飼育・繁殖難易度易しめ!ゼブラダニオ

今回紹介する魚は、非常にメジャーでご存知の方が多いであろう「ゼブラダニオ」についてです。
その名の通り、シマウマのような濃紺の縦縞が金色がかった体に入り、とても綺麗な魚です。群れで活発に泳ぎ回り、見ていて飽きない魚ですね。
そのことについても説明していきますので、最後までお読みいただければ幸いです。
ゼブラダニオの生態について
ゼブラダニオはコイ目コイ科ラスボラ亜科ダニオ属に分類される、東南アジア原産の大きく分ければコイの仲間です。
原産地はインドで、ガンジス川の水系の一つであるコシ川水系に住んでいます。
現在では日本各地でも外来種として生息していますが、
外来種としてのゼブラダニオがその地域の生態系に悪影響を及ぼしている事例出てきています。
体長も最大でも3cmから4cmほどの小型種で、丈夫で活発に泳ぎ回るので、楽しく飼える魚です。
繁殖も簡単で、東南アジアで養殖されたものが大量に入って来るので、安価なのも魅力です。
最近では「ロングフィン」タイプの品種改良された熱帯魚が数多く存在しますが、ゼブラダニオも例外ではありません。
アクアリウムショップでもたまに売られていますが、よく似た魚で、「レオパードダニオ」という、ヒョウ柄の魚もいます。

飼育難易度は易しめ
水槽にはふたをしよう

混泳などには注意する点がありますが、ゼブラダニオは比較的丈夫な熱帯魚です。
飼育する際も特に気を使うことはなく、他の熱帯魚と同じように飼育すれば大丈夫です。非常に元気な魚で、普段は水槽の上層部で泳いでいる魚なので、水槽からの飛び出し事故が発生しやすいです。
蓋の小さい隙間から飛び出てしまい、なくなってしまった子がいました…。
特に餌をあげるときや、水槽から目を離している隙に飛び出してしまうことが多いので、「蓋をきっちりとしめる+水位を高くしすぎない」という二つの対策をすると良いでしょう。
もし蓋をせず、水位をギリギリまであげたレイアウト水槽を作りたいという方にはあまりお勧めできない魚かもしれません。
また、ゼブラダニオは、最低でも5匹、できれば10匹以上の群れで飼育しないと、この種類の魅力を感じることが出来なくなると思います。
また、本当に元気いっぱい泳ぎ回る魚なので、小型ですがある程度広い水槽で飼育してあげた方が良いでしょう。私は、60cm水槽で15匹から飼育を開始しました。
水質について

水質は弱酸性から中性が良いとされています。なので、底にはソイルを2cmほどの厚さに敷き、濾過装置にはサンゴは使いませんでした。
水温について
水温は22〜25度位が最も元気に過ごしています。冬場はヒーターが必要ですが、夏場は逆に30℃を超えない様にして下さい。
とはいえ、多少冷たい水にも対応してくれました。私の経験上、ヒーターが突然故障して水温が10度後半くらいにまで下がったものの一匹も死ぬことはなかったです。しかし低温飼育が続くと危険ですので、冬場は必ずヒーターを設置し、故障した場合はすぐに新しいヒーターを設置しましょう。
餌について

餌は、フレーク状の熱帯魚の餌で問題ありません。アカムシやイトミミズも喜んで食べます。
とにかく、すごい勢いで食べます。まだ食べるからと与えすぎない様に気をつけて下さい。どんどん太ってしまいますし、水も早く汚れます。
水換えについて
丈夫な魚ですが、とは言えやはり水質には気をつけたい所です。よく食べるのでどうしても水の汚れるペースは速いです。2週間に一度、1/3位を取り替えます。
レイアウトについて
小型なので、水槽のレイアウトも楽しめます。特に隠れ家がなくても気にする様子もありませんが、やはり水草を植えてあげたり、岩や流木などより添えるものがあった方が落ち着くと思います。
照明は、魚のためというより水草の光合成を促進するために明るい方がいいです。
水槽の大きさについてですが、ものすごく元気な魚であるため、できるだけ大きな水槽で飼育するといいでしょう。
小型熱帯魚ですので、30cm規格水槽でも問題なく飼育することができますが、元気に広々と泳がせてあげたいなら60cm規格くらいあるとちょうどいいです。
繁殖難易度は易しめ
オス・メスの区別について

