はじめに
赤や青、黄色等の色とりどりの体色をしていたり、グッピーのように大きな尾ビレを持つ種類やネオンテトラのように群れをなして俊敏に泳ぐ種類等は熱帯魚の姿として多くの方々が思い浮かべる事でしょう。
ですが、熱帯魚の中には体色を持たない全身透明な種類も存在します。向こうの景色が透けて見えるような繊細で涼しげな姿は生命の神秘すら感じさせてくれます。
そこで今回皆様にご紹介するのが「トランスルーセントグラスキャット」です。
このブログでは今までペルーグラステトラやアジアクリスタルキャットといった透明系熱帯魚もご紹介してきましたが、トランスルーセントグラスキャットは昔から親しまれてきた「元祖透明系熱帯魚」なのです。
1,トランスルーセントグラスキャットの特徴について
①どんな魚なの?
トランスルーセントグラスキャット(以下グラスキャット)は全身の皮や筋肉までもが透明という特徴を持ったナマズの仲間です。
透明でない部分は頭部と腹部の内臓、骨格部分しかありません。腹部は銀色なので分かりやすく、グラスキャットは体に対して内臓の比率がかなり小さい事も分かります。
黒い色素が骨格をかたどるように浮かび上がっていますが、中にはこの黒い色素すら無いスケスケを極めし個体も存在します。
☆スケスケ過ぎて虹が見えちゃう!?
グラスキャットはその見事過ぎる透明感からライトが当たる角度によって体内にうっすらと虹のような輝きを見る事ができます。
また、使うライトの色によっても体内の輝きが変わるため体色が無い分変幻自在の魚と言えます。
ナマズの仲間らしく鼻先には長いヒゲが2本生えており、これを巧みに使って障害物を察知したり餌を探したりします。
尾ビレは二又に分かれており、遊泳力が強い事を物語っており、グラスキャットはこの尾ビレと透明な体をしならせて泳ぎます。
胸ビレは大きめで尻ビレはかなり長く、尾ビレの付け根付近まで続きます。
腹ビレは非常に小さく見辛いですが、腹部にちょこんと付いています。背ビレは細い1本の糸状になっており、よく見ないと腹ビレ以上に見つけにくいです。
②どんな所に生息しているの?
グラスキャットはタイやインドネシアといった東南アジアの河川や湿地に生息しています。
生息地となっている河川や湿地は泥が舞っているため茶色く濁っており、その環境の中でより効率的に敵から身を隠すために透明になったと考えられています。
③大きさは7〜10cm程
グラスキャットは7〜10cm程の大きさになりますが、同サイズの他のナマズの仲間と比較しても体が薄く、頭部も小さいのでタンクメイトの選択肢も広いです。
また、群れを作りますが、ネオンテトラやゼブラダニオのように水槽内を活発に泳ぎ回るのではなく、お気に入りの場所や中層をユラユラとホバリングするように泳ぐため水槽のスペースもあまり取りません。
④性格穏やか・混泳はできる!
グラスキャットはとても穏やかな性格をしているため、極小サイズの種類や気性の荒い種類でなければ大抵の種類と混泳させる事ができます。
⑤餌は何を食べているの?
自然下のグラスキャットは2本のヒゲをフル活用して濁った水中からボウフラやイトミミズ、ミジンコ等の水生生物や小さな落下昆虫を捕食しています。
⑥どこで購入できるの?大体のお値段は?
グラスキャットは昔から親しまれており人気が高い種類なので、熱帯魚を扱っている総合ペットショップやアクアショップであれば見つけやすいです。
近くに熱帯魚を扱っているペットショップがない場合は通販を利用すると簡単に見つけられるので是非ご検討してみてください。
気になるお値段の方ですが、1匹大体600〜1000円くらいで販売されている事が多いです。
⑦トランスルーセントグラスキャットの飼育の注意点は?
