- はじめに
- 「川底の忍者」ロックドラスとはどんな魚?
- ロックドラスの飼育方法について
- 導入時の水合わせの方法について
- 1. 袋を浮かせてから行う方法
- 2. バケツに移してから行う方法
- 水槽、水質、水温について
- 水質は中性〜弱酸性を好みます。
- フタについて
- フィルターについて
- 底砂について
- 餌について
- 給餌の注意点について
- 水草について
- 水草水槽の注意点について
- 隠れ家について
- 混泳について
- 混泳の注意点について
- 水換え、掃除について
- 掃除の時の注意点!何故こんな所に!
- かかりやすい病気と治療方法について
- 本物どこだ?かくれんぼ水槽について
- 簡単に飲まれてたまるか!かなり痛いロックドラスの抵抗!
- よく似てるけど別の種類
- ナマズのヒゲセンサーは超高性能!
- 色々いるよ♪ドラスの仲間
- どうしたら良い!?筒状の物に入り込んで出て来ない場合
- 好き嫌い!なかなか人工飼料に餌付かない場合
- 大丈夫?ロックドラスの子供の給餌について
- 珍事件発生!?どうなる、ナマズ水槽!
- 周りとすっかり仲良しに!
- まとめ
はじめに
実はナマズの仲間は、小型で愛らしい姿のコリドラスから肉食性で大型種であるレッドテール・キャット等の他、流木や水草を主食とするプレコの仲間等、幅広い多様性と種類があり、その種類数は2000種類を遥かに越えています。
今回ご紹介する「ロックドラス」は、数あるナマズの中でも川底に転がる小石に擬態するタイプの小型種です。色彩は地味かも知れませんが、その独特の見た目や性質の大人しさから人気があります。
ショップで常に見られるような種類ではなく、レア寄りの種類となっているこの不思議な石ころナマズの飼育方法や飼育の際の注意点等についてを紹介していきたいと思います。これを機に、皆様も珍しいナマズに目覚めてしまうかも知れませんね。
「川底の忍者」ロックドラスとはどんな魚?
生息地は?
ロックドラスは南米大陸を流れるアマゾン川水系の主要河川であるプルス川やアムビヤク川に流れている細流に生息しています。また、ベネズエラを流れるエッセクイボ川にも生息していると言われています。
流通名は?
主にロックドラスと呼ばれていますが、体が小さいので「ミニロックドラス」と呼ばれる事もあります。
大体のお値段は?
頻繁に流通するような種類ではありませんが、1匹あたり大体800〜2000円の間で売られています。ショップによっては3匹3500円等とかなり安く売っている事もあります。
その特徴について
ロックドラスの最大の特徴は川底の石と見間違えてしまうようなゴツゴツとした大きな頭部と色彩です。骨質の頭部は非常に硬くて防御力も高く、明るい褐色の体色に不規則な茶褐色のボヤけた斑模様は川底の色にロックドラスの体を溶け込ませます。
また、背ビレ、胸ビレには大きく頑丈な棘条があり、小さな体の割にはかなりゴツい見た目をしています。胴体部分もよく見ると体側に沿って骨板が並んでおり、そこからは小さいながらも鋭いトゲが生え、上半身程ではありませんが防御力を高めています。
まるでゆるキャラのような…
画像引用元:WORLD RIVERS net様
ロックドラスは大きさが3〜4cm程しかない小型種です。頭部は体の半分近くを占めており、幅も広くて大きいのでかなり目立ちますが体の方は意外と細身で小さいため、二頭身の可愛らしい体型をしています。
「私は石ころですよ〜」
ロックドラスは基本的に泳ぎ回る種類の魚ではなく、昼の間は水草や岩陰に隠れたり、その場でじっとして動かない事が多いです。
これは「擬態」と呼ばれる行動の1つで、ロックドラスのようにゴツゴツとした見た目のナマズの仲間は川底の石に擬態をしている事が多いです。他にはバンジョーキャットの仲間も石に擬態をしています。
ナマズの仲間には擬態をする種類が多く、ウッドキャットやリーフキャットは川底の流木や枯れ葉に、透明な体のトランスルーセント・グラスキャットは生息地の水そのものに溶け込む事で身を守っています。
何を食べているの?
