はじめに
「ウナギ」と聞くと、どうしても「蒲焼き」「肝吸い」「ひつまぶし」等が思い浮かぶ方が多いかと思いますが、今回は飯テロ記事ではなく「日本産淡水魚」としてのウナギの飼育方法や注意点等について皆A様にご紹介させていただきます。
ニュースや新聞では絶滅危惧種、数が激減していると報道されていますが、養殖用のウナギの稚魚の一部がペットとして流通されており、食べるだけでは分からない魅力の虜になっている方も少なくありません。
ウナギってどんな魚?
ウナギはウナギ科ウナギ属というグループに含まれる魚で、世界には19種類いるとされています。
その中でもヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、ニホンウナギ、オオウナギが食用として知られており、ニホンウナギの場合は成長すると1〜1.3m程の大きさに成長します。
繁殖時は海に降ってマリアナ海溝で産卵、
仔魚〜幼魚までを海、稚魚になると川を遡上して淡水域で生活するようになります。
見た目はよくスーパーやコンビニ等の「土用丑の日」の広告に描かれている通り、やや平たい頭部に細長い体を持っており、背ビレ、尾ビレ、尻ビレが一体化して体の後半部に続いています。
体色は黒褐色や黄褐色、やや青みがかった黒で腹側は白〜乳白色をしています。遡上中の稚魚は体色が薄いため、シラスウナギという呼び名以外に「銀ウナギ」と呼ばれる事もあり、ペットショップでは稀にこのサイズが入荷する事もあります。
泳ぎは得意ではなく、長い体をヘビのようにくねらせて泳ぎます。
速度はイワナやアユとは比較にならない程ゆっくりですが、何かに驚いた時はそれなりに素早く泳いで逃げていきます。
☆ウナギにはウロコが…ある!!
「ご冗談を」と思われそうですが、実はウナギにはウロコがあります。
外見からは確認できませんが、
「真皮」つまり皮の中に埋まる形で存在しているのです。
これは、進化の過程で岩の隙間等に潜り込む際ウロコが邪魔だから皮に埋めたという説があります。
ウナギのウロコは若干細長い小判のような形をしており、ウナギの皮を食べている時にちょっと違和感がある場合は大体ウロコです。
1,生息地は?
ウナギの仲間は世界中の熱帯〜温帯域の河川や海に生息しているとされています。
ニホンウナギの場合は河川の中流〜下流、湖、河口、内湾に生息しており、岩の隙間や砂の中、流木の下等の狭い所を好んで棲み家にしており、夜になると活発に行動を開始します。
■こんな所にも!?
ウナギと聞くと水がキレイな場所にいそうなイメージが強いですが、水質自体が悪くなければ濁った川にも生息しています。地域によっては用水路や小川でウナギが釣れたという話もあります。
☆根性でお引っ越し!?
意外と生息範囲の広いウナギですが、遡上の時は必死に体をくねらせて岩肌を登り、滝を越える事もあります。
さらに、皮膚呼吸も可能な魚なので体が濡れてさえ入れば住んでいた場所を捨てて新しい住居を探しに行く事すらある根性の塊なのです。
雨の日や雨上がりにウナギが陸地で体をくねらせながら移動して発見者を驚かせる事もあります。
2,何を食べているの?
ウナギは肉食性の淡水魚で、野生下ではカワゲラ等の水生昆虫や小魚、ミミズの他にもカエル等の両生類、カニやエビといった甲殻類を捕食しています。
飼育下の場合、稚魚には冷凍イトミミズやアカムシ、ホワイトシュリンプ、ブラインシュリンプを基本に食べるようであれば沈下性の小型肉食魚用の人工飼料を与えますが、なかなか食べない場合はミナミヌマエビも良い餌になります。
3,混泳はできるの?
ウナギの大きさや混泳相手にもよりますが混泳する事は可能です。
あまりにも細長い稚魚の頃ならメダカやタナゴとも混泳ができ、成魚クラスの場合はウナギの口に入らない大きさのドンコやカワアナゴ、カワムツ等と混泳できます。
4,人に慣れるって本当?
