オヤニラミの飼い方・育て方を徹底解説!
オヤニラミは日本原産の魚で、天然分布域は中国、四国地方と九州の一部ですが、東京都、愛知県、滋賀県の一部河川などでも生息が確認されてます。
体長10〜15cm程の大きさの肉食性日本淡水魚で、肉食魚らしさやどこかラテス系の古代魚を彷彿とさせるカッコいい見た目と鋭い目付き、そして人に慣れやすい性質が愛らしいギャップのある種類です。そんなギャップが今でも多くの肉食魚ファンや日淡ファンを虜にしています。
模様は、茶色い体色にこげ茶の虎模様が入り、鰓ぶたに特徴的な目玉模様が入ります。近縁種ではありませんが、スモールマウスバスとブルーギルを合わせたような見た目です。
今回はそんなオヤニラミの繁殖方法や以前紹介していなかった複数飼育方法、生き餌を与える時に大事な前準備についてなど、たくさん盛り込みましたのでオヤニラミの繁殖を目指したい方は是非参考にしていただければと思います。
「それでは早速…」とその前に!
繁殖をする前に考えて欲しい事
オヤニラミの繁殖は今まで紹介してきた魚達と比べて非常に手間がかかりません。オス親が卵や稚魚をお世話してくれるだけでなく、生まれてくる稚魚もヨークサックを吸収し終わるとすぐにベビーブラインシュリンプを食べるようになるからです。
ここまでは非常に微笑ましいですが、問題は「生まれてくる稚魚の数」です。オヤニラミは200〜1000個近く産卵をします。それをオス親が守り育てるため、飼育下では持て余してしまう可能性が充分にあります。
オヤニラミだけというわけではありませんが、繁殖させる時は「生まれた稚魚達をどうするのか」までしっかりと考えなくてはなりません。最近ではヤフオク等で販売もできますし、引き取ってくれるショップもあります。中には買取りをしてくれるショップもあるのでそちらを利用してください。間違っても近所の川や池等に絶対に放流してはいけません。これを肝にしっかりと銘じた上でオヤニラミを繁殖しましょう。
オヤニラミの特徴は?
オヤニラミはスズキ目ケツギョ科の魚で、スズキ目特有のとげのある棘状(きょくじょう)背びれ(第一背びれ)と、その後ろに軟状背びれ(第二背びれ)があります。二つの背びれは、繋がっています。
その見た目は、海にいるメバルによく似ていて「カワメバル」という地方名があります。
その体のエラブタのところには目のような模様があります。
泳ぎ方にも特徴があり、胸ビレを交互にヒラヒラと動かしてホバリングをしたり、そのままクルしたりと、その優雅な泳ぎ方から「ミコノマイ(巫女の舞)」という地方名もあります。
小型ですが、スズキ目の肉食魚なので攻撃的な性質を持っています。そうかと思うと、臆病な側面もあり、恐怖を感じさせてしまうと物陰に隠れてしばらく出てきません。
こちらが怖い存在ではないと認識させられれば、ピンセットなどから餌を食べるようになります。
好奇心も旺盛で、指の動きを追いかけたり、気付いたらこちらを見つめていたりします。
とても可愛い魚ですし、大掛かりな装置も不要なので、飼育してみることをお勧め出来る魚です。
ただし、滋賀県においては、オヤニラミの飼育には許可が必要とのことなので、滋賀県にお住まいの方はお気をつけ下さい。
名前の由来は?
諸説あります。オヤニラミの模様をよく見ると、もう一匹魚がいるようなシルエットになります。
オヤニラミの入手法
①採集
オヤニラミが生息している河川が近くにあるなら、採集にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
釣ることも可能でしょうが、網を用いたいわゆる「ガサガサ」が、簡単に採集出来る方法の様です。オヤニラミは、水草の多い、流れの緩やかな環境を好みます。
また、物陰や隙間に入り込む性質があるので、こう言った場所で探してみると見つけやすいでしょう。
②購入
ペットとしての人気があるので、観賞魚を扱うペットショップなどで売られていることもあります。私は、行きつけのペットショップに入荷したと言う知らせを聞き、買いに行きました。
最近では、各種オンラインショップでも販売されています。大きさや産地にもよりますが、1000円から2000円位で売られています。
通常の飼育設備
水槽(大きめのものを)
オヤニラミは縄張り意識が強く、攻撃的な性質なので、サイズの割には広いスペースが必要になります。
エアレーション必須
先にも書きましたが、酸欠に弱いので、この点は注意が必要です。
私は上部濾過装置をやや水圧の高いものにして、やや水槽内の水位を下げることで、濾過装置から戻ってきた水が水槽に落ちるときに十分に空気を巻き込む様にする事で酸欠を防ぎました。
こうすることで水槽内に少しではありますが流れが生じることで、川に生息するオヤニラミの生息環境に少しでも近づけられたということも、良かった点だと思います。難点としては、常に水が流れる音がしているということです。
底砂