ロックドラスは他のナマズ類と同じ動物食性ですが、大きな頭部に不釣り合いなほど口が小さいため、自然下では泥中や砂中にいるイトミミズや小型の水生昆虫、魚の卵や生まれたばかりの仔魚等を捕食していると考えられています。
飼育下では人工飼料に慣れるまで時間がかかるので、冷凍アカムシやイトミミズを与えると喜んで食べてくれます。
立派なヒゲは大事なセンサー!
ナマズの仲間はどの種類も長さや太さはそれぞれですが、立派な口ヒゲを備えています。このヒゲは種類によって本数が違いますが、ロックドラスには頭部と同じくらいの長さがある立派なヒゲが6本生えています。
このヒゲは非常に敏感なセンサーであり、暗い水の中や泥中で餌を探すのに役立つだけでなく、泳ぐ際に邪魔になる岩や流木等の障害物すら感知する事ができます。病気やケガでヒゲを失うと失った分餌の発見が遅くなったりしますが、しっかりと治療をすれば再生する事もあります。
ロックドラスの性質は?混泳は大丈夫?
ロックドラスは厳つい見た目に似合わず、非常に大人しい性質をしています。そのため同種だけではなく、多くの種類の魚達と混泳する事ができます。
ただし、動物食性ではあるので極端に小さな種類の魚、例えばルビー・ラスボラのような最小クラスの種類等は混泳を避けた方が良いです。
昼行性?夜行性?
ロックドラスは夜行性なので、ライト消灯後は低層を中心に泳いだり、新しい隠れ場所を探したりと意外と活発に行動してくれます。
ロックドラスの飼育方法について
導入時の水合わせの方法について
水合わせは魚を飼育する上でとても大切な手順の1つです。特にナマズの仲間は水質の変化に敏感で、場合によってはヒゲが溶けてしまったり水質や水温ショックで痙攣を起こしたり、死んでしまう事もあります。
ここでは水合わせの主な方法2種類を紹介させていただきます。
1. 袋を浮かせてから行う方法
導入する水槽の中に導入する魚が入っている袋を浮かせます。この際水槽の水が溢れないようにバケツ等に入れて幾分か取っておきます。
水槽に浮かせて30分〜1時間すると、袋の水温と水槽内の水温が同じくらいになります。そうしたら袋の口を開け、袋の中の水をコップ等で1/4〜1/3程捨てて水槽の中の水を袋の中に足します。これを10〜20分程様子を見ながら繰り返します。
袋の水が殆ど水槽内の水になり、魚に異常がなければ水槽に導入します。減った分の水はあらかじめバケツに取っておいた物を足します。
2. バケツに移してから行う方法
最初に袋の中の魚を水ごとバケツへ移します。バケツには酸欠防止のためにエアレーションを施します。
次にエアチューブの端の片方に重りを付け、導入する水槽に投入します。もう片方は口で軽く吸い飼育水を呼び込んだら軽く結んで、入る水の量を少なく調整し、バケツの中に入れます。
これを約1時間程様子を見ながら行い、特に異常が見られなかったら小さな容器や傷みのない網で掬って水槽に導入します。
ちなみにロックドラスを水槽内に導入する場合は網ではなく、小さい容器を使う事をオススメします。
ロックドラスは鋭い棘条だけでなく、体にも細かいトゲが並んでいます。網で掬って暴れられてしまうと絡まるだけでなく、新品の網も一撃でケバだらけの網にされてしまいます。
水槽、水質、水温について
ロックドラスは小型種のため30cm水槽でも飼育する事ができます。混泳や複数飼育の場合は匹数にもよりますが45〜60cm水槽であれば充分飼育を楽しめます。
水質は中性〜弱酸性を好みます。
水温は23〜28℃が適応ですが、水温が低かったり温度の急変が多いと体調を崩してしまうためヒーターを使って水温を一定に保ってあげましょう。
フタについて
