年末年始のイベントに関連する熱帯魚を一挙23種ご紹介!
今回は淡水だけでなく海水の生き物もご紹介させていただきますので、マリンアクアリウムにも思いを馳せながら各種生き物達の雰囲気や特徴を楽しんでいただけたらと思います。
1,冬っぽい雰囲気がある魚達について
冬といえば外せないのが「雪」と「クリスマス」。
さらにそこから発展させて、アザラシなどの寒冷地の生き物も思い浮かぶのではないでしょうか?
アクアリウムの世界にも、そういったイメージがピッタリくる生き物達が数多くいます。
①海中のサンタさん!「ホワイトソックス」
ホワイトソックスは5cmほどの大きさの海産のエビの仲間です。
多少の個体差はありますが、深みのある鮮やかな赤色に名前の元となった白い靴下をはいたような脚先、頭部に入るホワイトスポットがとても可愛らしく、マリンアクアリウムでも高い人気を誇っています。
そんなホワイトソックスは、この見事なカラーリングから「サンタシュリンプ」と呼ばれる事もあり、クリスマスのイメージにもピッタリの生き物です。
また、クリスマスに語られるサンタさんは「良い子にプレゼントを配る」のがお仕事のようですが、ホワイトソックスは「海のギャング」と名高いウツボや肉食性が強いハタの仲間などに「クリーニング」を行うお掃除屋さんが主なお仕事です。
「クリーニング」は魚につく寄生虫を捕食する他、口やエラにくっついた食べカスや異物を取り除く行動の事で、このような行動を取るエビの事を「クリーナーシュリンプ」と呼びます。
②雪模様が魅力!?「クモウツボ」
岩陰から光る鋭い牙と眼光、その危険性はまさしく「海のギャング」と呼ぶにふさわしいウツボの仲間「クモウツボ」はマリンアクアリウムの中ではかなりポピュラーなウツボの一種です。
大きくなっても60cm前後の体はウツボの中では小さい部類であり、性格も比較的おとなしめです。
イカやタコ、エビ、アサリなどを好んで捕食している種類のためか顔は丸みを帯びており、口に並ぶのは牙というよりは臼歯に近い形状をしています。
そんなクモウツボの海外での呼び名は「スノーフレーク・モレイ」。
③人気者の雪化粧!「カクレクマノミ(ニモ)」
アニメ映画「ファインディング・ニモ」の主役であるカクレクマノミは古くから親しまれてきたマリンフィッシュです。
大きさは7〜9cmほどで、クマノミの仲間の中では小型の部類に入ります。
カクレクマノミは高い人気ゆえにブリードも盛んに行われており、「イレギュラーバンド」と呼ばれるバンド模様が乱れた個体を品種改良して白の面積が広い「スノーフレーク」という品種が誕生しています。
④真っ赤な体色がトレードマーク!「フレーム・エンゼル」
真っ赤な体色が魅力のフレーム・エンゼルは小型のキンチャクダイの仲間です。
余談ですが、キンチャクダイの仲間は「マリン・エンゼル」とも呼ばれています。
大きさは10cmほどで水槽内でもあまり物怖じせずに泳ぎ回るためじっくりと美しい体色を眺める事ができるナイスフィッシュです。
しかし、筆者がこの魚を紹介する理由は別にあります。
それはフレーム・エンゼルのレア個体が採集される場所が「クリスマス諸島」だからです。
クリスマス諸島の海から採集された個体はより赤色が濃く鮮やかになるのが特徴で、あまりの赤さに体の側面を飾る黒い三日月模様まで存在が霞んでしまいます。
⑤イルミネーションはお任せ!「ネオン御三家」
冬になると街中がイルミネーションに覆われ、数多の光が流れるように動いたり、グラデーションを作りながら様々な光の芸術作品を生み出していきます。
そんなイルミネーションを水槽内で容易く再現してくれるのが「ネオンテトラ」「カージナルテトラ」「グリーンテトラ」の「ネオン御三家」です。