グラスキャットは飼育しやすく、初心者にもオススメの種類の1つです。
しかし、その繊細な体が示すように扱い方が疎かになってしまうとグラスキャットはすぐに体調を崩してしまい短命に終わってしまいます。
- 水質の変化に敏感なので水合わせは慎重に行う事。
- ナマズの仲間なので薬品に非常に弱いため、病気や治療には気を付ける事。
- 体に対して内臓が小さいので餌の与えすぎには注意する事。
トランスルーセントグラスキャットの飼育方法について
1,導入、水合わせについて
グラスキャットをショップで見つけたら、まずは健康チェックをしましょう。
体表に付着物が付いていないか、体が白濁していないか、ヒレがボロボロになっていないか等を確認し、特に異常が無ければお迎えしたい匹数を店員さんにお願いして掬ってもらいましょう。
グラスキャットを無事ご自宅に連れてきた、あるいは通販で届いたグラスキャットの健康チェックが終わったら導入する前に水合わせを行います。
注意点の1つであり、水質の変化に敏感な種類なので時間をかけて慎重に水合わせをする必要があります。
まずは袋ごと水槽に15〜20分程浮かべて水温を合わせます。水温を合わせ終わったら、袋のまま水合わせを行う場合は袋から1/6か1/5の量の水を捨て、水槽の水を捨てたのと同じくらいの量袋に入れます。
15分程様子を見て異常が見られなかったらこの作業を袋の水がほとんど水槽の水になるまで繰り返し、最後の水合わせが終わっても異常が見られなければ水槽にグラスキャットを放ちます。水槽の水が足りない場合は新たに水を作って少しずつ足します。
エアポンプがある場合は水合わせ中の酸欠を防ぐためバケツにエアレーションをするのがオススメです。
そして水合わせ用のエアチューブの片方に重りを付けて水槽に沈め、もう片方から水を吸って水槽の水を呼びます。
呼び水ができたらエアチューブをバケツに向け、軽く結んだり調節弁を取り付けて水の流入量を抑制し、バケツから水が溢れないように注意しながら1時間程かけて水合わせを行います。
異常が見られなければ、プラケース等でグラスキャットを掬い、水槽に放ちます。
2,水槽、水質、水温について
グラスキャットは大きさ自体は10cm近くなりますが、水槽内を活発に泳ぎ回る種類ではないので1〜3匹であれば30〜45cm水槽からでも飼育できます。
また、グラスキャットの群泳や混泳を楽しみたい場合はグラスキャットとタンクメイト達の遊泳スペース等を考慮して60cm以上から始めてみるのがオススメです。
グラスキャットは中性〜弱アルカリ性の水質を好んでいますが、アフリカン・シクリッドのような極端な弱アルカリ性の水質を好んでいる訳ではありませんので注意しましょう。
水温に関しては23〜28℃くらいで飼育できますが、水温の急変は体調を崩す原因となるので必ずヒーターを入れて温度を一定に保ち、水温計も設置していつでも水温を確認できるようにすると管理もしやすくなります。
3,フタについて
グラスキャットは水槽内を泳ぎ回る種類ではありませんが、振動等で驚くとパニック状態になって水槽から飛び出してしまう事があります。
しかも透明なのでなかなか見つからず、後日悲惨な姿となって見つかる事もあるのです。
4,底砂について
グラスキャットは基本的に極端に水質を傾ける作用がなければ、観賞魚用の底砂はどれを使っても基本的に問題はありません。
ポピュラーな底砂として川砂や大磯砂、メダカ用ソイル等はショップでもよく扱われているアイテムです。
5,フィルターについて
しっかり濾過機能が働いてくれれば基本的にどのフィルターも使う事ができます。
小型水槽であれば投げ込み式フィルター、外掛け式フィルター、パワーフィルター、スポンジフィルターもよく使われており、レギュラーや大型水槽であれば上部式フィルター、外部式フィルターも使われています。
6,隠れ家(シェルター)について
グラスキャットは中層をよく泳ぐ種類であり、他のナマズの仲間と比べると隠れる事はあまりありませんが、時折水草や流木の影でホバリングしている事があるのでレイアウトに水草や流木、石を使って影のある所を作ってあげると休息地として使ってくれます。
7,水草について
グラスキャットは水草にイタズラをしないのでとても相性が良く、水草メイン水槽に導入される事もあります。
ポピュラーな水草として「アナカリス」や「カボンバ」「アマゾンソード」「バリスネリア」等がありますが、「アヌビアス」や「ミクロソリウム」「ウォーターカーナミン」も育てやすい水草です。
8,タンクメイトについて
グラスキャットはとても温和な性格なので、気性が荒い種類や魚食性の種類でなければ混泳を楽しむ事ができます。
小型カラシンの仲間や小型のコイの仲間、グラミーやメダカ、アピストの仲間との混泳もされており、小型ナマズの仲間やコリドラス、ビーシュリンプ等もタンクメイトにできます。
☆集めてみる?スケスケフィッシュ達!