ロックドラスは他の魚種と比べてあまり飛び出す事はありませんが、決して飛び出さないという訳ではないので水槽には必ずフタをするようにしましょう。
フィルターについて
ロックドラスはどのフィルターでも使う事ができるため、水槽のサイズや飼育する匹数に応じてフィルターを使い分けましょう。
小型水槽であればスポンジフィルターや投げ込み式フィルター、外掛け式フィルター、パワーフィルターを使う事ができ、水槽のサイズが60cmかそれ以上であれば上部式フィルター、外部式フィルターがオススメです。
底砂について
観賞魚用の底砂やソイルであれば問題なく使用できます。
しかし貝殻も入っている大磯砂は使用に注意が必要で、セット直後は水質が中性〜弱アルカリ性を行き来して不安定なため、中性に安定するまでは水質チェッカー等で確認しながら安定するのを待ちましょう。
餌について
ロックドラスは人工飼料に餌付くまで少々時間がかかるため、冷凍アカムシやイトミミズを与えます。ナマズらしくたくさん食べるので、1日2回、点灯前と消灯後に5分程で食べきれる量を与えます。環境に慣れて来るとライトが点灯中でも餌を食べてくれるようになります。
給餌の注意点について
複数飼育の場合は全員に餌が行き渡っているか、ちゃんと食べれているかを観察しながら与えます。
混泳水槽の場合はライトが点灯している間に餌を与えると、慣れない内は食べに来ませんし、食べに来たとしても同居の魚達に餌を食べられてしまい満足な量を食べられず次第に痩せてしまいます。
痩せ過ぎは外見からはかなり分かりづらいため、確認のためにはお腹側を注意深く観察する必要があります。
とはいえロックドラスは夜行性の魚なので、無理に同居の魚達と同じ時間帯に餌を与える必要はなく、ライト消灯後30分〜1時間後の周りの魚達が眠っている間に冷凍アカムシやイトミミズを与えるとロックドラスも安心して餌を食べる事ができます。
水草について
ロックドラスは低層を中心に生活する魚ではありますが、水草を引き抜くようなイタズラはしないのであらゆる種類の水草をレイアウトに使う事ができます。
初心者に扱いやすいバリスネリアやアヌビアスだけでなく、前景、中景として使えるピグミーサジタリアやヘアーグラス、ウォーターカーナミン等の水草も植える事ができます。
水草水槽の注意点について
水草水槽はとても美しいですが、夜になると水草も呼吸をし二酸化炭素を放出するため、知らず知らずのうちに二酸化炭素濃度が上がって魚達が酸欠になってしまいます。
隠れ家について
ロックドラスは主に石に擬態して過ごしていますが、隠れる場所があると落ち着くようで、隠れ家を設置するとよく利用してくれます。
混泳について
前述した通り、ロックドラスはとても大人しい性質なので多くの種類の魚達と混泳が可能です。
生息地が被っているネオンテトラやカージナルテトラなら現地の雰囲気が出ますし、エンペラーテトラやブルーテトラとの混泳も容易にこなします。また、生息地が全く違うグッピーやプラティ、グラミーの仲間とも仲良く過ごします。
混泳の注意点について
水質の違い以外で混泳の相性が悪いのは、大型の肉食魚や大型に成長しるコイの仲間です。いくら硬い体やトゲを持つロックドラスでも、擬態が見破られて丸呑みにしてくる相手や強力な咬筋力を持つ相手にはお手上げです。
また、ルビーラスボラのような極小クラスの種類も混泳は避けましょう。ルビーラスボラの大きさや太さはアカムシ程度しかないので、ロックドラスが食べてしまう可能性があります。
水換え、掃除について
水槽の汚れ具合や飼育匹数にもよりますが、1〜2週間に1回、1/3〜1/2の量の水換えを行います。
水換え後に入れる新しい水が水道水の場合は必ずカルキ抜きをしてください。ガラス面に付いた汚れやコケはスポンジで擦り落とします。隠れ家や石等に付いた汚れは、歯ブラシやタワシ等で擦り落とします。この時レイアウトの配置を変えたい場合は水槽から取り出してから掃除すると良いです。