目映く輝くネオンブルーのラインに下腹部の鮮やかな赤、群れで流れるように形を変えながら颯爽と泳ぐ姿は非常に美しく、街を彩るイルミネーションにだって負けません。
⑥日本のささやかな美に注目!「ミゾレヌマエビ」
普段はコケハンターとしての能力が目立つミゾレヌマエビですが、その体色は氷柱のように透き通り、体の至るところにミゾレのように白く輝くホワイトスポットが散りばめられ、派手ではないものの確かな美がそこにあります。
⑦赤いだけじゃない!チェリーシュリンプ「スノーホワイト」
赤やオレンジ、イエローカラーがメジャーなチェリーシュリンプも様々な品種がおり、透明と原色というカラーリングの「ルリーシュリンプ」や透明感のある淡いブルーが美しい「アウラブルーシュリンプ(ブルージェリーシュリンプ)」などもいます。
その中でも冬をイメージさせる品種が「スノーホワイトシュリンプ」です。
レッドビーシュリンプのような濃厚な白ではなく、透明感のある白い体色は柔らかな新雪のようで爽やかな印象です。
⑧やっぱりアザラシみたい♪「レオパードタティア(タティアの仲間)」
以前にも飼育方法をご紹介させていただいた小型のナマズの仲間「レオパードタティア」も熱帯魚ではありますが、コロンとした体型と黒目がちな大きな目からアザラシ感が溢れ出ている種類だと思います。
慣れればライト点灯時も飼い主の目の前で餌を頬張ってくれる可愛らしい種類で、レイアウトを透明感ある人工物を多用すればタティアが上手く使ってくれるので水槽でミニアザラシを飼育しているような気分に浸る事ができるでしょう。
⑨名前がまんまソレ。「ハツユキダカラ」
正体は何かというと、マリンアクアリウムのお掃除屋さんの一種である「タカラガイ」の仲間です。
大きさは3cmほどですが、光沢があり、薄いベージュに透明感のある白く細かなスポットが散りばめられ、「初雪」という言葉が良く似合う美しい貝殻を持っています。
⑩赤鼻のカラシン!「ラミーノーズテトラ」
クリスマスといえばサンタさん。そしてサンタさんが乗るソリを曳くのは赤鼻のトナカイです。
熱帯魚の世界にもこのトナカイのように赤く染まった鼻とバイタリティーを持つ魚がおり、それこそが「赤鼻のテトラ」ことラミーノーズテトラなのです。
大きさは4〜5cmほどのスマートな体型の小型カラシンですが、鮮やかな赤い頭部と薄灰〜薄黄色の体色、白黒模様の尾ビレが美しい種類です。
2,新春やお正月をイメージさせる生き物達について
先ほどはクリスマスや雪などの「冬」をイメージさせる生き物達をご紹介いたしましたが、この項目では新春やお正月などの「新年イベント」の雰囲気がある生き物達をご紹介させていただきます。
①めでたすぎる!「ゴシキエビ」
ゴシキエビはマリンアクアリウムで飼育されるエビの中でも35cm以上に成長する大型の種類で、高級食材として有名な「イセエビ」の仲間です。
ゴシキエビはその名の通り、黒っぽい体色に白、黄色、紫などの色が細いラインとなって体の節々や脚、ヒゲ、頭部を彩ります。
見かける機会は稀ですが、見ればご利益がありそうな立派な姿をしているので、気になった方は是非一度姿を見てみてください。
②小さな幸せ♪「ランドール・ピストルシュリンプ」
ギンガハゼやネジリンボウなどのハゼと共生している小型のテッポウエビの仲間です。
大きさは2〜3cmほどで、赤と白の斑模様につぶらな瞳、黄色いヒゲが美しい種類で毎日巣穴をせっせと掘る働き者でもあります。
日本にも生息しているとされており、おめでたい赤白模様から「コトブキテッポウエビ」の和名があります。
ランドール・ピストルシュリンプは小さい体でありながらしっかりとハサミがあり、巣穴に外敵が近付いてくると「パチン、パチン」と音を鳴らします。