グラスキャットは穏やかな性格故に多くの種類との混泳を楽しめるフレンドリーフィッシュです。
そんなグラスキャットの透明感と他の種類の透明感のどちらも楽しめる「透明水槽」を作ってみるのも一興なのではないでしょうか?
小型カラシンの仲間であれば「グラスブラッドフィン」「ペルーグラステトラ」「レインボークリスタルテトラ」等が透明な種類として知られています。
また、「グラスエンゼル」や「インディアングラスフィッシュ」も透明感が強い種類です。
9,給餌について
グラスキャットは慣れた個体であれば人工飼料も食べてくれます。人工飼料はフレークタイプや顆粒タイプのどちらでも慣れてくれ、水面まで泳いで食べに来たり、沈んでいったものをヒゲで探しながら食べる様子を観察できます。
また、冷凍飼料ではアカムシやイトミミズ、コペポーダ等もよく食べてくれますが、人工飼料と比較して水を汚しやすいので与える時は量や頻度に注意しましょう。
何故ならグラスキャットは体に対して内臓部分が少ないため、他のナマズの仲間よりたくさん食べられないからです。
コリドラスやピクタスのような感覚で餌を与えると食べきれず、食べ残しがたくさん出てしまいます。
そのためグラスキャットに餌を与える場合はお腹の銀色の部分が少しふっくらするくらいを目安に、少しずつ与えるようにしましょう。
10,水換え、掃除について
まずは飼育器具の電源を落とします。
電源を落としたら、水槽内の壁面についているコケやヌメリ等の汚れをメラミンスポンジやスクレイパーで擦り落としていきます。
レイアウトされた石や流木の汚れは歯ブラシ等で落としますが、レイアウトを変えたい場合や汚れが酷い場合等は水槽から取り出し、タワシ等で洗います。
水草が伸びすぎてしまったり、コケが生えて枯れてしまった葉がある場合は、トリミングをして長さを揃えたり枯れ葉を切除して水草の状態を保ちましょう。
トリミングで出た不要な葉はネットや手で集めて燃えるゴミとして処分しますが、この時、グラスキャットも一緒に捕まえないように注意してください。
フィルターの掃除ですが普段の水換えであれば、揚水パイプとストレーナーの掃除がメインとなります。
上部式フィルター、外部式フィルター、外掛け式フィルター、スポンジフィルター、底面式フィルターの場合は揚水パイプとストレーナーを取り外し、専用のブラシで汚れを擦り落として目詰まりを解消します。
また、スポンジとウールマット、一体型の濾過材は目詰まり解消のために洗いますが、繊維の傷みや汚れが落ちない程酷かったりした場合は新しい物と交換しましょう。
投げ込み式フィルターの場合は上部だけでなく底面部にも水を吸い込むための部分があり、こちらも目詰まりを解消するために飼育水で濯いで詰まりを取ります。
水槽内の掃除が終わったら、クリーナーポンプを使って水ごと汚れを排出します。
グラスキャットやタンクメイトをビックリさせないようにゆっくり動かして底砂に近い所から汚れを取り除いていきましょう。
水の排出をしてフィルターの揚水パイプとストレーナーを取り付けたら、新しい水を入れていきます。新しい水は必ずカルキ抜きをし、水温を合わせた状態にしてください。
水道水をそのまま入れてしまうと、カルキ抜きの機能がある水道でない限り、カルキによってエラを破壊されたり水温の変化についていけずショック死してしまうからです。
新しい水を少しずつ水槽に足していき、水が満ちたら飼育器具に電源を入れて水換えと掃除は終了です。