フィルター内の掃除は頻繁に行うとバクテリアが減ってしまうので避けましょう。上部式フィルターや外部式フィルターの場合は1〜2週間に1回物理濾過材であるウールマットを水洗いします。傷みや汚れが酷い場合は新しい物と交換します。
生物濾過材を洗う場合は2〜4週間に1回、バクテリアの減少を抑えるため飼育水で洗います。
投げ込み式フィルターやパワーフィルター、外掛け式フィルターの場合は物理濾過材と生物濾過材が一緒になっている場合が多いので、飼育水で洗います。傷みや汚れが酷い場合は新しい物と交換します。
スポンジフィルターの場合は、スポンジ部分をしっかり水に浸けて汚れが落ちるまで揉み洗いをし、パイプ部分は専用のブラシで汚れを落とします。
底面式フィルターの場合は濾過槽の掃除も大切ですが、濾過材の一部である底砂も定期的に洗うようにし、パイプ部分は専用のブラシで汚れを落とします。
掃除の時の注意点!何故こんな所に!
ロックドラスは基本的に石に擬態をしてはいますが、石や水草の陰や筒状の隠れ家にも好んで隠れます。掃除の時に、もし筒状の物を掃除する場合は必ず中を確認してください。それは、フィルターの出水口も同じです。
ロックドラスだけに言える事ではなく、背ビレ、胸ビレの棘条が発達しているタイプのナマズの仲間は筒状の隠れ家にいる時に刺激を受けると、その棘条を張り出して隠れ家から自身を抜けないようにするのです。
これを確認せずに表面だけ掃除し、水に浸けないでいると干からびてしまいます。また、浸けた水が水道水だったりすると、エラが塩素や重金属に破壊されて死んでしまいます。
かかりやすい病気と治療方法について
・白点病
水温の急変や水質の悪化が原因で発生する病気です。隠れがちなロックドラスは白点病が発生しても飼育する側が気付かない事が多く、気付いた頃には白点が広がっていた、なんて事も多いです。
治療方法ですが、ロックドラスは弱アルカリ性の水質を嫌うため塩水浴ができません。そのためメチレンブルーやマラカイトグリーン、グリーンF系の魚病薬による薬浴を行います。
しかし薬品に弱いナマズの仲間なので、規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬する必要があります。
白点病は発生すると意外としつこいため、体に付いた白点が消えるまで薬浴を続けます。早く治したいからといって魚病薬の量を増やしたりするのは決してやってはいけません。ナマズにとっては薬も毒と変わりません。使用する量を間違えれば死んでしまいます。それは私達人間も一緒なので、彼らの体調や体質を思いやって治療をしましょう。
・水カビ病
水温が低かったり、生物濾過が正常に機能せず水カビが発生しやすい環境の時に発生する病気です。食べ残しに発生した水カビの一部が水中を漂い、ヒレ等に付着して次第に魚体を侵食していきます。
ロックドラスは低層を主な生活圏としているため、水カビの影響はかなり受けやすく、気付いたらカビに覆われて死んでいた、という事もあります。
治療方法は、水カビがヒレ先に少し付いている程度であればピンセット等で取り除いてから薬浴をします。侵食が進んでいる場合は水カビのフサフサした部分を魚体を傷付けないようにハサミで除去してから薬浴をします。
治療にはアグテンやマラカイトグリーン、グリーンF系の魚病薬を使用します。病魚を隔離したら、規定量の1/5〜1/2の量を様子を見ながら投薬します。稀に全身うっすらと水カビが生える症状がありますが、その場合は見つけ次第すぐに隔離して薬浴をしましょう。
水カビ病が発生した水槽は水換えをして水カビや発生源を除去したらPSB等のバクテリア剤を添加し、水温も上げて環境を改善するようにしましょう。
・エロモナス症
水質が悪化していたり、古い餌を食べる事で発生する病気です。かかると体全体がうっすらと白濁し、至るところに充血が見られます。また、ヒゲが溶けてしまう事もあります。
治療にはエルバージュや観パラDを使います。病魚を隔離したら、規定量の1/5〜1/2の量の魚病薬を様子を見ながら投薬します。エロモナス症はかなりしつこいため、約2ヶ月程の治療期間を覚悟しなければなりません。
また、ヒゲが溶けてしまっている場合は刻んだアカムシをピンセットで挟んで口元へ運んであげると食べてくれる事があります。
・痩せ過ぎ
ロックドラスやコリドラス、プレコのように硬いウロコや骨板に身を包む種類の魚にかなり多い症状です。パッと見だとガッシリした体型に見えますが、お腹側から見るとベッコリとへこんでいる事があります。
そこまでへこんでいるとかなり危険な状態ですので、1度隔離し、ライトを点けずに冷凍アカムシやイトミミズ等の栄養価の高い餌を与えます。最初は食い付きが悪いかも知れませんが、少量でも1度食べてくれれば少しずつ食べる量が増えていき、持ち直せる事があります。
痩せ過ぎはこの類いの種類にはかなり危険な状態のため、日頃からちゃんと餌を食べているか様子を見る事が大切です。
ロックドラスの飼育方法や注意点、かかりやすい病気についての紹介のお次は、ロックドラスの生態が楽しめるシンプルなレイアウトを紹介したいと思います。
本物どこだ?かくれんぼ水槽について
これはロックドラスの「石に擬態する」性質を楽しむためのシンプルなレイアウトの方法です。
フィルターは何を使ってもかまいませんが、底砂はロックドラスの体色によく似ている田砂やオレンジサンドを使います。これを水槽内に厚めに敷きます。
次にたくさんの小石を使います。これを好きなように並べたり積み重ねたりして配置します。流木もあると川底の雰囲気が出てきます。
ある程度の配置が終わったら少しだけ水草を植えます。たくさん植えると普通のレイアウト水槽になってしまうため、背の低いグラス系やクリプトコリネ系の水草を植え、背の高い水草をワンポイントとして植えます。
これで主に石だらけのレイアウトの完成です。
ここにロックドラスを入れると、思い思いの場所に行き、早速擬態を始めます。
これが意外と探す時に難易度が高く、「ウ○ーリーを探せ」のような面白さがあるため、シンプルに生態を楽しみたい方にはオススメのレイアウトです。
簡単に飲まれてたまるか!かなり痛いロックドラスの抵抗!
小型種故に大型肉食魚に捕食されてしまう事もあるロックドラスですが、実は肉食魚を以てしてもそう簡単には飲み込めない存在なのです。
その理由は掃除の注意点でも説明した立派な棘条です。ロックドラスは捕食されそうになると、この発達した鋭い棘条をピンッと立てます。これが口の中で刺さるだけでなく、口に力を込める程細かくギザギザした胸ビレの棘条が食い込んでなかなか抜けないため、痛みに堪えかねて大体の肉食魚は吐き出してしまうのです。
よく似てるけど別の種類
ナマズは本当に種類が多く、全くの別種であってもよく似た種類がいたりします。
ロックドラスにもよく似た種類がおり、その名は「ハラハラキャット」です。ショップには「ハラ・ジェルドニー」という種類がよく流通しています。
その見た目は2〜3cmとさらに小さく、頭部のゴツさはそのままに、ちょっとスマートになったような見た目をしています。
ロックドラスの仲間と思いきや「シソール」という全く別のナマズの仲間に近い種類です。大人しい性質なので、ハラハラキャットもロックドラスと混泳させる事ができます。
ナマズのヒゲセンサーは超高性能!