また、臆病な性格で何かの気配を感じると巣穴に逃げてしまいます。
③花火のような美しさ!「イバラカンザシ」「ケヤリムシ」
海外では新年を迎えると同時に派手に花火を打ち上げてお祝いする国があるようですが、マリンアクアリウムにも花火のように美しく咲く生き物がいます。
その代表格である「イバラカンザシ」と「ケヤリムシ」は赤や青、黄色に白、さらにはツートーンカラーのカラフルな「鰓冠」と呼ばれる細長い羽毛の束のような器官を広げて海中の微細な有機物やプランクトンを捕食しています。
何かに驚くと素早く管や穴の中に引っ込んでしまいますが、しばらくすると再び花開きます。
④ヤツとは違うのだよ!「ニシキアナゴ」
群れを作り、砂の中から水中にニョロっと体を出している姿が人気の「チンアナゴ」の仲間です。
水族館ではよくチンアナゴと混泳されているため目にする機会は多いと思われます。
そんなニシキアナゴはメタリックな山吹と白のシマシマ模様が特徴的で、まさに「錦」の名がふさわしい種類です。細長い体は35cm前後。
尻尾の先で砂を掘るためお迎えしたい方は尻尾を傷つけないように砂の質にこだわりましょう。
⑤海中初日の出!「ニチリンダテハゼ」
こちらは大きさ約8cmの共生ハゼの一種で、共生する相方も「ニセオニテッポウエビ」や「ニシキテッポウエビ」という少し大きめの種類です。
乳白色に鮮やかな山吹色のシマ模様という体色が美しい種類ですが、最大の特徴は丸くて大きな第一背ビレです。
この背ビレには山吹にブラックスポットが入り、全開にされると非常に良く目立ちます。
日輪に例えられた美しい背ビレを持つニチリンダテハゼがいる水槽はセルフ初日の出でとても賑やかになる事でしょう。
⑥スラウェシから参戦!「トゥティビューティー&トゥティゼブラ」
こちらも以前ご紹介した「スラウェシシュリンプ」の仲間達です。
どちらも赤と白の美しい体色をしており、新年のおめでたい雰囲気にマッチしています。
入荷自体は少ないですが、美種である事には変わりはなく、紅白+エビの縁起にあやかって眺めてみるのも乙な事だと思います。
⑦熱帯魚界の鶴!?「レッドトップエンゼルフィッシュ」
エンゼルフィッシュもその美しさから人気が高く、古くから親しまれている熱帯魚です。
ワイルドエンゼルや改良種も人気がありますが、頭の一部だけが黄〜赤色に染まり、白い体を持つ「レッドトップエンゼルフィッシュ」は特におめでたい雰囲気があります。
白い体に赤い頭、単純ではありますが縁起の良い動物とされる「鶴」に似ている気がします。
各ヒレが伸び、静かに水中を舞う姿は空を舞う鶴か天女のよう。気になる方は是非一度実物を見てみてください。
⑧淡水の花火!「ミクロラスボラ・花火」
このブログでも紹介されている小型美魚「ミクロラスボラ・花火」も新春を盛り上げる新たな縁起物のポテンシャルを秘めていると思います。
深い青色の体色に金色の細かいスポット、赤いヒレ、そして小さな体をいっぱいに使ったフィンスプレッティングは火花がパチパチと弾けるような美しさです。
⑨日の丸の如く赤く染まれ!「タナゴモドキ(エンパイア・ガジョン)」
年末年始といえば「初日の出」。明るい太陽に新年最初の挨拶をしに行きます。
その名は「タナゴモドキ」。
海外では「エンパイア・ガジョン」と呼ばれている美種ですが、日本に生息している個体は保護されているため、基本的にはほとんどお目にかかれない貴重な魚となっています。
しかし、タナゴモドキの成熟したオスの体色は日の丸の如く赤く染まり、背ビレ、尻ビレは満天の星空のような色彩を持ちます。