1ヶ月に1回はフィルター内の生物濾過槽も掃除しますが、飼育水で濾過材を軽く濯いで汚れを取るくらいにします。こうする事で濾過に必要なバクテリアの大量死滅を防ぐ事ができます。
また、底面式フィルターを使っている場合は水槽内の環境が安定していれば揚水パイプくらいしか掃除する必要はなく、数ヶ月に1回、リセットと同時に濾過槽を洗うようにしましょう。
Q,リセットの時に取り出した底砂をどのように利用、保管するの?
A,しっかり洗ってから水槽に戻すか、
使わない場合は消毒してから袋に詰めて保存します。
リセットの時に取り出す底砂ですが、意外と底に汚れが溜まっていて再び使う場合はしっかり洗って汚れを落としてから使います。
しかし、「新しい底砂を使う」という場合は残った底砂をどうにかしなくてはなりません。このような時の筆者の場合は取り出した底砂を洗ってから熱湯消毒or煮沸消毒をし、最後に天日干しをしてかは袋に詰めて保管します。
天日干しだけでも消毒はできますが、「いっそやるなら徹底的に」という事で細菌に対してかなりのオーバーキルをしています。
ソイル系の場合は天日干しだけですが、しっかり乾かせば再利用はできるので捨てずに取っておくのもエコでお財布に優しいと思います。
トランスルーセントグラスキャットのかかりやすい病気と治療方法について
グラスキャットは古くから親しまれている熱帯魚であり、飼育もしやすい事からアクアリウム初心者にもオススメされる事もあるナマズの仲間です。
私が何が言いたいのかというと、ナマズの仲間は「非常に薬品に弱い」という特徴があるため、1度病気にかかってしまうと場合によっては治療が難しくなってしまいます。
また、薬浴で使う薬の量は「規定量の約1/5〜1/2」くらいに抑えなくてはショック死してしまう事もあります。
①白点病
グラスキャット並みにポピュラーな魚病です。
症状は体表やヒレ等に小さな白い粒のような物が現れ、放置していると次第に数を増やしながら全身に広がっていき、増えた白点がエラを塞いだりする事で最終的に病魚が死んでしまいます。
また、この白点を落とすために病魚が体を底砂や流木等に擦り付けてしまう行動も見られるようになります。
原因として、水質の悪化や水温の急変、病気の魚を連れ込んでしまった事が挙げられますが、グラスキャットは環境に馴染めていない間はこの病気にかかりやすい面があるため、導入してからしばらくは体調の変化や飼育環境に気を付けましょう。
治療方法は「薬浴」か「塩水浴」をします。
塩水浴の場合は、水10Lに対して塩を50〜60gを混ぜて作った塩水を使います。グラスキャットは塩水に対して他のナマズの仲間より耐性があるため可能な治療方法です。塩水による飼育を体についた白点が無くなるまで行います。
薬浴の場合はメチレンブルー、マラカイトグリーン、アグテン、グリーンF系の薬品の内1つを使います。
治療用水槽に病魚を移したら、少しずつ慎重に薬を投薬していきます。
使った薬品によって水換えの間隔が変わり、アグテンの場合は3日に1度、メチレンブルー、マラカイトグリーン、グリーンF系の場合は1週間に1度、グリーンFクリアーの場合は2週間に1度、半分の量の水換えを行い、再度投薬をします。これを白点が消えるまで続けます。
②カラムナリス症
「尾腐れ病」「口腐れ病」「エラ腐れ病」と部位によって呼び名がある病気です。
感染力や致死率も高く、治療も難しいため発症させないように日頃から気を付けなければいけない病気です。
症状は、初期だと体表や頭部に白〜黄色っぽい付着物が見られ、充血も確認できます。