底には砂利を敷いてあげます。大磯で良いでしょう。
また、隠れ家になるものを個体数分、用意します。私は植木鉢の欠けたものと流木を上手く組み合わせて作りました。水草は、クロモを植えると良いです。隠れ家にもなり、丈夫なのでお勧めです。多少なりとも光合成による酸素供給と、水質を安定させられるのであった方が良いです。
混泳について
肉食魚で、口に入るものは食べようとしてしまうので、ある程度大きい魚でないと混泳は不可能です。
また、縄張り意識が高く、自分より少しくらい大きい相手でも果敢に挑んでしまいます。
加温について
日本の魚なので、少なくとも関東以南では特にヒーターなどで水温を調整してあげる必要はありません。
ただし、水換え時に急に水温を下げたりすると白点病になりやすくなります。
水換えした後は特によく観察して、普段と様子が変わらないことを確認した方が安心です。
オヤニラミの餌について
野生では小魚、ヤゴなどの水生昆虫、エビなどを食べています。アカムシも良い餌となります。
しかし、生き餌を安定供給するのは難しいので、『ひかりクレスト カーニバル』のような人工飼料に餌付けた方が遥かに楽です。
オヤニラミの大きさによっては、ペレットを折って小さくして入れてあげます。
浮上性の餌を与えて見て下さい。すぐには食べなくとも、それが餌であると認識するまで粘るのもコツです。
私は最初はメダカを与え、2日ほど絶食させた後にカーニバルを与えて餌付けに成功しました。
1度、餌と認識すれば、次からは与えればすぐ食べてくれます。
クリル(乾燥オキアミ)も食べますが、完全に消化し切れないのか、クリルを食べた後に出す糞は水を汚すのであまりお勧めしません。
餌は1日一回、15分位で食べ切る量を与えます。残した餌はしっかり取り除きましょう。
カーニバルに餌付けば、他の餌を与える必要はありませんが、私はたまにメダカやスジエビを与え、オヤニラミの狩りを観察しました。
あまり追いかけ回さず、待ち伏せてうっかりそばに来たものを一気に襲うという狩りのしかたをします。
生き餌の種類について
オヤニラミは慣れると人工飼料や乾燥飼料も食べてくれますが、生き餌を与えた時の反応は非常に良く、すぐに食い付いてくれます。
そんな生き餌についての紹介とガットローディングについてご紹介していきたいと思います。
・メダカ、アカヒレ
どちらもショップで簡単に手に入ります。
メダカは身が少なく体が硬いものの、アカヒレより安価で大量に購入できます。
アカヒレはメダカより単価が高いものの、身が多く、鱗や骨が柔らかいため食べやすいのが特徴です。
・ミナミヌマエビ、スジエビ
オヤニラミはエビが大好物のため食い付きがかなり良い餌になります。
ミナミヌマエビはショップで安価で売られており、大量購入しやすいエビです。小さくて飲み込みやすいですが、その分数を食べさせる必要があります。
スジエビは川魚に強いショップで購入する事でき、大きさも4〜5cm程のためかなり食べ応えのある餌になります。
・オイカワ、ドジョウの若魚
オヤニラミが野生下で捕食している魚です。
オイカワの若魚は3〜4cm程の大きさの個体が餌として与えるのに丁度良いサイズで、体の銀色の輝きがオヤニラミの興味と食欲をそそります。
ドジョウは小さい個体は手に入りにくいですが、栄養価が高い魚のため、体力をつけるには良い餌となります。体表が滑るのでオヤニラミもたまにツルリと逃がしてしまいますが、それが悔しいのか意地になって捕食します。
生き餌の注意点について
エビはあまり関係ありませんが、メダカやアカヒレ等は病気になっていないか、寄生虫は付いてないか等しっかり確認をしましょう。そういった生き餌を食べさせると、食べた生体が同じ病気にかかったり寄生虫に寄生されてしまいます。
そのため魚系の生き餌は購入時も観察するだけでなく、購入後は一度トリートメントをする事をオススメします。
与える前に栄養強化!ガットローディングについて
ガットローディングとは主に爬虫類飼育の時に使われる手法です。購入した生き餌をすぐ飼育個体に与えるのではなく、生き餌に充分な餌を与えて栄養強化をはかります。
餌を食べた分生き餌の栄養も豊富ですし、飼育個体になかなか摂取させにくい栄養も簡単に摂取させられる事から、生き餌を使う場合は覚えておきたい手法です。
かといって難しい事は一つもなく、購入してきたメダカやヌマエビ等の生き餌に人工飼料で良いので餌を与えるだけです。
飼育個体に与える2〜7日前から餌を与え、飼育個体に与える直前にも餌を与えます。こうする事で生き餌の栄養だけでなく体内に残った餌の栄養分も摂取させる事ができるのです。
オヤニラミの飼育のポイント!
- 縄張り意識が強いので、基本的には単独飼育!
- 水質に気を付ける!
(水質に敏感で、肌荒れしやすいです。) - 臆病で神経質なところがあるので隠れ家を用意!
(隠れられるスペースがあるとストレスを軽減できます。)
縄張り意識が強いので、基本的には単独飼育!
オヤニラミは縄張り意識が大変強く、同個体でも複数飼育はNGで、
かつ混泳に関しても口に入るサイズの小魚やエビは食べられてしまいます。
基本的に単独飼育なので、市販で出ている金魚の飼育水槽セットのLサイズで充分飼育する事ができます。
水質に気を付ける事
オヤニラミは水質に敏感で、汚れた水で飼っていると肌荒れを起こして病気になってしまいます。
たくさん餌を食べ、フンも大きく水を汚しやすいところがあるので、食べ残しやフンを見つけたらなるべく取り除きます。
そうする事で、水質の悪化や腐敗を抑える事ができます。
水質浄化の効果が高い、マツモやアナカリス等の水草を入れるのも効果的です。
60cm水槽で、二週間に一度の水換えをしましょう。一度に変える量は、1/4程度に留めます。
隠れ家(シェルター)の設置
オヤニラミは縄張り意識が強いものの、臆病なところがあり、隠れる場所がないとストレスから拒食や病気になってしまいます。
水草や石をレイアウトして隠れ家を作ってあげましょう。
市販の物では土管や塩ビパイプも隠れ家として利用できます。
置物を置くときの注意点
レイアウトに流木を使う場合、しっかりとアク抜きをした物を使います。
アク抜きをせずに使うと、流木から滲み出た成分が水質を変えてしまいます。
オヤニラミの複数飼育方法について
ここからはオヤニラミの複数飼育についてのポイントを解説していきます。
オヤニラミは縄張り意識が強く、水を汚しやすいので複数飼育はオススメできないと上記では紹介しましたが、繁殖がメインの場合、複数飼育は必須条件のため紹介させていただきます。
複数飼育に必要な水槽の大きさについて
この時複数飼育する時の水槽の大きさですが、2〜3匹なら60cm、5〜7匹なら90cm、10匹以上なら120cm以上が大体の目安です。これはオヤニラミが以前の記事で紹介した通り縄張り意識が強い性質がある事と水を汚しやすい性質があるためで、特に水槽が広く、水量が多い程水質の悪化は緩やかに進みます。
最初は小競り合いがあると思いますが、次第にスペースを分け合うようになります。
フタについて
どんな種類の魚でも飛び出し防止のためにフタは必要ですが、複数飼育のオヤニラミはかなり飛び出しやすく、軽いフタだと浮き上がらせてしまう場合があるため、できればガラス製の重みがあるフタか、アクリル板を自分で加工して作ると良いでしょう。
もし軽い素材しかない場合は見栄えは悪いですが重りを左右に乗せたりして動かないように固定します。
フィルターについて
濾過力の高い上部式フィルターや外部式フィルターがオススメです。補助として投げ込み式フィルターやパワーフィルターを設置すると水質の悪化を抑制し、酸欠を防ぐ事ができます。
また、ゼオライトや竹炭入りの濾過材を使うと有害物質であるアンモニア等を吸着してくれるためオススメです。
隠れ家について
オヤニラミの複数飼育で一番大事なのが「隠れ家」です。水草で作るのももちろんですが、石や土管、レンガ等をフル活用してたくさん隠れ家を用意しましょう。隠れ家が少ないと一番弱い個体が隠れられずイジメられ続け、最悪の場合は死んでしまう可能性があります。
ケンカモードのオヤニラミの突進力や攻撃の激しさは中々の威力なので、アヌビアスやミクロソリウム等の葉が丈夫な種類や長く成長し葉も千切れづらいバリスネリア等の水草を使うと良いでしょう。
まさに超究フィッシュ覇斬! オヤニラミの本気!
複数飼育で必ず起こってしまうのが「縄張り争い」です。これは優劣が決まるまで続き、ある程度決まってくると頻度は減りますが度々起こってしまいます。
しかしながら、オヤニラミの本気のバトルはかなり迫力があります。全身の体色を黒ずませ、目の部分の赤みが浮かび上がり、エラブタを膨らませて相手を睨み付け激しく威嚇します。力の差が歴然としている場合はこれだけで終わる事がありますが、拮抗している場合は互いに激しく攻撃をし掛け合います。
突進からの噛み付き攻撃や噛み付いてから捻る等様々な攻撃を繰り出す中、オヤニラミの一番の大技が炸裂する事があります。それは背ビレのトゲでもなければ大きな口でもありません。彼らの最大最強の武器は限界まで開いたエラブタです。これを大きく左右に何度も振り回し、相手の体を殴りつけるのです。例えるなら、スズキによく見られる行動の、丈夫な釣糸すら切断する「エラ洗い」のような感じです。
オヤニラミのエラブタはただ鋭いだけでなく、よく見ると鋭利なトゲまであり、まともに喰らうと相手の鱗や皮膚を簡単に切り裂く一撃になります。かつて私はこの戦いの仲裁を試みた時に一撃喰らった事がありますが、激しい痛みと共に数cm程サックリと手の甲を切られた事を覚えています。
この一撃の気迫はまさに某人気RPGの大技のようで、放つ前の姿はまるで熟練の剣士のような禍々しさと謎の圧力を感じます。ケンカによるケガはかなり心配ではありますが、貴重な瞬間でもあるため是非一度は見ていただきたい物です。
運命の相手は見つかるのか!?複数飼育で婚活のススメ!
どんなに縄張り意識が強くても、繁殖させるには一度複数飼育をしなければなりません。たまに「オス×1に対してメス×2」なんて話がありますが、そんな都合良く手に入る魚ではありません。そのため、もしショップで複数匹オヤニラミが売られているのを見つけたらチャンスと思って「丸みのある体型」と「スマートな体型」の個体を選んで購入しましょう。
複数飼育が上手く行くと、オヤニラミは徐々にその個性を際立たせていきます。特にオスは充分に成熟していると婚姻色を出すようになり、さらには好みのメスにアプローチをするようになります。
複数飼育をする事によってオヤニラミも人間でいう「婚活パーティー」が可能となり、互いに気が合うパートナーを探す事ができるのです。
ちなみに立場が弱かったり怯えている個体は体色を明るいベージュに変え、褐色のラインを浮かび上がらせ鼻筋のラインも明瞭になります。こういった個体は少し様子を見て、もしイジメられたりするようだったら隔離してあげましょう。
大丈夫?気の強い魚の過密飼育について
気が強い魚の混泳方法でたまにあるのが「ワザと」過密飼育する方法です。
理論としては、過密飼育すればお互い満足できるスペースの縄張りが確保できないのでケンカをしなくなる、というものです。
実際ケンカが減るのは事実なのですが、元々縄張りを作るくらい気が強い魚なので、縄張りを持てない事はかなりのストレスがかかってしまいます。
ちゃんと仕組みを理解している方は一匹一匹ちゃんと観察してケアするので特に問題はありませんが、半端に過密飼育をしてしまうとストレスで鬱状態になったり拒食症になってしまう個体が出てしまいます。早く気付いて対処ができれば良いですが、その頃には病気にもかかってしまい手遅れになってしまうというケースもよくあります。
気の強い魚の過密飼育に関しての私個人の考えは、よく理解している方がやる分には問題ありませんが、理解できてない場合はやらない方が良いです。
よく分からない方のために、この状況を人で例えてみます。少々極端ではありますが、貴方はほぼ満員電車の中で生活しなければなりません、どうやって生活しますか?みたいな感じです。普通に考えてもかなりキツイと思いますが、そこにカウンセラーがいたり、皆が一丸になって喜べる何かがあれば多少生活が楽になるかも知れない、過密飼育をするという事はそういう事です。
オヤニラミの繁殖方法について
上級者でも見分けにくい!?雌雄判別について
繁殖をさせるにはペアがいなければ始まりません。しかしオヤニラミは雌雄判別が難しいため、複数飼育をする事で自然にペアが形成されるのを待つ事が多いです。複数飼育をしていると成熟したオスは婚姻色を出すため雌雄判別が大分しやすくなります。
オスとメスそれぞれのポイントは
オスの特徴
- メスと比べてお腹がシュッとしている。
- 婚姻色が出ると体色が黒っぽくなり、赤みがかった各ヒレには妖しく輝くネオンブルーの水玉模様が浮かび上がる。
メスの特徴
- オスと比べてお腹がふっくらとしていて丸っこい見た目をしている。
- 縄張り争いはするけど繁殖期のオスよりは激しくない。
といった事が挙げられます。婚姻色が出るまでは確実な見分けはかなり難しいです。
ちなみにオスは繁殖間近になると「ある行動」を取り始めるようになります。
モテる秘訣は見た目や力だけじゃない!「お掃除上手」も大事なポイント!
成熟したオスは自分の縄張りの中にある「産卵に良さそうな場所」を選定すると、その場所を口先やヒレ等全身を使って数日かけてキレイに掃除します。実はこの行動こそ繁殖が近い証でもあります。
キレイに掃除し終えると産卵場所にやって来たメスを迎え入れ、アプローチをします。まるで「どう?なかなかオレってキレイ好きでしょ?」と言わんばかりに産卵場所をアピールします。ですが、そこはやっぱり産む側です。気に入ってくれればそのまま産卵に移りますが、大抵は「これで掃除したつもり?」と一瞥して去って行きます。これには掃除が不完全だと、せっかく産んだ卵がカビやすくなって生存率に大きく関わってしまうからという説があります。
そのためオスも真剣に掃除しますし、メスのチェックも厳しいのです。たまにガラス面を産卵場所に決めるオスもいますが、流石にコケは取り切れないため私達飼い主がしっかり水換えやコケ取りをして手助けしてあげましょう。
えっ、そこに産むの!?困った産卵場所について
先程も少しだけ紹介しましたが、産卵場所を決めるのはあくまでオスです。流木どころかガラス面を産卵場所として選ぶだけでなく、時にはフィルターの揚水パイプやホースを産卵場所に決めてしまう事もあります。
この場所が良いという条件は分かりませんが、本人(?)が卵の世話をしやすいと感じた場所を選んでいる可能性は少なからずあると思います。
困った場所への産卵を完全に防ぐ方法はありませんが、産卵場所の候補を増やす事によって多少はその可能性を減らす事ができます。流木や塩ビパイプ、竹等を入れてあげるとそれだけ候補が増えるため、そちらを気に入ってくれれば飼育者側としても一安心でしょう。
それでも私達は産卵場所の選択肢を増やしてあげる事はできても決定権はオヤニラミ側にあるという事を決して忘れてはいけません。
いよいよ産卵!
メスがやって来るとオスは各ヒレを大きく広げてメスを迎え入れます。掃除された産卵場所をメスが気に入るといよいよ産卵開始です。
産卵場所に沿ってメスが泳ぎ出すと、オスはその後を追って泳ぎ、メスの尾ビレに口先を軽く触れさせます。
その後、メスは体を小刻みに振るわせながら2列に並べて卵を産んでいき、オスも卵に放精をして受精させます。一回の産卵で約60〜80個の卵を産みますが、これを何度も繰り返し、自然下では200〜1000個近く産卵する場合もあります。
これは稚魚が生き残る可能性を少しでも上げるためでしょうが、飼育下で全てを孵化させる場合は本格的にその先も考えておきましょう。
感動の産卵後は隔離が必須!
オヤニラミはオス親が卵や稚魚の世話をする種類です。この辺の習性は、同じスズキ目のラージマウスバスなどと似ています。
そのため産卵が終わるとメスを敵と見なして追い払います。また、他に別の個体がいればメスと同様に追い払います。
卵を守るためとはいえ、攻撃性が増すため、同居していたオヤニラミ達を取り出して隔離するか、卵が取り出しやすい塩ビパイプや竹に産卵されていた場合はそのまま取り出して人の手で育てるという方法があります。
ちなみに卵を取り出すと、守る対象がいなくなったからか少しずつ落ち着きを取り戻していきます。しかし卵を取り出そうとするとオス親も必死に抵抗します。
個人的な話ではありますが、人の手に掴まれて水面に吸い込まれていく卵の後を追いかけ、取り出された後も水面をしばらく見つめ続けたり、卵があった場所に戻って探したりする様子が非常に物悲しく思えました。。
しかし、繁殖を成功させ、他の個体への被害を最小限に抑えるためにも卵か周りの個体の隔離は必須条件だと思います。
卵を取り出した場合:人工孵化の方法について
本来はオス親が卵を育てますが、卵を取り出せた場合は人工的に孵化させる事ができます。意外と簡単なのでその方法もご紹介していきたいと思います。
まずは隔離水槽に産卵床を設置
卵が付いている産卵床は横でも斜めに立て掛けても良いですが、必ず揺れたりひっくり返ったりしないように不安定な設置の仕方はせず、安定した設置をします。不安定な状態だと何かの拍子に産卵床がひっくり返った時に大事な卵が潰れてしまう可能性があるからです。
どうしても不安定になる場合は、底に砂利を敷く事で産卵床がかなり安定しやすくなるのでオススメです。
エアレーションをする
産卵床を設置できたらエアレーションをします。エアストーンを使う場合は水流が卵にしっかり当たるように向きを調整して設置します。
フィルターを使う場合はスポンジフィルターが適しており、卵に水流が当たるように位置を調節して設置します。水流が強すぎると卵が産卵床から剥がれたりする可能性があるため、調節弁を使って調節します。
水流の強さの目安は水流で卵が揺れる事はないけど全体に水が当たるような少し緩めが丁度良いです。
水温を一定に保つ
卵の死亡率を減らすため水温を一定に保ちましょう。15〜25℃くらいであれば問題はありません。
他の種類の魚もそうですが、水温が高い方が卵の発眼までの日数や孵化までの日数が早くなります。
スポイトで時々卵全体に水流を当てる
オヤニラミのオス親は卵に付いたゴミをキレイに取り除きますが、エアレーションやスポンジフィルターの水流を当てただけでは全体の付着物を取り除く事はできません。
そのため、時々産卵床に付いている卵全体にスポイトで軽く水流を当て、隙間に詰まっていたり見づらい所に付着した汚れ等を落としてあげましょう。
カビた卵はすぐに取り除く
卵はカビが生える事があり、放っておくとどんどんカビが侵食して卵が全滅してしまいます。
もしカビた卵を見つけたら、スポイトやピンセット等で取り除きます。
これを続けていると、4〜5日目には卵の中に発眼しているのを確認できます。ここからさらに5日程経過すると孵化が始まります。稚魚の餌については後述します。
卵とオス親以外を隔離した場合
これが一番自然な状態です。周りに敵となる存在はいませんが、オス親は時折水槽内を巡回して近くに敵がいないか確認します。巡回が終わると卵のお世話に戻ります。
胸ビレを大きく動かして水流を起こしたり、口先やヒレを上手く使って卵に付着したゴミを取り除いたりします。また、無精卵や死んでしまった卵は口先を使って取り除きます。ちなみに卵の孵化率はオス親がお世話をした方が孵化率が高いです。
オスは稚魚がある程度大きくなるまで、守ろうとします。この間、守っているオスはあまり餌を食べません。しかし、完全に絶食とはならないので、餌はちゃんとあげましょう。
ちなみに子育てに関与しないメスは、相変わらずモリモリ食べます。
稚魚の餌について
生まれたばかりの稚魚にはヨークサックが付いているため2日間程は餌を取りませんが、吸収し終わるとすぐに餌を求めるようになります。
餌にはベビーブラインシュリンプが適しています。冷凍タイプの物も食べますが、動きのある沸かしたての物の方が食い付きが違います。
稚魚の一番の死因は餌が足りなかった事による栄養失調から餓死です。毎日かなりの量を食べるので1日2〜3回与えます。
この稚魚の餌がなかなか大変で、最初はどうしてもミジンコなどの生き餌が必要です。
ですが、固く茹でた茹で卵の黄身を細かく砕いたものをあげると食べてくれます。
しばらく、茹で卵を作っては黄身を稚魚にあげて、白身は自分で食べるという謎の行為をしました。家族に、急に茹で卵が好きになったと勘違いされたものです。タンパク質が豊富な餌なので、これに餌付けばしっかり丈夫に育ちます。
体の大きさが1cmを越えたら餌にイトメやアカムシをプラスします。ただし、まだ小さいので太いアカムシを与える場合はハサミで細かく切ってから与えましょう。
産卵〜稚魚の成長、育て方について(水温21℃)
産卵初日
やや明るい茶色っぽい卵です。大きさは2mm弱もあります。無精卵は若干濁ったベージュ色に見えます。産卵が終わるとオス親はすぐに卵のお世話を開始します。様子を見に水槽へ近付くと臨戦態勢になって威嚇してきました。ジッと見ていたら敵ではないと思ったのか威嚇を止めてくれました。
産卵3日目〜
オス親は卵に水流を当てて酸素を供給したりゴミを取り除いたりと卵のお世話に余念がありません。無精卵やカビた卵は口先で器用に取り除いており、産卵床には卵があった「名残」が確認できます。
産卵5日目〜
卵の色は明るい薄めのオレンジ色っぽくなります。そんな卵の中では稚魚の眼や少し黒っぽく染まった体を確認できます。
産卵9日目〜
卵の中で稚魚達が頻繁にクルクルと動き回っている様子を確認できるようになります。孵化が近い証拠です。体は薄墨のような色をしているように見えます。
孵化初日
尾ビレが他の種類の稚魚と比べてしっかりしており、生まれてすぐに泳ぐ事ができるため、オス親の回りを泳ぎ回っています。大きさは6mm程で体色は透明感のある明るい肌色っぽい色をしています。
お腹には薄いオレンジ色のヨークサックを付けており、ポヨポヨとして愛らしいです。
孵化後3日目〜
ヨークサックを吸収し終わった稚魚達は餌を求めるようになるため、餌としてベビーブラインシュリンプを与えます。小さな口で一生懸命パクパク食べる姿は愛らしく、食べたブラインシュリンプでオレンジ色に染まったお腹がキレイです。体型は丸みを帯びています。
オス親は餌を食べる稚魚達をしっかりと監視しています。
孵化後6日目〜
大きさは7mm程に成長しており、泳ぐ力もより強くなり、積極的に捕食をするようになります。体色は明るい肌色にうっすらと褐色の帯のような模様が見えます。眼は親魚のような威圧感は全くありませんが、ちゃんと三角形の睨むような眼をしています。
孵化後12日目〜
順調に育っていれば稚魚の大きさは約8mm程にまで成長します。
体色は明るい肌色に褐色の帯模様が目立ち、一匹で縦横無尽に泳ぎ回るようになります。胸ビレと尾ビレは小さいですが親魚と同じような形になっており、背ビレや腹ビレ等も形成され始めます。
孵化後18日後〜
順調に成長すれば稚魚の大きさは約1cm程となり、見た目は大分オヤニラミっぽい姿に近付きつつあります。顔つきも尖り、目付きもより鋭くなっており、体にも厚みが出てきます。
体色も明るい土色に褐色の帯模様になります。鼻先のラインも出てきます。
この頃になると水槽掃除ができるようになります。スポンジでガラス面の汚れを落とし、1/3〜1/2の量の水換えを行います。足し水は必ずカルキ抜きをしてから使ってください。フィルターの中も確認し、汚れが溜まっているようなら掃除をします。ウールマットは汚れや傷みが酷い場合は新しい物と交換します。
生物濾材は飼育水で軽く洗う程度に留め、掃除によるバクテリアの減少を抑えます。
孵化後28日目〜
大きさは約1.2〜1.4cm程に成長しますが、見た目は完全にミニサイズのオヤニラミになります。
かなり小さいですが、エラブタに眼状の模様があります。水槽内では小さな体で縄張り争いをするようになります。餌もベビーブラインシュリンプだけでなく、イトメやアカムシを食べられるようになります。
ショップではこのサイズでも流通するため、ここまで大きく育てば安心サイズです。繁殖は成功したと言っても良いでしょう。ちなみにショップでよく見かけるオヤニラミの平均的な大きさである4〜6cm程の大きさに育つまではさらに3〜4ヶ月程かかります。
色々あります♪ オヤニラミの豆知識について
縄張り意識が強いからこそ?