ここではサラッとしか触れませんが、「タナゴモドキ(擬き)」なのでタナゴとの関わりは「見た目が何となく似ている」くらいしかありません。
3,新年からちょっと先のイベントのイメージがある生き物達について
クリスマス、お正月の少し先にあるイベントといえば、「受験」や「バレンタインデー」などが思い当たるのではないでしょうか。
アクアリウムの世界には、そんなイベントのイメージにピッタリの生き物もいます。
①頑張れ受験生!「キンチャクガニ」
受験、それは学生達の前に立ち塞がる人生の壁の1つです。試験勉強や面接の練習に追い詰められてしまったり、過度な期待や発破をかけられて頑張る気も消え失せてしまう方もいらっしゃるかも知れません。
そんなお疲れの方々にささやかなエールを送ってくれるのが「海中のチアリーダー」こと「キンチャクガニ」です。
キンチャクガニは3cmほどの甲長を持つ小さなカニの仲間で、乳白色の体に茶褐色の粗いネット模様、体の一部が桜色に染まる可愛らしい種類です。
そんな彼らは小さなハサミにもっと小さな白いイソギンチャクを挟んで持ち運び、これを事あるごとにフリフリするため「チアリーダー」と呼ばれています。
②疲れた時の魚頼み!?「ラピステトラ」
受験や試験、努力はしたけど不安が残るゆえにお守りを持っている方も一定数はいらっしゃるかと思います。
お守りも種類が多く、シンプルな袋型の物や鈴、動物モチーフのお人形、パワーストーンなどがあります。
ラピステトラは「知恵と厄払いのパワーストーン」と呼ばれるラピスラズリから名付けられており、体の側面を走る濃紺のラインは状態が良いほど美しく仕上がります。
仕上がったラピステトラの色彩や元気いっぱいの泳ぎは疲れた心をリフレッシュさせてくれるかも知れません。
③派手に決めちゃう?「フリソデエビ」
成人式といえば、出席する服装がスーツ派か和服派かで分かれるところだと思います。
そんな中、このエビだけはオスもメスも振り袖を着用しています。
乳白色にピンクや紫色の水玉模様、大きく平たいハサミが特徴的なフリソデエビは、派手な体色とハサミの特徴から名付けられたという説がある海産のエビの仲間です。
ちなみに海外では「ハーレクインシュリンプ」と呼ばれています。
フリソデエビは見た目以外にも「ヒトデを専食する」という変わった特徴があり、派手な体色の体をユラユラさせ、振り袖のようなハサミを動かしながらゆっくりと移動し、ヒトデをもりもり食べて生活をしています。
フリソデエビも成人式という訳ではありませんが、2cm前後の若い個体が複数集まると、気付けばペアになって一緒に食事したり暮らしたりと色んな意味で成人になっていく様子が観察できます。
④泳ぐ一口チョコレート!「チョコレートグラミー」
バレンタインといえばチョコレートなどのお菓子が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
アクアリウムの世界にも「板チョコが生を受けた」ような魚がいます。それがチョコレートグラミーです。
チョコレートグラミーは飼育難易度が高い種類で、以前ブログでも飼育方法や繁殖方法をご紹介させていただきました。
まとめ
今回は海水淡水両方から、個人的に冬や新春のイベントのイメージがある生き物達をピックアップしてご紹介させていただきました。
大分私の独断と偏見が入り交じっていますが、どの種類も非常に魅力的で、それぞれの美しさに溢れています。
海水生物は飼育するのに熱帯魚より少し手順が多いですが、慣れれば憧れの種類をお迎えする事もできるのでお勉強してみるのもオススメです。
日淡ではしっかり成熟したタナゴモドキの体色が本当に美しいので、今回ご紹介できて個人的にはちょっと嬉しい部分があります。