レモラキャットは優しいナマズなんです
レモラキャットは南米から輸入されてくる小型のナマズの仲間です。
毎回輸入される訳ではないため、熱帯魚のナマズファンでなければ飼う人も少ない、ややマイナーな魚です。
実際に筆者はレモラキャットを数匹飼っていましたが、
このナマズは本当に平和で、愛らしく、スタイリッシュな魚です。
多くの方がナマズの仲間と聞くと、
と思うかも知れません。
事実、ナマズの仲間の多くがタンクメイトを傷付けやすいです。
しかし、レモラキャットによる被害を筆者は一度も見た事はありません。
レモラキャットの特徴
レモラキャットはアマゾン川に生息するアウケニプテルス科のナマズの仲間です。
全長12cm程のその見た目は、サメの様に泳ぐ事に適した流線型の体をしており、パワフルに泳ぎます。
目は大きめでクリクリしています。
口は横に広いですが、あまり大きく開きません。
夜行性で、昼の間は流木や岩陰のような隠れ家で眠って過ごします。
ヒゲはピコピコとよく動き、餌の捜索や近くにある物、興味がある物に触れて感知します。
体色は体全体が濃いめの灰色に白い細かな点々模様、お腹側は白く、背ビレに黒い模様と尾ビレは縁の部分も灰色に染まります。
レモラキャットのエサ
自然下ではアカムシのような水生昆虫やエビ、落下してきた昆虫、小魚を食べると言われています。
飼育下では、冷凍のアカムシや小型ナマズ用の人工飼料を良く食べてくれます。
レモラキャットに良く似た仲間
灰色の体に黒い水玉模様のスポッテッドレモラキャットや、
よりスリムな体型のスレンダーレモラキャットがいますが、
こちらはレモラキャットより少し大きくなるため小魚との混泳はあまりオススメできません。
レモラキャットの飼育方法
水槽、水温、フィルターについて
レモラキャットは暗くなるとよく泳ぎ回るため、水槽のサイズは60cm以上が好ましいです。
また、驚くと勢い余って飛び出す可能性があるため水槽には必ずフタをしてください。
水温は23〜27℃位が適温です。
サーモスタッド付きのヒーターを使うと温度を細かく一定に保つ事ができます。
フィルターは濾過力のある上部フィルターや外部式フィルターがオススメですが、
水替え、掃除、水質について
ナマズの仲間らしく水を汚しやすいため、週に1/3〜1/2の量の水替えをします。水道水は必ずカルキ抜きをしてから使います。
ガラス面の汚れはスポンジで擦り落とします。
水質は中性〜弱酸性を好んでいます。
底砂、シェルターについて
底砂は砂利やソイルでも良いですが、敷かなくても大丈夫です。
シェルターが無いと安心出来ず、ストレスを溜めて調子を崩すので必ず入れましょう。
水草について
水草にイタズラはしませんが、根付く前の柔らかい水草はパワフルな突進に耐えられず浮いてしまう事があります。
バリスネリアやアヌビアス系の水草なら根付きが早く、扱い易いです。
混泳時に体験した不思議な平和体験
レモラキャットは見た目の割に口はあまり大きく開かないため、1cm程度の魚でもない限り食べたのを見た事がありません。
我が家では、グッピーやハセマニア、ピグミーグラミー達と共に暮らしていました。
グッピーは出産前のメスは隔離していましたが、他の魚達に対してレモラキャットは「ある事」をしていました。
それは「ヒゲで優しく触れる」事でした。
ナマズの仲間はヒゲで餌を感知し勢いよく襲いかかりますが、レモラキャットは優しくヒゲで触れた後、襲う事もなく、グッピー達と一緒にアカムシやフレークを食べていました。
彼らを餌と認識しなかっただけかも知れませんが、その水槽にいた3匹のレモラキャット全てが同じ行動をし、水槽が暗くなっても決して同居の魚を襲う事はありませんでした。
その後、別の小型ナマズが水槽にやって来た時も同じようにヒゲで触れ、ケンカもせず、お気に入りのシェルターに一緒に入って過ごしていました。
お気に入りの土管から顔だけ出して、自分より小さな魚に寄りつかれても爆睡する、とても平和な時間だったのを懐かしく思います。
まとめ
ナマズでありながら平和主義の魚レモラキャット。
混泳をすればその穏やかさに癒されますが、レモラキャットだけの飼育をすると、
そのサメのような泳ぎやとぼけたような顔、クリクリとした目等の魅力を更に知る事ができます。
また、人に慣れる魚でもあり、お腹が減ると明るい時間でも寝ぼけながら餌をねだりにやって来ます。
そんな彼らの表情は、どこか笑っているようにも見えます。