また、グラスキャットの場合はヒゲが先っぽから溶けてヨレヨレになったりもします。症状が進むと、ヒレに柔軟性がなくなって少しずつ溶けてボロボロに裂けてしまったり、エラや頭部は火傷のように爛れてしまい、死に至ります。
治療には「塩水浴」か「薬浴」を行います。
カラムナリス菌は塩分に弱いため、初期症状の段階であれば塩水浴で治せる事もあります。
塩水の作り方は「白点病」の項目で紹介していますので、こちらでは割愛させていただきます。この塩水による飼育を、体表の付着物が無くなるまで行います。
薬浴の場合は、観パラDやパラザンD、グリーンFゴールドの内1つを使います。
治療用水槽に病魚を隔離したら、慎重にゆっくりと投薬していきます。水換えは5〜7日に1度、半分の量を行ってから再度投薬します。
これを病魚の体表の付着物が無くなり、爛れてしまったヒレや頭部が再生するまで続けましょう。
③ウーディニウム症
「コショウ病」「ベルベット病」の名称でも知られている病気です。症状は、体表やヒレに白〜黄色の粉状の付着物が現れます。
ウーディニウム症になってしまった病魚はヒレをたたんで力無く泳いだり、時折体を小刻みにプルプルと震わせるといった行動が見られます。
原因は水質の悪化や病気の魚を水槽に持ち込んでしまった事等が主に挙げられますが、水槽やフィルターの掃除を怠っていると発生する可能性が高くなる病気でもあります。
治療方法は先述した2つの病気と同じ「塩水浴」か「薬浴」を行います。塩水の作り方は先程ご紹介していますので、こちらがでも割愛させていただきます。
薬浴の場合はメチレンブルー、マラカイトグリーン、グリーンF系の薬品の内1つを使います。
治療用水槽に病魚を移したら、少しずつ時間をかけ、様子を見ながら投薬していきます。
5〜7日に1度、半分の量を水換えし、再び投薬をして治療を続けます。体表の付着物が無くなり、泳ぎ方も正常になったら治療は終了です。
④エロモナス病
感染力、致死率、治療難易度のどれを取っても厄介な病気です。グラスキャットの場合はウロコが無いので体表をよく観察しないと発見が遅れる場合があります。
症状としては体表に充血が見られたり、目が飛び出したようになる(ポップアイ)他に、体表組織が爛れていき陥没したようになるといった症状(穴あき病)が見られます。
原因としては水質の悪化や腐敗、水温の急変による体力の低下や腐敗した餌を食べてしまった事、病魚を水槽に持ち込んでしまった事等が挙げられます。
グラスキャットの透明感抜群の体はとても美しいのですが、体表に付着物が無いタイプの病気だと見逃しやすいためエロモナス病は持ち込みやすいという意味でも厄介な面があります。
治療方法は薬浴を行い、使う薬品はグリーンFゴールド、エルバージュ、観パラD、パラザンDの内1つを使います。
治療用水槽に病魚を移してから、様子を見ながらゆっくりと時間をかけて投薬していきます。
治療中は3〜5日に1度、半分の量の水換えをしてから再び投薬します。体表の爛れや充血、目の飛び出しが治れば治療は終了です。
エロモナス病は水質の悪化によって発生する事も多く、餌の与えすぎによる食べ残しと腐敗した餌で水質が悪化すると数日のうちに水槽内に蔓延してしまう事もあります。
ですが、食べ残しが出ないように餌の量を調節したり、食べ残しが出たとしてもスポイト等でこまめに取り除いたり、水換えの頻度を増やす事がエロモナス病の予防策となるので日頃の飼育管理に取り入れてみてください。
トランスルーセントグラスキャットの飼育に便利なアイテムのご紹介!