ウナギは意外と記憶力が良く、しっかりお世話をしてあげると顔を覚えてくれるようになります。
特に稚魚の段階から飼育された個体は飼い主を見かけただけで隠れ家から出て寄って来たり、ライトが点いていても餌をねだる事があります。
5,飼育の時の注意点は?
あまりアクアリウムとしては馴染みが薄いウナギですが、性質や要点をおさえていれば、飼育はそこまで難しい淡水魚ではありません。
ウナギ飼育のポイントとしてこれらが挙げられます。
- 脱走の達人なのでしっかりフタをする事。
- 隠れ家を作る事。
- 表皮やヒレが傷付きやすいので、底砂を敷かない「ベアタンク」での飼育か砂粒が細かい底砂を使う事。
- 水質悪化には強い方だが、決してそれに甘えない事。
「あれ?以外と注意点が少ない?」と思われがちですが、ここはしっかり守っておかないと後々酷いしっぺ返しがあるのもウナギ飼育です。
ウナギの飼育方法について
1,導入、水合わせ
ウナギはペットショップに毎度いるような魚ではありませんが、川魚にも力を入れているペットショップだと入荷する事もあります。
基本的に成魚ではなく稚魚が入荷しやすく、ウナギはすぐに隠れてしまうため入荷していても名前と値札だけあって気付きにくいです。
基本的にウナギは全身をなかなか見れないので健康チェックも大変です。充血してないか、体に付着物がないか等をチェックしたら、店員さんにお願いして掬ってもらいましょう。
近くのペットショップでウナギが取り扱ってなかった場合は通販で探すのも良い手段です。
ウナギを購入できた次は水合わせです。
Phショックや水温の急変を防ぐために必ず行うようにしましょう。
水槽の水をバケツ等にあらかじめ取っておいてから、ウナギが梱包されている袋を水槽に20〜30分程浮かべて水温を合わせます。
その後袋を開けて、中の水を1/3〜1/4程捨てて水槽の水を入れて10〜15分様子を見ます。ウナギに異常が見られなければ、2〜3回繰り返します。
最後の水足しの時も異常がなければウナギを水槽に放ちましょう。その後あらかじめとっておいた水を水槽に戻して水合わせと導入は完了です。
また、導入直後は環境が変わったストレスから餌を食べない事もあり、水質悪化を招いてしまうので導入初日は餌を与えないようにしましょう。
2,水槽、水温、水質
ウナギは最終的に1m、あるいは1m越えまで成長するため90〜120cm水槽が必要となります。
しかし、成長は緩やかで体も細長く柔軟性があるため、20〜40cmの間は45〜60cm水槽で飼育が可能です。
水温は24〜28℃が目安です。
ウナギは高温に弱い面があるため水温が30℃を越えないようにしましょう。
また、水温が10℃を切るとウナギが冬眠するため、冬眠中のお世話が不安な場合は水温が下がりすぎないようにヒーターを入れて水温を保ちます。
水質は弱アルカリ性〜弱酸性まで幅広く対応しています。
極端にphが傾いていなければ飼育に問題はありません。
☆ヒーターの設置場所に一工夫!
ウナギは低層を泳ぐ種類であり、狭い所が大好きです。特に稚魚の時は鉛筆より細い体と小豆サイズの頭というサイズ感であり、その体を活かして私達の想像もつかない所に潜り込んでしまいます。
この時によく巻き付いてしまうのが「ヒーター」です。電源がオフの時に巻き付いてみたり、ヒーターカバーを付けるとカバーに巻き付きます。
ヒーターは低層を泳ぐ種類にとっては火傷の原因になってしまうので悩むかも知れませんが、実はヒーターの設置場所を中層辺りに設置するだけでウナギが巻き付く頻度を下げる事ができます。
3,フタ
飼育の必需品です。
ウナギは脱走の達人であり、少しでも隙間があるとニョロニョロ登って逃走する事があります。
4,底砂
ウナギは確かに滑らかな表皮と粘液に守られてはいますが、意外と尾の方は繊細です。
少しでも傷付くとそこから一気に病気になってしまう事もあるため、底砂を使う場合は粒の細かい川砂や田砂がオススメです。
また、ウナギ飼育には底砂が必須という訳でもないので、底砂を敷かない「ベアタンク」で飼育する事もできます。
5,水草
ウナギは水草に対して積極的にイタズラをする種類ではありませんが、大きな個体ですと泳いだ時にマツモやマヤカのような柔らかい水草が抜けてしまう可能性があります。
しっかり根を張って抜けにくい「バリスネリア」や「アマゾンソード」等が育てやすくて安価なのでオススメです。
6,隠れ家
ウナギ飼育には無くてはならない物です。
安心できる場所であり、ウナギは餌を食べ終わるとお気に入りの隠れ家に帰る習性があるため、帰る場所を提供してあげてください。
よく使われるのは土管や塩ビパイプですが、ハムスター用のトンネルを繋ぎ合わせた物も隠れ家として利用できます。
私達にとって「?」でもウナギは意外とすんなり入ってトンネルを楽しんでくれるので、個性を出したい方にオススメの一品です。
☆アクロバティック就寝!
私達人間は変な体勢で寝てしまうと首を寝違えたり体を痛めてしまいがちですが、ウナギはそのまま好きな体勢でスヤスヤと寝てしまいます。
塩ビパイプ等を複雑に繋げて隠れ家にしてあげるとそれがよく観察でき、Z型の部分や8の字の部分をそのままの形で入って爆睡してしまいます。
7,給餌について
ウナギは成長段階に合わせて与える餌の種類を変える必要があります。
- 稚魚の場合は冷凍のアカムシやホワイトシュリンプ、小型肉食魚用の沈下タイプの人工飼料、ミナミヌマエビやアカヒレの稚魚等を与えます。
- 成魚サイズの個体には、口に入るサイズのオイカワの稚魚やスジエビの他にも冷凍ワカサギ、肉食魚用の沈下タイプの人工飼料といったように稚魚とはメニューを変えていきましょう。
給餌の頻度は1日1回で、夜行性の彼らのためにライトがあれば消灯約15分後に餌を与えます。
ライトを使っていない場合は暗くなって活発に泳ぎ始めた頃に与えると食い付きが良くなります。
☆実は光に慣れちゃう
暗い世界が好きなウナギですが、ライトのある生活に慣れると点灯中でも餌を食べてくれるようになります。
中には土管から顔を出して目の前を歩くスジエビを捕食するという「ぐうたら捕食」を見せてくれる個体もいます。
8,フィルターについて
ウナギ飼育には殆どのフィルターを使う事ができますが、外掛け式フィルター、上部式フィルター、スポンジフィルター、底面式フィルターを使う場合は少々注意が必要です。
これらのフィルターは出水口にウナギが入り込む事があり、水槽にいないと思ったらフィルターの出水パイプや出水口を登ってフィルターの内部にいた、なんて事もあります。
9,掃除、水換え
ウナギは水の汚れにも強い種類ではありますが、如何せん肉食性なので水を汚しやすいのと水槽の中という限られたスペースなので週に1回、1/3〜1/2の量の水換えを行います。
まずは飼育器具の電源を落とします。
水槽の壁面についたヌメリやコケ等の汚れはメラミンスポンジやスクレイパーで落とし、隠れ家の土管等は1度水槽から取り出してから汚れを落とします。
水草が伸びている場合はトリミングを行い、枯葉や余分な子株、伸びすぎた部分をカットしましょう。
あらかた水槽の汚れを落としたらクリーナーポンプで汚れごと水を吸い出すのですが、川砂や田砂は細かくて軽いため底砂まで排出しないように高さを保ちながら水を排出します。
水槽内の掃除が終わったら、カルキ抜きを行い水温を合わせた新しい水を水槽に入れ、飼育器具の電源を戻せば掃除と水換えは終了です。
ベアタンクの場合は底面の汚れもしっかり落としてからクリーナーポンプで汚れやフンを水ごと一気に排出し、洗い終わった隠れ家を戻します。
その後水温を合わせ、カルキ抜きも行った新しい水を水槽に入れ、飼育器具の電源を戻します。
フィルター内部の掃除は頻繁にやる必要はありませんが、オールインワンタイプの濾材やウールマットの場合は目詰まりの解消のために週に1回は洗うようにし、汚れや傷みが酷い場合は新しい物と交換します。
生物濾材の場合は1ヶ月に1回を目安に掃除しますが飼育水で軽くすすぐようにして洗い、バクテリアの減少を抑制しましょう。
ウナギがかかりやすい病気について
ウナギは生命力が強く、水槽から飛び出したとしても皮膚呼吸とガッツで他の種類の魚達と比べてもそこまで深刻なダメージを負わなかったり、水の汚れにもある程度耐性があるので病気にもなりにくい面が魅力的でもあります。
しかし、ウナギの強さに油断していると予期せぬ病気にかかって死んでしまう事があるのです。
1,水カビ病