先程も紹介しましたが、ナマズのヒゲは非常に敏感なセンサーです。よく「ナマズは地震を予知できる」なんて言葉がありますが、あながちウソではないようです。
というのも、ある研究所では数多くの実験とその結果から「ナマズは高確率で地震を予知できる」という結論が出されたからです。その論文によると、どうやらナマズは地震発生時の地面から来る微細な電流をヒゲで感じ取っているのだとか。
また、長年生きた大型の個体は非常に賢く、釣りで狙おう物ならそのヒゲでルアーや釣糸を見破る事もあります。
そのためナマズ釣りの手法には針を付けたカエルを餌に釣糸をあまり水に着けないようにする釣り方があるのだそうです。
日本産外国産関係無く、ナマズのヒゲによる感知能力は抜群なのです。
色々いるよ♪ドラスの仲間
「ドラス」と聞くと「コリドラス」を思い浮かべる方も多いと思いますが、「ドラス」と「コリドラス」は全くの別物です。
ドラスの仲間はどの種類も背ビレ、胸ビレの棘条が発達しており、体側に並ぶ骨板にも鋭いトゲが並び、コリドラスとは違った「武装」をしています。今回紹介しているロックドラスは、ドラスの仲間の中でも最小クラスの大きさです。
最大クラスの「オキシドラス」は大きさがなんと1.5mにもなる超大型種です。他にもボドワード等の大型種がおり、口に入るサイズの魚は食べてしまいますが、その殆どの種類が厳つい見た目に似合わず性質はとても温厚です。
また、「鳴く魚」として有名な「トーキングキャット」もドラスの仲間に含まれています。種類によっては「スポッテッド・ラファエル」や「ホワイトストライプ」等と呼ばれていますが、最大の特徴は胸ビレの付け根あたりから音を出し「ギーギー」と鳴く事です。
ロックドラスで聞いた事はありませんが、トーキングキャットのこの鳴き声は意外に大きく、威嚇に使う事が多いです。
このようにドラスの仲間は厳つい武装をしていながらちょっとお茶目な一面を持ったおっとり系ナマズなのです。
どうしたら良い!?筒状の物に入り込んで出て来ない場合
ロックドラスを含め、多くのナマズの仲間が筒状の物に入って棘条を張り出すという行動を取ります。これは敵から身を守るため、隠れ家から引きずり出されないようにするための行動です。
私達は「掃除」程度で考えていても、あちらにとっては死活問題なので頑なに出ようとしません。
その場合はナマズが入っている筒状の物ごと水槽に戻します。しばらくすると安心したのか自分から出てきます。自分から出て来ない場合でも、水槽に入れた筒状の物の端を持ち上げ、ゆっくりと引き揚げると自分から出て行く事があります。
どうしても出て来ない場合は割り箸等で後ろからつつき出す方法もありますが、擦り傷を負わせてしまう可能性があるため、できれば前者の方法で時間をかけて出すようにしましょう。
好き嫌い!なかなか人工飼料に餌付かない場合
人工飼料は栄養バランスにも優れ、コスパも良いのでできる事ならロックドラスにも食べて欲しい餌です。しかしロックドラスは他のナマズの仲間達と比べてもなかなか人工飼料に餌付いてはくれません。
餌付きやすくする方法としては、ロックドラスは口が小さいため顆粒タイプの人工飼料をチョイスし、アカムシと一緒に与える事です。こうする事でアカムシの味と香りが人工飼料に僅かながら付着し、アカムシと一緒に食べるため、少しずつ人工飼料の味や食感に慣れさせていくのです。この方法をしばらく続けていると人工飼料を少しずつ食べるようになります。
ナマズ用に販売している「ミニキャット」は水分を含むとかなり膨らむため、慣れさせるには同じようにアカムシと一緒に与えます。水分をよく吸収するためアカムシの味や香りが付きやすい特徴があります。また、柔らかい食感のため、与える前にピンセット等で細かくちぎってからアカムシと一緒に与えると割りと口にしてくれます。
大丈夫?ロックドラスの子供の給餌について
ショップではごく稀に2〜3cm程のロックドラスが流通する事があります。これはロックドラスが無作為に野生で採取された個体しか輸入されない事にあり、その中にまだ幼い個体が混ざっているからです。
このサイズのロックドラスは冷凍アカムシを食べるのも一苦労なため、餌を与える時にはちょっとした「気遣い」が必要です。
やり方は大して難しい事はなく、ハサミで冷凍アカムシやイトミミズを切って食べやすくしてあげれば良いのです。そのためハサミは100均等で飼育用に1つ準備しておきましょう。
それでも食べづらそうにしているミニサイズのロックドラスには「冷凍コペポーダ」を与えます。コペポーダとはプランクトンの仲間で、大きさはベビーブラインシュリンプより少し大きいくらいです。しっかり解凍してからスポイトでロックドラスのヒゲの近くにコペポーダを落とすと喜んで食べてくれるはずです。
珍事件発生!?どうなる、ナマズ水槽!