①人工砂
人工砂とはその名の通りプラスチックやガラス等で人工的に作られた底砂です。水質に影響を与える事も少ないので扱いやすい特徴があります。
人工砂はカラフルで透明感のあるタイプも販売されており、レイアウトに使うとより涼しげで煌めきのある水景を作る事ができます。
②ログポット水草
レイアウトをする時に構図が思い浮かばない…。
木製のポットに水草が植えられた状態の物で、小型水槽の場合だとコレ1つでレイアウト問題が解決してしまう事も。水草の種類も豊富なので気になる方は是非試してみてください。
③バックスクリーン
最近のバックスクリーンは単色の物以外に、様々な景色が描かれている商品もあります。
好みは人それぞれですが、シーズンに合わせて張り替える事で水槽の雰囲気をガラリと変える事ができます。
④掃除用スポイト
水質悪化の原因となる食べ残しの回収にかなり役立つアイテムです。
ネットでも食べ残しを回収はできますが、場所によっては回収しづらい所があったりしてレイアウトが崩れてしまう事もあります。
⑤オーナメント
水草や流木を使わなくても自分の想像した世界を作る役に立つのが人工的に作られたオーナメントです。
トランスルーセントグラスキャットの悲劇について
多くのアクアリストに愛される熱帯魚・グラスキャットですが、他国では大変な被害を与えている事も知られています。
グラスキャットは海外でも愛されており、台湾等では透明な体から「玻璃魚(ポーリーユー)」と呼ばれ親しまれているそうです。
台湾では、このグラスキャットを東南アジアから輸入して養殖をしたようなのですが、どういう訳か湖や沼で繁殖してしまい、グラスキャットはその食性から在来種の卵を食べてしまったため本来の生態系に深刻なダメージを与えしまったのだそうです。
日本ではグラスキャットが繁殖している報告はありませんが、捨てられてしまった魚達や養殖目的の動物達が逃げ出して帰化してしまい、生態系にダメージを与えている事が知られています。
どんな種類であっても飼いきれなくなったからと言って捨てる事は決してしてはいけません。飼育放棄は最も無責任かつ自分よがりの行動であり選択です。
迎え入れる際は自分の家族の一員として、そしてどうしようもならない時は引き取り手を探したり、引き取りサービスもしているショップに頼んで少しでもその子達が幸せに暮らせる選択肢を選ぶのが最善の選択であり、義務だと筆者は考えております。
グラスキャットの場合は養殖から帰化してしまいましたが、アクアリウムを始めた、あるいは始めたいと思ってくださっている皆様が自らそのような選択を取らないよう考えていただければ私も幸いです。
まとめ
今回は古くから愛される元祖スケスケフィッシュ・トランスルーセントグラスキャットについてご紹介させていただきました。
透明な体とユラユラとした泳ぎ方、どこかとぼけた表情は癒し系ゆるキャラと言っても過言ではなく、水質や水温の急変にさえ気を付ければ飼育難易度も低いのでとても飼いやすいナマズの仲間です。
このスケスケフィッシュが気になる方は是非ご自宅に迎え入れ、その驚きの透明感とユルさ具合をお楽しみください。
グラスキャットの重力を感じさせないフワフワユラユラとした泳ぎと体は見ているこちらの心身をフワフワとした無重力の世界へ誘ってくれる事でしょう。
グラスキャットの帰化に関する項目参考元リンク: