的に飼育しやすく砂に潜ってのんびりと過ごしているピンクイールですが、環境が崩れてしまったり砂の中に尖った何かがあってケガをしてしまうと一気に弱ってしまう事があります。
また、ピンクイールは薬品に弱いため薬浴をする場合は規定量の1/5〜1/2にする必要があるため注意しましょう。
①外傷
ピンクイールの飼育で最も多いのが外傷だと思います。
飛び出しによる擦り傷や砂に潜る時に砂中に尖った枝や石が入っていて体を傷付けてしまうなど様々あります。
外傷は二次感染症の原因になる場合も多いので侮ってはいけません。
治療には2種類あり、ピンクイールの汽水魚という特徴を活かして飼育水の塩分濃度を上げ、塩分によって細菌の侵入を防ぐ方法と薬浴によって消毒する方法があります。
安全性が高いのは前者の方法で、淡水飼育または1/5汽水の場合は水換えの時に新しい水に人工海水を足して塩分濃度を上げ、時間をかけてゆっくり水槽に足して1/3〜1/2汽水にすると大抵の細菌は繁殖しにくくなり、二次感染症を抑制する事ができます。
また、塩分やミネラルを摂取した事によって浸透圧により代謝が良くなるため、体調も戻りやすくなります。
薬浴をする場合は外傷のある個体を治療用水槽に隔離してから治療を始めます。
使う薬品はグリーンFゴールドやエルバージュを使いますが、様子を見ながら使用量は必ず規定量以下に抑えなければいけません。
薬浴を開始したら2〜3日後に水換えを行い、傷口の再生が始まっていたら元の水槽に戻します。
②水カビ病
「綿かぶり病」や「綿カビ病」とも呼ばれる病気であり、体表にカビが生えるという恐ろしい病気です。
体に生えた水カビによって体組織がボロボロにされてしまうため、患部は白く濁ってしまいます。
主な原因として、水槽内の生物濾過が上手く機能せず食べ残しにカビが生え、そのカビに長時間触れてしまったり千切れた菌糸が傷口に入り込んでしまった事が挙げられます。
治療には薬浴を行い、使用する薬品はメチレンブルー、マラカイトグリーン、グリーンFなどです。
薬品に弱くない種類であればグリーンFを練って患部に塗布する方法もありますが、ピンクイールは薬品に弱いので決してやらないようにしてください。最悪の場合薬品によってショック死してしまいます。
薬浴を始めたら5〜7日に1度半分の量の水換えを行い、様子を見ます。体に生えたカビが落ちていれば上手くいっている証拠です。
次の水換えをした後もまだ水カビ病の痕跡があれば、再び規定量以下の魚病薬を投薬します。
③白点病
アクアリウムの世界ならどこでも出てくる厄介な病気。それが白点病です。
症状は最初は体表に数個白い点が見られるのですが、症状が進むと白点の数はどんどん増えていき、全身を覆ってしまうほどになります。そして病魚は酸欠とストレスなどで弱って死んでしまうのです。
また、白点病は痒いらしく、病魚は体を石や底砂に擦り付けるようになってしまい、体に傷ができると二次感染症の原因になるため油断なりません。
原因として、病気の魚を水槽に導入してしまった事や水質の悪化、水温の急変などが挙げられます。
ピンクイールの場合は淡水飼育や塩分濃度が低い1/5汽水などで発生しやすいです。
治療には飼育水の塩分濃度を上げる方法と薬浴があります。
塩分濃度を上げる場合は水換えの時に新しい水に海水の素を足して塩分濃度を上げ、少しずつ水槽に足していきます。そうして1/3〜1/2汽水にするか2/3汽水にすると白点病に効果が出てきます。
薬浴をする場合は1度治療用水槽に隔離する必要があります。
使用する薬品はグリーンFやアグテン、メチレンブルー、マラカイトグリーンです。もちろん様子を見ながら規定量以下に抑えて使用します。
④エロモナス症
1度かかると致死率も高く、治療も難しい厄介な病気です。ピンクイールの場合は淡水や塩分濃度の低い汽水で飼育していると発生しやすいです。
これには細菌は塩分濃度が高い環境だと活動できないという特徴があります。
エロモナス症にかかると体表の至るところに充血が見られるようになり、症状が享とさらに充血の範囲が広がっていきます。
さらに、ピンクイールがかかると背ビレや尻ビレが充血によって赤く染まり、体表の粘膜がめくれあがって痛々しい見た目になるという珍しい症状がでます。
原因として、病気の魚を水槽に導入してしまった事や水質・水温の悪化や急変、古い餌を食べてしまった事などが挙げられます。
病魚は治療用水槽に隔離してから薬浴し、使用する薬品はパラザンDや観パラD、エルバージュ、グリーンFゴールドです。
薬品によるショックを避けるため、使用量はかなり抑えるようにします。
薬浴を始めたら、5日に1度半分の量の水換えをし、新たに投薬します。
まとめ
今回は汽水のゆるキャラ・ピンクイールについて皆様にご紹介させていただきました。
ピンクイールは、初見は見慣れないピンク色にとぼけた表情が不思議な熱帯魚ですが、飼育を始めると注意点さえ気を付けていれば飼育もしやすくユル〜い感じを楽しむ事ができます。
また、慣れればピンセットから餌を食べてくれるようになるためちょっと感動するかも知れません。
他にもピンクイールは顔つきがウツボっぽいのに大人しいため、ウツボのように水槽のメンテナンス中に噛み付いたり威嚇する事はほとんど無いので安全に飼育を楽しめるのも魅力の1つです。
ピンクイールが隠れ家や砂から顔を出した時にルーペで観察しても面白いと思います。