複数飼育ではどうしてもケンカをしてしまうオヤニラミですが単独飼育ではのんびりしており、人の指に興味を持って追いかけてみたり気になって箇所をじっと見つめていたりします。
そんなオヤニラミの目の前に鏡を置くと状況が一変!体を黒く染め上げて鏡の中の自分を睨み付けるとすぐに攻撃を開始します。この時すぐに鏡を隠すと目標を見失い「あれ、どこだ?」と言った感じで周りを見た後すぐにご機嫌な体色になって先程と同じように遊び始めます。
まさかのコラボ!組み合わせ的にはアリかも…
オヤニラミの飼育をしている方の中にはブログ等で飼育環境を紹介している事もあります。
その中で私が驚いたのが、アフリカ産古代魚の一種である「ポリプテルス・デルヘッジとオヤニラミの混泳を成功させている」方がいた事です。その組み合わせの意外性だけでなく、オヤニラミが弱酸性の水に多少は適応可能であるという素晴らしい発見は、オヤニラミの可能性を引き出しているとしか言いようがありません。
とても良く慣れるお利口さん
肉食性の強い魚は賢く人に慣れやすいと言われていますがオヤニラミにも同じ事が言えます。
彼らは気が強いけど臆病という相反した性格をしていますが、好奇心がかなり強く、ビビりながらも気になると視線を外す事ができません。そんな彼らは人との生活に慣れてくると芸を覚えるようになります。
水面に指で円を描くとそれを追ってクルクル回ったり、餌を摘まんで水面から5cm程の高さで待っているとジャンプして餌をキャッチします。
皆同じに見える?実はあるところが違います
オヤニラミは似ている個体が大きく、複数飼育するとどれがどの個体なのか分からなくなったりします。ですが、ある箇所は同じならないため、よく観察すると見分けがつくようになります。
その部分とはエラブタの眼状模様の大きさや形と体の褐色の帯模様です。
眼状模様は個体によってキレイな丸形だったり半月形だったりするだけでなく、大きさも個体ごとに違っています。また、体の褐色帯模様も個体によっては真っ直ぐな縞模様だったり途中でクロスしたりと個性をアピールしてきます。
悲しい生い立ち、捨てられてしまったがために…
オヤニラミは本来、環境省のレッドリストに絶滅危惧1種として記載されており、自治体によっては天然記念物として登録されていたりする希少な川魚です。
しかし、飼育者の中には飼いきれずに持て余し、河川に捨ててしまう人もいます。その結果、本来生息していなかった河川や湖等で猛威を奮ってしまい、絶滅危惧種でありながら地域によっては移入種、指定外来種として扱われるようになりました。
特に滋賀県ではオヤニラミの飼育に届け出を出さなければならない程厳しくなってしまいました。彼らの鋭い目は誰に向けられているのでしょうか。
狙われたイクメン、託卵されても…
託卵と言えば、カッコウやホトトギスを思い浮かべる方も多いと思います。自分の卵を他所様の家に忍ばせてそのまま面倒を見てもらうという図々しい事を行う魚が日本にもいます。
それは「ムギツク」というコイの仲間です。この魚はオヤニラミやドンコといった卵を守り育てる魚の産卵床にしれっと託卵していくのです。丁寧に保護された卵からはやがてオヤニラミの稚魚と共にムギツクの稚魚も誕生します。
繁殖に役立つアイテムについて
ストレーナースポンジ
フィルターのストレーナーに取り付ける事で目詰まりや稚魚の吸い込みを抑制できるアイテムです。オヤニラミの稚魚は泳ぐ力がしっかりとしている方ですが、吸い込み事故を減らすために利用したいアイテムです。
ミジンコ培養キット
以前は通販や自然採取で手に入れてきたミジンコですが、最近は手軽にミジンコを培養できるキットが販売されるようになりました。
ミジンコはよく動き回るため、動くものを積極的に捕食するオヤニラミの稚魚にはピッタリの餌です。興味がある方は是非試してみてください。
竹炭シェルター
水の消臭や目に見えない汚れ等を吸着して離さないだけでなく、入れると高確率で隠れ家として使ってくれます。
シェルター兼水質維持ができるのでオススメです。
竹炭からスーッと出て来て餌をねだる姿は今でも良い思い出です。
メラミンスポンジ
水槽のガラス面などのお掃除の時に大活躍します。
一旦水を含ませてから使います。水槽のガラス面に付いた頑固なコケや汚れが簡単に取れます。
オヤニラミがかかりやすい病気について
ケガ
「病気じゃないじゃん」というツッコミは無しで、複数飼育中のオヤニラミは特に注意が必要です。
激しいケンカによってヒレが裂けたり鱗が剥がれたり、中には大技を食らってサックリと皮膚が切れている個体までいます。このような傷から細菌感染してしまったり水カビが付着する可能性がかなり高いです。
ケガが目立つ個体がいたら隔離して、エルバージュやグリーンF等の魚病薬を規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬して薬浴をします。ヒレが再生したり、傷口が塞がるまで行います。
水カビ病
オヤニラミだけでなく日本産淡水魚全体がかかりやすいと言える病気です。ナマズやドジョウもかかりやすいため、どれだけ日本の川魚達が繊細なのか改めて再認識させてくれます。
原因は水カビが発生してしまう環境である事、つまり生物濾過が機能していない、食べ残しやフンが取り除かれておらずカビの温床と化した事等が挙げられます。
ヒレ先にちょっと付いてるくらいであればピンセット等で取り除いてから、カビの範囲が広い場合はフサフサした部分をハサミで切ってから薬浴をします。
治療にはマラカイトグリーンやメチレンブルー、アグテン等の魚病薬を投薬し薬浴をしますが、規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬するようにしましょう。
エロモナス病(まつかさ病)
水が古かったり水質が悪いとオヤニラミは簡単にかかってしまいます。しかもオヤニラミは鱗が非常に細かいため、しっかりと日頃から観察していないと手遅れになる事があります。
「若干鱗が膨らんでるような…」「充血してるかも」と思ったらエロモナス病を疑ってすぐに隔離をします。
治療にはグリーンFゴールドや観パラD、エルバージュ等の魚病薬を投薬して薬浴をします。この際規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬するようにしましょう。
吸虫病(ダクチロギルス症等)
エラブタの動きがやけに早い、あるいはエラブタが膨らんで動かない等の症状があった場合は吸虫病を疑いましょう。寄生虫がエラの中にいるため、早期発見はかなり難しい病気です。
治療には寄生虫駆除薬であるリフィッシュやトロピカルNを使いますが、酸欠防止のためにエアレーションは強めにします。
また、魚病薬の使用量ですがリフィッシュはかなり強力なため規定量の1/5〜1/3の量、トロピカルNは規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬して薬浴します。
拒食症
オヤニラミも人間と同じように拒食症になる事があります。それはストレスが原因の時もありますが、「餌に飽きた」という理由もあります。複数飼育の場合は殆どストレス性である事が多く、隔離して単独飼育に切り替えると少しずつ食べてくれる事があります。
餌に飽きている場合は、普段与えている物とは違う餌を与えるだけですぐに食い付いたりします。これは自然下では口に入る獲物なら何でも積極的に捕食していたためで、同じ餌だと飽きが来てしまうようです。
人工飼料を与えている場合は生き餌としてヌマエビやメダカを入れるとすぐに改善します。生き餌の場合は与えている生き餌の種類を変えるだけで改善します。
寿命について
オヤニラミの寿命は5年ほどです。私が飼っていた個体達は、6年目に相次いで天命を全うして行きました。
最大で13.5cmまで育ち、この種類としてはなかなか見応えのある大きさに育ってくれました。是非、皆さんもこの魅力溢れる魚を飼育してみて下さい。愛情を注げば注ぐほど、応えてくれる魚です。
筆者流、クリルと乾燥エビの与え方
オヤニラミは慣れれば乾燥餌も食べてくれますが、中の空気が邪魔をして上手く消化ができない時があります。
その対策として、クリルと乾燥エビの頭としっぽの殻を外して飼育水に3〜5分程浸してふやかしてから与えていました。
そのまま与えた物よりしっかり消化ができるので、良かったら試してみてください。
まとめ
今回は日本淡水魚のオヤニラミについて目一杯詰め込んでみました。
オヤニラミは隠れ家を与え、水質にちょっと気を付ければ意外と簡単に飼う事ができます。
私の経験上、彼らは大事に飼えば飼うほど人によく馴れ、行動や体色変化で飼い主に伝えてくれます。
そして、餌の時間には、その小さな体からは想像もつかない豪快な食べ方を披露してくれます。
オヤニラミの繁殖はオス親が一番大変な時期をお世話してくれるだけでなく生まれた稚魚も大きいため、ペアが揃って産卵が成功すれば繁殖もかなり簡単な部類に入ります。
また、ガットローディングを使えば繁殖のための体力作りも簡単に行えますし、オヤニラミに限らずカワアナゴやカジカ、バラムンディ等の肉食性の強い魚の給餌にも使う事ができます。
そしてオヤニラミの豆知識等も目一杯詰め込みましたが、やっぱりこの魚は不思議が詰まっており、まだまだ私達の知らない顔を隠し持っているような気がします。
彼らはいつも鋭い目付きをしていますが、時折キョトンとした表情を見せる事もあります。きっと今日もどこかで睨みを効かせている事でしょう。それは大事な卵のためか、気になるアイテムのためか…。ただ、人によく慣れる魚なので、もしかしたら飼い主の帰宅を頑張って待っているだけなのかも知れません。