水カビ病は「綿かぶり病」とも呼ばれる病気で、水槽内で発生した水カビに長時間触れたりヒレ先や傷口にカビが付着、発生する事で起きる病気です。
水槽内の生物濾過が上手く機能していなかったり、食べ残しを放置して水カビを発生させてしまった事が原因です。
また、日淡の場合はヒーター無しの「無加温」で飼育も可能という特徴があり、低い水温で飼育すると濾過バクテリアの働きが鈍くなって水カビが発生しやすくなったりもします。
特にウナギやオヤニラミのような肉食性の強い種類だとフンや食べ残しに水カビがかなり生えやすいので注意が必要です。
ウナギは基本的に1ヶ所に留まっており、粘膜に保護されていないヒレ先や傷付きやすい尾に水カビが触れて病気になってしまうケースが多く、白点病より苦しめられる病気です。
治療方法ですが、ヒレ先にちょっと付いているくらいであればピンセットで取り除いてから薬浴を行いますが、慣れていない方にはウナギの捕獲自体が大変なので、そのまま治療用の水槽に移して薬浴します。
薬浴にはメチレンブルーやマラカイトグリーン、グリーンFの薬品やアグテンを使います。
これを規定量投薬して薬浴をするのですが、ウナギは稀に薬に対してかなり敏感に反応する事があるため様子を見ながら少しずつ投薬するのが無難です。
薬浴を開始してから3〜5日に1度水換えをし、体から生えている水カビが消え、患部が再生するまで薬浴を続けます。
また、ウナギは塩分にも強く水カビは塩分に弱い事を利用して「塩水浴」による治療も可能です。
その場合は水10Lに対し塩50gを溶かして作った塩水で飼育する事で治す事もできます。
水カビ病からウナギが元気になって本来の水槽に戻す前に、飼育環境の見直しをして再発防止に努める事も大切です。
2,白点病
どんな魚にも出てくる病気と言っても過言ではない有名かつ厄介な病気です。
水温の急変や水質悪化が原因で発生する病気で、初期症状では体表に小さな白い粒が数個付く程度ですが、悪化すると粒の数が増えてエラを塞いでしまったりして魚が衰弱、最終的には死に至ってしまいます。
ウナギは隠れ家にいる事が多く、気付いたらかかっていたというパターンも多く、特に粘膜が薄い稚魚の時がかかりやすい面があります。
治療には塩水浴か薬浴を行います。
塩水浴の場合は水10Lに対し50gの塩を溶かして作った塩水で行いますが、白点病はしつこい病気でもあるため比較的ダメージが少ない初期症状の治療に向いています。
薬浴の場合はメチレンブルーやマラカイトグリーン、グリーンF系の薬品、アグテンを使い、こちらも様子を見ながら投薬します。
3,ウーディニウム症
「コショウ病」「ベルベット病」とも呼ばれる病気で、乳白色〜薄黄色の細かい粉のような物が体表に現れます。
かかった魚はヒレをたたんで力なく横たわったり、体をプルプルと小刻みに震わせたりします。
原因は水質の悪化や急変、病気の魚を持ち込んでしまった、フィルターや水槽掃除をサボった事等が挙げられます。
特にウナギの場合は活餌を与えている場合、その与えていた魚が病気の事もあるため与える前によくチェックしましょう。
治療には塩水浴、薬浴、それらの複合治療があります。
塩水浴の場合は白点病や水カビ病と同じように、水10Lに対し塩50gを溶かして作った塩水を使います。
複合の場合はこの塩水にマラカイトグリーンを投薬した物を治療に使います。
薬浴の場合はグリーンF系の薬品やマラカイトグリーン、メチレンブルーを投薬します。5〜7日に1度水換えを行い、体表の細かい付着物が消えるまで投薬治療を続けます。
4,カラムナリス症
発生した部位によって「尾腐れ病」「口腐れ病」「エラ腐れ病」と呼ばれる事もあります。
症状は発生した部位に白〜黄色の付着物が現れ、充血も見られるようになります。次第に症状が進行すると、患部が爛れたようになってしまい壊死してしまいます。
ウナギの場合はヒレが溶けて無くなってしまったり、体表等の患部が壊死して死んでしまう事も多い病気です。
原因は水質の悪化や水温の急変等が挙げられます。
治療には薬浴と塩水浴があり、薬浴の場合は観パラD、パラザンD、グリーンF、グリーンFゴールドを使います。塩水浴の場合は先述した病気の治療用に使う塩水の作り方を参照していただければと思います。
薬浴を開始して5〜7日に1度水換えを行い、再び投薬して体の付着物が消えて患部が再生するまで治療を続けます。
症状が進行して失ってしまった部位には再生しなかったり元のように再生しない事もあるため、発生させないように日頃から飼育環境を維持したり健康チェックをするようにしましょう。
5,白雲病
「何か聞きなれない病気」と感じるかも知れませんが、アクアリウムの世界でもなかなかコアな病気だと思います。
症状は体表にまるで「雲」のようにモヤモヤとした膜が出てくるのですが、この正体は魚から分泌される「粘液」で症状が悪化するとこれらの膜がエラを塞いで死に至ってしまう恐ろしい病気です。
ウナギやウツボ等の飼育の際に見られる事もあり、初期症状はヒレに白っぽい点々が現れ、進行すると全身に雲のような膜が現れます。魚の方も底の方でジッとしている事が多くなります。
原因は水温の急変やストレス、水槽に移す時等のphショック等が挙げられます。また、ウナギに「鞭毛虫」「繊毛虫」が寄生して体液を吸う事で発病するとも言われており、上記の理由で弱ったウナギに寄生虫が寄生した事による病気と考えられます。
治療には薬浴を行い、マラカイトグリーンやメチレンブルー、グリーンF系の魚病薬を使います。
6,エロモナス症
感染力、致死率、治療難易度の高さからとにかく悪名高い病気です。
ウナギの養殖場では「赤鰭病」という病名でも知られています。
初期症状では体表の数ヶ所に充血が見られますが、進行に伴って充血の範囲が広がり体表もボロボロになって痛々しい姿となって死に至ります。
原因は水質の悪化や病気の魚を持ち込んでしまったり、腐った餌を食べてしまった事等が挙げられます。
治療には観パラDやパラザンD、エルバージュ、グリーンFゴールドによる薬浴を行います。
治療を開始したら3〜5に1度水換えをして再び投薬し、患部の荒れや充血が治るまで続けます。エロモナス症は非常にしつこく、治療にかなりの時間とストレスを与えてしまう病気なので発生しないように水質悪化や与える餌にも気を付けるようにしましょう。
☆昔ながらの治療方法!その名も「鷹の爪療法」!
塩水浴は前提として「病魚が塩分に耐性がある事」、薬浴は「薬に弱い種類だと使いづらい」という面がありますが、この「鷹の爪治療法」は初期症状であれば白点病や水カビ病、白雲病に効果があるとされています。
つまり、初期症状に限られはしますが薬品や塩分に弱い種類に使う事ができる治療方法なのです。アクアリウムの世界ではかなり昔から知られる民間療法という一面もあります。
使う量は水10Lに対して鷹の爪を1本使いますが、この時種は取り除いて輪切りにしておきます。
この治療は鷹の爪に含まれる「カプサイシン」を利用した物で、カプサイシンは種に多く含まれる事からカプサイシン過多になるのを防ぐために種を取り除くと考えられます。
刻んだ鷹の爪は濾過材を入れる用のメッシュパックやコーヒーフィルター等に入れ、水槽や濾過槽に浮かべたり沈めたりして使います。
■無加温飼育の場合は「冬眠」に注意!
ウナギは日本の淡水魚なので寒さにはある程度耐性があります。しかし、基本的に冬のウナギは水温が低くなると「冬眠」して寒さを凌ぐため水温が低すぎると冬と勘違いしてしまう事があるのです。
この間は餌も受け付けずジッとしているため「拒食症」と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、ウナギの体に異常がなく、ただジッとしている場合は水温計を確認する事を推奨いたします。
もし10℃以下であれば、ウナギが冬眠していてもおかしくはありません。冬眠でビックリしたくない方は必ずヒーターで保温し、冬眠をさせたい方は冬眠前にしっかりと餌を食べさせてあげましょう。
もっとウナギが好きになる!?ウナギの豆知識について!
世界中に分布しているウナギには様々な伝説や逸話があったりもします。
1,ウナギの怖い話!?
日本にはウナギにまつわる昔話があります。
昔、川や池に毒を流して魚を捕ろうと村人達が話し合っていた所に黒衣の老いたお坊さんが現れたそうです。
とお坊さんに諭された村人達はそのお坊さんにお団子を振る舞いました。
しかし翌日、諭されたにも関わらず村人達は毒流しを決行してしまいます。
すると池からは主と思われる巨大なウナギが浮かび上がって来ました。
村人達は嬉々としてそのウナギを捌いたのですが、何とウナギの腹の中から出てきたのは先日村人達を諭しに来た、あのお坊さんに振る舞ったお団子が詰まっていた…というお話があります。
2,あの物語にも登場!
国語の授業等で1度は読んだ事があるかも知れない「ごんぎつね」にも実はウナギが登場しています。
ごんぎつねはイタズラ好きなキツネで、ある日川で魚捕りをしている人を見つけます。
ごんは早速悪さを働き、せっかく捕った魚をどんどん逃がしてしまいます。
その時最後に逃がそうとしたのが立派なウナギでした。
しかし、ウナギを上手く掴む事ができないどころか逆に首に巻き付かれる始末。しかも魚獲りをしていた人に見つかってしまい急いで山に逃げ帰ります。
その数日後、ごんは葬列を見かけますが、そこにいたのは川で魚を捕っていた人でした。
亡くなったのは母親で、体力をつけるさせるためにウナギを捕ろうとしたのでした(一説では「ウナギが食べたい」と言って亡くなった)。
両親がいないごんは自分の行いを深く後悔し、つたないながらも償い続けるという物語です。
3,プロでも見分けが難しい!?天然ウナギと養殖ウナギ
とあるグルメなマンガでは「青物は特に良い」みたいな事を言っていますが、それを真に受けて「天然と養殖の見分け付くよ〜」なんて言うと恥ずかしい目に合うかも知れません。
一般的に天然ウナギは「腹側が黄色みがかって胴体が太い」とされていますが、実際には生息場所や餌によって体格も体色もかなり変わるため養殖ウナギと見比べただけでは見分けるのは至難の技です。
4,カラフルウナギ!
先ほど「生息場所や餌によって体格や体色が変わる」と説明いたしましたが、時折カラフルなウナギが釣れてニュースになる事があります。
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愛知県の「南知多ビーチランド」では何と「バナナウナギ」なるものが展示されているのです。
現在では色が抜けて「熟れすぎたバナナ」と呼ばれていますが、かつては白、黒、オレンジというド派手な錦鯉カラーだったのだとか。
これはウナギが食べていた餌が関係していると言われており、エビやカニ等の甲殻類を好んで食べた結果、その色素によってこのようなカラフルな体色になったようです。
まとめ
今回はあどけない表情が可愛い日淡・ウナギについて皆様にご紹介させていただきました。
ウナギと聞くとやっぱり食用というイメージが強いかも知れませんが、ウナギは日淡の中でも比較的飼育しやすく、寿命も長いため長く付き合える魚です。
また、水質悪化にも比較的強いという特徴に甘んじる事なくしっかり飼育管理すれば病気にもなりにくい面があったり、意外と人懐こくて慣れれば手から餌を食べてくれたりライトが点いていても飼い主が近寄ればすり寄って来る事もある程愛嬌に溢れているのです。
今までの固定概念をとぼけた笑顔と仕草で崩し、新しい発見と珍体験を自身の体のように長く長く楽しませてくれる事でしょう。