セボシタビラについて
セボシタビラはコイ科タナゴ属の日本固有種です。
ただタナゴは、他の魚種と違い、水質汚染などの開発の直接的な影響を受けて減少しているというよりは、産卵する際に卵を産み付ける母貝となる二枚貝の仲間がその影響を受けており、間接的にタナゴ類も数を減らしているという考え方が一般的です。
セボシタビラもその例外ではなく、
むしろタナゴの中でもかなり将来が危ぶまれている中の1種です。
セボシタビラはカタハガイ、ドブガイを主な産卵母貝としており、その貝の好みは多種よりもはっきりしているとされています。
それもあってか近年減少著しく、
2020年には国内希少野生動植物種に指定され採捕禁止になりました。
※2020年2月10日をもって、セボシタビラは国内希少野生動植物種に指定されました。現在では許可無く、新たに捕獲・譲渡・販売・飼育が禁止されています。本情報(取材時)は国内希少野生動植物種に指定される以前のものです。
セボシタビラとの出会い
まだセボシタビラが捕獲禁止ではなかった頃、
日本の在来タナゴのうち、捕獲可能な種をすべてワームで釣りたいという変わった目標を達成しようとしている知り合いの方に協力を頼まれた時の事がきっかけです。
この時はこのタナゴの存在を知ったのみで、丸二日間の捜索で見つけることができませんでした。
そして2019年、再挑戦し、セボシタビラを見つける事ができました。
そのあまりの美しさの為、数匹を自宅へ持ち帰って飼育を始めました。
筆者がセボシタビラを釣り上げた水路はその時点で改修工事が決まっていて、
その場所で継代し、今後も生き続けていくのがほぼ不可能だとわかっていました。
翌年再訪したときにはセボシタビラどころか共存していた他の多くのタナゴたちすらいなくなっていました。
このように、身近な所で刻一刻と生息域が減少しています。
セボシタビラの飼育
セボシタビラは他の多くのタナゴ類と同じく、水質にうるさい魚ではありません。
筆者の家では60センチスリム水槽に外掛けフィルターとエアレーションというアクアリウム初心者用のセットで飼育していたのですが、十分に適応してくれました。
底砂について
ソイルを使用していましたが、問題は全くありませんでした。
砂利や砂で飼育される方が一般的かなと思われるので、特に気にする必要はないと思います。
水草について
環境を安定させるためにアナカリスとアマゾンソード、アマゾンフロッグピットを入れていました。
水温について
元々日本に生息しているだけあって、無加温でも飼育できるのではないかと思います。
オイカワやカワムツといった流れある、比較的水温の低い所ではなく、流れの緩やかな水温が上がりやすい所に棲む魚なので、高水温、低水温、低酸素にも強いと思います。
餌について
なんでも食べるので小型熱帯魚用のフレークやクリルなど、口に入れば何でも良いと思います。
照明について
何度か別の水槽へ移した関係で照明も変わったのですが、どれも全く問題ありませんでした。
私が試したのは簡単な水草(陰性水草やCO2添加が必要なく、低光量で育つもの)が育成ができる程度のライトですが、より強い光の照明でも飼育できると思います。
飼育における注意点
セボシタビラはヤリタナゴ、アブラボテといった大型で気性が荒いと言われている種程ではないにしろ気性が荒く、混泳させていたアブラボテと常に縄張り争いをしていました。
飼育当初はそれぞれ数匹ずつで飼育していたのですが、アブラボテの最も強い個体とセボシタビラの最も強い個体が水槽全域を対象とした縄張り争いを繰り返し、それよりも弱い個体たちは追いやられて固まっていました。
なるべく隠れ家が増えるように何度かレイアウトもいじり、それによって攻撃される頻度は減りましたが、それでも尚攻撃してくる場合は、狭い隙間を逃げ回る際に体が障害物に当たり、外傷が増えたように感じました。
ある程度数を増やして飼育すれば縄張り争いはしなくなるというのはよく言われていることなので、そのような飼育方法もありかとは思いますが、
混泳できる魚について
熱帯魚の中でも混泳が可能とされている、ネオンテトラやアフリカンランプアイ、アカヒレといった温和な小型魚に対しては攻撃性を持たないので、混泳は問題ないと思いますが、あまりにも小さな種や稚魚、ミナミヌマエビなどは捕食される可能性が高いので大きさには注意が必要です。
日本産淡水魚でも、オイカワやカワムツ、メダカ、ドジョウといった姿形が違う種であれば大丈夫です。
繁殖について
先述したように母貝が必要ですので、不可能ではないですし、実際に行っている方々もいますが難易度は高いです。
まとめ
雄の婚姻色が美しすぎるセボシタビラ。現在は自然界で出会えることも滅多になくなりましたね。
※再掲:2020年2月10日をもって、セボシタビラは国内希少野生動植物種に指定されました。現在では許可無く、新たに捕獲・譲渡・販売・飼育が禁止されています。本情報(取材時)は国内希少野生動植物種に指定される以前のものです。