我が家にロックドラスがやって来てまだ間もない頃、ナマズ水槽にはレモラキャットやレオパードタティア、スポッテッドタティア等の多くのナマズ達が一緒に暮らしていました。ケンカもなく平和そのものだった水槽内で、ある日珍事件が発生しました。
レモラキャットが愛用している竹炭シェルターに入ろうとしたところ、何かにつっかえて入れなくなっていたのです。よく見ると、それはレモラキャットに驚いて棘条を張り出したロックドラスでした。大好きな隠れ家を奪われたレモラキャットは怒るのかと思いましたが、その日は顔だけシェルターに突っ込んでいました。
翌日、またもや竹炭シェルターの入り口で棘条を張り出しているロックドラスを見つけました。これでは他のナマズ達が隠れ家を使えないのでシェルターを増やそうとしたところ、再びレモラキャットが入り口を塞ぐロックドラスの真正面にやって来ました。すると、ヒゲでロックドラスの顔を優しく撫で始めました。ロックドラスもレモラキャットのヒゲや顔を自分のヒゲで撫で始めます。
2〜3分経った頃でしょうか、ロックドラスは今まで張り出していた棘条を引っ込めてレモラキャットと一緒にシェルターを使うようになりました。
私は人間なのでナマズ達の意思は分かりません。
周りとすっかり仲良しに!
ナマズ水槽は多くのナマズ達で構成された大型混泳水槽でした。あの珍事件以来すっかり周りのナマズ達と仲良くなったロックドラスは、自分の一番の理解者(?)であるレモラキャットといつも一緒でした。
3匹いるレモラキャットの中でもその個体と常に一緒に行動し、餌の時も泳ぐ時も、昼寝の時もいつも一緒です。次第に周りにはバンブルビーキャットやアジアクリスタルキャットも寄って来るようになり、とても賑やかな水景になりました。
まとめ
今回は川底の小石に化ける小型ナマズ、ロックドラスについてナマズの豆知識等も含めてご紹介させていただきました。
ロックドラスは小さな見た目の割には飼いやすい種類で導入時と水質、餌食いに気を付ければ特に難しい事はありません。むしろ大人しく丈夫な種類なので、個人的には複数飼育がオススメです。
ロックドラスはあまり一般的な熱帯魚ではありませんが、グッピーのように派手な色彩を楽しむための種類ではなく、その興味深い見た目や生態を楽しむための種類だと思います。ゴツゴツした頭部や発達した棘条、川底に溶け込む体色…どれを取っても興味深く、体の大きさの割にかなりカッコいい要素があります。
ちなみに長く飼っていると人に慣れてきますが、その時つぶらな眼で小石に擬態しつつこちらを見つめて来ます。
川底の小石に命が宿ったようなゆるキャラ的小型ナマズを是非ご自宅に迎え入れてみてはいかがでしょうか?