ゼブラダニオも、他の魚と同様に産卵を控えたメスはお腹がポッコリと膨らんできます。
また、上から見た時もオスよりかなり丸っこい印象を受けます。
メダカなどと違い、オス・メスでヒレの形などに差はありません。
繁殖について
繁殖も非常に容易です。
雌雄を数ペア入れておけば勝手に繁殖していくでしょう。
卵は沈下性で、水草などに付着することなく底に沈みます。
放っておいてもどんどん卵を生みますが、どんどん食べられてしまいます。
食べてしまわないように、産卵間近になることにはスドーの「サテライト水槽」などの隔離水槽を用いると良いでしょう。
産卵間近なメスは、お腹が膨らむと同時に総排泄孔付近が内出血で黒ずんできます。こうなっているメスと、充分に大きくなっているオスを一緒に隔離ケースに入れます。
普通は2,3日で産卵し、卵が確認出来ます。卵は1mmほどで半透明の球形です。孵化するまで、2〜3日かかります。産卵が終わった親は水槽に戻して、卵と稚魚はそのまま隔離ケースで育てることが出来ます。
私の場合、ゼブラダニオとレオパードダニオを一緒に飼っていたので、交雑個体を作らないためにもこの方法をとりました。レオパードダニオも、ゼブラダニオ同様、よく産んでくれます。
孵化した稚魚は、3日ほどはヨークサックから栄養を摂取するので何も食べません。3日ほどで自由遊泳をはじめ、盛んに泳ぎ回るので、こうなったらブラインシュリンプを与えるのが普通です。私はブラインシュリンプの他に茹で卵の黄身をすり潰したものをあげてみたのですが、これでも問題なく食べてくれました。
ちなみにこの時点ですでに大食いで、ブラインシュリンプを与えるとお腹がオレンジ色に、茹で卵をあげるとお腹が黄色になります。なかなか面白いです。
餌を食べ始めると、そこからは一気に大きくなります。
最初は透明ですが、30日位で体側にシルバーの帯が入り、50日くらい経つと独特の縞模様が出てきます。全長が8mmくらいになったら、親に食べられることもないので親魚と一緒にして大丈夫です。
親魚も、追いかけ回したりしません。ただ、本当にどんどん増えるので、密度が高くなってきたら新しく水槽を立ち上げるか、ペットショップに引き取ってもらうとか知り合いにあげるなど、後のことを考えてあげておかないと大変なことになります。
同種・異種との混泳について
さて、ここでゼブラダニオの最大の注意点「混泳」についての説明です。
小型種なので、混泳を考えたくなるのは普通の感覚だと思います。しかし、ゼブラダニオは実は混泳する相手を選ぶ魚です。
元気がありすぎて「動きが騒がしい」からです。
とは言え、攻撃的だからとか、相手が小さいと食べてしまうとか、そういう事ではありません。
ゼブラダニオは、動きが非常に素早く、大食いなので、のんびりした性格の魚だと、与えた餌をほぼほぼゼブラダニオに食べられてしまい、充分な餌が行き渡らないという事が起こり得るのです。
グラミーの仲間、エンゼルフィッシュ、グッピーの様なのんびりした魚はやめておいた方が良いです。餌をゼブラダニオにとられるのと同時に、恐らく周りをせわしなく泳ぎ回るゼブラダニオがストレスになる事でしょう。
私は、最初はブラックネオンテトラを一緒に飼育していました。決してのんびりした魚ではありませんが、それでもゼブラダニオに餌を先に食べられてしまい、成長が遅かったので途中から分けて飼育しました。
餌を多く与えれば大丈夫と思われるかもしれませんが、ゼブラダニオは大食漢でお腹がいっぱいになったからとすぐに餌を摂るのをやめません。ゼブラダニオはぶくぶく太り、同居している他の魚は栄養失調気味という状況になってしまいます。
底にいるコリドラスも、あまり混泳には適しません。コリドラスがいるところまで餌が落ちていく前に、ゼブラダニオに食いつくされてしまうからです。コリドラス・アエネウスを一緒に飼いましたが、やはりこちらもブラックネオンテトラと一緒に移しました。
結局、私はゼブラダニオとレオパードダニオだけで飼育しましたが、これが一番良いと思いました。
【結論】
異種との混泳はすこしリスクがあります。そのため、できればゼブラダニオよりも動きのおそい熱帯魚との混泳はしない方が良いです。
私の飼育しているゼブラダニオの紹介

混泳にチャレンジした結果、動きの速いネオンテトラや、生活圏が異なるトランスルーセントグラスキャット(中層〜低層)との混泳には成功しました。
餌に関しては、最寄りのアクアリウムショップが作っている「最初は浮性→10秒程度で沈下性に変わる」タイプの餌を用いることで、水槽内の他の熱帯魚にも餌を行き渡らせることができました。
しかしグラミー系の熱帯魚に関しては口が小さく動きも遅いので混泳がうまくいったとまでは言えない気がします。大きな水槽でしたら混泳もできるかもしれません。
寿命について
ゼブラダニオの寿命は三年ほどです。
しかし、増やすことが容易なので、累代飼育していればいつまでも代々飼育することができます。
活発に泳ぎ回り、よく食べてよく増えて、長く付き合える、美しい魚です。